大会も残り2日となったオレゴン世界選手権2022。第9日の7月23日は、男子十種競技がスタートしたこともあり、午前と午後ともにヘイワードフィールドでセッションが実施されるタイムテーブル。日本勢は、女子100mハードルの予選と女子走幅跳の予選に3名の選手が出場しました。
2名が出場した女子100mハードル予選では、まず予選5組に、今季好調で6月には12秒台ハードラーの仲間入りをしている福部真子選手(日本建設工業)が登場。第1ハードルから素晴らしい入りを見せ、12秒96(+0.5)をマークして予選を突破。また、6組目では、昨日の4×100mリレー予選で第1走を務めて、日本新記録樹立に貢献した青木益未選手(七十七銀行)が13秒12(-0.4)をマーク。5着ながら、福部選手とともにプラスでの準決勝進出を決めました。この種目で、複数選手がラウンドを突破するのは初めてです。
女子走幅跳予選には秦澄美鈴選手(シバタ工業)が出場しました。1回目ファウルの滑りだしとなりましたが、2回目に6m39(+0.4)をマーク。3回目は6m38(+1.6)と記録を伸ばすことができず、決勝進出は叶いませんでした。
競技後の各選手のコメントは、以下の通りです。
◎福部真子(日本建設工業)
女子100mハードル 予選 5組4着 12秒96(+0.5) =準決勝進出
緊張は全くせずに、いつも通り、楽しく行けた。(レース)序盤から浮きがあったので、中盤にかけて浮きを抑えていく形で加速には乗っていけたのだが、加速に乗った段階でバランスを崩し、抜き足を(ハードルに)当ててしまった。そこがなければ12秒8(台)に入れていたかなという感覚の走りだった。準決勝があるので、そこを悔しさとして、もう1回挑みたい。
この大会の目標は、準決勝進出に置いていて、そのためには12秒9から8が必須だなと思っていた。ひとまず12秒台で走れたので、次(の準決勝で)、もう一段階上げられたらいいなと思う。
この大会の(ウォーミング)アップとかを見ていても、ハードリングが速い選手というのは12秒台4とか3とか。もうハードリングのキレが違うのだが、12秒6~8台の選手はハードリング自体がうまいというよりは、もうスプリントがめちゃくちゃ速いな、と感じた。今の自分の足りない部分はスプリントだと感じているので、私もそれなりにスプリントが上がってくれば、12秒6くらいまでは、何年かかるかわからないけれど難しい話ではないのかなと感じた。
準決勝については、決勝進出ラインが12秒6くらいだと思うので、もちろん目指したい思いはあるけれど、まずは自分がパリ(オリンピック)に向けての試合と(この大会を)位置づけているので、(12秒6台)を目指すなかで12秒8台を…、7台に行ければ万々歳だなと思っている。
◎青木益未(七十七銀行)
女子100mハードル 予選 6組5着 13秒12(-0.4) =準決勝進出
2台目で隣の選手と当たってしまって、それでバランスを崩したが、そこから冷静にしっかり走ることができたのがよかったなと思う。たぶん、今までだったら、「ああーーっ」と(焦ってしまう状態に)なっていたと思うが、コンディションも良かったので、しっかり最後まで諦めずに前を追うことができた。
(昨日の4×100mリレー予選後は)若干の疲れもあったが、走力的にもいい刺激になったので、リレーを走ったことで今日も動けていたのかなと思う。
準決勝は、本当にもうぎりぎりでの通過。一番レベルが高くなるのが準決勝で、(自分は)決勝を目標にできるほどのレベルではないので、どこまで自分が競れるかというのを、しっかりと感じられるようなレースをしたい。今日と一緒で、スタートから思いきり行って、次に可能性が見いだせるような準決勝にしたい。
大会前は、NTC(ナショナルトレーニングセンター)で、モンドハードル(※今大会で採用しているモンド社製のハードル。当たったときの衝撃が大きい特徴がある)を使って、そのなかでしっかりと突っ込んで刻んでいける練習もしていたし、調子もよく来られていた。あとは、本番どれだけ自分の力が出せるか。予選みたいな接触がないように走ることができればなと思う。
▼福部真子選手・青木益未選手からのメッセージ▼
◎秦 澄美鈴(シバタ工業)
女子走幅跳 予選 B組11位 6m39(+0.4)
調子はよかったので、最初の入りとしてはよかったと思っていて、最初(1回目)のファウルも想定内だったのだが、2本目から「あと2本しかない」というところと、その2本でできるだけ高い記録を出さなければいけないというところにすごく意識を持っていかれてしまった。いつもだったらしないような踏み切りのミスを、3本目にやってしまったので、そこがすごく悔しくて仕方がない。
ミスというのは、踏み切りで完全に潰れてしまうというもの。2回目の跳躍が、1回目のファウルを受けて助走距離を下げて行ったために、ちょっと延びた(間延びしたような)ような印象で、そんなにいい踏み切りではなかった。ただ、それは許容範囲内で、「この踏み切りでもちゃんと走れていれば、記録は残せるんじゃないか」というような跳躍を終えての3回目だったので、ちょっと気持ちが入り過ぎたのかなとも思う。
(予選を通過するためには)6m60は絶対に必要だなと思っていて、調子さえ合えば、絶対に行ける記録だと思っていた。今日の(ウォーミング)アップの感じは調子もよくて、「これだったら6m60くらいは絶対に行けるな」と考えていた。ただ、記録は調子的なものだけではなくて、いろいろな外的要因によっても変わってくるので、今回はそこにやられてしまった、と思う。
(世界選手権は)ずっと立ちたかった世界の舞台なので、すごく嬉しくて、この舞台でしっかり結果を残して、今年のシーズン後半や来年以降につなげたいと思っていたが、こういうところでは、しっかりもっともっとちゃんと準備をしてきた人が勝つんだなというふうに感じた。
国内では、基本的には6本の跳躍のなかで、1本記録を狙うようなやり方をずっとしてきた。しかし、日本選手権で、それではだめだなと気づき、以降は、3本(の跳躍)でどう結果を出すかということを考えながら練習はしてきたのだが、まだしっかりと自分のなかでちゃんと理解してできていなかったのだと思う。「3本しかない」というプレッシャーは、今までに感じたことのなかった部分なので、準備不足だったなと思った。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:アフロスポーツ
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