2021.01.26(火)その他

第2回ライフスキルトレーニングプログラム レポート ~目標に向けて、自分にできることを~



日本陸連は1月17日、株式会社東京海上日動キャリアサービスのサポートを受けて昨年12月からスタートさせた「ライフスキルトレーニング」の第2回全体講義を開催しました。この日のプログラムも初回同様に、スポーツ心理学博士の布施努特別講師による講義と、実際に社会で活躍する元トップアスリートをゲストに迎えて行うワークショップの2部構成で展開。募集と審査により第1期生として選出された大学生アスリートたち( https://www.jaaf.or.jp/news/article/14514/)が、オンラインで参加しました。

昨年12月7日に行われた1回目の講義で、「ライフスキルとは?」「ライフスキルトレーニングによって、何ができるようになるか」「具体的に、どんな考え方や取り組み方を身につけていくのか」といった概要に触れた受講者たち。今回の講義は、まず、出されていた課題を発表していくところから始まりました。
その課題というのは、1回目の講義で紹介された考え方「目標を使いきる」の実践です。受講者たちは、各自で「①自分のありたい将来を描き、大きな目標から逆算して小さな目標を具体的に書き出す。②小さな目標を最高目標と最低目標に分ける。③②を達成するための役割性格を設定して演じる」ことに挑戦し、①~③のプロセスと変化を記録し続けることに取り組んできました。ここでは指名を受けた3人が、自身の例を報告。布施特別講師は、「この点が素晴らしい」「こうするともっと良くなる」と具体的なコメントを返しながら、改めて「役割性格の大切さ」「新しい仮説をつくる際に意識すること」「目標は“なりたい自分”から逆算して設定する」「評価は他者との比較でなく、“なりたい自分”に近づけているかで判断」などのポイントを受講者たちに示しました。
そして、講義は、この日の本題へ。まず、「オリンピックでメダルを獲得するアスリートに共通する特徴」として、①楽観主義、②完璧主義、③内発的モチベーション、④オートマチズム、⑤ピーキングの5つが挙げられ、時間との兼ね合いから、ここでは①②③に絞って考察が行われました。
布施特別講師は、オリンピックメダリストにみられる共通の特徴として、 

①現実をしっかりと捉えたうえでの「楽観主義」:メダリストは、自分に「できること」と「できないこと」を把握していて、想定外の状況に陥った場合でも、そのなかで「できること」にフォーカスして、ベストを尽くすことができる、
②完璧でなくとも勝つ「完璧主義」:試合では常に完璧な状態が整うとは限らないが、メダリストは、予期せぬ事態が起きたときでも、仮説→実行→結果→判断のサイクルを回し続けて、最後までやりきることができる、
③「内発的モチベーション」に焦点を当てる:メダリストは、モチベーションの源を、外発的なもの(大会での結果、他者との比較)以上に、自身の内面に見出す。「究極の何か」を求めて取り組むことで、常に高いモチベーションを維持できている、

と解説したうえで、項目ごとに一定のシチュエーションを提示して、少人数でのブレイクアウトセッションを実施。受講者たちは、講義に戻ってブレイクアウトセッションで議論された内容を紹介しあうなかで、メダリストに共通する思考方法を共有するとともに、自身が取り入れるための具体的なノウハウを学びました。
また、布施特別講師は、最後に内容を振り返った際、「こうした思考法や対処の仕方を身につけておくことは競技力アップに繋がるだけでなく、社会に出たときにも役立てることができる」と述べ、「スポーツの世界で身につけておけば、次のステージで使えるギフトになるので、しっかりやっていきましょう」と受講者たちを鼓舞し、この日の講義を終了しました。

続いて行われた第2部は、元競泳選手で、現在は法曹界で活躍する小林聖子弁護士(弁護士法人みやこ法律事務所)がオンラインで参加。「未来の自分に役立てる能力を育てる」をテーマとする講話を行ったあと、東京海上日動キャリアサービスの田﨑博道代表取締役社長による進行で、受講者たちとの質疑応答が行われました。



3歳から水泳を始めた小林弁護士は、小学3年から競泳に取り組み、背泳ぎで国体優勝をはじめ全国大会で活躍、1999年度には世界ランキング7位(200m)、8位(100m)の実績を残しました。しかし、腰を痛めたことが原因で競技は大学3年時でリタイア。その後、燃え尽き症候群の状態に陥り、大学卒業後はアルバイト生活を送った時期もあったそうですが、高校時代から抱いていた「弁護士になる」という新たな目標に取り組む決意のもと法科大学院進学を果たし、卒業後、司法試験に挑戦して合格。司法修習を経て2018年から弁護士として活躍しています。
講話のなかで小林弁護士は、トップアスリートが備えている、社会生活においても活かすことができる能力として、①目標設定能力、②自己分析能力、③集中力、④継続力、⑤コミュニケーション能力、⑥共感力、⑦再始動力の7つを挙げ、トップアスリートが各能力を競技場面で活用していることを述べたあと、それらの能力を仕事や生活の場面でどう応用できるかを自身の経験も交えつつ説明。「これらの能力を有していても、日ごろから意識して磨いているかどうかで、その活かし方には差が出てくる。意識の持ち方が大切」と話しました。そして、最後に「皆さんが今やっていることは、これから先、皆さんが頑張るときに、必ず皆さんを助けてくれます。そこだけは間違いのないことなので、今、一生懸命やっていることを信じて、目標を持って取り組んでください」という励ましの言葉でワークショップを締めくくりました。
実は、この日、小林弁護士は、緊急事態宣言中のためリモートでの登壇となりましたが、突如想定とは異なる状況下で中継することになったものの、臨機応変に高い集中力でクオリティの高いプレゼンテーションを展開し、受講者たちとの質疑応答でも、やわらかな物腰で対応しながら、鋭い観察眼や分析力を感じさせる的確な回答を披露。受講者たちは、講話で挙げられた7つの能力が存分に活用されている実例を、正に実感することとなりました。

最後に田﨑社長が挨拶に立ち、「緊急事態宣言で、さまざまなことが厳しい状況になっているが、そんななかにあっても、大事になってくるのは、自分のできること、やるべきことをしっかりやり続けることができるかどうか。それがスポーツでも、ビジネスでも同じことを、小林弁護士の話からもわかっていただけたと思う」と述べて、全体講義を終えました。今後は、2週間後に少人数でのグループセッションを行い、2月に実施する第3回の全体講義へと進んでいきます。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


■ライフスキルトレーニングプログラム特設サイトはこちら
https://www.jaaf.or.jp/lst/

■~競技パフォーマンス向上とキャリア自立の両立を目指して~第一回ライフスキルトレーニングプログラム レポート
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14540/

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