6月9日~12日に大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる「第106回日本選手権」の見どころや楽しみ方を『記録と数字』の視点から紹介する。
・第106回日本選手権 エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1652-4.pdf
・第106回日本選手権 TV&ライブ配信情報
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/tv-live/
・オレゴン 2022 世界選手権 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf
オレゴン世界選手権参加標準記録は8m22。橋岡優輝(富士通)は、昨年6月27日に行われた日本選手権で8m36(=大会新)をジャンプしたが、記録有効期間が6月28日からであり、1日足らず標準突破には至っていない(有効期間は当初6月27日からだったが、日本選手権直前に世界陸連が6月28日からに変更した)。
現時点で、突破者はゼロ。ただし、橋岡を始め、日本記録保持者の城山正太郎(ゼンリン)、自己記録8m23の津波響樹(大塚製薬)が参加標準記録を上回る自己記録を持っており、複数名が突破してくるチャンスはある。今季日本最高を出している山川夏輝(佐賀スポ協)もあと8cm。フィールド種目の中では、オレゴンに近い選手が最も多い注目種目である。
ちなみに、今季世界最高はスイスのデカスリート・S.エハマーが十種競技中に出したもので、十種競技内の世界最高。単独種目選手も負けていられない状況で、世界のロングジャンパーの意地を見せてほしい。
これまで4度の優勝を果たしている橋岡。今大会で優勝回数を5回に伸ばすことができれば、臼井淳一(8回)、南部忠平(6回)に次いで、単独の3番目に上がる。さらに、100mHで2回、三段跳で3回優勝経験のある母の直美さん(旧姓・城島)の優勝回数にも並ぶことができる。ただし、父・利行さんは棒高跳で5連覇と2連覇を合わせ7回の優勝をしているので父にはまだ及ばない。とは言えまだ23歳。今後、父や伝説のジャンパーに追いつき、追い抜く可能性は十分にある。
昨年の日本選手権の優勝記録である橋岡の8m36は、2021年世界リスト7位で2021年アジア最高。2021年のトラック&フィールド種目の中では、110mHの泉谷駿介(世界5位)に次ぐ、世界リスト順位日本人2番目で、フィールド種目の中では最高順位。2021年は8m36を含め、8m以上の試合が5度。記録の水準がさらにワンランクアップした一年だったと言えるだろう。
昨年の兵庫県選手権で、それまでの自己記録7m88から一気に8m14まで伸ばし、8mジャンパーに仲間入りした吉田。この時は追風参考でも8m23(+3.1)を跳んでいる。今季はまだ8mは超えていないが、自身3番目の7m99を跳ぶなど好調を維持。
ちなみに高校生の弟・正道(姫路商高3)も今季高校最高となる7m70を跳んでおり、兄弟で日本No.1と高校生No.1達成という可能性を秘めている。偉業達成のためには、まずは兄が優勝を遂げる必要がある。
三段跳の伊藤は、昨年の日本インカレで自身初の8m超えとなる8m05(+1.5)をジャンプ。三段跳の自己記録17m00と合わせて、日本人初の8m&17mジャンパーとなった。
今季日本リストトップは、5月8日のセイコーGGPで8m14(+0.4)の自己新、日本歴代8位タイを出した山川。それまでの自己記録8m06を5年ぶりに更新した。橋岡は自身今季初戦の日大記録会で出した8m07が最高。日大OBの2人がワン・ツー。
橋岡が勝てば2年連続5回目、津波が勝てば2年ぶり2回目、その他の選手が勝てば初優勝となる。日本記録保持者の城山は2位が2回あるが、優勝に未だ届いていないのはやや意外な印象。城山と同じく2014年に初入賞を果たしている手平とともに、悲願の優勝を手に入れたいところだろう。3位以内2回の山川、3位以内3回の小田の日大OBコンビは安定感抜群。橋岡を含め、日大OBワン・ツー・スリーの可能性も十分にあり得る。
過去、2人以上が8mを跳んだ大会は1988年(柴田博之8m06w、臼井淳一8m06)、1991年(下仁8m10、T.ボグダン8m04w)、1994年(朝原宣治8m06、志田哲也8m03w、森長正樹8m01)、1999年(稲富一成8m05w、田川茂8m02w)、2009年(荒川大輔8m00、菅井洋平8m00)と5回あるが、3人以上が公認記録で8m超えを果たした年はない。史上初となる3人以上の公認8m超えや順位別最高記録の更新ラッシュを期待したい。
日本選手権において、8mを初めて超えたのは、1987年の臼井。それから35年間で追風参考も含め、14人で延べ21人が8m超えを果たしている。回数では、菅井と橋岡の3大会がトップ。菅井はその内2008年が追風参考記録のため、公認記録に限れば、橋岡が単独トップとなる。2011年以降、8m超えは橋岡のみ。新たな8m超え選手の誕生が持ち焦がれる。
JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト
走幅跳と三段跳の決勝では、すべての選手は3回の試技ができ、さらに上位8名はもう3回の試技が許されます。最も遠くまで跳んだ選手が優勝ですが、もし同記録だった場合には、2番目に良い記録、3番目、4番目というように比較して上位者を決めます。 記録は砂場に残された痕跡の踏切板に最も近い場所から踏切板までの距離が測られますが、踏切板を踏み越した場合には赤旗が上がります。選手は砂場を逆に戻ってはならず、審判員は踏み切りだけでなく砂場を出る動作まで確認して白旗を挙げます。 選手の跳躍順番は4回目以降、変更になります。最終跳躍者は、3回目までに最もよい記録の選手です。
日本一の決まる瞬間を見逃すな!
■第106回日本陸上競技選手権大会 特設サイト
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■オレゴン2022世界選手権 日本代表選手選考要項
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・第106回日本選手権 エントリーリスト
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・第106回日本選手権 TV&ライブ配信情報
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・オレゴン 2022 世界選手権 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項
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【男子走幅跳】
・決勝/6月12日(日)15:302011年以降の日本選手権8m超えは橋岡だけ。世界選手権参加標準記録突破のためにも8mオーバーの戦いに期待
主な記録一覧(2022年5月31日現在)
・世界記録 | 8m95 |
---|---|
・アジア記録 | 8m48 |
・日本記録 | 8m40 |
・U20日本記録 | 8m12 |
・学生記録 | 8m32 |
・大会記録 | 8m36 |
・今季世界最高 | 8m45 |
・今季アジア最高 | 8m36 |
・今季日本最高 | 8m14 |
・22オレゴン世界選手権参加標準記録 | 8m22 |
現時点で、突破者はゼロ。ただし、橋岡を始め、日本記録保持者の城山正太郎(ゼンリン)、自己記録8m23の津波響樹(大塚製薬)が参加標準記録を上回る自己記録を持っており、複数名が突破してくるチャンスはある。今季日本最高を出している山川夏輝(佐賀スポ協)もあと8cm。フィールド種目の中では、オレゴンに近い選手が最も多い注目種目である。
ちなみに、今季世界最高はスイスのデカスリート・S.エハマーが十種競技中に出したもので、十種競技内の世界最高。単独種目選手も負けていられない状況で、世界のロングジャンパーの意地を見せてほしい。
過去10年の優勝者(所属は当時のもの)
年 | 記録 | 選手 | 所属 | 優勝回数 |
---|---|---|---|---|
2012年 | 7m78(-1.1) | 荒川大輔 | NOBY | 3回目 |
2013年 | 7m76(+0.1) | 大岩雄飛 | モンテローザ | 初 |
2014年 | 7m94(+0.6) | 嶺村鴻汰 | 筑波大 | 初 |
2015年 | 7m88(-0.1) | 菅井洋平 | ミズノ | 4回目 |
2016年 | 7m93(-0.1) | 嶺村鴻汰 | モンテローザ | 2回目 |
2017年 | 8m05(+1.4) | 橋岡優輝 | 日本大 | 初 |
2018年 | 8m09(+1.2) | 橋岡優輝 | 日本大 | 2回目 |
2019年 | 7m98(-1.1) | 橋岡優輝 | 日本大 | 3回目 |
2020年 | 7m99(-0.1) | 津波響樹 | 大塚製薬 | 初 |
2021年 | 8m36(+0.6) | 橋岡優輝 | 富士通 | 4回目 |
資格記録順(資格記録有効期間2021年1月1日~2022年5月22日)
資格記録 | 選手 | 所属 | 自己記録 |
---|---|---|---|
8m36 | 橋岡優輝 | 富士通 | 8m36 |
8m14 | 山川夏輝 | 佐賀スポ協 | 8m14 |
8m14 | 吉田弘道 | 神崎陸協 | 8m14 |
8m05 | 伊藤陸 | 近畿大工業高専 | 8m05 |
7m97 | 手平裕士 | 阿部商事 | 7m97 |
7m92 | 安立雄斗 | 福岡大 | 7m92 |
7m91 | 津波響樹 | 大塚製薬 | 8m23 |
7m90 | 城山正太郎 | ゼンリン | 8m40 |
7m87 | 小田大樹 | ヤマダホールディングス | 8m04 |
昨年の兵庫県選手権で、それまでの自己記録7m88から一気に8m14まで伸ばし、8mジャンパーに仲間入りした吉田。この時は追風参考でも8m23(+3.1)を跳んでいる。今季はまだ8mは超えていないが、自身3番目の7m99を跳ぶなど好調を維持。
ちなみに高校生の弟・正道(姫路商高3)も今季高校最高となる7m70を跳んでおり、兄弟で日本No.1と高校生No.1達成という可能性を秘めている。偉業達成のためには、まずは兄が優勝を遂げる必要がある。
三段跳の伊藤は、昨年の日本インカレで自身初の8m超えとなる8m05(+1.5)をジャンプ。三段跳の自己記録17m00と合わせて、日本人初の8m&17mジャンパーとなった。
2022年記録順(2022年5月31日現在)
記録 | 選手 | 所属 |
---|---|---|
8m14 | 山川夏輝 | 佐賀スポ協 |
8m07 | 橋岡優輝 | 富士通 |
7m99 | 吉田弘道 | 神崎陸協 |
7m90 | 津波響樹 | 大塚製薬 |
7m80 | 有村拓巳 | 福岡大 |
資格記録上位選手の日本選手権走幅跳入賞歴
選手 | ‘14 | ‘15 | ‘16 | ‘17 | ‘18 | ‘19 | ‘20 | ‘21 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
橋岡優輝 | 8 | 1 | 1 | 1 | 1 | |||
山川夏輝 | 3 | 4 | 3 | |||||
吉田弘道 | 7 | |||||||
伊藤陸 | 3 | 8 | ||||||
手平裕士 | 5 | 3 | 2 | 4 | ||||
津波響樹 | 6 | 1 | 2 | |||||
城山正太郎 | 8 | 2 | 2 | 7 | 3 | |||
鳥海勇斗 | 6 | |||||||
小田大樹 | 3 | 3 | 2 | 4 |
日本選手権決勝における「順位別最高記録」
※「w」は追風参考記録順位 | 記録 | 年 |
---|---|---|
1位 | 8m36 | 2021年 |
2位 | 8m06 | 1988年 |
3位 | 8m01 | 1994年 |
4位 | 7m92 | 2018年 |
5位 | 7m85 | 2021年 |
6位 | 7m81 | 2021年 |
7位 | 7m78w | 2008年 |
8位 | 7m70w | 1999年 |
8位 | 7m70 | 2021年 |
日本選手権における8m以上の記録
※「w」は追風参考記録年 | 順位 | 記録 | 風 | 選手 |
---|---|---|---|---|
1987年 | 1位 | 8m07 | 2 | 臼井淳一 |
1988年 | 1位 | 8m06w | 2.6 | 柴田博之 |
1988年 | 2位 | 8m06 | 0.6 | 臼井淳一 |
1991年 | 1位 | 8m10 | 0 | 下仁 |
1991年 | 2位 | 8m04w | 2.2 | T・ボグダン |
1992年 | 1位 | 8m00w | 2.5 | 森長正樹 |
1994年 | 1位 | 8m06 | 0.8 | 朝原宣治 |
1994年 | 2位 | 8m03w | 2.4 | 志田哲也 |
1994年 | 3位 | 8m01 | 1.5 | 森長正樹 |
1997年 | 1位 | 8m10 | 0.9 | 朝原宣治 |
1999年 | 1位 | 8m05w | 3.5 | 稲富一成 |
1999年 | 2位 | 8m02w | 3 | 田川茂 |
2001年 | 1位 | 8m03 | 1.7 | 渡辺大輔 |
2004年 | 1位 | 8m20 | 1.8 | 寺野伸一 |
2008年 | 1位 | 8m13w | 3 | 菅井洋平 |
2009年 | 1位 | 8m00 | 1.5 | 荒川大輔 |
2009年 | 2位 | 8m00 | 0.6 | 菅井洋平 |
2010年 | 1位 | 8m10 | 1.8 | 菅井洋平 |
2017年 | 1位 | 8m05 | 1.4 | 橋岡優輝 |
2018年 | 1位 | 8m09 | 1.2 | 橋岡優輝 |
2021年 | 1位 | 8m36 | 0.6 | 橋岡優輝 |
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【初めての観戦でも大丈夫!走幅跳のルール】
走幅跳と三段跳の決勝では、すべての選手は3回の試技ができ、さらに上位8名はもう3回の試技が許されます。最も遠くまで跳んだ選手が優勝ですが、もし同記録だった場合には、2番目に良い記録、3番目、4番目というように比較して上位者を決めます。 記録は砂場に残された痕跡の踏切板に最も近い場所から踏切板までの距離が測られますが、踏切板を踏み越した場合には赤旗が上がります。選手は砂場を逆に戻ってはならず、審判員は踏み切りだけでなく砂場を出る動作まで確認して白旗を挙げます。 選手の跳躍順番は4回目以降、変更になります。最終跳躍者は、3回目までに最もよい記録の選手です。
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■第106回日本陸上競技選手権大会 特設サイト
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■オレゴン2022世界選手権 日本代表選手選考要項
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