8月5日に札幌市で行われた東京オリンピックの男子20km競歩で、この種目の日本勢歴代最高となる2位に入った池田向希選手、3位の山西利和選手が、6日夜に東京のオリンピックスタジアム(国立競技場)でメダルセレモニーに臨み、それぞれ銀メダル、銅メダルを授与されました。さらに7日には、日本オリンピック委員会(JOC)主催による日本代表選手団メダリスト記者会見に出席し、メダルを手にした感想、今後の取り組み、自身にとって競歩は何か、などの質問に答えました。主なコメントをご紹介します。
男子20㎞競歩 銀メダル 池田向希選手(旭化成)
Q:メダルを獲得し、一夜明けた感想は。
今までやってきたことをすべて出そうと決めてオリンピックに臨んだ。今は、目指していたメダルを獲得することができてよかったという気持ちでいる。
Q:銀メダルを首にかけた実感は。これまでのたくさんの悔しい思いや、山西選手になかなか勝てなかった悔しさも振り返って、目標を達成した喜びは。
昨日のメダルセレモニーで銀メダルをいただいて、銀メダルを獲得できたんだという実感がより強く沸いた。すごく重いメダルで、今までやってきたものが一つ形になったと思う。今まで何回も負け続けて悔しい思いもしてきたが、負けた時こそ反省して次につながる課題が見つかって、それが積み重なって今回のオリンピックに合わせられ、結果につながったと思う。でも今回は2位で銀メダル。まだまだ上がいることを忘れずに、これで満足せずさらに上を目指して取り組んでいきたい。
Q:今後、日本が競歩の競技人口を増やして本当の強豪国になっていくためには何をすべきと思うか。また、お二人にとって競歩とは何か。
競歩という種目は陸上競技の中でもマイナーな方だが、少しでも競歩を知ってもらって魅力を伝えられたらなと思う。自分たちがこうして世界のトップで戦えているのは、今の指導者や先輩方が苦労して土台を築き上げてくださったからこそ。感謝の気持ちも持ち続けたい。競歩は競技だけでなく、人間としても成長する部分が多くあるなと感じている。
Q:暑さ対策で会場が札幌に会場が移動になったが暑かった。事前準備もしていたと思うが、実際に競技をやってみてどうだったか。
北海道の中でも(当日の札幌は)暑いと言われていたので、数日前から暑熱対策に徹底して取り組んできた。ウォーミングアップから体を中からと外からと冷やすことを心がけた。レース中も前半の10kmまでは暑さを感じたが、今までやってきたことを信じてやれば大丈夫と思って強気な姿勢でできたので、それほど影響しなかったと思う。
Q:今後も満足することなく、と言っていたが、パリ2024オリンピックに向けて取り組んでいきたいことは。同じ旭化成の所属の選手と高めあっていきたいことなどは。
3年後にはパリオリンピックがあるし、来年には世界選手権も控えている。まだ出場できることも決まっていないので、まず国内の選考レースを勝ち抜くことが大切だと思っている。所属の先輩や同期の川野(将虎選手=男子50km競歩6位)の存在は本当に大きい。日々刺激をもらい、切磋琢磨して高めあう中でやらせてもらっていることは自分の強みにもなっているので、今後も生かしていきたい。
Q:競技は違うが、柔道では同じ旭化成所属の大野将平選手、永瀬貴規選手が金メダルを獲得した。金メダルを取るために聞いてみたいことはあるか。
東京オリンピックの柔道はテレビで見たが、試合に対する目つきが一番印象に残っている。特に大野選手の、絶対に勝つ、負けないんだという目つきは、いろいろ学ばせていただくことがあると思った。自分は今年入社したばかりでまだ会ったこともないが、今後会ってお話しさせていただく機会があったら、試合に向かう心構えや気持ちの強さ、秘訣などを伺いたい。
男子20㎞競歩 銅メダル 山西利和選手(愛知製鋼)
Q:メダルを獲得し、一夜明けた感想は。
金メダルを目指してやってきたし、結果としてそうでなかったことは少し残念ではあるが、これも一つの結果というか、やってきたことの形だと思うので、受け止めてまた次に向かっていけばいいんじゃないか。
Q:レース後はすごく悔しそうだったが、メダルセレモニーも経てどう心境は変化し、悔しさを消化したか。
いろいろ思うこともあって、あまり言葉にできていないが、この結果を受け止めて次に行くしかないんだろうなということと、この反省から自分の甘さや弱さが見えると思う。これからもそこと向き合っていくんだろうと思う。
Q:今後の予定は。また、課題とどう向かうか。
今後の予定はまだ白紙。少し休みながらコンディションも見て考えたい。具体的な課題は、今回のレースは多少マークされた中でのレースだったが、それを弾き返すだけの力がなかっただけだと思う。おそらく、やってきたことは大きく間違っていない。だからこそのメダルだと思う。路線としてはこれまでと大きく変わることはないという認識の下で、今まで通り粛々と進んでいけばいいのではないか。地力を上げていくことがメインの目的になる。
Q:レース後に(出身地の)京都時代の恩師、同級生、知人などと連絡、やりとりはあったか。
あらゆる方々からメッセージやメールなどをいただいた。そういう方々は私が金メダルを目指していたことを知っているので、悔しがっているだろうということを酌みつつも、やってきたことの結果の銅メダルだし、レース展開も含めてよかったと言っていただいたのはうれしかった。
Q:今後、日本が競歩の競技人口を増やして本当の強豪国になっていくためには何をすべきと思うか。また、お二人にとって競歩とは何か。
競歩は、他のスポーツがそんなに得意でない選手、スポーツをやりたいけれど他のスポーツで伸び悩んでいる子たちも含めて、コツコツと目標を定め毎日少しずつ積み重ねていくことで結果を出していける種目。高校生や若い世代がチャレンジしてくれるとうれしい。日々の積み重ね、継続が最も力になる。才能も多少はあるが、それよりも努力で埋められるファクターがすごく大きい種目なので、ぜひチャレンジしてほしい。競歩とは、僕という体を使いながら作っていく一つの表現のようなものだと思っている。
Q:山西選手にとって競歩とは「体を使いながら作っていく表現」と言っていたが、もう少し詳しく聞かせてほしい。
もちろん、勝ち負けを競っているからこそ面白い。一方で、陸上競技の中で唯一、失格のある種目でもあるし、速さと美しさの二つの観点から両立させていく面白さや、そこをどのように突き詰めていくかが、個人的には楽しいと思っている。追及していく過程で得られるものが楽しいし、その瞬間に選手として報われるのだと思う。過程の中で積み上げたもの、感じたもの、得たものを最後にすべて吸い込んで表現していくのが僕にとってのレース。見る方に何か伝わるものがあるといいな、と思いながらレースに出ているので、「表現」という言い方をした。
Q:暑さ対策で会場が札幌に会場が移動になったが暑かった。事前準備もしていたと思うが、実際に競技をやってみてどうだったか。
札幌にしては暑かったのだと思うが、極端に暑かったわけではないし、これまで日本チームが築き上げてきた暑熱対策のメソッドを投入すれば対応できるものだったのではないか。だからこそのメダルという結果だと思うし、(日本陸連)科学委員会やコーチ陣を含めて取り組んでくださった方々への感謝でいっぱい。
写真提供:アフロスポーツ
🔽【東京オリンピック メダリスト会見】男子20km競歩銀メダル 池田向希選手、銅メダル 山西利和選手
■【東京オリンピック】池田向希・山西利和が男子20km競歩で日本人初のメダル獲得!~7日目アフタヌーンセッション選手コメント~
https://www.jaaf.or.jp/olympic/tokyo2020/news/article/15417/
■【東京オリンピック】~7日目アフタヌーンセッション・イブニングセッションハイライト~
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