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9月27日(金)から10月6日(日)の10日間、カタールの首都ドーハで「第17回世界選手権」が開催される。ここでは、日本人が出場する種目を中心に、「記録と数字で楽しむドーハ世界選手権」を紹介する。
なお、これまでにこの日本陸連HPで各種の競技会の記事で筆者が紹介したことがある同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに修正した。
今回エントリーしている日本人選手の2019年ベストと自己ベストは、19年の記録順に、
ウォルシュ・ジュリアン(富士通/45秒13=2019年)
佐藤拳太郎(富士通/45秒91。45秒58=15年)
若林 康太(駿河台大4年/46秒04。45秒81=18年)
河内 光起(近大4年/46秒05。45秒96=18年)
田村 朋也(住友電工/46秒28。45秒84=17年)
伊東利来也(早大3年/46秒33。45秒79=18年)
井本 佳伸(東海大2年/46秒61。45秒82=18年)
これに今季200mで20秒29(ベストは20秒11=16年)をマークしている飯塚 翔太(ミズノ)が加わる。
今季の400mの記録の上位4人の合計(45秒13・45秒91・46秒04・46秒05)は、「3分03秒13」。自己ベストの合計(45秒13・45秒58・45秒79・45秒81)は、「3分02秒31」だ。この中に飯塚は入っていないが、200mの走力からすると45秒台の力はあるだろう。
1932年五輪 5位
1996年五輪 5位
2004年五輪 4位
2007年 7位
「表」は、1600mRに出場する16カ国について、今回の世界選手権の400m準決勝終了時点での2019年のシーズンベストまとめたものだ。400mや1600mRにエントリーされていない選手の記録が含まれているかもしれないが、「上位4人の合計」と「10傑平均記録」も付記した。「マイルリレー」を占うための目安になりそうだ。
なお、参考までに9月22日時点での「エントリー記録による上位4人の合計記録」も最後に付記したが、アメリカが2人しかエントリーしていなかったり、他種目(200m、800m、400mHなど)にエントリーしている選手も起用できるので、あまり参考にならないかもしれない。
国名 順)合計記録 1位 2位 3位 4位 ~10位 順)10傑平均 順)4人合計
USA 1) 2.55.57 43.45 43.64 44.23 44.25 ~44.69 1) 44.242 *****
JAM 2) 2.59.10 44.40 44.66 44.85 45.19 ~45.61 2) 45.160 1) 2.59.16
BOT 3) 3.00.15 44.99 45.00 45.07 45.09 ~46.56 3) 45.568 2) 3.00.65
RSA 4) 3.01.51 45.17 45.19 45.39 45.76 ~46.40 4) 45.895 3) 3.01.51
COL 5) 3.01.81 44.55 45.02 46.02 46.22 ~47.50 12) 46.439 4) 3.01.84
TTO 6) 3.01.96 44.41 45.47 45.92 46.05 ~47.09 10) 46.230 9) 3.03.03
GBR 7) 3.01.91 45.15 45.15 45.77 45.84 ~46.46 5) 46.039 5) 3.01.91
ITA 8) 3.02.37 44.77 45.59 45.85 46.16 ~46.71 7) 46.137 6) 3.02.37
IND 9) 3.02.50 45.21 45.37 45.75 46.17 ~46.84 8) 46.181 11) 3.03.56
BEL 10) 3.02.51 45.03 45.61 45.73 46.14 ~47.21 11) 46.350 7) 3.02.51
QAT 11) 3.02.88 44.60 45.88 46.07 46.33 ~***** ****** 8) 3.02.88
JPN 12) 3.03.13 45.13 45.91 46.04 46.05 ~46.54 6) 46.122 10) 3.03.13
FRA 13) 3.03.59 45.79 45.81 45.93 46.06 ~46.76 9) 46.185 12) 3.03.59
ESP 14) 3.04.68 45.83 46.24 46.29 46.32 ~47.00 13) 46.487 14) 3.05.05
AUS 15) 3.04.70 45.54 46.09 46.17 46.90 ~47.13 14) 46.543 13) 3.04.62
CZE 16) 3.06.26 46.37 46.55 46.61 46.73 ~47.34 15) 46.920 15) 3.07.27
これによると、シーズンベスト上位4人の合計で日本は12位。8位のイタリア(3分02秒37)とのタイム差は0秒76で、ひとりあたり0秒19差。距離にしてひとり2m弱、400mで1歩弱速く走れるかどうかという差だ。
過去の世界大会での各国のフラットのシーズンベストとリレーでのスプリットを分析した筆者のデータによると、2走以降は加速がつくので、フラットの記録よりもひとりあたり0秒7前後、2~4走のトータルで2秒くらいのタイムの短縮が可能である。3分00秒76の日本記録(1996年アトランタ五輪5位)の23年ぶりの更新も十分に射程圏内といえよう。
2001年 3.01.42 3.01.65
2003年 3.02.35 3.02.89
2005年 3.02.86 3.03.17
2007年 3.02.49 3.02.59
2009年 3.03.23 3.02.78
2011年 3.00.97 3.01.54
2013年 3.01.09 3.01.73
2015年 2.59.80 2.59.95
2017年 3.01.88 3.01.98
「決勝に進めなかった最高記録」は、上記の通り2015年の2分59秒95(ボツワナ。予選・第2組5着)で、この組では2分59秒80までが決勝進出というハイレベルで、予選2組トータルで9カ国が2分台、3分00秒台2カ国、01秒台で2カ国が走った。しかし、この年を除くと、3分00秒台~01秒台が決勝進出へのボーダーラインになることが多いようだ。予選で日本記録(3分00秒76)前後を出すことが「ファイナル」への最低条件か?
ちなみに日本記録(3分00秒76/1996年アトランタ五輪5位)を出した時の4人の1995年から96年のレース直前までのベストは、1走から順に苅部俊二46秒38、伊東浩司46秒23、小坂田淳46秒03、大森盛一46秒00で合計は、3分04秒64だった。これと条件を同じにした18年と19年の上位4人のベストの合計は、3分02秒63でそれを2秒01上回っている。19年の記録でも3分03秒13で1秒51上回る。とはいえ、日本記録の時は、苅部45秒88・伊東44秒86・小坂田45秒08・大森44秒94でカバーし4人ともフラットの記録を大きく上回る好走だった。今回のメンバーにもフラットのタイムを上回る快走を見せてもらって、23年ぶりの日本記録の更新と「2分台」そして「初メダル」を期待したい。
年 1位 3位 8位
1983年 3.00.79 3.03.63 DNF
1987年 2.57.29 2.59.16 DNS
1991年 2.57.53 3.00.10 3.05.33
1993年 2.54.29 2.59.99 3.05.35
1995年 2.57.32 3.03.18 DNS
1997年 2.56.65 3.00.26 DQ(1位アメリカ2.56.47が薬物違反で失格)
1999年 2.58.91 3.00.20 DQ(1位アメリカ2.56.45が薬物違反で失格)
2001年 2.58.19 2.59.71 DQ(2位アメリカ2.57.54が薬物違反で失格)
2003年 2.58.96 3.00.53 DQ(1位アメリカ2.58.88が薬物違反で失格)
2005年 2.56.91 2.58.07 DQ(6位トリニダードトバゴ3.01.60で失格)
2007年 2.55.56 3.00.05 3.07.40
2009年 2.57.86 3.00.90 3.02.73
2011年 2.59.31 3.00.10 DQ(4位ロシア3.00.22が薬物違反で失格)
2013年 2.58.71 3.00.88 DQ(3位ロシア2.59.90が薬物違反で失格)
2015年 2.57.82 2.58.51 3.03.05
2017年 2.58.12 2.59.00 3.01.79
1)2.54.29 1993年=アメリカ
2)2.56.75 1997年=ジャマイカ
3)2.58.07 2005年=ジャマイカ
4)2.58.51 2015年=ジャマイカ
5)3.00.24 2015年=ベルギー
6)3.00.46 1993年=キューバ
7)3.01.16 2011年=イギリス
8)3.01.37 2011年=ドイツ
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
9月27日(金)から10月6日(日)の10日間、カタールの首都ドーハで「第17回世界選手権」が開催される。ここでは、日本人が出場する種目を中心に、「記録と数字で楽しむドーハ世界選手権」を紹介する。
なお、これまでにこの日本陸連HPで各種の競技会の記事で筆者が紹介したことがある同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに修正した。
★男子4×400mリレー★
5月の「世界リレー」で4位となった日本が、五輪を含めて「史上初」の「メダル」に挑む。今回エントリーしている日本人選手の2019年ベストと自己ベストは、19年の記録順に、
ウォルシュ・ジュリアン(富士通/45秒13=2019年)
佐藤拳太郎(富士通/45秒91。45秒58=15年)
若林 康太(駿河台大4年/46秒04。45秒81=18年)
河内 光起(近大4年/46秒05。45秒96=18年)
田村 朋也(住友電工/46秒28。45秒84=17年)
伊東利来也(早大3年/46秒33。45秒79=18年)
井本 佳伸(東海大2年/46秒61。45秒82=18年)
これに今季200mで20秒29(ベストは20秒11=16年)をマークしている飯塚 翔太(ミズノ)が加わる。
今季の400mの記録の上位4人の合計(45秒13・45秒91・46秒04・46秒05)は、「3分03秒13」。自己ベストの合計(45秒13・45秒58・45秒79・45秒81)は、「3分02秒31」だ。この中に飯塚は入っていないが、200mの走力からすると45秒台の力はあるだろう。
五輪を含めたこれまでの日本チームの入賞は、
1932年五輪 5位
1996年五輪 5位
2004年五輪 4位
2007年 7位
世界選手権での日本チーム最高記録は、
1991年 3分01秒26「表」は、1600mRに出場する16カ国について、今回の世界選手権の400m準決勝終了時点での2019年のシーズンベストまとめたものだ。400mや1600mRにエントリーされていない選手の記録が含まれているかもしれないが、「上位4人の合計」と「10傑平均記録」も付記した。「マイルリレー」を占うための目安になりそうだ。
なお、参考までに9月22日時点での「エントリー記録による上位4人の合計記録」も最後に付記したが、アメリカが2人しかエントリーしていなかったり、他種目(200m、800m、400mHなど)にエントリーしている選手も起用できるので、あまり参考にならないかもしれない。
【表/男子1600mリレーの出場16国2019年ベストの上位4人の合計記録と10傑平均、エントリー記録の上位4人の合計記録】
2019年ベストによる上位4人の合計および10傑平均記録 エントリー記録国名 順)合計記録 1位 2位 3位 4位 ~10位 順)10傑平均 順)4人合計
USA 1) 2.55.57 43.45 43.64 44.23 44.25 ~44.69 1) 44.242 *****
JAM 2) 2.59.10 44.40 44.66 44.85 45.19 ~45.61 2) 45.160 1) 2.59.16
BOT 3) 3.00.15 44.99 45.00 45.07 45.09 ~46.56 3) 45.568 2) 3.00.65
RSA 4) 3.01.51 45.17 45.19 45.39 45.76 ~46.40 4) 45.895 3) 3.01.51
COL 5) 3.01.81 44.55 45.02 46.02 46.22 ~47.50 12) 46.439 4) 3.01.84
TTO 6) 3.01.96 44.41 45.47 45.92 46.05 ~47.09 10) 46.230 9) 3.03.03
GBR 7) 3.01.91 45.15 45.15 45.77 45.84 ~46.46 5) 46.039 5) 3.01.91
ITA 8) 3.02.37 44.77 45.59 45.85 46.16 ~46.71 7) 46.137 6) 3.02.37
IND 9) 3.02.50 45.21 45.37 45.75 46.17 ~46.84 8) 46.181 11) 3.03.56
BEL 10) 3.02.51 45.03 45.61 45.73 46.14 ~47.21 11) 46.350 7) 3.02.51
QAT 11) 3.02.88 44.60 45.88 46.07 46.33 ~***** ****** 8) 3.02.88
JPN 12) 3.03.13 45.13 45.91 46.04 46.05 ~46.54 6) 46.122 10) 3.03.13
FRA 13) 3.03.59 45.79 45.81 45.93 46.06 ~46.76 9) 46.185 12) 3.03.59
ESP 14) 3.04.68 45.83 46.24 46.29 46.32 ~47.00 13) 46.487 14) 3.05.05
AUS 15) 3.04.70 45.54 46.09 46.17 46.90 ~47.13 14) 46.543 13) 3.04.62
CZE 16) 3.06.26 46.37 46.55 46.61 46.73 ~47.34 15) 46.920 15) 3.07.27
これによると、シーズンベスト上位4人の合計で日本は12位。8位のイタリア(3分02秒37)とのタイム差は0秒76で、ひとりあたり0秒19差。距離にしてひとり2m弱、400mで1歩弱速く走れるかどうかという差だ。
過去の世界大会での各国のフラットのシーズンベストとリレーでのスプリットを分析した筆者のデータによると、2走以降は加速がつくので、フラットの記録よりもひとりあたり0秒7前後、2~4走のトータルで2秒くらいのタイムの短縮が可能である。3分00秒76の日本記録(1996年アトランタ五輪5位)の23年ぶりの更新も十分に射程圏内といえよう。
21世紀以降の「決勝進出の最低ライン(通過最低記録)」と「決勝に進めなかった最高タイム(落選最高記録)」は以下の通りだ。
年 通過最低 落選最高2001年 3.01.42 3.01.65
2003年 3.02.35 3.02.89
2005年 3.02.86 3.03.17
2007年 3.02.49 3.02.59
2009年 3.03.23 3.02.78
2011年 3.00.97 3.01.54
2013年 3.01.09 3.01.73
2015年 2.59.80 2.59.95
2017年 3.01.88 3.01.98
「決勝に進めなかった最高記録」は、上記の通り2015年の2分59秒95(ボツワナ。予選・第2組5着)で、この組では2分59秒80までが決勝進出というハイレベルで、予選2組トータルで9カ国が2分台、3分00秒台2カ国、01秒台で2カ国が走った。しかし、この年を除くと、3分00秒台~01秒台が決勝進出へのボーダーラインになることが多いようだ。予選で日本記録(3分00秒76)前後を出すことが「ファイナル」への最低条件か?
ちなみに日本記録(3分00秒76/1996年アトランタ五輪5位)を出した時の4人の1995年から96年のレース直前までのベストは、1走から順に苅部俊二46秒38、伊東浩司46秒23、小坂田淳46秒03、大森盛一46秒00で合計は、3分04秒64だった。これと条件を同じにした18年と19年の上位4人のベストの合計は、3分02秒63でそれを2秒01上回っている。19年の記録でも3分03秒13で1秒51上回る。とはいえ、日本記録の時は、苅部45秒88・伊東44秒86・小坂田45秒08・大森44秒94でカバーし4人ともフラットの記録を大きく上回る好走だった。今回のメンバーにもフラットのタイムを上回る快走を見せてもらって、23年ぶりの日本記録の更新と「2分台」そして「初メダル」を期待したい。
世界選手権での1・3・8位は、
年 1位 3位 8位
1983年 3.00.79 3.03.63 DNF
1987年 2.57.29 2.59.16 DNS
1991年 2.57.53 3.00.10 3.05.33
1993年 2.54.29 2.59.99 3.05.35
1995年 2.57.32 3.03.18 DNS
1997年 2.56.65 3.00.26 DQ(1位アメリカ2.56.47が薬物違反で失格)
1999年 2.58.91 3.00.20 DQ(1位アメリカ2.56.45が薬物違反で失格)
2001年 2.58.19 2.59.71 DQ(2位アメリカ2.57.54が薬物違反で失格)
2003年 2.58.96 3.00.53 DQ(1位アメリカ2.58.88が薬物違反で失格)
2005年 2.56.91 2.58.07 DQ(6位トリニダードトバゴ3.01.60で失格)
2007年 2.55.56 3.00.05 3.07.40
2009年 2.57.86 3.00.90 3.02.73
2011年 2.59.31 3.00.10 DQ(4位ロシア3.00.22が薬物違反で失格)
2013年 2.58.71 3.00.88 DQ(3位ロシア2.59.90が薬物違反で失格)
2015年 2.57.82 2.58.51 3.03.05
2017年 2.58.12 2.59.00 3.01.79
決勝での「着順別最高記録」は、以下の通り。
1)2.54.29 1993年=アメリカ
2)2.56.75 1997年=ジャマイカ
3)2.58.07 2005年=ジャマイカ
4)2.58.51 2015年=ジャマイカ
5)3.00.24 2015年=ベルギー
6)3.00.46 1993年=キューバ
7)3.01.16 2011年=イギリス
8)3.01.37 2011年=ドイツ
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト