◆はじめに
「開催都市の観光促進、地域振興に繋がり、住民に喜ばれるイベントとして中長距離シリーズを開催し、国際競技会で活躍できる中長距離選手の育成・強化を図る」ことをコンセプトとして2003年に第1回が開催されたホクレン・ディスタンスチャレンジも20周年を迎えることができました。本年も新型コロナウィルス感染症拡大の状況が好転したとは言えない中、日本陸上競技連盟が制定する「陸上競技活動再開についてのガイダンス」に準拠した運営を徹底し、関係各位のご協力のもと、レギュラーシリーズの5大会に20周年記念大会を加えた全6大会を地域の皆さまに向けた有観客で開催することができました。
一昨年来の未知のウィルスとの戦いにより、数多くのスポーツ大会が中止の選択を迫られる中で、1回も途絶えることなく20回という節目を迎えられたことは、協賛のホクレンをはじめ、北海道陸協、地域陸協、開催地自治体および住民の皆さまのご理解とご尽力のおかげであり、感謝の気持ちでいっぱいです。
その感謝の気持ちを伝える場として、6/22(水)に深川で20周年記念大会を開催いたしました。本大会は「オレゴン2022世界選手権チャレンジレース」と銘打って、6/26に期限となる参加標準記録突破や、ワールドランキングによるターゲットナンバー入りを目指したラストチャレンジの場ともなりました。
残念ながら新たな参加標準記録突破者は生まれませんでしたが、女子1000mでの田中希実選手(豊田自動織機)の日本新記録樹立をはじめ、出場76選手のハイレベルな「チャレンジ」をみることができ、ホクレン・ディスタンスチャレンジの名にふさわしい記念大会になったのではないかと思います。
(大会ハイライト➤https://www.jaaf.or.jp/news/article/16602/)
以下より、20年という歴史を積み上げた本年度のホクレン・ディスタンスチャレンジシリーズを「する」、「みる」、「ささえる」人の観点から、それらを象徴するキーワードとともに振り返ってみたいと思います。
◆【PB祭り】~「する」人の観点から~
記念大会を含め本シリーズで日本新記録1、日本学生新記録1が達成されました。その数は昨年に比べ減少しましたが、男子3000mの7分台10名、女子3000mの8分台15名をはじめ、男子5000mの13分台227名、女子5000mの15分台68名など達成記録の質は男女とも上昇傾向でありました。このような達成記録の質の向上がみられる中で、本年度の記念大会を除くレギュラーシリーズ5戦における自己最高記録(PB)及びシーズンベスト記録(SB)更新率は、大会毎で千歳(39.62%)、北見(36.80%)、網走(32.11%)、士別(30.18%)と残念ながら天候が合わなかった深川(14.45%)以外は30%以上をマークし、シリーズ全体でも31.10%と2020年に次ぐ30%越えとなりました。その結果、シリーズを通して400人強の選手が自己最高記録もしくはシーズンベスト記録を更新するという状況となり、LIVE配信のチャット上では「PB祭り」という言葉が飛び交うこととなりました。
本シリーズの大きな目的の一つに「記録への挑戦の場の提供」があります。今回の記念大会のように世界大会の標準記録突破を目指す選手、日本選手権や大学選手権などの標準記録突破を目指す選手もいますが、それらの全てのベースとなるのが、過去の自分を超えること=自己記録またはシーズンベスト記録の更新であると言えます。そのことから考えると「PB祭り」というキーワードは、本シリーズにとってこれ以上の誉め言葉は無いと言えるのではないでしょうか。
本年は確定エントリー数で1,536人と、ターゲットナンバー制をとりながら過去2番目となるエントリー数となりました。このことは、選手の記録への挑戦というニーズに応えられ、記録を出せる大会として認知されているという評価と考えても良いと思います。
昨年課題としてあげられた、大会毎のエントリー数もシリーズ前後半としては若干の偏りはみられたものの、男女比とあわせ上手くコントロールできていたと評価できます。その要因としては、1次エントリーからの繰り上げを無くし、全種目で2次エントリーを実施して欠場者対応できたことがあげられます。
一方で、減少傾向ではありますが当日の無連絡欠場者が存在しています。エントリーシステムの更なる整備とあわせ、欠場連絡の有無がエントリー確定および組編成に影響することの周知も重要であると考えます。
このような「PB祭り」と称されるほどの記録更新率が担保でき、1,500人を超えるエントリー数に繋がった背景には、良好な気象コンディションは当然として、選手の力が拮抗するような資格記録での組編成に加えて、日本の実業団に所属する外国人選手を中心とした献身的なペースメーカーとしての協力が大きいと考えられます。
ペースメーカーの確保や記録反映の限界など課題は山積ですが、今後もよりハイレベルな記録を狙いに皆が集まり、「PB祭り」というキーワードが定着するような環境つくりを進め、「記録を出せる大会」というシリーズのイメージ(ブランド)をさらに高め、「する」人にとっての価値を高めて行きたいと考えます。
(文:ホクレンDC実行委員会 木路修平/写真:フォート・キシモト)
>>大会報告その②に続きます。
ホクレン・ディスタンスチャレンジ2022 大会情報
■大会特設サイトhttps://www.jaaf.or.jp/distance/
■ライブ配信アーカイブ(陸連公式YouTube)
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwVo55w29fJrKKyJeeczJs6HuYRmVVYbO
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