Day2:9月17日(日)
世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)の年間成績上位者で争うファイナルの最終日が9月17日、米オレゴン州ユージンで開催されました。前日に続いて快晴に恵まれたヘイワード・フィールドには、男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)、女子5000mの田中希実(ニューバランス)、男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)の3選手が登場。世界屈指の選手がそろうハイレベルな舞台で、奮闘を見せました男子走り幅跳びでは、辞退者が出て大会直前に急きょ出場が決まった橋岡が今季最高の跳躍を披露しました。追い風0・2mだった3回目にシーズンベストの8m10をマークして2位に浮上。4回目に3位に下がり、最終跳躍前には4位に落ちましたが、追い風1・2mを受けた6回目に8m15まで跳んで記録を5cm伸ばし、3位に食い込みました。
世界選手権以来の実戦で、シーズンオフを前に「正直に言うと、完全に抜けていました」という状態から急ピッチで仕上げてきた第一人者。後半の跳躍になるにつれて調子が上がってきましたが「跳躍全体のバランスが取り切れなかった。どこかはいいけど、どこかはあまり良くないという助走をしてしまった。もうちょっとまとまりが出れば、優勝も狙えたかなと思うので、やり切れない思いはとても強いです」と悔しそうに話していました。
助走を見直した今シーズンは「もうちょっとでつかめそうというところでけがを繰り返す状況」で苦しみました。冬は米国でトレーニングを積む予定で「どういう風に進めていくかプランを練り始めていて、プラン通りに、まずはけがをせずシーズンを迎えられるように準備できれば」とパリ五輪が控える2024年を見据えました。
女子5000mでは、8日に日本記録を更新した田中が万全の体調ではない中で力走しました。前日の昼から発熱し、当日朝も微熱がありましたが出場を決断。レースは世界記録を見据えて1周67~68秒という「経験したことのないペース」で進み、1000m付近まで先頭に食らい付きましたが「落ちてくるのを待った方がいいかなと思って、いったん(先頭集団から)離れました」と後方で我慢強く走りました。中盤で順位を上げ、最終的にはサードベストとなる14分42秒38で6位フィニッシュ。「コンディション的には今日のタイムでまとめられたのは良かったですし、順位もあのメンバーの中での順位と考えれば、ちゃんと入賞することができたので安心はしています」と充実の表情でした。
優勝したグダフ・ツェガイ(エチオピア)は14分0秒21の世界新記録をマーク。従来の記録を約5秒塗り替える驚異的な走りで、田中も「1周抜かされるんじゃないかなというぐらいの勢いが感じられ、本当に異次元。自分も少しでも近づいていきたいと思いました」と大いに刺激を受けた様子でした。
男子110mハードルでは世界選手権で5位入賞を果たした泉谷が、その実力を十分に発揮しました。「コンディション的には正直あまりいい状態ではなかった」と万全の体調ではない中、7レーンで好スタートを切ると、上位争いを展開。6台目の障害を倒すなど、後半にやや落ちましたが、世界選手権のメダリスト3人に次ぎ、13秒10の4位でゴールしました。
日本記録まで0秒06に迫る快走で、2位とは0秒04、3位とは0秒03とわずかの差でした。「技術がかみ合わず、という感じでぼちぼちのレースだったかなと思います。(コンディションは)力が入らなかったというのが一番で、やっぱり世界選手権の疲労もあったし、どうしても気持ち的にも落ちちゃうところもあったので、その中ではよく頑張ったかなと思いますね」と笑顔でレースを振り返りました。
今シーズンは6月末のダイヤモンドリーグで初出場優勝を飾るなど大きく飛躍。今月16日に順大の後輩の村竹ラシッドが自身の日本記録に並んだことも刺激になったそうです。「アベレージが安定してきたので、世界で戦う分には結構いいレースができているんじゃないかなと思いますね。やっぱり上3人が強いので、その中に自分がどうしても食い込まないといけないので、上3人を意識しながら頑張っていこうと思います」と今後へ意欲をみなぎらせていました。
この日は男子棒高跳びでも世界新記録が生まれました。アルマント・デュプランティス(スウェーデン)が6m23を一発で成功させ、自身の記録を1cm更新。会場はこの日一番の盛り上がりを見せました。女子200mでは、シェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)が21秒57で優勝し、100mとの2冠に輝きました。
<DAY2:競技後コメント>
橋岡優輝(富士通) ※ダイヤモンドアスリート修了生
男子走幅跳 3位 8m15
とっても悔しいです。前半はウォームアップがてらのジャンプになってしまいました。ちょっと気温が低かったこともあって、準備不足になってしまった部分もあったのかなと感じました。後半の跳躍になるにつれて調子は上がっていったんですけど、いまいち跳躍全体のバランスが取り切れなかった。どこかはいいけど、どこかはあまり良くないという助走をしてしまいました。もうちょっとまとまりが出れば、優勝も狙えたかなと思うので、やり切れない思いはとても強いです。
(出場が急きょ決まり)急ピッチで体を仕上げるという状況でした。名誉ある大会なのでしっかり出場し、来シーズンに向けていい締めくくりができればなと思っていたので。もうちょっといい記録がほしかったですね。今シーズンに関しては、もうちょっとでつかめそうというところでけがを繰り返す状況で、今回の記録もシーズンベストではあるんですが、自分的には全然満足いっていないですし、シーズンが順調に過ごせていれば、もっともっと記録も出せていたんだろうなと感じています。でも最後シーズンの締めくくりとして、とりあえず3番になれたのはまだ良かったのかなと思います。
これがシーズン最終戦。(冬は再び米国で練習する予定で)この前もコーチとミーティングしました。どういう風に進めていくかプランを練り始めていて、プラン通りに、まずはけがをせずシーズンを迎えられるように準備できればなという段階です。次の冬季練習がかなり重要になってくるのかなと思うので、プランをうまく練っていきたいなと思っています。
◎田中希実(ニューバランス)
女子5000m 6位 14分42秒38
経験したことのないペースで、1000㍍まではついたんですが、落ちてくるのを待った方がいいかなと思っていったん離れました。でもその差が埋まりませんでした。それでもずるずるはいかずに、しっかりと後ろの集団で勝負はできたので良かったと思います。
昨日は昼から熱があって練習をやめ、今日の朝も微熱がありました。とにかくスタートラインに立てるかどうかという状態で、レースプランどころじゃなかった部分はあったんですが、出ることを決めた以上は自分に負けるようなレースはせずに、自分にできることはやろうと思いました。世界陸上から考えたらタイムは落としてしまったんですけど、コンディション的には今日のタイムでまとめられたのは良かったですし、順位もあのメンバーの中での順位と考えれば、ちゃんと入賞することができたので安心はしています。
今日はまずスタートラインに立つ部分でも自分に負けなかったと思えましたし、走りながらも何とかまとめられました。世界陸上の予選もかなりきつかったんですが、予選以上にゴール後は本当にきつかったので、今季の中では一番出し切れたレースかなと思っていますし、タイム以上に中身の面で去年の自分を超えられたかなと思います。
◎泉谷駿介(住友電工)
男子110mハードル 4位 13秒10
調子は悪かったです。技術がかみ合わず、という感じでぼちぼちのレースだったかなと思います。コンディション的には正直あまりいい状態ではなかったんですけど、前日練習してちょっとずつ良くなっていって、今回間に合ったという感じですね。力が入らなかったというのが一番で、やっぱり世界選手権の疲労もあったし、どうしても気持ち的にも落ちちゃうところもあったので、その中ではよく頑張ったかなと思いますね。
今年はちょっとアベレージが安定してきたので、世界で戦う分には結構いいレースができているんじゃないかなと思いますね。やっぱり上3人が強いので、その中に自分がどうしても食い込まないといけないので、上3人を意識しながら頑張っていこうと思います。
日本の大会と海外の大会で同じ種目なんですけど、景色は別の種目のような感じがします。(今後は)その中でしっかりレースプランをしっかり立て、海外でもレースプランを実行できるようにやっていきたいと思っています。来年は12秒台もそうですが、タイムというよりは順位で、その中で記録がついてくればいいかなと思います。
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