2022.05.11(水)大会

【第106回日本選手権10000mハイライト】廣中、圧巻のラストスパートで2連覇!世界選手権日本代表内定、相澤は2年ぶり2回目の優勝!

2022年度の「日本チャンピオン」を決める「第106回日本陸上競技選手権大会・10000m」が5月7日夜、7月にアメリカで開催されるオレゴン2022世界選手権日本代表選手選考競技会を兼ねて、昨年の東京オリンピック会場となった東京・国立陸上競技場で開催されました。
有観客での実施が実現したなか、男子は、相澤晃選手(旭化成)が27分42秒85で先着して2年ぶり2回目の優勝を、また、女子は廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)が31分30秒34で昨年の初優勝に続く2連覇を果たしました。女子については、廣中選手とともに大会前の段階でオレゴン世界選手権参加標準記録(31分25秒00)を突破していた五島莉乃選手(資生堂)が3位となったことにより、この2名が条件を満たし、オレゴン2022世界選手権の日本代表選手に内定しました。

日没後のスタートとなったこともあり、最初に行われた男子10000m1組目がスタートした19時03分時点の気象状況は、気温19℃、湿度83%、西北西の風0.6mというもの。日中の暑さが少しやわらぎ、ほぼ無風の状況となりましたが、長距離レースを進めるうえでは蒸し暑さが気になるコンディション。続いて行われた女子決勝、そして記録上位者が出場した男子2組目も、ほぼ同様の条件下となりました。



【女子10000m】

廣中・五島がオレゴン世界選手権日本代表内定!



女子10000mは、東京オリンピック女子10000m7位の廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)、五島莉乃選手(資生堂)、小林成美選手(名城大)とともに、すでに世界選手権参加標準記録を突破していた不破聖衣来選手(拓殖大)が右アキレス腱周囲炎により欠場したことで、オープン参加の外国人選手1名を含めて、全17名で行われました。
レースは、スタートしてすぐに、五島選手が先頭に立ち、これに、矢田みくに選手(デンソー)、廣中選手らが続き、大きな集団のまま進んでいく展開に。先頭集団は、1000mを3分07秒で入りましたが、4周を回った段階で、五島選手、矢田選手、廣中選手、萩谷楓選手(エディオン、東京オリンピック5000m代表)、佐藤早也伽選手(積水化学)、カマウ・タビタ・ジェリ選手(三井住友海上、オープン)の6人に絞られました。2000mを6分14秒(この間の1000mは3分07秒、以下同じ)で通過。その後も、五島選手がトップでレースを進めましたが、次の1000mは3分10秒、3000mから4000mは3分12秒と、ペースがじりじりと落ちていきます。そんななか12周目に入る直前でカマウ選手が前に出ると、単独でリードを奪って5000mを15分45秒66(3分09秒)で通過、2位グループの先頭となった五島選手との差を4秒まで広げました。ここで佐藤選手が後れて、2位集団は五島、廣中、矢田、萩谷の4選手に。6000mは19分02秒で通過しました。



レースが動いたのは7000m直前でした。廣中選手が第2集団の先頭に立って、7000mを22分18秒で通過すると、これにつけたのは萩谷選手のみ。以降は2人のマッチレースとなりました。廣中選手は7600m手前で帽子を脱ぎ捨て、萩谷選手を突き放そうとしますが、ぴったりと食らいついた萩谷選手は、逆に、残り4周となったところで、廣中選手の前に出て9000mを28分31秒、9200mを29分09秒で通過していきます。しかし、ラスト1周の鐘が鳴る直前で、萩谷選手をかわした廣中選手がリードを奪うと、最後の400mを66秒で回るキックを見せ、一時は大きく引き離されていたカマウ選手(決勝記録31分29秒73)に迫り、31分30秒34でフィニッシュ。2年連続2回目の日本選手権者になるとともに、この種目でのオレゴン2022世界選手権日本代表の座を獲得しました。



2位の萩谷選手は、最後で廣中選手に突き放される結果となったものの初めての10000mで31分35秒67をマーク。今後、有効期間内に参加標準記録を突破した場合、この種目での日本代表入りも可能な状況に持ち込みました。3位には、中盤までレースを果敢に引っ張った五島選手が31分58秒97でフィニッシュ。世界選手権日本代表内定条件を満たしたことで、廣中選手に続く2枚目の代表切符を手に入れています。



【男子10000m】

相澤が王座奪還!2年ぶり2回目の優勝を果たす



2組タイムレースで実施された男子10000mは、前年同様に、参加資格記録上位者とオープン参加の外国人選手2名で組まれた2組目がメインレース。14名が出場した第1組、女子の決勝が行われたのちに、スタートしました。
レースは、前回と同様に、日本の実業団所属のロジャースシュモ・ケモイ選手(愛三工業)とクレオファス・カンディエ選手(三菱重工)が交互に先頭に立ち、世界選手権参加標準記録(27分28秒00)と突破が狙えるペースでレースを進めていきましたが、日本選手の上位集団のペースがなかなか上がらず、外国人両選手との差が何度も大きく開く場面が散見される展開となりました。
3600m過ぎで、来年秋に開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権をすでに獲得している井上大仁選手(三菱重工、2017年世界選手権マラソン日本代表)が日本選手の先頭に出てペースアップを図ったことで、外国人選手と日本人選手との距離が縮まり、さらに4000m過ぎから東京2020オリンピック5000m日本代表の松枝博輝選手(富士通)が井上選手に代わってトップに立ったあたりで、スタート以降6~7位で走っていた伊藤達彦選手(Honda、前回覇者、東京2020オリンピック10000m日本代表)のやや後方につけていた相澤晃選手(旭化成、東京2020オリンピック10000m日本代表)、その相澤選手をマークする位置にいた田澤廉選手(駒澤大学)が、松枝選手に続き2~3番手へと浮上してきます。松枝選手が先頭に立つ形で、5000mは13分49秒80で通過しましたが、その後、再びペースダウンして、70秒に落ち込む周回も。残り8周を切っても先頭は14人の大集団のままで、ペースをつくろうとする外国人選手との距離が開いていく状況に陥ってしまいました。



ここで流れを変えたのが、今年2月にマラソンで2時間07分55秒をマークして、井上選手同様にすでにMGCへの出場を決めている鎧坂哲哉選手(旭化成)です。7200m過ぎで日本選手の前に出てペースアップ。7200mからの周回を66秒に戻したことで、日本人の上位集団が外国人選手に再び追いつきました。鎧坂選手がリードする形で進んだ先頭集団は7800mを過ぎで松枝選手が後退。さらに8000mを通過する直前に相澤選手が鎧坂選手を抜いて先頭に立ち、8000mを過ぎたところで2番手にいた田澤選手をかわして、伊藤選手が2位に浮上するなどの動きが生じ、この周回を終えるころには上位集団は、相澤、伊藤、田澤、市田孝(旭化成)、大池達也(トヨタ紡織)、太田智樹(トヨタ自動車)の6選手に絞られる形となりました。



8400~8800mの周回で、出場者中ただ一人、世界選手権参加標準記録突破済みで、3位以内でフィニッシュすれば代表に即時内定できる状況だった田澤選手が、じりじりと後退。また、8800mからの1周で、外国人選手につくことができたのは相澤選手のみとなり、2位集団となった伊藤・市田・大池・太田の4選手とは4~5秒ほどの差ができ、勝負はほぼ、ここで決する形となりました。そのまま逃げきった相澤選手は、27分42秒85でフィニッシュ。日本記録を樹立して初優勝を果たした2020年大会以来、2回目となるタイトルを獲得するとともに、有効期間内(6月26日まで)に参加標準記録突破を果たせば、東京オリンピックに続くこの種目の代表入りが実現できる状況でレースを終えました。4選手で展開していた2・3位争いは、残り600mを切ったところで伊藤選手と市田選手が抜け出し、伊藤選手が27分47秒40で先着。伊藤選手は、連覇は果たせなかったものの、初出場となった2020年以来、2位・優勝・2位という高水準の結果です。また、市田選手は、4月に出した27分48秒22に続くセカンドベストとなる27分49秒12をマーク。2017年・2018年に並ぶ自身最上位(3位)でのフィニッシュとなりました。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


▼女子10000m優勝 廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)コメント
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/news/article/16117/

▼女子10000m3位 五島莉乃選手(資生堂)コメント
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/news/article/16118/

▼男子10000m優勝 相澤晃選手(旭化成)コメント
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/news/article/16119/


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