2023.02.06(月)大会

【日本選手権室内】2日目ハイライト/走高跳・赤松が今季室内世界3位タイで初優勝、男子三段跳は伊藤が2年連続3回目の勝利


第106回日本陸上競技選手権大会・室内競技/2023日本室内陸上競技大阪大会は、2月5日に大阪市の大阪城ホールで2日目の競技が行われました。この日は、日本選手権8種目のほか、日本室内大阪大会として実施されたU20の6種目で決勝が組まれるタイムテーブル。昨年、オレゴン世界選手権に出場した選手をはじめ、2023年屋外シーズンに開催されるブダペスト世界選手権、アジア選手権(タイ・パタヤ)、アジア大会(中国・杭州)での活躍を目指す選手たちが熱戦を繰り広げました。




走高跳・赤松が今季室内世界3位タイで初優勝

女子は髙橋が2連覇

今大会は、室内日本新記録のアナウンスを聞くことは叶いませんでしたが、大会2日目には、直走路の中央部分を利用して行われた男子走高跳が大いに盛り上がりました。オレゴン世界選手権代表で、1週間後に開催されるアジア室内の日本代表にも選出されている赤松諒一選手(アワーズ)が、室内での自己最高記録で、これまで戸邉直人選手(JAL、日本記録保持者)と真野友博選手(九電工、オレゴン世界選手権8位)が保持していた大会記録に並ぶ2m24を1回であっさりとクリアすると、大会新記録となる2m27も3回目に成功させたのです。ここで初優勝を決めると、屋外も含めた自己記録(2m28)を1cm上回る2m29に挑戦。クリアはならなかったものの1回目と3回目では非常に惜しい跳躍も見せ、昨年よりひと回りスケールアップした様子を印象づけました。
「1週間前の練習で、いい跳躍ができていたので2m29を狙っていた。最初は(スパイクの)ピンの引っかかりの悪さが気になったが、最終的には、この冬、課題にしてきたスピードを上げていく助走ができた。鋭い踏み切りができ、いい跳躍ができたと思う」と振り返った赤松選手は、初出場となるアジア室内に向けて、「今日みたいに2m29以上にバーを上げられるように、できれば(2m)30をクリアして大台に乗せたい。順位もしっかり狙っていく」と、頼もしい言葉を聞かせてくれました。2m27は、この日の段階で今季室内世界3位タイ、アジアでは今季室内最高となる好記録。アジア室内に向けて弾みをつけるパフォーマンスになるとともに、オレゴンに続く出場を狙うブダペスト世界選手権に向けても、上々のスタートとなりました。
なお、この種目で赤松選手とともに目を引く活躍を見せたのが堀井遥樹選手(ダイシンプラント)。2m18を3回目に成功させると、2m21、そして屋外での自己記録で大会記録でもあった2m24(2021年)を1回でクリアしました。続く2m27は失敗に終わったものの2位に食い込み、屋外シーズンに向けての好発進を印象づけています。

女子走高跳は、髙橋渚選手(メイスンワーク)が、昨年自身がマークした大会記録1m80までの高さをすべて1回で成功させて勝利を確定。続く1m83は、「最低でも(1m)83は跳びたいと思っていたのだが、跳び急いでしまった」とクリアはならなかったものの、頭ひとつ抜けた跳躍で、日本選手権室内2連覇を果たしました。
社会人1年目の昨年は、自己記録を1m84まで更新するとともに、日本選手権等各競技会で安定した成績を残す躍進ぶりをみせた選手。髙橋選手自身も「1m90という高さを、明確な目標として考えられるようになったのが去年だった」と言います。2023年は、「まずは1m85を安定して跳べるようになること」が課題。また、海外競技会や国際大会での実戦を増やす必要性も実感しているそうで、2月23日にはメルボルン(オーストラリア)で行われる競技会に出場します。「(海外に出ていく)機会がいただけるなら、どんどん経験していきたい」と言う髙橋選手にとって、2023年は挑戦の1年となりそうです。




男子三段跳は伊藤が2年連続3回目の勝利

男女60mは竹田と三浦が初優勝

男子三段跳は、アジア室内代表の伊藤陸選手(近畿大工業高専)が、2年連続3回目のタイトルを獲得。近畿大工業高専所属として臨む最後のチャンピオンシップを勝利で締めました。伊藤選手は、1回目に16m09を跳んでトップに立つと、3回目に15m95、4回目の15m93をマーク。今大会は、前半3回、後半2回の全5回の試技で競技が行われましたが、最終の5回目でも記録を伸ばすことはできず、1回目の記録が優勝記録となりました。16m中盤の記録をイメージしていたという伊藤選手は、ミックスゾーンで「うまくいかないな、というのが正直なところ。ホップ・ステップまではまとまったが、ジャンプまでつなげられず、まとめきれなかった」と反省しきり。しかし、冬期練習はここまで順調に積めていて、「現状としては悪くない」と、まずまずの感触も得られた様子。「冬に動くのは苦手なので、その割には頑張ったほうかな」と苦笑いしつつ、「1戦目がアジア室内でなくて良かった。あとで動画を見直して、ツメの部分を修正していきたい」と、アジア室内を見据えました。

5m20を終えた段階で、竹川倖生選手(丸元産業)、原口篤志選手(東大阪大)、石丸颯太選手(順天堂大)の3人に絞られる展開となった男子棒高跳は、続いて上げられた5m30を誰も跳ぶことができず、ここで競技が終了。記録的にはやや寂しい結果となりました。戦いを制したのは5m00、5m10を1回で跳んできた竹川選手。屋外では2021年に日本選手権者となっていますが、室内では、これが初のタイトル獲得です。もともと屋外での試合を得意としていて、「空中動作の練習をやっていなかったので、どこまで跳べるかな”という感じで臨んでいた」とのこと。「助走が走れていたことで、スウィングが速くなり、うまく動きを噛み合わせることができなかった」と反省しつつも、「助走や流れは悪くない」と手応えを得られた様子。今季は、握りを上げることで、自己記録(5m70)を5m80に乗せることを狙っています。

男子60mは、3・4レーンに入った原田暁選手(福岡大)と竹田一平選手(スズキ)が激しく競り合う展開に。「トルソーでかわせると思った」と振り返った竹田選手がフィニッシュで原田選手をかわし、同記録の6秒70ながら着差ありで、待望の日本選手権者となりました。女子60mは、前々回3位、前回2位の三浦由奈選手(筑波大)が混戦を抜けだし、2位の松本沙耶子選手(七十七銀行)に0.04秒の差をつけて先着。7秒50で初の日本選手権タイトルを手にしています。このほか男子走幅跳は、小田大樹選手(ヤマダホールディングス)が7m66で、この大会初優勝。女子走幅跳は、3回目に6m08を跳んだ熱田こころ選手(岡山陸協)が優勝。昨年、5517点まで記録を伸ばした混成競技(七種競技)よりも先に、この種目で日本チャンピオンとなりました。




ダイヤモンドアスリートの北田、U20男子棒高跳で優勝

U20男子三段跳は2年生の藤本が制す

U20男子棒高跳では、昨年、ともに5m30を跳んで、2022年高校リスト1位を2人で占めた北田琉偉選手と渡邉瑛斗選手の“大塚高コンビ”の戦いに注目が集まりました。渡邉選手はインターハイのチャンピオン。一方の北田選手は国体を制し、その後、ダイヤモンドアスリートに認定されています。2人は前回のこの大会もU20の部に出場し、このときは渡邉選手が4位、北田選手が5位の成績を残しています。春からは、北田選手は日本体育大へ、渡邉選手は筑波大へ進学。今回が、チームメイトとして、直接対決する最後の公式戦でした。
4m90から試技を始めた北田選手は、技術練習が十分でない状況下もあり、この高さの攻略に手間取ります。2回失敗して、あとがない状態で臨んだ3回目に成功させ、ホッとした様子を見せる場面も。その後は、5m00を2回目にクリア、5m10は1回できれいに決め、観客席をどよめかせました。一方、出場10選手のうち、唯一5m00から試技を開始した渡邉選手は、この高さを2回目に、5m10も2回目にクリア。同じく5m10を2回目に成功させた篠塚浩斗選手(育英大)を含め、3選手が5m20に挑む展開となりました。この高さで北田選手のみが成功(2回目)させて順位が確定。北田選手にとっては、ダイヤモンドアスリートに認定されてから初めての全国タイトル獲得となりました。
「ゴムバー(を用いての公式跳躍)のときは合っていたのだが、本番になると調子が上がって、走りが良くなり、その結果、足が詰まってしまった」という北田選手。「課題が多すぎて、うまく身体を動かせなかったという感じ」と振り返り、優勝を決めた5m20の試技も、「バーを越えるというよりも、動きを全力でやることに意識を集中させた」なかでの跳躍だったことを明かしました。優勝を決めてから挑んだ大会新記録で自己新記録でもある5m31の成功はなりませんでしたが、大学1年目となる2023年は5m80が目標。「世界に出ていくためには、このくらいは跳べないと…」と高い記録を掲げ、屋外シーズンに臨もうとしています。

U20男子三段跳は 2年生の藤本謙伸選手(社高)が1回目に15m12、3回目に15m03を跳び、トップで前半を折り返しました。動きがあったのは最終5回目の跳躍。そこまで3番手にいた高校記録保持者(16m13)の宮尾真仁選手(洛南高)が15m48を跳んでトップに躍り出たのです。しかし、最後の跳躍者としてピットに立った藤本選手が、昨年のU18競技会を制した際にマークした屋外での自己記録(15m36)を大きく更新する15m56の跳躍を見せて再逆転。藤本選手の勝利となりました。このほか、U20女子60mはインターハイチャンピオンの藏重みう選手(中京大中京高)が7秒53で優勝。同男子60mは、昨年のインターハイ200m2位の髙須楓翔選手(成田高)が、混戦を押さえて6秒77で制しています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真 :フォート・キシモト


===関連情報!===

▼第106回日本陸上競技選手権大会・室内競技/2023日本室内陸上競技大阪大会 大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1693/ 

▼ダイヤモンドアスリート特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/diamond/

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