2022.07.24(日)選手

【オレゴン世界選手権】8日目イブニングセッションコメント:女子4×100mリレー決勝進出は逃すも日本記録を更新!



大会もいよいよ終盤にさしかかったオレゴン世界選手権2022。大会8日目となる7月22日のイブニングセッションは、4種目の決勝と、1種目の準決勝、そして2種目の予選が組まれるタイムテーブル。日本チームからは、男女4×100mリレー予選、男子棒高跳予選に出場したほか、女子やり投に2選手が出場しました。

最もビッグなニュースとなったのは、すでにコメントをご報告した女子やり投決勝に挑んだ北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)の快挙でしょう。1回目の試技で62m07をマークして3位で滑りだした北口選手は、5位で迎えた最後の投てきで63m27まで記録を伸ばして2位へ浮上。最終的に3位で競技を終え、今大会女子で最初のメダルとなる銅メダルを獲得したのです。この種目のみならず、オリンピックを含むシニアの世界大会における女子フィールド種目でのメダル獲得は、日本の陸上史上初となる快挙でした。女子やり投では、武本紗栄選手(佐賀スポ協)も決勝に進出しており、57m93をマークして11位という結果を残しました。

予選が行われた男女4×100mリレーでは、ともに翌日行われる決勝には駒を進めることが叶わなかったなか、明暗を分ける形となりました。青木益未選手(七十七銀行)、君嶋愛梨沙選手(土木管理総合)、兒玉芽生選手(ミズノ)、御家瀬緑選手(住友電工)のオーダーで臨んだ女子は、予選1組を7着でフィニッシュしましたが、43秒33の日本新記録を樹立。一方、1走から坂井隆一郎選手(大阪ガス)、鈴木涼太選手(スズキ)、上山紘輝選手(住友電工)、栁田大輝選手(東洋大学、ダイヤモンドアスリート)の走順でつないだ男子は、1組を4着となったものの、オーバーゾーンにより失格という結果でした。

フィールド種目では、最終日に行われる決勝への進出を懸けて、風が回り、強い西日が降り注ぐなか、男子棒高跳の予選が行われ、B組に山本聖途選手(トヨタ自動車)が出場しました。今回が5回目の世界選手権出場となる山本選手は、5m30、5m50を大きく浮かせて1回でクリアすると、5m65も2回目に成功。続く5m75は非常に惜しい跳躍を見せたものの攻略することができず、5m65で競技を終了しました。今回の棒高跳予選では、予選通過記録の5m75を成功させた選手が12名に達するという史上最高レベルの結果になったため、6位入賞を果たした2013年モスクワ大会以来となる2度目の決勝進出にはわずかに届きませんでした。

競技後の各選手のコメントは、以下の通りです。


◎女子4×100mリレー 予選 1組7着 43秒33 =日本新記録

1走:青木益未(七十七銀行)



南部記念の前から5人(リレーメンバー4選手と今大会は控えに回った青山華依選手)でやってきて、日本記録は最低限出すことと、42秒台を目標にしていた。自分が1走でいい流れをつくらないといけないと思って臨んだ。動画はまだ見ていないが、君嶋に(バトンを)渡した時点で、イギリスがほぼほぼ前に来ていた。日本選手権では100mで4番に入ったとはいえ、他国は個人(の100m)で世界選手権に出られるような選手ばかりでリレーを組んでいるなかで、自分の走力ではどうにもならなかったなということは正直感じた。
世界選手権のリレーを経験して、(このあと出場する100mハードルを含めて)走力が大事。ほかのハードル選手でも100mを11秒2~3で走り、リレーを走っている選手もいる。自分もそのくらいで走れるようになれば、女子のリレーも層が厚くなり、42秒台も見えてくると思う。次の機会でもまたリレーを走れるくらいの走力をつけたいと思った。

2走:君嶋愛梨沙(土木管理総合)



今年は、日本選手権をはじめとして全体的によく走れている。リレーも、南部記念も、今回も、同じくらいのアベレージで走れているのかなと思う。(10秒29のラップ<注:主催者発表のデータでは10秒31>が出ていたことへの感想を問われて) 100mに換算すると日本記録(11秒21)に近い記録になると思う。自分は10秒台を目指しているということで、この大会は「世界一の加速走になるな」と考え、10秒台が出るような走りが実現できたらいいなと思っていたので、そのラップを聞いて、徐々に自分の目標に近づいているのかなと思った。個人種目で1人でも2人でも世界選手権に出られるようになれば、42秒台はすぐに見えてくると思う。私が最初に個人で出られるように、来年に向けて頑張りたい。

3走:兒玉芽生(ミズノ)



レースの動画をまだ見ることができていないので、なんとも言えないのだが、やはりもっと圧倒的なスピードをつけないと戦えないなということをすごく感じたレースだった。(自分自身が)冷静ではなかったし、でも、内側(のレーン)から「ギュン」と来られたことはわかって、最後、御家瀬さんに(バトンを)渡すときの差を、なるべくない状態で渡すべきだったので、そういった面でも「ああ、足りなかったな。自分の走力がもっと行けていたら」という悔しさのほうが今は強い。走りの感触としては、最初は加速に乗れた感じはあったのだが、トップスピードが100(m)みたいに「ガンッ」と出ているかと言われると、あくまで主観ではあるけれど、足りていないんじゃないかという感じがある。男子の桐生(祥秀)さんなんかの走りを見てもわかるように、リレーでは3走が鍵となる。「もっとやれていたら」という気持ちがある。
バトンパスのタイムは、今年、すごく安定してきた。女子短距離は走力がないぶん、バトン(パス技術)で埋めないといけないと全員一致で取り組んできたので、そこは良くなってきているのではないかと思っている。
私たちもだし、信岡(沙希重)先生も、今回は42秒9を本当に狙っていたので、日本記録を少ししか更新できなかったことは、悔しさのほうが大きい。しかし、こうやってチーム一丸となって全力でやってきたからこそ、こういう結果や悔しい気持ちが生まれたといえる。そういった面では女子短距離界としては、大きな1歩は踏み出せたのではないかと思う。

4走:御家瀬 緑(住友電工)



一瞬だったなという感じ。世界大会の雰囲気を楽しめて走ることはできたが、「自分の走力がまだ足りないな」と、走った瞬間、終わった瞬間に感じた。そういう意味では、とてもいい経験となった。ポーランドの選手が、最後にぐっときた(抜かれてしまった)ことは、恥ずべきところだったなと感じた。自分の走りは、良かったとは思う。しかし、後半もっと減速しないで走れたらよかったと思う。バトンパスは、動画を見ないとわからないが、比較的よかったのではないかと思う。バトンの出とかは、練習通りにぴったり出ることができた。
今回が第一歩として、来年が(パリオリンピックに向けては)大事な年になってくる。来年に向けて「冬季、頑張ろう」という糧にしたい。



◎男子4×100mリレー 予選 1組 失格

1走:坂井隆一郎(大阪ガス)



僕自身の走りとしては、スタートもしっかり決めることができ、バトン(パス)自体も少し遠かった部分もあったが、それも含めて自分のなかではいい感じの走りだったと思う。前のイギリスのチームが見えていて、距離的にも縮まっていたので「このまま2走にいい流れで渡そう」と考えて走った。
(失格については)2組目のタイムが出たときに知った。自分たちのリレーのバトンの技術がまだまだ未熟だったんだな、と痛感した。
今回、1走のアピールというものはできたのではないかと思う。あとは、バトンパス自体が、1走から4走に関してダメだったことが悔しい部分だった。

2走:鈴木涼太(スズキ)



準備はしてきたつもりだが、いざ走るとなるとプレッシャーというのはあった。しかし、「やる」という気持ちは元々持ってきていたので、(急に)走ることになったことは気にならなかった。レースのことについては、あまり覚えていない。自分のレースだけに集中していたので、走り自体がどうたったかについては、これから反省していこうと思っている。
こういう大会をなかなか経験できていなかったので、緊張する思いはあったが、そこはあまり考えずに自分に集中していた。
2~3走へのバトンパスは、走る前に向かい風が吹いていることがわかったので、(出のマークの位置を)0.5歩縮めてもらっていたのだが、もっと縮めてもらったほうがよかったのかなと今は思う。ただ、ここで勝つには攻めるしかなかった。そこは攻めようとみんなで話していた。自分の走りをもっと上げていくしかないと思っている。

3走:上山紘輝(住友電工)



悔しい。僕と(鈴木)涼太のところで失格になったので。そこをつなげなかったのは自分の実力不足だし、もっともっと実力をつけないとダメだなと思った。走り自体は、(準決勝進出を果たした)200mのときの状態に戻っていた。バトン(パス)で止まってしまった部分もあるが、そこからの走りはそこそこでよかったかなと思う。ただ、バトンがつなげていない。リレーで、そこができていないというのは悔しい。
パスの出の足長などは、涼太と(競技場の)中でしっかりと話し合って、歩数も縮めるなどの対応もとったのだが、天気のことなので、その都度状況は変わる。適応できないところがあった。それは実力がないということだと思う。
今回、日本代表として、初めてシニアで出させてもらって、今まで「日本の3走は桐生(祥秀)さん」といわれていたところを走らせてもらった。みんなから注目されるところであっただけに、そこの要で失敗してしまったことは悔しい。これから実力をつけて、もう1回日本代表に戻ってきて、信頼して3走を任せてもらえるような選手になりたい。

4走:栁田大輝(東洋大学、ダイヤモンドアスリート)



決勝で走ることを目標にしていたので、そこは悔しい気持ちでいっぱい。走り自体は、(ウォーミング)アップのときから調子はよかったので、自信を持って臨めていた。2~3走のバトン(パス)の様子は見えたが、気にしないで、3~4走のバトンパスを落ち着いて臨むことを心掛けた。
個人の走りについては、しっかり練習を積むことができていたので、しっかり走れたと思う。今回のリレー(メンバー)は、今までメダルを取ってきた方々がいないので、本当に自分たちの力で、予選の段階からギリギリを攻めるようなバトンをしなければ勝てないというような状況になってしまっていた。もっと自分に力があれば、予選は余裕を持って臨めていたと思う。そこは、来年、再来年に向けて、はっきりした課題になるなと感じた。



◎山本聖途(トヨタ自動車)

男子棒高跳 予選 B組7位 5m65



調子は、この大会に向けて、上げてくることができていた。大会の4日前に跳躍をしたのだが、そのときはまだ仕上がっていなかったが、「コーチから動画をよく見て勉強しておけ」と言われ、そこからはずっと動画を見てイメージトレーニングをしてきていた。それが今回、いい方向につながった。
ただ、今回は、決勝に進むためには、(予選通過記録の5m)75を跳ぶことが必要だったということで、レベルの高い予選となった。風がけっこう回っていて、難しい条件だった。(5m)65の2回目をクリアしたときは、風が向かっていたが、そのなかでしっかりと形をつくれて跳ぶことができていた。(5m)75の3回目も、「今日イチ」の跳躍が出たのだが、ちょっと身体がバーに触れてしまった。試合内容としては、自分のなかで修正はよくできたかなと思う。
この世界陸上が終わったら、またフランスへ行って、パリのオリンピックまでは向こうに行くことにしている。しっかりコーチの言ったことを聞いて、妥協せずに、世界に揉まれてこようと思う。


◎北口榛花(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)

女子やり投 決勝 3位 63m27

※コメントは別途掲載済み
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/news/article/16951/



◎武本紗栄(佐賀スポ協)

女子やり投 決勝 11位 57m93



初めての世界陸上でファイナルに行けたことは、「自分も世界で戦えるようになったんだ」という成長したなと思う部分もあったのだが、ファイナルに行くだけじゃなくて、そこで戦えないと…。「弱いなあ」と、ここぞというときに、58~59mで安定している1発を投げることができれば、61m台や62m台は絶対に行くのに、そこで出せないということが悔しかったし、「1投目からリラックスして行ってやるぞ」と思っていたのだが、「行ってやるぞというような投げ」をしてしまった。まだまだ世界に出てくるには弱いなと思ったことと、初めてでここまで来られたので「まだまだ行ける」という楽しみな思いを感じている。
(北口選手の銅メダル獲得について問われて)いやあ、もう本当にすごい。(自分の)試合が終わったあとは悔しい思いはあったものの、一方で、本当に悔しいと思えるほど戦えていないので、そんなに悔しがれないところがあったのだが、すぐに(北口選手の)応援に回って、ほかの国の選手と一緒に見ていた。やっぱり決めきるところがすごいなと思った。
(競技が終わってからもピットに残ったのは)海外の人の足の使い方などが、ここでしか見られないと思ったから。「今がチャンスや」と思って、しっかりと見てきた。「あ、ここがやっぱり大事なんや」とか、自分に足りていないパワーの差など、今まで逃げてきたことを直面するときが今日だったのかなと思うので、また帰って頑張りたい。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト


>>オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/


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