第109回日本陸上競技選手権大会一覧

NEWSニュース

2025.06.28(土)

【記録と数字で楽しむ第109回日本選手権】「日本記録」を得点で比較する



9月13日~21日に開催される世界選手権の代表選手選考会を兼ねて行われる「第109回日本選手権」。その舞台は、同じ国立競技場だ。日本選手権が国立競技場で行われるのは、2005年の第89回大会以来20年ぶり。新しい国立競技場ではもちろん初めての開催だ。

国立競技場のスタンドでの現地観戦、あるいはテレビやライブ配信での観戦のお供に、「記録と数字で楽しむ第109回日本選手権」をお届けしよう。
・記録やデータは、エントリー締め切り時の6月12日判明分
・現役選手の敬称は略

テレビの中継予定は以下のとおり(ライブ配信の予定は、後日発表)
【NHK BS・総合】
・第1日:7月4日(金)
BS 18:30~19:30/総合 19:30~20:42
・第2日:7月5日(土)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル
・第3日:7月6日(日)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル


◆「日本新記録」のアナウンスを聞けるかもしれない種目は??


今回のエントリーメンバーのこのところの状況からして、「日本新記録」のアナウンスを聞くことができるかもしれない種目がかなりたくさんある。
男子では、100m、200m、400m、800m、1500m、5000m、110mH、400mH、走幅跳、砲丸投、円盤投あたり。
女子は、400m、800m、100mH、3000mSC、棒高跳、三段跳、円盤投、やり投といったところ。

2025年になってから東京世界選手権で実施される種目で日本新記録がマークされているのは、男子は20km競歩と円盤投。女子は20km競歩のみで競技場内の種目は「なし」であるが、日本国籍を申請中だったフロレス・アリエ(日体大3年)が、400mで日本記録(51秒75)を上回る51秒71を5月3日の静岡国際でマークしている。
また、2024年に日本新がマークされたのは、男子は、800m、35km競歩、砲丸投の3種目。女子は、800m、マラソン、100mH、円盤投、ハンマー投の5種目。ロード以外の6種目は今回の国立競技場での「日本新」のアナウンスに期待がかかる。

「風」の関係する短距離種目は当日の国立競技場に2.0mに近い「絶好の追風」が吹くかどうかが「日本新誕生」のポイントになりそうだ。

水平方向の跳躍競技(走幅跳・三段跳)は、短距離種目のように「向風」の中で実施されることはほとんどないので、「風」の心配はあまりしなくてもいいだろう。短距離と同じく「2.0mに限りなく近い追風」が吹いてくれると新記録誕生の可能性が高まる。

400m&400mHのワンラップ種目も風が味方してくれると「ものすごいタイム」が生まれる可能性がある。
国立競技場のように屋根のついた大きな観客席がトラックをグルリと取り囲んでいるような競技場では、屋根の下の観客席を風が回って「トラック1周がすべて追風」になるようなケースがある。
そういうふうになることが多い競技場は、筆者の印象ではあるが、デンカビッグスワンスタジアム(新潟市)、横浜国際総合競技場(日産スタジアム=横浜市)、小笠山総合運動公園(エコパ=袋井市)、ヤンマースタジアム長居(大阪市)などである。旧国立競技場は午前中はホームストレートが追風で1周すべてが追風になるケースもあったが、決勝が行われる夕方頃になると風向きが変わって1周すべてが向風ということもよくあった。
トラックを周回する中長距離種目ももちろん「1周すべて追風」になればその恩恵は非常に大きい。ただし日本選手権では、国内外でのグランプリシリーズなどのようにいいペースで引っ張ってくれる外国人のペースメーカーがいない。「勝負優先」の日本選手権で記録に挑戦するのはなかなか厳しいだろう。
しかし、男子の各種目には日本記録に挑戦できそうなレベルの実力が拮抗した選手が複数いる。それらの選手たちが「日本一」と「世界選手権出場」を目指して競り合う中でハイペースのレースを展開すれば「日本新」の可能性も大いにありそうだ。

上述の「日本新」の可能性がありそうな種目を中心にその見所や世界選手権出場に向けての可能性などを紹介する。
なお、代表選手選考の要項については、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171138.pdf
をご覧いただくとして、今回は「東京開催」ということで、「開催国枠」という特典がある。

参加標準記録やワールドランキング(Road to Tokyo)で日本人がひとりも出場権を得られなかった種目に関しては、「開催国枠」でひとりが出場できるというものだ。

その優先順位と条件は、
①「Road to Tokyo」におけるそれぞれの種目のターゲットナンバーに10を加算した順位以内で最上位にランクしている競技者。
②第109回日本選手権者、かつ、本連盟が定める開催国枠エントリー設定記録を2025年1月1日から8月24日までに満たした競技者。

②については、あまりにもレベルが低い記録でのエントリーを避けるため日本陸連が「開催国枠エントリー設定記録」というものを設けている。日本選手権優勝者でこのエントリー設定記録を8月24日までにクリアしていることが条件だ。具体的な記録は、上記選考要項の最後のページに記載されている。
その設定にあたっては、「派遣設定記録は、参加標準記録とターゲットナンバーをもとに、予選通過が期待できる水準に設定した。ただし、算出した記録が日本記録を上回る種目については、日本新記録を派遣設定記録とした。」というものである。


「日本記録」を世界陸連採点表で比較すると……

「日本記録」といっても種目によってもそのレベルは様々だ。今回の世界選手権で実施される男女49種目(男女混合1600mRを含む)について、全種目を網羅した世界陸連の採点表(SCORING TABLES OF ATHLETICS=2025年版)によって、各種目の日本記録のポイント(得点)を比較したのが下表だ。

この採点表は、五輪や世界選手権では行われない特殊な種目を含め、リレー、競歩、混成競技にいたるまで陸上競技のありとあらゆる種目を網羅している。なお、通常の十種競技や七種競技の採点表とはまったく別のもので、各種目の世界の記録の伸びなどを考慮しながら数年おきに改訂され、現在の最新は「2025年版」である。世界陸連が主催するダイヤモンドリーグなどでも活用されていて、競技会別のトータルポイント、異なる種目の選手の順位付けなどにも用いられている。ただし、人間が作成しているものなので、種目間の同じポイントが完全に公平かというと必ずしもそうでない部分もある。が、現在はこの採点表が国際的に認知され日本国内でも各種の比較や番組編成のランク付けなどにも活用されている。

話を各種目の日本記録のポイント(得点)に戻す。 男子で最も得点が高い日本記録は室伏広治さんのハンマー投84m86で「1278点」。次が山西利和(愛知製鋼)の20km競歩の世界記録1時間16分10秒で「1275点」。以下、400mR37秒43が「1271点」、35km競歩2時間21分47秒が「1254点」と続く。トラックの個人種目では、110mH13秒04の「1247点」が最高。跳躍種目では、走幅跳8m40の「1225点」がトップだ。
参考までに室伏さんの「1278点」を他の種目の記録に当てはめると、

100m9.80
200m19.64
400m43.62
800m1.41.65
1500m3.27.71
5000m12.41.73
10000m26.28.29
マラソン2.02.06.
110mH12.88
400mH47.11
3000mSC7.55.84
20kmW1.16.04.
35kmW2.19.32.
走高跳2.41
棒高跳6.04
走幅跳8.64
三段跳18.06
砲丸投22.62
円盤投71.79
やり投92.37
十種競技8972

いずれの種目においても五輪や世界選手権で「メダル確実」なレベルである。
室伏さんは、五輪で金と銅、世界選手権では金・銀・銅とすべての色のメダルを獲得しているのだから他の種目にあてはめても当然の数字になる。

女子の日本記録の最高得点は、新谷仁美(積水化学)の10000m30分20秒44で「1229点」。田中希実の5000m14分29秒18が「1224点」、マラソン2時間18分59秒が「1222点」と長距離種目が上位に並ぶ。フィールドでは、北口榛花(JAL)のやり投67m38が「1215点」でトップ。跳躍で最高点の秦澄美鈴(シバタ工業。現在の所属は、住友電工)の走幅跳6m97が「1211点」でこれに続く。
新谷の「1229点」を他の種目の記録に当てはめると、

100m10.87
200m22.08
400m49.43
800m1.56.34
1500m3.57.15
5000m14.26.69
マラソン2.19.21.
100mH12.43
400mH53.23
3000mSC9.06.17
20kmW1.24.53.
35kmW2.40.51.
走高跳2.01
棒高跳4.86
走幅跳7.05
三段跳15.09
砲丸投20.34
円盤投68.52
ハンマー投78.36
やり投68.11
七種競技6779

フィールド種目のほとんどは優勝やメダル争いに加われるレベルにある。が、トラックはなかなか厳しい。パリ五輪の記録に当てはめると、400m6位、1500m8位、100mH4~5位、400mH6位、3000mSC9位と各種目ともハイレベルだった。2022年オレゴン世界選手権の10000mは入賞ラインが高く30分20秒44の日本記録でも10位相当だった。

話を「表:世界陸連採点表による日本記録・世界選手権参加標準記録の得点及びターゲットナンバーと世界の突破者数」の説明に移す。
日本記録とその得点、今回の東京世界選手権の参加標準記録とその得点、各種目のターゲットナンバー(出場枠)、2025年6月10日現在で参加標準記録をクリアしている世界の人数(前回優勝者の国を除き1国3名以内でカウント)を示している。
参加標準記録が公認日本記録を上回っているのが男子は、800m、1500m、5000m、10000m、三段跳、砲丸投、円盤投、十種競技の8種目。ただし、日本人現役選手の2020年以降のベスト記録に限ると、走高跳、棒高跳、ハンマー投、やり投の4種目も参加標準記録に及ばない。 また、女子の参加標準記録が日本記録を上回っているのは持久系種目を除くほとんどすべてに近い。日本記録の方が高いのは、1500m、5000m、マラソン、100mH、20kmW、35kmW、走幅跳、やり投の8種目で残る14種目は参加標準記録のレベルが高い。

このところの五輪と世界選手権の参加標準記録、特にフィールド種目のそれは非常に高い水準に設定されている。トラックとロード種目は、世界全体でターゲットナンバーの半数前後の人数が参加標準記録をクリアしている。
しかしフィールド種目は、36名のターゲットナンバーのうち2025年6月10日時点で半数以上の人数がクリアしているのは、男子は棒高跳、円盤投の2種目。女子は砲丸投のみ。他の種目は3分の1にも満たない人数のものがほとんどである。よって、参加標準記録とはかなりの差があっても、1国3名以内でカウントしたワールドランキング(Road to Tokyo = https://worldathletics.org/stats-zone/road-to/7190593?eventId=10229509)でターゲットナンバー内に入れれば世界選手権に出場できる。世界陸連ホームページに毎週水曜日(日本時間の木曜日)に発表される「Road to Tokyo」で日本人選手の順位をチェックするのも「楽しみ方」のひとつである。

表:世界陸連採点表による日本記録・世界選手権参加標準記録の得点及びターゲットナンバーと世界の突破者数
・世界の突破者数は、2025年6月10日現在

【男 子】

種目日本記録得点世界選参加標準記録得点ターゲットナンバー世界の突破者数
100m9.951224点10.001206点48名26名
200m20.031215点20.161195点48名23名
400m44.771196点44.851190点48名21名
800m1.44.801180点1.44.501189点56名27名
1500m3.35.421169点3.33.001202点56名34名
5000m13.08.401177点13.01.001206点42名21名
10000m27.09.801210点27.00.001226点27名21名
マラソン2.04.56.1224点2.06.30.1194点100名32名
110mH13.041247点13.271202点40名18名
400mH47.891237点48.501206点40名23名
3000mSC8.09.911212点8.15.001189点36名21名
20kmW1.16.10.1275点1.19.20.1205点50名26名
35kmW2.21.47.1254点2.28.00.1189点50名24名
400mR37.431271点16チーム出場   
1600mR2.58.331223点16チーム出場   
走高跳2.35i1224点2.331206点36名6名
棒高跳5.831220点5.821217点36名18名
走幅跳8.401225点8.271197点36名7名
三段跳17.151181点17.221188点36名14名
砲丸投19.091067点21.501211点36名12名
円盤投64.481143点67.501198点36名21名
ハンマー投84.861278点78.201175点36名12名
やり投87.601209点85.501179点36名10名
十種競技83081174点85501212点24名15名
混合1600mR3.15.711140点16チーム出場   


【女 子】

種目日本記録得点世界選参加標準記録得点ターゲットナンバー世界の突破者数
100m11.211154点11.071185点48名25名
200m22.891146点22.571178点48名19名
400m51.751136点50.751176点48名30名
800m1.59.931163点1.59.001180点56名33名
1500m3.59.191212点4.01.501193点56名28名
5000m14.29.181224点14.50.001182点42名23名
10000m30.20.441229点30.20.001229点27名7名
マラソン2.18.59.1222点2.23.30.1179点100名30名
110mH12.691192点12.731187点40名21名
400mH55.341162点54.651184点40名17名
3000mSC9.33.931159点9.18.001199点36名21名
20kmW1.26.33.1198点1.29.00.1155点50名30名
35kmW2.44.11.1198点2.48.00.1163点50名21名
400mR43.331164点16チーム出場   
1600mR3.28.911147点16チーム出場   
走高跳1.961180点1.971190点36名7名
棒高跳4.481108点4.731186点36名11名
走幅跳6.971211点6.861187点36名10名
三段跳14.161134点14.551174点36名7名
砲丸投18.221096点18.801132点36名19名
円盤投60.721085点64.501154点36名15名
ハンマー投70.511101点74.001158点36名10名
やり投67.381215点64.001152点36名9名
七種競技59751070点65001173点24名9名
混合1600mR3.15.711140点16チーム出場   



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


【チケット販売中】第109回日本選手権

日程:7月4日(金)~6日(日)
会場:国立競技場(東京)
種目:男子17種目、女子17種目
時間:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/timetable/
・1日目(7月4日):競技開始 14時頃/競技終了21時頃
・2日目(7月5日):競技開始 11時30分頃/競技終了19時頃
・3日目(7月6日):競技開始 14時頃/競技終了19時頃

▼チケット詳細はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/
▼大会情報はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/


新しい楽しみ方!数量限定の新席種登場!

🔶プレミアムホスピタリティ/ホスピタリティ(エリア指定)【数量限定】


観戦+お食事+感動体験。特別な1日をお届けします!
・メダリストやレジェンドアスリートとの交流
・専用入場ゲート/競技前後に使える涼しいラウンジ
→通常の観戦では味わえない体験をぜひ!

👨‍👩‍👧親子プレミアムシート(指定席)【数量限定】


家族で特別な観戦体験を!
・グラウンドレベルでフィニッシュを間近で体感
・トップアスリートとのハイタッチのサプライズも!?
(※決勝後選手のみ。選手のコンディションによってはハイタッチが難しい場合がございます。)
・中学生以下の子どもを含む2枚以上から申込可能

🏁SS席プレミアム(指定席)

・フィニッシュライン近くの迫力満点エリア
・選手の全力の走りを間近で応援!

🎫3日間通し券(S席・A席)

・S席(エリア指定)→ 通常で購入するより、3,000円お得!
・A席(自由席)→ 通常で購入するより、1,000円お得!
→ 陸上ファンにおすすめの通し券です!

👥団体割引


・ホスピタリティ:5枚以上(3日間合算)※ホスピタリティ7/4(金)および7/5(土)は完売※
・S席/A席:各日13枚以上から
※申込は6月26日(木)12:00まで
申込方法:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/


国立満員プロジェクト



2025年、日本選手権は国立競技場で開催されます。
このプロジェクトは、その会場を“満員”にし、
選手と観客が一体となって熱く盛り上がる空間をつくるためのキャンペーンです。

現地で応援できる方は、ぜひ国立競技場へ!
来場が難しい方も、キャンペーンに参加登録することで“気持ちで”参加可能です。

★特設サイト (https://www.jaaf.or.jp/2025/ns/) では★
➀「国立満員リレー」:選手・関係者・ファンのX(旧Twitter)投稿がつながる応援企画
➁「みんなの一歩」:賛同者数が可視化されるカウンター
(※回答いただいたGoogleフォームで人数がカウントされます!)
The 109th JAAF Athletics Championships Official Sponsors
特別協賛

山崎製パン株式会社

協賛
  • アシックスジャパン株式会社
  • 大塚製薬株式会社
  • 日本航空
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社
協力
  • サッポロビール
  

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES