新年、明けましておめでとうございます。
世紀の祭典である東京オリンピック・パラリンピック競技大会を終えて1年以上が過ぎました。スポーツ界が次のステージに移行しつつある今、私たちはスポーツの持つ魅力や価値、そして社会において果たすべき役割を今一度問わなければなりません。本連盟では、JAAF VISION 2017において、“トップアスリートが活躍をし、国民に夢と希望を届ける”こと、“すべての人がすべてのライフステージにおいて陸上競技を楽しめる環境をつくる”ことをミッションに掲げていますが、それを具現化するために、昨年には「JAAF REFORM」というアクションプランを作成しました。それは、「ウエルネス陸上の実現」「国際競技力向上」を二本柱として、それらを支える“組織強化”、“競技会運営”、“環境整備”、“マーケティング”の基礎コンテンツを充実させ、それらを動かすアスリートや指導者、基盤コンテンツを支える人材を育てていくというものです。そして、これらの人材が陸上界のみならず、社会においても輝くことを目指します。
ここで2022年を振り返りますと、まずはコロナに翻弄されながらも新しい歴史を作る活躍が見られたアメリカ・オレゴンでの世界陸上競技選手権大会が思い出されます。山西利和(愛知製鋼)の20km競歩2連覇、女子フィールド初めてのメダル獲得の北口榛花(JAL)、100m決勝進出のサニブラウン アブデルハキーム(Tumbleweed TC)、そして世界の舞台での復活を遂げた4×400mリレーなど感動的な競技が見られ、国際競技力が確実に育っていることが実感できました。
一方、アスレティックファミリーのつながりを拡げ、そして深めるための新たな取り組みも始めました。誰でも参加できる「みんなでつなごうリレーフェスティバル2022」を国立競技場で開催し、老若男女630チームが17のリレー種目でバトンをつなぎフィニッシュラインを目指しました。また、「陸上」を通じて社会との関わりや、社会貢献を考え取り組んでいただく企画である「#LETSTHINK」をスタートし、優れた取り組み2件を12月のアワードで表彰しました。今後も競技の観点だけではなく、身近で幅広い「陸上」を楽しんでいただく取り組みを展開してまいります。
そして、2025年世界陸上競技選手権大会の東京開催が東京都、文部科学省及びスポーツ庁を始め多くの方々のご理解ご支援を得て決定し、陸上の総合力が試されることになりました。この成功のためには、JAAF REFORMで示したダイヤモンドコンテンツをより強固で輝くものにすることが大切です。多くの観衆で埋め尽くされた国立競技場で、世界のアスリートが輝き、そして多くのアスレティックファミリーが嬉々として大会を支えていくことができれば、陸上の大きな発展に繋がることでしょう。
そのためには、まず都民そして国民の皆様のご理解ご支援を得て大会を開催することを目指さなければなりません。ガバナンス、コンプライアンスを尊重し、大会の運営組織を設立する段階から多くの目や声を大切にしながら着実なプロセスを踏んでいきます。
一方で、オリパラ組織委員会のスポーツ界を揺るがした問題は解決を見ていない上に、未だ続くパンデミックの影響もあり、本連盟の経営基盤は元には戻ったとは言えません。引き続き、事業の見直しや収益構造の見直しを進めて、経営基盤の再構築を諮ってまいります。
温かい声援を送っていただいています陸上ファンの皆様、協賛をいただいています企業の皆様、そして陸上界を支えていただいています加盟団体及び協力団体には心から御礼申し上げますとともに、一層のご支援をお願いいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
公益財団法人日本陸上競技連盟
会長 尾縣 貢
会長 尾縣 貢