2023.11.30(木)大会

【第107回日本選手権10000m展望~男子編~】初優勝に挑む田澤、参加標準記録にどこまで迫れるか!?塩尻、清水、太田に躍進の期待/相澤、伊藤の復権は?



第107回日本選手権10000mが12月10日、来年8月にフランス・パリで行われるオリンピック競技大会の日本代表選考会を兼ねて開催される。会場となるのは、2021年にオリンピックが開催された東京・国立競技場。2025年にやってくる世界選手権の舞台でもある。日本選手権10000mとしては、昨年5月に行われた第106回大会に続いての実施だ。

トラック&フィールド種目における今年度(第107回)の日本選手権は、別日程で実施した混成競技も含めて6月に行われたが、10000mのみ会期をずらして、記録を狙いやすい気象状況が期待できる12月に設定するカレンダーが組まれた。これによって、パリを目指す選手たちは、来年5月3日に予定されている第108回日本選手権10000m(静岡)との二本立てで、オリンピック参加資格獲得へのチャレンジが可能となっている。

パリオリンピックの出場資格は、近年の世界大会と同じく、ワールドアスレティックス(WA)が設定する参加標準記録の突破者に加え、種目ごとに設定されたターゲットナンバー(出場枠)を上限として、1カ国3名で設定されたWAワールドランキング(Road to PARIS)の上位者に与えられる。日本代表選手の選考は、日本陸連が定めた代表選考要項( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202309/21_112524.pdf )に則って進められ、第107回大会では、参加標準記録(男子27分00秒00、女子30分40秒00)の突破が条件となるものの、最大で3名が即時内定者としてアナウンスされる可能性を秘めている。また、標準記録のクリアがならなかった場合も、来年7月2日に確定するWAワールドランキングでの出場を見据え、記録・順位ともに少しでも好成績を挙げておきたいところだ。

果たして、女子やり投の北口榛花(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)、男子マラソンの小山直城(Honda)、赤﨑暁(九電工)、女子マラソンの鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)に続く内定者は何人誕生するか? また、パリオリンピック、さらには2007年以来の日本開催となる東京世界選手権に向けて、躍進してくるライジングスターは現れるか? ここでは、エントリーリストに基づき、注目選手を紹介していこう。

※エントリー状況、記録・競技会等の結果は、11月27日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト、アフロスポーツ

【男子10000m】

男子10000mの参加標準記録は、27分00秒00。2022年オレゴン世界選手権(27分28秒00)から今夏のブダペスト世界選手権(27分10秒00)に続いて、さらに引き上げられた。これは、相澤晃(旭化成)が持つ日本記録(27分18秒75、2020年)を上回るもので、アジア歴代リストでみても到達している選手は過去に2名のみ。2023年世界リストでは4位相当と、非常に水準の高い記録といえる。

当日に、即時内定を得るためには、「今大会優勝者で、大会終了時点までに参加標準記録を満たすこと」が条件だが、11月27日の段階で、参加標準記録の突破者はゼロ。このため、大会本番で参加標準記録を突破して優勝することが必須だ。男子は、オープンでの出場となるシトニック・キプロノ(黒崎播磨)を含めて、全30名がエントリーしているが、参加者のなかでは、キプロノの27分14秒76がトップタイム。気象コンディションやペース設定等で最高の条件が揃ったとしても、かなりハードルの高いチャレンジといえるだろう。

1カ国3名で設定されたWAワールドランキング(Road to PARIS)における男子10000mのターゲットナンバーは「27」。この枠内に入ってオリンピック出場権を手にすることを目指して、記録を狙いやすいこの時期に少しでも高いポイントを得られるよう、もしかしたら、参加標準記録とは異なる基準で目標とするタイムや順位を設定する者も出てくるかもしれない。ここでランキングの順位を上げておくことは、一段と熾烈さが増すであろう来季の代表争いを、有利に進めていく鍵となってくるからだ。

持ち記録という観点では、相澤晃(旭化成)、田澤廉(トヨタ自動車)、伊藤達彦(Honda)と、日本歴代1~3位を占めるトップランカーがエントリー。11月25日の八王子ロングディスタンスで、従来のU20日本記録を約30秒更新する快走を見せた佐藤圭汰(駒澤大学、ダイヤモンドアスリート、27分28秒50=日本歴代5位)をはじめとして、好記録をマークした鈴木芽吹(駒澤大学、27分30秒69=日本歴代9位)、葛西潤(旭化成、27分36秒75)、篠原倖太朗(駒澤大学、27分38秒66)らがエントリーしていないことは惜しまれるが、相澤・田澤・伊藤も含めてオリンピックや世界選手権等の日本代表実績を持つ面々が顔を揃えている。記録も順位も狙っていくなかで、どんな駆け引きが繰り広げられるか。「2023年度日本チャンピオン」の座を巡るスリリングなレースを期待したい。

優勝候補の一番手に挙げるとしたら、田澤といえるだろう。日本歴代2位となる自己記録の27分23秒44は、駒澤大3年時の2021年にマークしている。社会人1年目となった今季は、3月にアメリカでセカンドベストの27分28秒04をマークしてシーズンイン。2022年オレゴン大会に続く代表入りを目指して、その後、国内外で参加標準記録を狙ったブダペスト世界選手権は、記録のクリアはならなかったものの、7月にバンコクで行われたアジア選手権(29分18秒44)を制し、エリアチャンピオンとして出場した(28分25秒85、15位)。秋の杭州アジア大会も日本代表に選出され、28分18秒66で4位の成績を残すなど、国際水準の舞台で幅広く経験を積むシーズンとなった印象だ。日本選手権は、2021年の2位が最高位。今回は、先に手にする形となったアジアチャンピオンの称号を胸に、初の選手権獲得に挑む。今季6レース目となったアジア大会以降は競技会には出場せず、じっくりトレーニングを重ねる方針をとったが、その成果がどう出るか。WAワールドランキングでは、現段階でターゲットナンバー内の18番目で日本人トップの座に収まっている。この位置をさらに押し上げることを目指して、まずは自己記録を更新し、26分台に迫るタイムで、タイトルを獲得することがターゲットとなってきそうだ。

実績面から、持ちタイム以上の走りが期待できそうなのは、塩尻和也(富士通)。高校時代から3000m障害物で活躍し、順天堂大2年時の2016年リオデジャネイロオリンピックには、この種目で出場を果たしている選手だが、フラットレースでも地力を持ち、特に今年は、日本選手権クロスカントリー(10km)優勝、金栗杯5000mで日本人トップ、ブダペスト世界選手権10000m代表選考レースとして行われたゴールデンゲームズinのべおか(GGN)でも、終盤で第一人者の田澤を突き放し、自己2番目となる27分46秒82のシーズンベストで優勝を果たしている。さらに、日本選手権5000mを制したのちに、アジア選手権5000mで銀メダルを獲得、この種目でブダペスト世界世界選手権にも出場した。5000mと10000mの2種目で代表入りしたアジア大会は、先に行われた10000mで転倒に巻き込まれ5位(28分35秒02)にとどまり、その影響で5000mは欠場するトラブルに見舞われたものの、11月の東日本実業団駅伝4区(9.5km)に臨み、区間賞の走りでチームを首位に押し上げ、総合優勝の立役者となって懸念を払拭させた。2021年にマークした27分45秒18を上回ってくる可能性は十分で、田澤がもたつくようだとGGNを彷彿とさせるレースで、5000mとの2冠を達成するかもしれない。

躍進の著しさでは、27分31秒27の参加資格記録(自己記録でもある)で田澤に続いて日本人2番手につけている清水歓太(SUBARU)も目を引く。この記録は、2022年3月にアメリカでマークしたもので、当時、日本歴代7位(現在10位)に浮上したことで大きな注目を集めた。その後は、昨年の日本選手権、今年の日本選手権と、2年連続して5000mで3位に食い込み、10月には初めて開催された世界ロードランニング選手権(ラトビア・リガ)5kmの日本代表に初選出。本番では、18位ながら13分37秒の日本新記録を樹立している。今年は、10000mは3月に出した27分51秒23のみとなっているが、ベストの状態に仕上がれば、優勝争いの一角として存在感を示すことになるだろう。

WAワールドランキングで、現在、田澤に続いて34番目に位置する太田智樹(トヨタ自動車)も、2021年にマークした自己記録27分33秒13に迫るようだと、メダル獲得とターゲットナンバー圏内に近づくステップアップが見えてくる。今季は金栗杯で出した27分42秒49がシーズンベストだが、ハーフマラソンでは、2月の丸亀ハーフマラソンで日本歴代3位となる1時間00分08秒で日本人トップの4位。このレースでは15kmを42分18秒で通過し、同距離の日本記録を樹立している。10月の世界ロードランニング選手権には、この種目で日本代表としてのレースも初めて経験した(12位)。これらの実績を10000mにつなげていけるか。

日本選手権の戦績でみるなら、東京オリンピック代表の相澤と伊藤の動向も見逃せない。学生時代から同学年ライバルとして火花を散らし合ってきた2人は、2020年日本選手権10000mで歴史に残る激戦を繰り広げ、相澤が日本新記録で初制覇、2位の伊藤も当時歴代2位(27分25秒73=現歴代3位)をマークした。2021年には伊藤が初優勝(東京オリンピックに内定していた相澤は不出場)、そして再び直接対決となった前回の2022年は相澤が優勝と、ここ数年は交互にタイトルを獲得してきた。相澤は、右足後脛骨筋を痛めた影響で、昨年6月以降レースから遠ざかっていたが、今年9月の日体大長距離競技会5000m(13分39秒25)で戦線復帰。11月の九州実業団駅伝3区では区間賞に3秒差(区間2位)の走りを見せ、復調の足固めができつつある。今季、パリオリンピックを視野に土台から作り直す取り組みに着手した伊藤は、スピード強化を図るために1500mや5000mに取り組み、春には1500mでは3分42秒19、5000mでは日本歴代8位に浮上する13分17秒65をマークしている。8月以降にレース出場の履歴がない点が気にかかるが、スピードに磨きがかかった状態で持ち味の粘りを見せてほしい。
勢いに乗る田澤の先行を許さない展開に持ち込めるようだと、レースは一段と緊迫感を増すはずだが、両者ともに、現段階ではWAワールドランキングに必要なレース数を満たせていない状況であるため、まずは、着実に記録を残していくことも大切になってくる。

このほか、田村友佑(黒崎播磨)は、9月に5000mで13分29秒12、10000mでも11月に27分43秒11と自己記録を更新したほか、九州実業団駅伝でも好走しており、勢いを感じさせる。この種目で日本歴代6位の 27分28秒92(2020年日本選手権3位)で走っている兄・田村和希(住友電工)の持ち記録にどこまで迫れるか。東京オリンピック5000m代表の松枝博輝(富士通)や、2月の大阪マラソンで初マラソンながら2時間06分53秒をマークして杭州アジア大会代表に選出された池田耀平(Kao)が、種目選びも含めてパリオリンピックに向けて、どんな一歩を踏み出すかにも注目したい。


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【第106回日本選手権・10000mアーカイブ】



【大会概要】

■大会名:第107回日本陸上競技選手権大会・10000m
■開催日程:12月10日(日)
■開催会場:国立競技場
■開始時刻:16:03 女子10000m、16:43 男子10000m
■実施種目:男子10000m、女子10000m
詳細はこちら(大会要項

【日本選手権10000m 申込記録】

■申込記録
男子:28分16秒00 女子:32分30秒00(5000m:15分40秒00)
■申込記録有効期間
2022年1月1日から2023年11月19日まで
■ターゲットナンバー
男子:30名 女子:30名
詳細はこちら(大会要項

【パリ五輪 参加標準記録】

■参加標準記録
男子:27分00秒00 女子:30分40秒00
■参加標準記録有効期間
2022年12月31日から2024年6月30日まで

【パリ五輪 日本代表内定について】

パリ2024オリンピック日本代表選手選考ガイド(画像をクリック!)


パリ2024オリンピック競技大会 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項より抜粋

1)ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会で3位以内の成績を収めた日本人最上位の競技者で、参加資格有効期間内に、ワールドランキング対象競技会において参加標準記録を満たした競技者。
2)1)に該当者がいない種目において、ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会で8位以内の成績を収めた日本人最上位の競技者(廣中璃梨佳)で、2023年11月1日から2024年6月30日までに、ワールドランキング対象競技会において参加標準記録を満たした競技者。
3)第107回日本選手権・10000m優勝者で、第107回日本選手権・10000m終了時点までに参加標準記録を満たした競技者。

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