2022.06.24(金)大会

【ホクレンDC レポート&コメント】世界陸上チャレンジレースで田中希実が日本新記録更新! 好記録、好レースが連発の20周年記念大会



ホクレン・ディスタンスチャレンジ2022が、今年も7月に北海道で開催されます。20周年の節目となる今大会の第1戦は7月2日に行われる士別大会で、7月16日までに全5戦が実施されますが、これらの大会に先駆ける形で20周年記念大会が6月22日、深川市陸上競技場において開催されました。
この大会では、オレゴン世界選手権資格記録有効期限となる6月26日を目前に、「オレゴン2022世界選手権チャレンジレース」の位置づけで、男女中長距離10種目が実施され、各種目でターゲットタイムやペースメーカーを設定。出場選手たちは、参加標準記録の突破や、ワールドアスレティックス(WA)ワールドランキングのターゲットナンバー(出場枠)内への浮上を目指して、「ラストチャンス」に挑みました。


女子1000mで田中が自身の日本記録を更新!

75分後の1500mではペースメーカーも

女子1000mでは、すでに1500mと5000mの世界選手権代表に決まっている田中希実選手(豊田自動織機)が出場。田中自身が持つ日本記録(2分37秒72、2021年)をターゲットタイムとして行われたレースでは、正司瑠奈選手(環太平洋大)がペースメーカーを務めて最初の400mを60秒9(以下、注記のない通過タイムは、すべて公式リザルツに記載のもの)で入りました。その後、同じ環太平洋大の江藤咲選手(環太平洋大)が引き継ぐ形でレースを先導しましたが、600m手前で田中選手が先頭へ。最後の1周は、バッグストレートで日本選手権800m覇者の塩見綾乃選手(岩谷産業)との差を広げると、800mを2分04秒3で通過し、昨年8月に出した自己記録を0秒39更新する2分37秒33の日本新記録で走りきりました。田中選手に続いた塩見選手も、ラストをよく粘り、日本選手3人目の2分40秒切りとなる2分39秒27でフィニッシュしました。
1000mは、800mのシミラーイベント(ワールドランキングの集計対象となる種目)に位置づけられています。レースに臨む段階で、WAワールドランキングで、800mのターゲットナンバー(48)圏内に近い位置にいた田中選手は、今回の結果により、3種目めとなる800mのランキングがどうなるか、さらに注視したい状況となってきました(田中選手の新記録樹立コメントは、別記ご参照ください)。
なお、田中選手は、1000mの75分後に行われた1500mにはペースメーカーとして出場。400mを65秒8、800mを2分13秒7で通過して、1100mまでレースを先導し、長年のトレーニングパートナーである後藤夢選手(豊田自動織機)をアシスト。4分12秒12での優勝をアシストしています。





萩谷、10000mでの標準記録突破ならずも

2回目のレースも31分台

女子10000mには、5月3日の日本選手権10000mで初めての10000mレースながら31分35秒67をマークして2位の成績を残していた東京オリンピック5000m代表の萩谷楓選手(エディオン)が出場。参加標準記録(31分25秒00)の突破を狙いました。5000mは15分43秒3で通過したものの、強まってきた風の影響もあり、その後、ペースダウン。再び31分台突入を果たしたものの31分58秒17と、突破はかないませんでした。萩谷選手は、日本選手権が5位にとどまったことで即時内定を得ることができなかったものの、5000mは昨年9月に14分59秒36をマークして参加標準記録(15分10秒00)は突破済み。5000mでの出場が可能となるかどうかは、6月29日以降に予定されている第2次日本代表選手の発表を待つ形となります。



また、男子5000mと10000mは、ともにペースメーカーが、世界選手権参加標準記録(13分13秒50、27分28秒00)を上回るタイム(13分12秒90、27分20秒66)で、そのまま先着する形となりました。5000mは、WAMBUA Titus選手(埼玉医科大学G)が13分22秒62で優勝。日本人トップとなったのは塩尻和也選手(富士通)で、ペースメーカーを含めると5番目となる13分29秒21でのフィニッシュでした。なお、この種目には、ダイヤモンドアスリートの佐藤圭汰選手(駒澤大、自己記録13分22秒91=U20日本記録)も出場。格上の年配選手が揃うなか、ペースメーカーを含めて9番目・13分48秒28でレースを終えています。また、10000mはALEXANDER Mutiso選手(NDソフト)が27分29秒85で優勝。日本勢では、日本選手権3位の市田孝選手(旭化成)がペースメーカーを含めて3番目となる28分13秒65で先着しました。また、学生で唯一の出場だった井川龍人選手(早稲田大)が健闘。ラストのホームストレートで市田選手にかわされるまで日本人首位でレースを進め、28分15秒95で市田選手に続き、全体4番目でフィニッシュしました。





男子1500mでは荒井が日本歴代3位の好走

男子800mが金子が競り合いを制す

日本新記録や参加標準記録突破のアナウンスは叶わなかったものの、果敢なアタックが目を引いたのが男子中距離種目。参加標準記録(3分35秒00)の突破を狙って、日本選手権上位3選手を筆頭に、昨年、日本記録を樹立した河村一輝選手(トーエネック、3分35秒42)、同じく昨年、河村選手に塗り替えられるまでの日本記録をマークしていた荒井七海選手(Honda、3分37秒05)など全13選手が出場して注目を集めた男子1500mは、400mを56秒1で、800mを1分52秒3で、1200mを2分53秒0で通過していく展開となり、荒井選手が日本歴代3位となる3分36秒63で優勝。2位となった館澤亨次選手(DeNA)も3分38秒35をマークするなど、上位4選手が自己記録を更新してフィニッシュしました。



1分45秒75の日本記録更新、さらには1分45秒20の参加標準記録突破を狙って行われた男子800mは、今季躍進著しい薄田健太郎選手(筑波大)が、チームの後輩にあたる二見優輝選手(筑波大)のペースメイクにより前半から攻めるレースを展開しました。終盤で日本選手権チャンピオンの金子魅玖人選手(中央大)が追い上げ、ホームストレートでは激しいラスト勝負に。金子選手が1分46秒34で優勝、薄田選手は1分46秒40で2位と、ともにセカンドベストをマークしました。





【新記録樹立者コメント】

◎女子1000m

田中希実(豊田自動織機)

優勝 2分37秒33 =日本新記録

(今回、日本新を出せるという)自信があったわけではないが、もっといい記録を狙っていかなければならないとは思っていた。1000mは特殊種目なので、世界でもそう多く実施されているわけではないが、シファン・ハッサン選手(オランダ、東京オリンピック5000m・10000m金メダル、1500m銅メダル)やオーストラリアの自分と同じくらいの力の選手たちも、1000mはだいたい2分35秒以内では走っている。自分もそれくらいのタイムでは、いつでも走りたいなと考えていた。

1~2周目を今までで一番速い入りができたことは収穫だったが、そこまでで余裕が持てていなかったために、ラストで脚が止まってしまった。それが今後の課題といえる。ペースメーカーの方が600mあたりまでついてくださるということで、そこからラスト1周を、いかにペースを落とさずに走りきれるか(がテーマ)だったのだが、ラップが落ちてしまった。ただ、勝負を意識していた日本選手権も含めて、「速く入る」レースを今年はあまりやってきていなかったこともあり、今日の1000mで、世界(レベルの)の1500mの入りに近いペースを、今季初めて経験することができた。それは(世界選手権での)1500mへのイメージに直結すると思っている。

世界陸上は、現時点で1500mと5000mでの出場が決まっているので、この2種目に出ていくつもりで準備をしていく。まだ1500mも5000mも力が中途半端だと感じている状態。これから、ホクレン(ディスタンスチャレンジ)を最大限に活用して、5000mにつながる3000mとか、1500mとか、レースを使って力を上げていこうと思っている。800mについては、今回のレースで、ワールドランキングが(800mにおけるターゲットナンバー内の)48位以内に入ってくると思うが、このあとヨーロッパなどで行われるレースで順位はまた動くので、(800mでも世界選手権出場が可能となるかどうかは)あとは待つしかない状態。ただ、今日で、やれるだけのことはやりきった。この取り組みは、また来年の800mのチャレンジにもつながってくるので、今日走って良かったと思う。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


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■ホクレン・ディスタンスチャレンジ2022
7月 2日(土)士別大会
7月 6日(水)深川大会
7月 9日(土)北見大会
7月13日(水)網走大会
7月16日(土)千歳大会

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