2026.06.04(木)
【日本選手権×『ひゃくえむ。』コラボ】 スペシャルインタビュー第3弾! 寺田悠輔プロデューサー ~魚豊先生の作品が持つ“言葉の強さ”、キャラクターの美学、その魅力を最大限に伝える。~

2026年6月12日(金)~14日(日)に、愛知・パロマ瑞穂スタジアムで開催する「第110回日本陸上競技選手権大会」。
本大会は、劇場アニメ『ひゃくえむ。』とのコラボレーションを実施しており、大会2日目には映画のワンシーンにもなっている男子100m決勝も行われます。また、『ひゃくえむ。』の主題歌であるOfficial髭男dismの「らしさ」や劇中のサウンドトラックも流れる予定で、『ひゃくえむ。』の世界観とトップアスリートの熱戦を感じることができます。
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スペシャルインタビュー第3弾は、劇場アニメ『ひゃくえむ。』のプロデューサーである寺田悠輔さんのインタビューをお届けします。
原作である魚豊先生の作品が持つ“言葉の強さ”、キャラクターの美学、その魅力を最大限に伝えること、そして陸上の描写をリアルに表現するための「音」へのこだわり。原作に魅了されて集まったチームで課題と検証を繰り返し、映像化として未知数だった陸上競技は、絵と音がはまって魅力的な作品へ仕上がりました。今回は、その過程である『ひゃくえむ。』誕生のきっかけや秘話、こだわりなど、たっぷりとお話いただきました。
当日は「日本陸上競技選手権大会×ひゃくえむ。」のコラボレーションによる、この瞬間にしか見られない“ 景色”を存分に体感してください!
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<information>
第110回日本陸上競技選手権大会 男子100m決勝
6月13日(土)18時30分 競技開始!
第110回日本陸上競技選手権大会 男子100m決勝
6月13日(土)18時30分 競技開始!
――劇場アニメ『ひゃくえむ。』誕生のきっかけを教えてください。
寺田プロデューサー(以下、寺田P):岩井澤健治監督の前作『音楽』で、弊社がBlu-rayや配信など、完成した作品を世の中に届ける部分を少しお手伝いしていたんです。その流れの中で、「次は岩井澤さんと企画からご一緒したい」という話が社内で出てきました。そこから岩井澤監督と、当初から実写をベースにしたアニメーション手法「ロトスコープ」で映画を作る、ということを大きなテーマとしてスタートしました。そのうえでどんな作品にするか。社内メンバーでブレストを行い、そこで題材として浮上してきたのが陸上をテーマとする魚豊先生の『ひゃくえむ。』です。岩井澤監督の実写をベースとした手法は、スポーツものなど動きがある作品のほうがいいのでは、と考えたからです。僕自身も原作を読んでいて、「この組み合わせは面白い映像になるのでは」と感じていました。
原作はとにかく作品自体に魅力があふれていて、言葉の強さがあり、キャラクター全員が美学を持って“キャラ立ち”しています。テレビシリーズでの映像化もとても魅力的ですが、映画のフォーマットにすることで、スクリーンでロトスコープによるリアルな動きを感じながら、良い音で「名言の嵐」を浴び続けるのもおもしろいのではと思ったのです。企画書を書いたのが2021年6月で、岩井澤監督に提案したのが7月。ちょうど監督もその少し前に原作を読んでいて、「やってみましょう」というお返事をいただき、企画が動き出しました。

ただ、正直なところ最初は映像化として未知数なところもありました。陸上競技をロトスコープで描いた前例を、少なくとも僕は知らなかったので、本当に相性が良いのかの確信があったわけではないのです。そこで、まずはクリエイティブのテストとして、1分ほどのパイロット版を作るところから動き出しました。そのときから音楽は、『東京リベンジャーズ』『呪術廻戦』などを手掛ける堤博明さんにお願いしたのですが、結果、絵と音がはまって、魅力的な映画になりそうだという手応えがあったんです。特に走る前のスタート前の所作などは、やはりロトスコープでとても映えるなと思いましたし、いろいろな検証ができました。
――制作の過程での“秘話”や苦労したことなどは?
寺田P:実際に制作が走り始めると、「走り」のシーンを実写でどう撮影するかという課題が出てきました。自転車で追いかけてみると、走りの方が速くてカメラが追いつかない。なのでパイロット版では、ちょっとゆっくり走ってもらって、無理やり成立させていました。また、理想の絵を撮るためには何回も撮影する必要があります。でも、「今日は20本、最高の状態で、シーンの勝ち負けにあわせて走ってください」というのは現実として難しい話じゃないですか。なので、レースシーンは実在の選手の方に走りフォームをお借りして、それをCGで再現してから作画に移るという手法にシフトすることになりました。一方で、走り以外のパートは、ロトスコープでの制作がとても映えることは、パイロット版で手応えがありました。走っている最中だけではなく、走る前も見せ場になる。映画の全国高校大会決勝のスタート前のシーンは、そういうところからつながっていると思います。
また大きな企画である以上、商業的な成功も収める必要があります。そういった意味で、まずは音楽を堤さんに、次に脚本をむとうやすゆきさん(『東京リベンジャーズ』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』等)に、そしてキャラクターデザインを小嶋慶祐さん(『葬送のフリーレン』『転生賢者の異世界ライフ』等)に、といった流れで、強いセンスと実績をお持ちの方にメインスタッフを引き受けていただけたのは大きかったです。一方で制作会社としては、岩井澤監督のロックンロール・マウンテンにお願いすることになり、そちらからはアニメ以外の仕事もされていた若いチームに合流していただくことで、この作品ならではの新鮮な制作体制が固まっていきました。その後は実写の撮影と、アニメーションの工程との繰り返しでしたが、その間にも、音響面の座組が広がっていきました。主題歌のOfficial髭男dismさん、主演の松坂桃李さんと染谷将太さんも、原作を読まれてとても面白かったとのことで、映画にも参加したいと言ってくださいました。そういった流れで、徐々に「これは大きなエンタメ映画になるぞ」というムードが生まれていったと思います。さまざまな方々にご協力いただいて、気がついたら当初の想像以上の大きな広がりが生まれていたというのが、この『ひゃくえむ。』の映画です。そこにはもちろん、原作の力があったのは言うまでもありません。スタッフもキャストも、原作に魅了されてチームを組んでいったので。
――制作を進める中でこだわった部分、印象に残っているキャラクターやシーンなどを教えてください。
寺田P:まずは、原作がとても力強い作品なので、その魅力を最大限に伝えること。特に、魚豊先生の作品が持つ“言葉の強さ”、キャラクターの美学は、映画でも表現できないといけないと思いました。脚本においても、キャスティングにおいても、その強さを原作通りに伝えていくことは、制作において重要な位置づけと考えていました。次に、陸上の描写のリアルさです。ロトスコープによる動きのリアルさはもちろん、音にもこだわっています。実写作品も多く手掛けるサウンドチームに入っていただき、土トラックや競技場で走る足音、スターティングブロックを合わせる音、バトンを持って走る時の「ヒュン」という音など、さまざまな音を録りました。スパイクの音一つ取っても、ただ走ればいいわけというではなく、映像なのでわかりやすい音でもなければいけない。だから、普通の走りではなく、実際よりも音を立たせるトライもしています。サウンドチームのそういったこだわりのもとで、映画の音は素晴らしい音になりました。雨のシーンでは、実際に水を撒いて走っていただきました。このあたりは、日本陸連さん、江里口匡史さんをはじめ専門家の方々のお力を借りながら、実現できたものでもありますね。僕自身の陸上経験が生きた部分もありました。競技場のデザインも、各地の協力を得て、実際の写真や映像から起こしています。観てすぐに「あそこだ」とわかるような背景絵だと思うので、そういった視点からも興味を持っていただけたらと思います。

100mのレースをどう見せるかという部分は、難しさもありました。2時間の中で、小学生から社会人まで場面が進んでいきますから、前提としては人生の映画として描いていけばおもしろいものになるとは思っていました。ただ、その中にレースがたくさんあります。岩井澤監督とは、見せ方はいろいろと変えないといけないと話し合いました。そのまま10秒で終わらせて、一瞬の転落を表現したものもあれば、雨の全国高校大会決勝ではスタート前の様子から長回しで撮影し、100mが持つ独特の緊張感を出しています。ここは岩井澤監督が試合を観に行った時にひらめいたシーンで、この映画の見せ場にもなりました。もちろん、アニメ演出ならではのリアルな10秒じゃない演出もあれば、ずっと空だけを映して「これはすごいタイムが出るぞ」という雰囲気、フィニッシュラインを越えた瞬間に記録が出た盛り上がりを音だけで表現するシーンもあります。岩井澤監督のこだわりや工夫、そしてセンスがものすごく詰まっていると思います。
僕の好きなキャラは財津です。この作品は国内のことだけを描いていますが、僕の勝手な予想だと、財津はたぶん世界1位の人ではなくて、世界大会の準決勝には毎回行くけど、決勝には数えるほどしか行っていない可能性もあるのではないでしょうか。記録も9秒9前半か、9秒8後半を1回出したとかなのではと妄想しています。だから、国内では圧倒的王者だけど、この人にだけは次の壁が見えているのではと思うんです。でも、最後に財津が小宮と話している時に「本当の勝利と歓喜を与えてくれるのはただ1つ。対戦相手だけだ」と伝えた。これは自分の仕事も同じだなと思っていて、この『ひゃくえむ。』という映画に、たくさんの人が並走してくれたのが本当にありがたかったんです。「良い映画を作る」という試合に出て、同じゴールラインに向かって全員がひたすらに走っているというイメージ。だから、この言葉は強く印象に残っています。

――第110回日本選手権とのコラボが実現しました。コラボへの思いや、日本選手権で楽しみにしていることなどを教えてください。
寺田P:まずは映画の中で日本選手権を描かせていただけたことはとてもありがたくて、その年の日本一になる、国際大会代表になるという感じがリアルに出せたのではないかと思っています。去年は映画内でのコラボでしたが、今年は現実内でのコラボ。『ひゃくえむ。』が、現実の陸上界とつながっていく。僕は映画と現実がくっつく瞬間を見るのがすごく好きで、その流れは作品にとってもすごく理想的だと思います。『ひゃくえむ。』の制作を始めてから大会も観に行くようになったので、どの種目にも興味がありますが、やはり100mは特に注目してしまいますね。日本選手権はどの種目も、年齢関係なく激突することになります。『ひゃくえむ。』では32歳の海棠が最年長で、映画に登場する森川は高校生。今の100mは、30歳の桐生祥秀選手(日本生命)をはじめとしたベテラン選手の方が力強いですし、高校生の清水空跳選手(星稜高3石川)や菅野翔唯選手(東農大二高3群馬)といった新しい世代の台頭もある。あとは2024年の福岡インターハイを観に行ったので、そこで清水選手を抑えて優勝した西岡尚輝選手(筑波大2茨城)にも注目しています。まさに本編と同じで、世代関係なく、100mという距離で繰り広げられる勝負は本当におもしろいでしょうね。

午前中からいろいろな種目が行われ、時間の経過ととともに種目が絞られていき、その日の最後に行われるのが100m決勝。本当に勝ち残った人だけがその場に立てる。会場も100m決勝しか見ていない。誰もがしゃべってはいけない空気になり、会場がピンと張りつめる。でも、とても華やか。そんな空気感も、会場で観戦することの魅力だと思います。その空気感を作る演出として、『ひゃくえむ。』の劇伴音楽を使っていただけることになりました。選手の方々はもちろん、多くの人がモチベーションを上げたり、落ち着いたりする時に音楽を使っていますよね。作品のことを知っていただきたい思いはありますが、それとは切り離しても、『ひゃくえむ。』の音楽はとても素晴らしいので、会場全体のテンションが上がったり、選手が頑張ろうという気持になったり、試合を楽しく観られたりするようなお手伝いになれば、とてもうれしいです。
――最後に、『ひゃくえむ。』や陸上のファンにメッセージをお願いします。
寺田P:映画と現実が重なる瞬間を感じてもらえるように、「リアルな映画を」という目標で映画を作ってきました。なので、現実を参考にフィクションを作っていたのが、今度はフィクションが現実に入り込んでくるということは、すごくうれしいことだと改めて感じています。
映画を作る意味は、みなさんが映画館で観たものを持ち帰って、そこに目の前のことと向き合うための少しのきっかけや、現実を生きるための何かのヒントがあれば、ということなのではと思っています。だから『ひゃくえむ。』が、観てくださった方のこの先の人生にほんの少しでも何か前向きな影響を与えられていたら、いちスタッフとしてとてもうれしいです。
・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボPV公開! 主題歌Official髭男dism「らしさ」使用バージョン ~ナンバーワンだけが、見られる景色がある~
©魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会
-劇場アニメ「ひゃくえむ。」Blu-ray&DVD 5月27日発売!-
原作の魚豊さんによる描き下ろしのボックスに加え、本作のキャラクターデザイン・総監督の小嶋慶祐さん描き下ろしのデジパックケースが付いてくる。先行解禁されたデジパックイラストは社会人のトガシ、小宮、財津、海棠、樺木、森川がスタートを切った瞬間の勢いのあるイラストが描かれている。さらに封入特典として、岩井澤健治監督×小嶋慶祐さんによる特別対談を収録した全52Pにわたるビジュアルブックレットやタイトルロゴステッカー(原作全5巻Ver.)5枚セットを同封。映像特典にはメイキングドキュメンタリーや各種舞台挨拶映像を収録。音声特典では、岩井澤健治監督をはじめ映画制作を支えた各セクションのスタッフ6名が語る撮影秘話や裏話を、106分にわたって楽しめるオーディオコメンタリーが収められているなどボリュームたっぷりだ。
▼詳細はこちらから
https://hyakuemu-anime.com/blu-ray_dvd/
原作の魚豊さんによる描き下ろしのボックスに加え、本作のキャラクターデザイン・総監督の小嶋慶祐さん描き下ろしのデジパックケースが付いてくる。先行解禁されたデジパックイラストは社会人のトガシ、小宮、財津、海棠、樺木、森川がスタートを切った瞬間の勢いのあるイラストが描かれている。さらに封入特典として、岩井澤健治監督×小嶋慶祐さんによる特別対談を収録した全52Pにわたるビジュアルブックレットやタイトルロゴステッカー(原作全5巻Ver.)5枚セットを同封。映像特典にはメイキングドキュメンタリーや各種舞台挨拶映像を収録。音声特典では、岩井澤健治監督をはじめ映画制作を支えた各セクションのスタッフ6名が語る撮影秘話や裏話を、106分にわたって楽しめるオーディオコメンタリーが収められているなどボリュームたっぷりだ。
▼詳細はこちらから
https://hyakuemu-anime.com/blu-ray_dvd/
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■大会概要
<名称> 第110回日本陸上競技選手権大会兼 愛知・名古屋 2026 アジア競技大会 日本代表選手選考競技会
<日時> 2026年6月12日(金)〜14日(日)
<競技日程>https://www.jaaf.or.jp/jch/110/timetable/
<会場> パロマ瑞穂スタジアム(愛知・名古屋)
<チケット> 前売チケット販売中 https://www.jaaf.or.jp/jch/110/ticket/
▼愛知・名古屋2026アジア競技大会 トラック&フィールド種目 日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202508/25_123227.pdf
▼愛知・名古屋2026アジア競技大会 トラック&フィールド種目 派遣設定記録
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202511/11_092940.pdf


























