2019.06.30(日)大会

【第103回日本選手権】3日目ハイライト

第103回日本選手権も、6月29日で大会3日目。断続的に雨が降るとされていた天気予報ほどの悪条件には至らなかったものの、競技が実施されている時間帯は分厚い雲が低く垂れ込め、時折雨模様となるグラウンドコンディションとなったこの日は、トラックで4種目、フィールドで4種目の決勝が行われるタイムテーブル。このほか、パラ種目として、男女混合4×100mユニバーサルリレーが行われました。

曇りの時間帯に行われた女子ハンマー投では、1回目に61m92をマークしてトップに立った渡邊茜選手(丸和運輸機関・福岡)が、2回目に64m48、3回目には64m59まで記録を伸ばして、3年ぶり2回目の優勝を達成。昨年の同種目インターハイとU20日本選手権を制している渡邉ももこ選手(筑波大・福井)がU20日本記録に20cmまで迫る59m30(U20日本歴代2位)の好記録をマークして5位に食い込む結果を残しました。一方、雨が降ったりやんだりという条件下で行われた男子ハンマー投では、雨に濡れたことによって、ひどく滑るようになったサークルに苦慮する選手が続出するなかでの競技となりました。70mを超える自己記録を持つ選手が思うように記録を伸ばせないなか、ベテランの赤穂弘樹選手(まなびや園・鳥取)が5回目に66m64をマークして、7位からトップに浮上し、初優勝を果たしました。

女子3000mSCは、中盤でトップに立った吉村玲美選手(大東文化大・神奈川)が2000mを過ぎてから大きくリードを広げ、9分50秒44のU20日本新記録で初優勝。続いて行われた男子3000mSC決勝は、序盤は阪口竜平選手(東海大・京都)が先頭を引っ張りましたが、中盤を過ぎたあたりで塩尻和也選手(富士通・群馬)が追いつき、2人のマッチレースとなりました。この競り合いは、ラスト1周を通過しても続きましたが、塩尻選手がバックストレートに入るところの障害をうまく越えられずに勢いを失うと、その次の障害も越えられずに転倒するアクシデントに見舞われてしまいました。阪口選手は、その後も差を広げて、自己記録を大きく更新する8分29秒85で先着。世界選手権参加標準記録の8分29秒00にはわずかに届かなかったものの、初のタイトルを獲得しました。2位で続いた打越雄允選手(大塚製薬・徳島)も8分35秒39の自己新記録をマーク。予選で8分39秒37の高校新・U18日本新記録を樹立していた三浦龍司選手(洛南高・京都)は8分40秒30と記録の更新はなりませんでしたが、シニア選手のなかで堂々たるレースを展開し、5位に食い込む健闘を見せました。なお、失速した塩尻選手は8分51秒44・8位でのフィニッシュとなりました。

追い風0.6mのなか行われた女子100mHは、アジア選手権チャンピオンの木村文子選手(エディオン・広島)が、前回覇者の青木益未選手(七十七銀行・宮城、2位・13秒15=自己新)や昨日の準決勝でトップタイムを叩き出していた寺田明日香選手(パソナグループ・東京、3位・13秒16)との激しい競り合いを制して、13秒14で2年ぶり6回目のタイトルを獲得するとともに、世界選手権代表の座を手に入れました。また、男子400mHでは、安部孝駿選手(ヤマダ電機・群馬)がセカンドベストで、今季世界8位タイとなる48秒80の好記録をマークして2年ぶり2回目のV。ドーハ世界選手権の代表に内定するとともに、東京オリンピックの参加標準記録(48秒90)も突破しました。2位には今季急成長を遂げている豊田将樹選手(法政大・京都)が学生歴代8位となる49秒05まで自己記録を更新。再び世界選手権の参加標準記録(49秒30)を上回りました。このほか、男子三段跳では、山下航平選手(ANA・東京)が16m45(+0.5)で2連覇を達成しています。

男子棒高跳は、澤野大地選手(富士通・千葉)、山本聖途選手(トヨタ自動車・愛知)、江島雅紀選手(日本大・神奈川、ダイヤモンドアスリート修了生)の「ベテラン×中堅×新鋭対決」が繰り広げられました。5m51をクリアしたのは、この3選手のみ。最初の高さとして臨んだ5m41を1回目で、続く5m51を2回目に成功した澤野選手が優位に立って勝負は進んでいきます。5m61にバーが上がると、まず江島選手が2回目に成功しましたが、越えることができなかった山本選手はここで競技を終了。また、5m61を2回失敗した澤野選手は、3回目をパスして、世界選手権参加標準記録でもある5m71の1回目に勝負をかける戦略をとりましたが、クリアはかなわず、教え子の江島選手に続く2位で競技を終えました。初優勝が決まった江島選手は、5m71の3回目で非常に惜しい跳躍を見せましたが成功はならず、5m61での戴冠となりました。

これらの決勝種目以外では、男子110mHで予選・準決勝が行われたほか、女子800m、男子1500m、男女200mの4種目で予選が行われています。記録と勝負の面で注目種目として挙がっている男子110mHでは、優勝候補の1人である泉谷駿介選手(順天堂大・神奈川)が-2.5mという強い向かい風のなか行われた予選で、学生歴代2位タイ、U20日本最高記録となる13秒53の自己新記録をマーク。準決勝では、13秒44(-0.7)をマークした高山峻野選手(ゼンリン・東京)が全体のトップで決勝へ。石川周平選手(富士通・東京)が13秒51(+0.1)、泉谷選手が13秒54(-0.7)で続く形となりました。なお、昨年、この大会で日本記録(13秒36)を樹立した金井大旺選手(ミズノ・福井)は、不正スタートにより失格となる痛恨のミスで、決勝に駒を進めることができずに終わりました。

男子200m予選では、前日の100mで上位を占めたサニブラウン・アブデルハキーム選手(フロリダ大、20秒84、-1.8)、桐生祥秀選手(日本生命・東京、20秒92、+1.1)、小池祐貴選手(住友電工・大阪、20秒62、-0.1)は、それぞれ順当に翌日の決勝に進出。このほかダイヤモンドアスリート修了生の山下潤選手(筑波大・福島)、白石黄良々選手(セレスポ・東京)などが予選を突破しました。その一方で、前日の100mで4位に入っている前回覇者の飯塚翔太選手(ミズノ・静岡)は、50m付近で右大腿後部を痛めて途中棄権。レース後、主催者を通じて、「調子が良かったのでとても残念。自分ができる準備をして、できる限り早く復帰し、良い走りをしたい」とのコメントを発表しました。

また、この大会では近年、パラ種目をいくつか実施していますが、今年は、その1つとして男女混合4×100mユニバーサルリレーが行われました。5月に行われたセイコーゴールデングランプリで48秒14の日本新記録を樹立した日本A(澤田優蘭・井谷俊介・高松佑圭・生馬知季)が出場。日本記録の更新はなりませんでしたが、48秒53でフィニッシュしました。なお、このほかパラ種目は、最終日に男子1500mT54が予定されています。

最終日の6月30日(日)は、実施される全種目が決勝となります。競技は、12時15分に開始される女子三段跳からスタート。このほか、フィールド種目は、男子走幅跳、女子走高跳、男女砲丸投の5種目が行われます。

トラックでは、14時10分からサブイベントとして、日本陸連公式マスコットキャラクターの“アスリオン”などが出場する「ゆるキャラ50m」でスタート。オープン競技としてマスターズ種目の100mと1500mが初めて実施されたのち、男子1500m、女子800m、女子400mH、女子5000m、男子110mH、女子200mと決勝種目が続きます。第103回大会最終種目となる男子200m決勝は、17時45分にスタートの予定。競技日程や出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は、公式ホームページをご参照ください。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

   
   
   

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