6月9日~12日に大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる「第106回日本選手権」の見どころや楽しみ方を『記録と数字』の視点から紹介する。
・準決/6月9日(木) 18:50 2組3着+2
・決勝/6月10日(金) 20:15
オレゴン世界選手権参加標準記録は日本記録よりも0.06秒早い11秒15。今大会の参加選手にとっては、高いハードルである。1991年にP.デービス(バハマ)が出した大会記録、2010年に福島千里が出した大会日本人最高の更新が、現実的な目標となるところであろう。
また、今季好調の青山華依(甲南大)、青野朱李(山梨学院大)、昨年の日本選手権2位の壹岐あいこ(立命館大)ら学生スプリンターは、学生記録更新へのチャレンジになる。学生記録は高橋萌木子(平成国際大=当時)が2009年に出した11秒32。更新すれば、13年ぶりとなる。
福島の8連覇を阻止した2017年の市川以降は、初優勝者が続いていたが、昨年兒玉が久々の連覇達成者となった。この種目で連覇を達成した選手は、人見絹江(昭和2・3年)以来14人いるが、大学生時代の連覇は1972年~1973年優勝の山田恵子(日体大)と兒玉だけである。大学2年生の青山や大学3年生の三浦由奈(筑波大)らが優勝すれば、そこに加わる資格を得ることになる。
2020年は9年ぶりに11秒3台の優勝記録となったが、昨年は強い向風の影響があり11秒62に留まった。今年は再び11秒3台のハイレベルの優勝タイムを期待したい。
なお、過去優勝記録が公認で11秒3台だったのは以下の6大会。2004年(11秒39・坂上香織&小島初佳)、2009年(11秒34・高橋萌木子)、2009年(11秒34・福島千里)、2010年(11秒30・福島千里)、2011年(11秒39・福島千里)、2020年(11秒36・兒玉芽生)。
自己記録では11秒35の兒玉が頭一つ抜け出しでいるが、資格記録では11秒46から11秒58のわずか0.12秒の間に10人が収まる混戦状況。誰が勝ってもおかしくない状況でもあるし、誰が準決勝落ちしてもおかしくない状況でもある。
今季リストトップは、4月17日の日本学生個人選手権準決勝で自身初の11秒4台となる11秒47(=自己新、学生歴代5位、関西学生新)を出した青山。青山は200mでも5月3日の静岡国際で23秒60(=自己新、学生歴代7位、関西学生新)を出しており、今季絶好調。
続くのは、青山と同じく日本学生個人選手権において11秒53の自己新を出した青野と5月15日の関西実業団選手権で11秒53を出した御家瀬。青野は、山形中央高校3年生時のU20日本選手権(=優勝)で出した11秒65の自己記録をおよそ4年ぶりに更新。御家瀬は、恵庭北高3年時の9月に出した自己記録(11秒46)には及ばなかったが、その時以来の好記録。しばらくタイムの伸び悩みに苦しんでいた2人が、再び上昇気流に乗り始めた印象である。
兒玉と青山が3年連続、石川と壹岐が2年連続入賞を果たしているが、他種目と比較すると、入賞回数の多い選手が少ない印象。それだけ、次々に力のある選手が飛び出してくる種目だと言えよう。兒玉が今回優勝し、3連覇を遂げると、渡辺すみこ(1931~1933年)、稲葉静子(1946年~1949年)、田中みどり(1954~1956年)、山田恵子(1971~1973年)、小西恵美子(1982~1986年)、北田敏恵(1994~1996年)、新井初佳(1998~2004年)、福島千里(2010~2016年)に次ぐ史上9人目となる。
昨年は向風1.9mのレースの中、7・8位が11秒87。風が良ければ、7・8位の着順別最高記録は間違いなく破られていたはずである。今年も昨年並みの選手層であることから、7・8位あたりの着順別最高記録更新は高いと思われる。さらに上位の順位も一気に塗り替わってほしい。
JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト
日本語のスタートの合図は、400mまでの競走では、「位置について」「用意」の後、号砲が鳴ります。400mを超える競走では、「位置について」の後に号砲です。2010年からの日本選手権では、英語で合図をします。「位置について」は「On your marks(オン・ユア・マークス)」、「用意」は「Set(セット)」です。 世界陸連(WA)は、2010年から不正スタート(通称:フライング)のルールを改正しました。WAの主催大会では、混成競技以外のトラック種目では、1回目のフライングで失格となります。日本選手権でもこのルールが適用されます。
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【女子100m】
・予選/6月9日(木) 14:40 5組2着+6・準決/6月9日(木) 18:50 2組3着+2
・決勝/6月10日(金) 20:15
資格記録0.12秒の間に10人が収まる混戦状況。兒玉が史上9人目の3連覇なるか!?
■主な記録一覧(2022年5月31日現在)
・世界記録 | 10秒49 |
---|---|
・アジア記録 | 10秒79 |
・日本記録 | 11秒21 |
・U20日本記録 | 11秒43 |
・学生記録 | 11秒32 |
・大会記録 | 11秒29 |
・大会日本人最高 | 11秒30 |
・今季世界最高 | 10秒67 |
・今季アジア最高 | 11秒05 |
・今季日本最高 | 11秒47 |
・‘22オレゴン世界選手権参加標準記録 | 11秒15 |
また、今季好調の青山華依(甲南大)、青野朱李(山梨学院大)、昨年の日本選手権2位の壹岐あいこ(立命館大)ら学生スプリンターは、学生記録更新へのチャレンジになる。学生記録は高橋萌木子(平成国際大=当時)が2009年に出した11秒32。更新すれば、13年ぶりとなる。
■過去10年の優勝者(所属は当時のもの)
年 | 記録 | 選手 | 所属 | 優勝回数 |
---|---|---|---|---|
2012年 | 11秒45(+0.0) | 福島千里 | 北海道ハイテクAC | 4回目 |
2013年 | 11秒41(+0.0) | 福島千里 | 北海道ハイテクAC | 5回目 |
2014年 | 11秒69(-0.3) | 福島千里 | 北海道ハイテクAC | 6回目 |
2015年 | 11秒50(-0.3) | 福島千里 | 北海道ハイテクAC | 7回目 |
2016年 | 11秒45(-0.2) | 福島千里 | 北海道ハイテクAC | 8回目 |
2017年 | 11秒52(+0.2) | 市川華菜 | ミズノ | 初 |
2018年 | 11秒64(+0.8) | 世古和 | CRANE | 初 |
2019年 | 11秒67(+0.6) | 御家瀬緑 | 恵庭北高 | 初 |
2020年 | 11秒36(+0.5) | 兒玉芽生 | 福岡大 | 初 |
2021年 | 11秒62(-1.9) | 兒玉芽生 | 福岡大 | 2回目 |
2020年は9年ぶりに11秒3台の優勝記録となったが、昨年は強い向風の影響があり11秒62に留まった。今年は再び11秒3台のハイレベルの優勝タイムを期待したい。
なお、過去優勝記録が公認で11秒3台だったのは以下の6大会。2004年(11秒39・坂上香織&小島初佳)、2009年(11秒34・高橋萌木子)、2009年(11秒34・福島千里)、2010年(11秒30・福島千里)、2011年(11秒39・福島千里)、2020年(11秒36・兒玉芽生)。
■資格記録順(資格記録有効期間2021年1月1日~2022年5月22日)
資格記録 | 選手 | 所属 | 自己記録 |
---|---|---|---|
11秒46 | 兒玉芽生 | ミズノ | 11秒35 |
11秒47 | 青山華依 | 甲南大 | 11秒47 |
11秒48 | 石川優 | 青山学院大 | 11秒48 |
11秒51 | 君嶋愛梨沙 | 土木管理総合 | 11秒51 |
11秒53 | 御家瀬緑 | 住友電工 | 11秒53 |
11秒53 | 青野朱李 | 山梨学院大 | 11秒53 |
11秒53 | 名倉千晃 | NTN | 11秒53 |
11秒58 | 壹岐あいこ | 立命館大 | 11秒58 |
11秒58 | 藏重みう | 中京大中京高 | 11秒58 |
11秒58 | 三浦由奈 | 筑波大 | 11秒58 |
■2022年記録順(2022年5月31日現在)
資格記録 | 選手 | 所属 |
---|---|---|
11秒47 | 青山華依 | 甲南大 |
11秒53 | 青野朱李 | 山梨学院大 |
11秒53 | 御家瀬緑 | 住友電工 |
11秒58 | 三浦由奈 | 筑波大 |
11秒60 | 久保山晴菜 | 今村病院 |
続くのは、青山と同じく日本学生個人選手権において11秒53の自己新を出した青野と5月15日の関西実業団選手権で11秒53を出した御家瀬。青野は、山形中央高校3年生時のU20日本選手権(=優勝)で出した11秒65の自己記録をおよそ4年ぶりに更新。御家瀬は、恵庭北高3年時の9月に出した自己記録(11秒46)には及ばなかったが、その時以来の好記録。しばらくタイムの伸び悩みに苦しんでいた2人が、再び上昇気流に乗り始めた印象である。
■資格記録上位選手の日本選手権100m入賞歴
選手 | ‘18 | ‘19 | ‘20 | ‘21 |
---|---|---|---|---|
兒玉芽生 | 4 | 1 | 1 | |
青山華依 | 3 | 4 | 8 | |
石川優 | 3 | 6 | ||
君嶋愛梨沙 | 5 | |||
御家瀬緑 | 4 | 1 | ||
名倉千晃 | 8 | 3 | ||
壹岐あいこ | 5 | 2 | ||
三浦由奈 | 5 |
■日本選手権決勝における「着順別最高記録」※追風参考記録除く
順位 | 記録 | 年 |
---|---|---|
1位 | 11秒29 | 2010年 |
2位 | 11秒39 | 2004年 |
3位 | 11秒45 | 2004年 |
4位 | 11秒51 | 2004年 |
5位 | 11秒56 | 2004年 |
6位 | 11秒61 | 2004年 |
7位 | 11秒79 | 2017年 |
8位 | 11秒85 | 2012年 |
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【初めての観戦でも大丈夫!100mのルール】
日本語のスタートの合図は、400mまでの競走では、「位置について」「用意」の後、号砲が鳴ります。400mを超える競走では、「位置について」の後に号砲です。2010年からの日本選手権では、英語で合図をします。「位置について」は「On your marks(オン・ユア・マークス)」、「用意」は「Set(セット)」です。 世界陸連(WA)は、2010年から不正スタート(通称:フライング)のルールを改正しました。WAの主催大会では、混成競技以外のトラック種目では、1回目のフライングで失格となります。日本選手権でもこのルールが適用されます。
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