6月9日~12日に大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる「第106回日本選手権」の見どころや楽しみ方を『記録と数字』の視点から紹介する。
・第106回日本選手権 エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1652-4.pdf
・第106回日本選手権 TV&ライブ配信情報
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/tv-live/
・オレゴン 2022 世界選手権 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf
・決勝/6月11日(土)17:42
昨年の東京五輪予選で三浦龍司(順天堂大)が日本人初の8分10秒切りとなる8分09秒92で走り、日本記録・U20日本記録・学生記録をまとめて更新。三浦以前の記録としては、日本記録が8分18秒93、U20日本記録は8分31秒27、学生記録は8分25秒8だっただけに、三浦が記録水準を飛躍的に伸ばしたことが分かる。大会記録も昨年三浦が出したもの。1994年にD.ジェンガ(仙台育英高)が出した8分19秒21を27年ぶりに更新した。
昨年、三浦は、東京五輪テスト大会(8分17秒46)、日本選手権(8分15秒99)、東京五輪予選(8分09秒92)で3度日本記録を更新。東京五輪予選と決勝(8分16秒90)の記録が、オレゴン世界選手権参加標準記録有効期間内のもので、標準記録突破となる。
昨年の日本選手権では2位の山口浩勢(愛三工業)と3位の青木涼真(Honda)が8分19秒96と8分20秒70を出し、オレゴン世界選手権参加標準記録を上回る記録を出していたが、有効期間開始の2日前だったため、突破には至っていない。
ひと昔前までは、他の中長距離種目と比較して、連覇や複数回優勝する選手が多く誕生する傾向があった種目であったが、ここ4大会は、優勝者が入れ替わり、全て初優勝者。それだけ、選手層が厚くなっているということだろう。
優勝記録を見ても、2018年に日本人としては10年ぶりに8分30秒を切る優勝記録となって以降、4大会連続で8分30秒切りとなっており、記録水準がぐっと上がっていることが分かる。
過去の優勝者の中では、漬滝、山口、三浦が今大会エントリー。2018年覇者・塩尻はこの種目を回避し、5000m出場に回っている。
学生優勝者が比較的多く出ているのもこの種目の特徴。特に順天堂大は過去、山田和人(1998・1999年)、岩水嘉孝(2001年)、塩尻、三浦の4人もチャンピオンを出している。
三浦が連覇を果たせば、山田以来33年ぶりの日本人学生連覇者となる。
過去に日本人で8分30秒を切っているのは14人いるが、その内5人がエントリー。日本歴代順位で言えば、三浦1位、山口4位、青木5位、漬滝8位、楠13位。日本歴代トップ10の内、4人が出場する。昨年の大会で8分30秒切りに迫った荻野や5月の関東インカレ1部で連覇を達成した菖蒲なども伸び盛りで、新たに8分30秒切り、日本歴代トップ10入りできるだけの力はある。
今季リストトップは三浦の8分22秒25。8分22秒00のオレゴン世界選手権参加標準記録にわずかな所まで迫った(三浦は既に参加標準記録を2度突破済み)。
青木は4月にアメリカで、山口はオーストラリアで3月に記録したもの。それぞれシーズンイン直後の大会ではあったが、青木はトップと約2秒差、山口は優勝と勝負の面でも結果を残した中での好記録で、調子の良さをアピールしている。例年以上の仕上がりで日本選手権に挑んでくる。
5番目の楠は4月24日の兵庫リレーカーニバル2000mSCで5分29秒11の日本最高を樹立し、阪口の日本最高を0秒78更新。スピードに磨きがかかっている。
至近10年で入賞7回の山口、漬滝、松本など、安定感の高い試合巧者が多い印象。中でも、表彰台5回の山口の安定ぶりは光る。3年連続3位の青木は、今年こそは「シルバーコレクター」からワンランクアップしたいところだろう。
1~8位まで全ての着順別順位最高記録が、昨年の大会で更新された。日本選手権のみならず、同一レースで日本人2人が8分20秒を切ったのは史上初、日本人3人が8分25秒を切ったのは史上初、日本人6人が8分30秒を切ったのは史上初。日本の3000mSC史上最高レベルのレースであった。
今大会は、昨年の入賞者8人の内6人がエントリーしている他に、今季自己記録を更新している若手も多くエントリーしており、昨年に続き、着順別最高記録の更新ラッシュが見られるかもしれない。
昨年、三浦が日本新を出した3レースと、7位に入賞した東京五輪決勝レースの1000m毎通過タイムとラップタイムをまとめた。
4レースに共通するのは、2000mからのラスト1000mをほぼ2分40秒前後で走っていること。速いペースの入りであっても、ラストは2分40秒前後で切り替えられるスピードを持っているのが三浦の最大の武器。
それを踏まえると、三浦にとって日本記録更新の目安となる通過タイムは、1000m2分45秒前後、2000m5分30秒前後。大会記録更新の目安となる通過タイムは、1000m2分48秒前後、5分36秒前後となる。
場内アナウンスで読み上げられる通過タイムにぜひ耳を傾けていていただきたい。
JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト
3000mを走るうちに障害物を28回、水濠を7回越えなければなりません。スタート後、フィニッシュラインを初めて通過してから各周に5個の障害物があり、その4番目が水濠であることがルールです。水濠以外の4つの障害物は移動式ですが、男子は高さ914mm、女子は762mm です。手をかけて越えてもかまいませんが、外側を通ったりくぐったりしてはいけません。 日本の競技場では、水濠はトラックの外側にありますが、世界の多くは内側です。水濠が外でも内でも、先のルールに合致していれば問題ありません。スタート位置は外側に水濠がある場合にホームストレートの中央付近、内側に水濠がある場合はバックストレートとなります。
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・オレゴン 2022 世界選手権 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項
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【男子3000mSC】
・決勝/6月11日(土)17:42日本歴代トップ10中4人が出場!三浦の日本記録更新の目安タイムを片手に観戦しよう!
主な記録一覧(2022年5月31日現在)
・世界記録 | 7分53秒63 |
---|---|
・アジア記録 | 7分53秒63 |
・日本記録 | 8分09秒92 |
・U20日本記録 | 8分09秒92 |
・学生記録 | 8分09秒92 |
・大会記録 | 8分15秒99 |
・今季世界最高 | 7分58秒68 |
・今季アジア最高 | 8分16秒21 |
・今季日本最高 | 8分22秒25 |
昨年、三浦は、東京五輪テスト大会(8分17秒46)、日本選手権(8分15秒99)、東京五輪予選(8分09秒92)で3度日本記録を更新。東京五輪予選と決勝(8分16秒90)の記録が、オレゴン世界選手権参加標準記録有効期間内のもので、標準記録突破となる。
昨年の日本選手権では2位の山口浩勢(愛三工業)と3位の青木涼真(Honda)が8分19秒96と8分20秒70を出し、オレゴン世界選手権参加標準記録を上回る記録を出していたが、有効期間開始の2日前だったため、突破には至っていない。
過去10年の優勝者(所属は当時のもの)
年 | 記録 | 選手 | 所属 | 優勝回数 |
---|---|---|---|---|
2012年 | 8分34秒95 | 山下洸 | NTN | 初 |
2013年 | 8分33秒57 | 山下洸 | NTN | 2回目 |
2014年 | 8分35秒43 | 篠藤淳 | 山陽特殊製鋼 | 2回目 |
2015年 | 8分32秒89 | 潰滝大記 | 中央学大 | 初 |
2016年 | 8分36秒39 | 潰滝大記 | 富士通 | 2回目 |
2017年 | 8分38秒20 | 潰滝大記 | 富士通 | 3回目 |
2018年 | 8分29秒14 | 塩尻和也 | 順天堂大 | 初 |
2019年 | 8分29秒85 | 阪口竜平 | 東海大 | 初 |
2020年 | 8分24秒19 | 山口浩勢 | 愛三工業 | 初 |
2021年 | 8分15秒99 | 三浦龍司 | 順天堂大 | 初 |
優勝記録を見ても、2018年に日本人としては10年ぶりに8分30秒を切る優勝記録となって以降、4大会連続で8分30秒切りとなっており、記録水準がぐっと上がっていることが分かる。
過去の優勝者の中では、漬滝、山口、三浦が今大会エントリー。2018年覇者・塩尻はこの種目を回避し、5000m出場に回っている。
学生優勝者が比較的多く出ているのもこの種目の特徴。特に順天堂大は過去、山田和人(1998・1999年)、岩水嘉孝(2001年)、塩尻、三浦の4人もチャンピオンを出している。
三浦が連覇を果たせば、山田以来33年ぶりの日本人学生連覇者となる。
資格記録順(資格記録有効期間2021年1月1日~2022年5月22日)
資格記録 | 選手 | 所属 | 自己記録 |
---|---|---|---|
8分09秒92 | 三浦龍司 | 順天堂大 | 8分09秒92 |
8分19秒96 | 山口浩勢 | 愛三工業 | 8分19秒96 |
8分20秒70 | 青木涼真 | Honda | 8分20秒70 |
8分25秒49 | 潰滝大記 | 富士通 | 8分25秒49 |
8分28秒43 | 楠康成 | 阿見AC | 8分28秒01 |
8分31秒51 | 荻野太成 | 旭化成 | 8分31秒51 |
8分37秒24 | 菖蒲敬司 | 早稲田大 | 8分37秒24 |
8分38秒20 | 松本葵 | 大塚製薬 | 8分30秒49 |
8分38秒30 | 西方大珠 | 愛三工業 | 8分38秒30 |
2022年記録順(2022年5月31日現在)
資格記録 | 選手 | 所属 |
---|---|---|
8分22秒25 | 三浦龍司 | 順天堂大 |
8分26秒19 | 青木涼真 | Honda |
8分27秒74 | 山口浩勢 | 愛三工業 |
8分30秒24 | 潰滝大記 | 富士通 |
8分32秒56 | 楠康成 | 阿見AC |
青木は4月にアメリカで、山口はオーストラリアで3月に記録したもの。それぞれシーズンイン直後の大会ではあったが、青木はトップと約2秒差、山口は優勝と勝負の面でも結果を残した中での好記録で、調子の良さをアピールしている。例年以上の仕上がりで日本選手権に挑んでくる。
5番目の楠は4月24日の兵庫リレーカーニバル2000mSCで5分29秒11の日本最高を樹立し、阪口の日本最高を0秒78更新。スピードに磨きがかかっている。
資格記録上位選手の日本選手権3000m障害物入賞歴
選手 | ‘12 | ‘13 | ‘14 | ‘15 | ‘16 | ‘17 | ‘18 | ‘19 | ‘20 | ‘21 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
三浦龍司 | 5 | 1 | ||||||||
山口浩勢 | 4 | 3 | 3 | 2 | 6 | 1 | 2 | |||
青木涼真 | 3 | 3 | 3 | |||||||
阪口竜平 | 4 | 1 | 7 | 8 | ||||||
潰滝大記 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 8 | 4 | |||
楠康成 | 2 | 6 | ||||||||
荻野太成 | 5 | 7 | ||||||||
松本葵 | 3 | 2 | 2 | 7 | 4 | 2 | 6 |
日本選手権決勝における「着順別最高記録」
順位 | 記録 | 年 |
---|---|---|
1位 | 8分15秒99 | 2021年 |
2位 | 8分19秒96 | 2021年 |
3位 | 8分20秒70 | 2021年 |
4位 | 8分25秒49 | 2021年 |
5位 | 8分27秒80 | 2021年 |
6位 | 8分29秒75 | 2021年 |
7位 | 8分32秒19 | 2021年 |
8位 | 8分34秒94 | 2021年 |
今大会は、昨年の入賞者8人の内6人がエントリーしている他に、今季自己記録を更新している若手も多くエントリーしており、昨年に続き、着順別最高記録の更新ラッシュが見られるかもしれない。
三浦龍司の主なレースにおける1000m毎通過タイム及びラップタイム
‘21五輪テスト大会 | ‘21日本選手権 | ‘21五輪予選 | ‘21五輪決勝 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通過 | 1000m毎 | 通過 | 1000m毎 | 通過 | 1000m毎 | 通過 | 1000m毎 | |
1000m | 2.46.5 | 2.46.5 | 2.48.7 | 2.48.7 | 2.43.2 | 2.43.2 | 2.50.1 | 2.50.1 |
2000m | 5.36.8 | 2.50.3 | 5.34.7 | 2.46.0 | 5.30.9 | 2.47.7 | 5.37.1 | 2.47.0 |
3000m | 8.17.46 | 2.40.7 | 8.15.99 | 2.41.3 | 8.09.92 | 2.39.1 | 8.16.90 | 2.39.8 |
日本新 | 日本新 | 日本新 |
4レースに共通するのは、2000mからのラスト1000mをほぼ2分40秒前後で走っていること。速いペースの入りであっても、ラストは2分40秒前後で切り替えられるスピードを持っているのが三浦の最大の武器。
それを踏まえると、三浦にとって日本記録更新の目安となる通過タイムは、1000m2分45秒前後、2000m5分30秒前後。大会記録更新の目安となる通過タイムは、1000m2分48秒前後、5分36秒前後となる。
場内アナウンスで読み上げられる通過タイムにぜひ耳を傾けていていただきたい。
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