このページでは、第101回日本選手権の記録や数字に関しての少々(かなり?)マニアックな「みどころ」などを紹介します。
★日本選手権・決勝での「着順別最高記録」
別ページで紹介した通り、2017年の日本10傑は、シーズン途中にして歴代最高のハイレベル。これまでの日本選手権・決勝での「着順別最高記録」は、以下の通りで、「9秒台」とともに各順位の歴代記録の更新にも注目!!
<日本選手権・決勝での着順別最高記録>
・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1着)10.05 2002年
2着)10.17 2016年/10.12w 1999年
3着)10.21 2004年
4着)10.28 2009年/10.22w 1999年
5着)10.35 1998・2004・2013・2014年/10.25w 1999年
6着)10.36 2013年/10.28w 1999年
7着)10.36 2013年/10.28w 1999年
8着)10.38 2014年/10.30w 1999年
前回大会を20秒11の日本歴代2位の好タイムで制し連覇を目指す飯塚翔太選手(ミズノ)が6月4日に100mを10秒08で走り自己ベストを0秒14更新。
6月19日現在の世界歴代リストで200mを19秒台で走った選手は66人(295回)。
100mの9秒台は122人(854回)だから、200m19秒台の方が希少価値は高い。
200m19秒台の選手の100mの最高記録を調べ(1人は不明)、それぞれの種目の平均値と標準偏差、さらに100mに対する200mの記録の倍率を算出すると以下のようになる。
100m 200m 倍率
平 均 10.003 19.825 1.982298
標準偏差 0.172 0.164 0.030708
200m19秒台の選手の中には、「200mが本職」であったり「100mが本職」であったり、中には「400mが本職」という人が混在する。標準偏差が200mよりも距離の短い100mの方が大きいのはそのためであろう(200mは19秒台限定のため正規分布ではない)。65人のうち100m9秒台は34人、10秒台は31人で飯塚選手の10秒08よりも悪いタイムの選手は19人だ。
上記のデータからすると、65人は平均的には100mのベスト記録の「1.982298倍」で200mを走っている。この倍率を飯塚選手の100m10秒08に当てはめると200mは、「19秒982」となる。ルールに従って1000分の1秒単位を切り上げると「19秒99」だ。倍率はほぼ正規分布で標準偏差を加味すると、統計学的には飯塚選手は約68%の確率で200mを「19秒68~20秒30の間」で走れるということになる。といっても実際に16年に20秒11で走っているわけだが……。このデータからすると「19秒台」の確率はほぼ50%となる。
★末續慎吾選手「37歳日本最高記録」の可能性大!?
20秒03の日本記録保持者で、2003・06・07年に優勝している37歳の末續慎吾選手(SEISA/1980年6月2日生まれ)が2008年以来9年ぶりに出場。5月16日にアメリカでのレースでマークした20秒94(+2.0)は「20秒台」の日本人最年長記録(36歳11か月と14日)。「37歳日本最高記録」は、21秒67(渡辺潤一/2011年6月25日)なので、普通に走れれば更新は確実か?
個人のトラック同一種目で男女全種目を含めて歴代最多優勝11回と11年連続優勝(2005~15年)の金丸祐三選手(大塚製薬)が勝てば、連勝記録は途切れたものの優勝回数をさらに上乗せすることになる。が、参加資格記録をクリアすることができずに「強化委員会推薦」の枠でのエントリーとなった。
2013年から4連勝中の川元奨選手(スズキ浜松AC)が勝って「V5」となれば、この種目での連勝回数で石井隆士さん(1974~78年)と並びトップタイに。優勝回数でも石井さんとともに歴代2位タイに(トップは、横田真人さんの6回)。
★日本人の大会最高記録
大会記録の1分46秒21は、ブラジルのバルボサさんが1993年にマークしたが、日本人の「実質的大会記録」は、川元選手の1分46秒22(2016年)。
日本記録(3分37秒42)保持者の小林史和さん(NTN)が2005年から08年まで4連勝(01・02年も優勝で計6回)したあとの09年からの8年間は連勝をした選手はいない。
★上位の入れ替わりの激しい男子1500m
今回行われる男女全種目で最も多い49人がエントリー。09年以降の優勝者7人の中では、13年に勝った秋本優紀選手(山陽特殊製鋼)と連覇を目指す戸田雅稀選手(日清食品グループ)のみがエントリーしている。連続入賞を継続中なのも15年4位・16年3位の加藤光選手(JR東日本)のみで、上位のメンバーが変わってきている。
★2016年の日本10傑平均記録は史上最速
「世界の舞台」には遠いレベルにはあるが、2016年の「日本10傑平均記録」は歴代最高で、トップクラスの底上げはできてきている。日本選手権での「8位」の歴代最高は、1991年の3分43秒21だが、これを何人も上回ってもらいたいところだ。
大迫傑選手(Nike ORPJT)が両種目ともに2連覇に挑む。5000mでの2連勝以上は、過去に11人(うち、外国人が1人)。10000mの2連勝以上は、12人(うち、外国人が2人)。5000・10000mの両種目で勝てば、史上34回目。2年連続5000m・10000mを制覇すれば、2006年から3連勝した松宮隆行選手(コニカミノルタ)以来で5人目となる。
★日本人の大会最高記録
両種目とも大会記録は外国人選手が持っていて、13分14秒18(1998年)と27分26秒26(1995年)。日本人の「実質的大会記録」は、ともに高岡寿成さん(カネボウ)で13分26秒06(1998年2位)と27分49秒89(1998年)。
2011・13・16年に勝っている矢澤航選手(デサントTC)が制すれば、優勝回数の歴代5位タイに(トップは7回の安田寛一さん/1957~64年)。
★世界選手権標準突破2回の大室秀樹選手
世界選手権参加標準記録(13秒48)を2回クリアしている大室秀樹選手(大塚製薬)は日本選手権では2014年の3位が最高成績で、優勝すれば全国インターハイ(2008年)、日本インカレ(2010年)に続いての頂点となる。
★順位別の最高記録
「2016年日本10傑平均記録」は史上最高で全体的にレベルアップしている。決勝における着順別の最高記録は、下記の通り。8着の最高記録である13秒92以内の参加資格記録を有する選手が25人もエントリーしているので、各順位の最高記録の更新にも期待。
<日本選手権・決勝での着順別最高記録>
・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1着)13.55 2007年/13.48w 2016年
2着)13.59 2014年/13.51w 2016年
3着)13.66 2013年/13.61w 2016年
4着)13.67 2013年/13.66w 2016年
5着)13.72 2013年/13.71w 2016年
6着)13.80 2007年/13.78w 2016年
7着)13.89 2009年
8着)13.92 2013年
1992年から2016年までの25年間、関東の大学関係者(現役生or卒業生)が優勝している。が、7年ぶりに自己ベストを更新した中京大卒の安部孝駿選手(デサントTC)が制すれば、1989年の清川隆さん(中京大)以来となる(1990・91年は外国人が優勝)。
★日本人の大会最高記録
大会記録の48秒08(1991年)は、ザンビアのマテテさんが保持。日本人の最高記録は48秒34で苅部俊二さん(富士通/1997年)。
潰滝大記選手(富士通)が3連勝すれば、この種目の連勝記録の歴代6位タイ(トップは9連勝・9回優勝の高橋進さん/1947~55年)。
★20歳の塩尻和也選手の優勝ならば39年ぶり
塩尻和也選手(順大3年)が制すれば、2006年の篠藤淳選手(中央学大)以来の大学3年生の優勝となる。が、篠藤選手は4月2日生まれで21歳と3か月での優勝、塩尻選手は11月8日生まれなので、20歳と7か月での優勝になる。日本人選手の「20歳」での優勝は、1978年の新宅雅也さん(日体大3年/1957年12月20日生まれで、20歳10か月)まで遡らなければならない。
★日本人の大会最高記録
大会記録の8分19秒21は、1994年にジェンガ選手(仙台育英高)がマークしたもので当時のジュニア世界新記録だった。日本人選手の最高記録は、岩水嘉孝さん(トヨタ自動車)の8分25秒56(2003年)。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
photo:(c)Takashi OKUI
◆チケット情報
http://www.jaaf.or.jp/jch/101/ticket/
★アクセスマップ
http://www.jaaf.or.jp/news/article/10216/
★第101回日本陸上競技選手権大会特設サイト
http://www.jaaf.or.jp/jch/101/
【100m】
★日本選手権・決勝での「着順別最高記録」別ページで紹介した通り、2017年の日本10傑は、シーズン途中にして歴代最高のハイレベル。これまでの日本選手権・決勝での「着順別最高記録」は、以下の通りで、「9秒台」とともに各順位の歴代記録の更新にも注目!!
<日本選手権・決勝での着順別最高記録>
・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1着)10.05 2002年
2着)10.17 2016年/10.12w 1999年
3着)10.21 2004年
4着)10.28 2009年/10.22w 1999年
5着)10.35 1998・2004・2013・2014年/10.25w 1999年
6着)10.36 2013年/10.28w 1999年
7着)10.36 2013年/10.28w 1999年
8着)10.38 2014年/10.30w 1999年
【200m】
★飯塚翔太選手は200mを「19秒99」で走れる!?前回大会を20秒11の日本歴代2位の好タイムで制し連覇を目指す飯塚翔太選手(ミズノ)が6月4日に100mを10秒08で走り自己ベストを0秒14更新。
6月19日現在の世界歴代リストで200mを19秒台で走った選手は66人(295回)。
100mの9秒台は122人(854回)だから、200m19秒台の方が希少価値は高い。
200m19秒台の選手の100mの最高記録を調べ(1人は不明)、それぞれの種目の平均値と標準偏差、さらに100mに対する200mの記録の倍率を算出すると以下のようになる。
100m 200m 倍率
平 均 10.003 19.825 1.982298
標準偏差 0.172 0.164 0.030708
200m19秒台の選手の中には、「200mが本職」であったり「100mが本職」であったり、中には「400mが本職」という人が混在する。標準偏差が200mよりも距離の短い100mの方が大きいのはそのためであろう(200mは19秒台限定のため正規分布ではない)。65人のうち100m9秒台は34人、10秒台は31人で飯塚選手の10秒08よりも悪いタイムの選手は19人だ。
上記のデータからすると、65人は平均的には100mのベスト記録の「1.982298倍」で200mを走っている。この倍率を飯塚選手の100m10秒08に当てはめると200mは、「19秒982」となる。ルールに従って1000分の1秒単位を切り上げると「19秒99」だ。倍率はほぼ正規分布で標準偏差を加味すると、統計学的には飯塚選手は約68%の確率で200mを「19秒68~20秒30の間」で走れるということになる。といっても実際に16年に20秒11で走っているわけだが……。このデータからすると「19秒台」の確率はほぼ50%となる。
★末續慎吾選手「37歳日本最高記録」の可能性大!?
20秒03の日本記録保持者で、2003・06・07年に優勝している37歳の末續慎吾選手(SEISA/1980年6月2日生まれ)が2008年以来9年ぶりに出場。5月16日にアメリカでのレースでマークした20秒94(+2.0)は「20秒台」の日本人最年長記録(36歳11か月と14日)。「37歳日本最高記録」は、21秒67(渡辺潤一/2011年6月25日)なので、普通に走れれば更新は確実か?
【400m】
★金丸祐三選手、歴代最多優勝更新なるか!?個人のトラック同一種目で男女全種目を含めて歴代最多優勝11回と11年連続優勝(2005~15年)の金丸祐三選手(大塚製薬)が勝てば、連勝記録は途切れたものの優勝回数をさらに上乗せすることになる。が、参加資格記録をクリアすることができずに「強化委員会推薦」の枠でのエントリーとなった。
【800m】
★川元奨選手が連勝記録トップタイに並ぶか?2013年から4連勝中の川元奨選手(スズキ浜松AC)が勝って「V5」となれば、この種目での連勝回数で石井隆士さん(1974~78年)と並びトップタイに。優勝回数でも石井さんとともに歴代2位タイに(トップは、横田真人さんの6回)。
★日本人の大会最高記録
大会記録の1分46秒21は、ブラジルのバルボサさんが1993年にマークしたが、日本人の「実質的大会記録」は、川元選手の1分46秒22(2016年)。
【1500m】
★8年間連覇なし日本記録(3分37秒42)保持者の小林史和さん(NTN)が2005年から08年まで4連勝(01・02年も優勝で計6回)したあとの09年からの8年間は連勝をした選手はいない。
★上位の入れ替わりの激しい男子1500m
今回行われる男女全種目で最も多い49人がエントリー。09年以降の優勝者7人の中では、13年に勝った秋本優紀選手(山陽特殊製鋼)と連覇を目指す戸田雅稀選手(日清食品グループ)のみがエントリーしている。連続入賞を継続中なのも15年4位・16年3位の加藤光選手(JR東日本)のみで、上位のメンバーが変わってきている。
★2016年の日本10傑平均記録は史上最速
「世界の舞台」には遠いレベルにはあるが、2016年の「日本10傑平均記録」は歴代最高で、トップクラスの底上げはできてきている。日本選手権での「8位」の歴代最高は、1991年の3分43秒21だが、これを何人も上回ってもらいたいところだ。
【5000m・10000m】
★大迫傑選手、両種目連覇なるか!?大迫傑選手(Nike ORPJT)が両種目ともに2連覇に挑む。5000mでの2連勝以上は、過去に11人(うち、外国人が1人)。10000mの2連勝以上は、12人(うち、外国人が2人)。5000・10000mの両種目で勝てば、史上34回目。2年連続5000m・10000mを制覇すれば、2006年から3連勝した松宮隆行選手(コニカミノルタ)以来で5人目となる。
★日本人の大会最高記録
両種目とも大会記録は外国人選手が持っていて、13分14秒18(1998年)と27分26秒26(1995年)。日本人の「実質的大会記録」は、ともに高岡寿成さん(カネボウ)で13分26秒06(1998年2位)と27分49秒89(1998年)。
【110mH】
★矢澤航選手が優勝すれば優勝回数歴代5位タイ2011・13・16年に勝っている矢澤航選手(デサントTC)が制すれば、優勝回数の歴代5位タイに(トップは7回の安田寛一さん/1957~64年)。
★世界選手権標準突破2回の大室秀樹選手
世界選手権参加標準記録(13秒48)を2回クリアしている大室秀樹選手(大塚製薬)は日本選手権では2014年の3位が最高成績で、優勝すれば全国インターハイ(2008年)、日本インカレ(2010年)に続いての頂点となる。
★順位別の最高記録
「2016年日本10傑平均記録」は史上最高で全体的にレベルアップしている。決勝における着順別の最高記録は、下記の通り。8着の最高記録である13秒92以内の参加資格記録を有する選手が25人もエントリーしているので、各順位の最高記録の更新にも期待。
<日本選手権・決勝での着順別最高記録>
・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1着)13.55 2007年/13.48w 2016年
2着)13.59 2014年/13.51w 2016年
3着)13.66 2013年/13.61w 2016年
4着)13.67 2013年/13.66w 2016年
5着)13.72 2013年/13.71w 2016年
6着)13.80 2007年/13.78w 2016年
7着)13.89 2009年
8着)13.92 2013年
【400mH】
★関東の大学関係者以外の優勝なるか!?1992年から2016年までの25年間、関東の大学関係者(現役生or卒業生)が優勝している。が、7年ぶりに自己ベストを更新した中京大卒の安部孝駿選手(デサントTC)が制すれば、1989年の清川隆さん(中京大)以来となる(1990・91年は外国人が優勝)。
★日本人の大会最高記録
大会記録の48秒08(1991年)は、ザンビアのマテテさんが保持。日本人の最高記録は48秒34で苅部俊二さん(富士通/1997年)。
【3000mSC】
★潰滝大記選手の3連勝なるか!?潰滝大記選手(富士通)が3連勝すれば、この種目の連勝記録の歴代6位タイ(トップは9連勝・9回優勝の高橋進さん/1947~55年)。
★20歳の塩尻和也選手の優勝ならば39年ぶり
塩尻和也選手(順大3年)が制すれば、2006年の篠藤淳選手(中央学大)以来の大学3年生の優勝となる。が、篠藤選手は4月2日生まれで21歳と3か月での優勝、塩尻選手は11月8日生まれなので、20歳と7か月での優勝になる。日本人選手の「20歳」での優勝は、1978年の新宅雅也さん(日体大3年/1957年12月20日生まれで、20歳10か月)まで遡らなければならない。
★日本人の大会最高記録
大会記録の8分19秒21は、1994年にジェンガ選手(仙台育英高)がマークしたもので当時のジュニア世界新記録だった。日本人選手の最高記録は、岩水嘉孝さん(トヨタ自動車)の8分25秒56(2003年)。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
photo:(c)Takashi OKUI
<第101回日本陸上競技選手権大会 チケット発売中!>
◆チケット情報
http://www.jaaf.or.jp/jch/101/ticket/
★アクセスマップ
http://www.jaaf.or.jp/news/article/10216/
★第101回日本陸上競技選手権大会特設サイト
http://www.jaaf.or.jp/jch/101/