2023.08.20(日)選手

【ブダペスト世界陸上】1日目イブニングセッションコメント:女子10000m・廣中が7位入賞!男子100m・サニブラウン、栁田が準決勝進出!



Day1:8月19日(土)イブニングセッション

悪天候の影響で、いきなり競技時間が大幅に遅延する波乱含みの幕開けとなったブダペスト世界選手権2023ですが、1日目となる8月19日のイブニングセッションは予定通りに行われ、日本勢は男子100m予選、男子三段跳予選、女子10000m決勝の3種目に出場。モーニングセッションの結果で、やや停滞ムードが漂っていたチームジャパンに勢いをつける結果を残しました。

前回同様、7組上位3着+3の進出条件で行われた男子100m予選には、坂井隆一郎(大阪ガス)、サニブラウンアブデルハキーム(東レ、ダイヤモンドアスリート修了生)、栁田大輝(東洋大学、ダイヤモンドアスリート)の3選手が出場しました。今年、日本選手権で初優勝を果たした坂井選手は4組に登場。強みとするスタートで序盤からリードを奪ったものの終盤で順位を落とし、5着・10秒22(-0.4)でのフィニッシュとなりました。今季は、なかなか結果の伴わないレースが続いていたサニブラウン選手は、6組目に出場。東京オリンピックを制したLamont Marcell JACOBS選手(イタリア)もいるなかスタート直後で先頭に立つと、終盤では後続を突き放す強さを見せ、シーズンベストとなる10秒07(-0.4)でフィニッシュ。全体9番目の記録で、2日目のイブニングセッションで行われる準決勝に進出。また、7月にアジア選手権を制したばかりの栁田選手は、最終7組にエントリーして、世界選手権個人種目初出場とは思えない力強い走りを披露。10秒20の同タイム着差なしで、Emanuel ARCHIBALD選手(ガイアナ)と3着を分け合う形となりましたが、準決勝へと駒を進めました。男子100mの準決勝・決勝は、大会2日目のイブニングセッションで行われます。

A・B2組が同時に行われた男子三段跳予選には、今回が初出場となる池畠旭佳瑠選手(駿大AC)がA組に出場しました。池畠選手は、2回目の跳躍で16m40(-0.1)へと記録を伸ばすと、予選通過が狙えるラインで最終跳躍を迎えましたが、その最後の跳躍でステップとジャンプが崩れて15m99(-0.3)にとどまり、記録を上げることができず、A組9位、全体では19位で競技を終える結果となりました。

日本勢の女子で最初の決勝種目となったのは、女子10000m。廣中璃梨佳(JP日本郵政G)と五島莉乃(資生堂)の2選手が出場しました。これまで、序盤から前に出てレースを引っ張ることが多かった廣中選手ですが、今回は先頭集団の後方に位置して上位の動きを確認するレースを披露。残り1周を切った段階では11番手に位置していましたが、一人一人と前をかわし、シーズンベストの31分35秒12でフィニッシュし、世界選手権では自身初、世界大会では東京オリンピック(10000m7位)に続いての7位入賞を果たしました。
大会直前に追加招集で出場を決めた五島選手は、2000m過ぎで遅れる苦しい展開に。33分20秒38・20位でレースを終えています。

イブニングセッションに出場した各選手のコメントは、下記の通りです。


<8月19日:イブニングセッション競技後コメント>

◎坂井隆一郎(大阪ガス)

男子100m 予選4組5着 10秒22(-0.4)



予想していたようなレースができなかったので悔しさが残る。今回の目標は、「今年一の走りをしたい」ということで、スタートから後半までしっかり走りきるのがレースプランだった。スタートは今シーズンのなかでは決まったほうなのではないかと思うのだが、そこから中盤までは良かったのだが、後半になるにつれて、ほかの選手の圧というか、自分のなかで不安を感じてきて、フォームが崩れだして、後半はしっかり走ることができなかった。中間までは「行けるんじゃないか」と思っていたので、その気持ちが「早くゴールしたい」「逃げきりたい」という思いにつながって空回りした、そんな感じ。自分の実力不足だと思う。
タイムについても予選を突破するためには、10秒1台も前半が必要かなと思っていたので、0.1(秒)くらいは足りなかったと思う。
4×100mリレーは、走らせてもらえるかわからないし、走順もどうなるかわからないが、まだ期間があるので、そこでしっかりもう一段階、自分の状態を上げられるようにして備えたい。


◎サニブラウン アブデル ハキーム(東レ) ※ダイヤモンドアスリート修了生

男子100m 予選6組1着 10秒07(-0.4)=シーズンベスト、準決勝進出



気持ちよく走れた1本だった。(スタートの)反応もそうだが、スムーズに出ることができ、いい形にレースを組み立てることができた。スタートの部分については、スイス(ローザンヌダイヤモンドリーグ)で走ったあと(アメリカに)帰ってからは平均的に良くなってきていたが、10~20mのところでどうしても(力を)緩めてしまうところが課題になっていた。今回は、そこをしっかり修正して走れたので、40mからいい形ですーっと出てこられたのかなと思う。
これ(予選のレース)を生かして、準決勝からギアを上げていかなければならない。今日はいい形で刺激が入ったので、明日も気を抜かず、もっとこのまま仕上げていければと思っている。
今年は、日本選手権あたりから10秒0台くらいでは走れるコンディションではあったのだが、なかなか噛み合わず10秒0台や9秒台を出すことができずにいた。身体の調子的には悪くなかったので、あとはコンディションとともにしっかり磨いていったところで、この大会に臨んでいる状態。
準決勝では、もうちょっとしっかりと集中していくことが必要だが、40~60(m)がキーになってくると思うので、そこで気を抜かず、身体が立ち上がったところで、もう1回ギアを上げていければ、しっかりと前でフィニッシュできると思っている。


◎栁田大輝(東洋大学) ※ダイヤモンドアスリート

男子100m 予選7組3着 10秒20(-0.1) =準決勝進出



(自己ベスト)タイムを見ても、Akani SIMBINE選手とChristian COLEMAN選手の2人が前に出るということはわかっていたので、ある意味、余裕を持って走ることができたのだが、(同タイム着差なしの3着で一緒にフィニッシュした)右側(のレーンの選手)を全然気にしていなかったので、ちょっと危なかった。ただ、走り自体は、最後までいっぱいいっぱいだった感じはないので、もうちょっとタイムも上げられると思っている。
(スタートから前半はうまくリズムに乗れたように思う、との感想に)今年は走りが良くなってきてから、ずっとスタートもいいので、自分のなかでは、いつも通りの調子かなという感じを持っている。個人種目での初レースということは、直前まで全然実感がなかったのだが、実際に会場に入ってみたら、人も多いし、すごく盛り上がっていたこともあり、実際に走ってみてようやく実感が湧いてきた気がしている。緊張はしたけれど、「早く走りたい」という気持ちのほうが大きく、本当に楽しかった。
予選は2選手だけが前にいた感じだったが、準決勝になると全員が一気に前に出てくるはずで、まずは、自分がそこで先行するくらいでないとファイナルには進めない。準決勝では、予選よりもしっかりと飛び出して、あとは後半逃げきるだけというプランで行きたい。


◎池畠旭佳瑠(駿大AC)

男子三段跳 予選A組9位 16m40(-0.1)



悔しいというのが今の一番の感想。でも、試合自体は、最後の1本を除いて、楽しくできた本数が多かった。試合プランで考えると、2本目までは修正ができ、そこで決勝(進出)ラインが見えて「よし行ける」となったところでの3本目(の失敗)だったので、すごく悔しくは思うのだが…。
3回目の跳躍は、助走とか場の雰囲気、自分の感覚も含めて、「ああ、行けるな」と思って、思いきり攻めたら、ステップの段階で「スコッ」と抜けてしまい、でも、まだどうにか行けるんじゃないかと思って行ったら、もう一回ミスって…という跳躍になってしまった。
2本目の段階で、(決勝に進出できる)12番が少し見えたあたりの位置にいたが、自分は記録を意識すると良くないことがわかっているので、意識していないつもりで臨んでいたが、どこかに意識があったのかもしれない。1本目のあと修正できた2本目は、自分でも評価しているのだが、でも、やっぱり決勝に進みたかったという思いがある。
初めての世界大会ということに対しては何も思っていなかった。逆にアジア選手権もそうだったが、海外のほうが、言葉がわからないので(笑)、自分に集中できるし、観客もいっぱいいるので「ああ、楽しいなあ」と思うだけ。別に気負うこともなく、フレッシュな気持ちで跳べたと思っている。


◎廣中璃梨佳(JP日本郵政G)

女子10000m 決勝7位 31分35秒12



今年は4月からなかなか調子が上がらず、本当にすごくもやもやする毎日だった。しかし、その期間があったからこそ、こうやって今の自分があるのだということを実感している。何よりも、2回目の世界陸上に挑戦できたこと、そして、笑顔でスタートラインに立てたことは自分にとって大きな一歩となった。10000mに向けては、7月中旬から3週間の日程で行ったサンモリッツ(スイス)の事前合宿で、少しずつ調子を上げることができていた。これが次は5000mにつながるよう頑張っていきたい。
いつもは最初から行くというのが自分のスタイルなのだが、今回はラストで勝負したいということを決めていた。そこまで耐えて、ラストスパートをどうしっかりかけられるかということを挑戦できたかなと思う。
また、今回、タイムというよりは順位をしっかり狙って走りたいという気持ちで、監督と一緒に取り組んできた。今まではスタミナベースの意識もあったが、そこから5000mでも通用するようなスピード力を磨いてきた。
レースでは終盤の最後尾で食らいつく形となったが、辛いという気持ちがなく走れたことが収穫。ラスト1周で鐘が鳴ってから、どこまで(順位を)上げられるかという思いで、怖さがあったのだが、ラスト200mまで粘ってつくことができれば、そこから入賞ラインも見えてくるんじゃないかという思いで、「前へ、前へ」と一つでも順位を上げたいという気持ちだった。パリ(オリンピック)、東京の世界陸上と今後に向けては、自分から(前に)出るというよりも、(人に)ついてラストで勝負するとう展開も、引き出しとして増やしていきたかったので、今回はその引き出しを一つ増やすことができたと思う。


◎五島莉乃(資生堂)

女子10000m 決勝20位 33分20秒38



すごく苦しいレースになってしまった。私は、走るからには、しっかり先頭集団について勝負をするレースを見せなければいけないなと思っているのだが、今回は、ここ(ブダペスト)に来るまでに一度体調を崩して、調子がなかなか上がっていないなかで、今日を迎えることになった。それでも、この大会の代表に私を選んでいただいたので、今できる精いっぱいのことをして、(試合を)やりきりたいとという思いで出場を決めたのだが、やはり、そもそもの実力が足りないなということを感じた。
今シーズン、思うように走れていないなかで、この大会に出させていただいたので、自分をまた奮い立たせて、今後、もっと変われるように努力しないと…と強く思った。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト

>>ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会 特設サイト
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