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2022.05.03(火)

【日本グランプリシリーズ】三浦、金栗記念に続き5000mも圧巻のラストスパートで勝利!男子100mは小池が国内戦初勝利!/第56回織田記念陸上



日本グランプリシリーズ広島大会第56回織田記念陸上が4月29日、広島広域公園陸上競技場(エディオンスタジアム広島)において開催されました。この大会は、ワールドアスレティックス(WA)が世界で展開する「WAコンチネンタルツアーブロンズ」大会としても位置づけられています。今年は久しぶりに、チャイニーズタイペイ、オーストラリアなどから来日した海外トップ選手が参加。国際大会ならではの華やかさが戻ってきました。
前日の快晴・好コンディションから一変して、当日は朝から降り始めた雨が、トラック種目の予選や女子三段跳競技開始直後の時間帯に強まる悪天候に。日差しが戻ってからも冷たい風が吹き続けたために気温が上がらず、夕方以降は凍えるような寒さのなかでの競技となりました。男子6種目、女子7種目の計13種目が行われたグランプリ種目のうち男子3000m障害物を除く12種目が、9月に中国で開催される杭州2022アジア競技大会の日本代表選考を兼ねての実施。低温のうえに、ホームストレートが強い向かい風となる条件下となったことから選手の欠場や波乱もあり、世界選手権参加標準記録突破者は現れず、全般的に記録は低調なものにとどまりました。


森本が日本歴代3位の13m56!
2位・髙島も13m35をマーク



織田記念は、1928年アムステルダムオリンピックで、すべてのスポーツを通じて日本初のオリンピックチャンピオンに輝いた織田幹雄さんの偉業を称えて1967年から行われている大会です。三段跳だけでなく複数の種目で数々の好記録を残した織田さんは、競技者を退いてからも幅広い立場で陸上界の発展に貢献、「日本陸上界の父」とも呼ばれています。昨年12月には、ワールドアスレティックス(世界陸連、WA)が世界の陸上界の歴史において、多大なる貢献を果たした個人や団体に贈る「ヘリテージプラーク」を受章したことが大きな話題となりました。
そのヘリテージプラークを受章して最初の大会となった今回は、女子三段跳で好記録が誕生しました。グランプリ種目最初の決勝として行われた女子三段跳は、強い雨のなか競技が開始され、徐々に天候が回復していくコンディション下で進行。追い風基調ながら、強さも向きも一定しない難しい風となったなか、3月の日本選手権室内で13m31の室内日本新記録を樹立していた森本麻里子選手(内田建設AC)が、日本歴代3位となる13m56(+1.2)をマークして優勝を果たしています。森本選手は、1回目に13m25(+1.2)でトップに立つと、2・3回目を13m10(+2.5)、13m03(+2.1)と安定した跳躍を披露。3回目の試技で、今年から社会人となった髙島真織子選手(九電工)が13m27(+4.0)をマークしたことで前半を2位で折り返しました。ビッグジャンプが飛び出したのは4回目。1.2mという絶好の追い風にも恵まれて、昨年の日本選手権を制した際にマークした13m37の自己記録を大きく上回る13m56に着地しました。記録更新の期待が集まった残り2回の試技は惜しくもファウルに終わりましたが、順調な屋外シーズンへの移行を印象づけました。

大幅な自己新ながらも、競技終了直後は、「もったいことをした」と残念そうな声を上げる場面も見せた森本選手。今季は、まず、アジア大会でのメダル獲得を目指したこともあり、「アジア(大会)で3位に入るには13m80から14m00はいると考えていたので、そこへの記録の物足りなさが残念」と振り返りました。ファウルに終わった5・6回目は、4回目の跳躍の再現性を高めるべく、「同じような記録、同じような動きをしようと思っていたが、風や、助走でもう少しスピードを出そうとした部分でうまくいかず、ちょっとだけ出てしまった」そう。4回目よりも感触のよかった6回目は「13m50~60くらいは行っていた感じだった」といいます。一方で、着実な手応えもつかめた様子。日本選手としては、ただ一人、そして一度しかマークされていない14m台(14m04、花岡麻帆、1999年)に向けては、「コンスタントに自己ベストを更新して、13m後半をずっと跳んでいれば見えてくると思う」とコメント。まずは13m50を上回ったことで、「やっとひと越えした感じもあるので、ここをベースに日本記録を視野に入れていきたい」と意欲を見せました。今後、静岡国際、東日本実業団に出場し、日本選手権にピークを合わせていく計画です。

前半でトップに立った髙島選手も、逆転はならなかったものの、最終試技で、3月に出したばかりの自己記録(13m22)を更新する13m35(+0.8)をマークし、日本歴代リストでは9位に上がってきました。今季は、さらなる飛躍が期待できそうです。


男子100mは小池が優勝
悪天候に左右されない安定感示す



この大会のグランプリ種目は、男子3000m障害物を除いては、アジア大会代表の座をかけて行われましたが、目まぐるしく(悪く)変わる気象コンディションは、特に男女短距離、ハードル種目に大きく影響を及ぼしました。
男子100mでは、前日までの段階で、桐生祥秀選手(日本生命)が、4月24日の出雲陸上の際に生じた違和感により、大事をとって欠場を発表。また、嵐のなかのような風雨に見舞われたなかでのレースとなった予選で、東京オリンピック日本代表のデーデーブルーノ選手(セイコー)は1組5着(10秒89、−2.4)、多田修平選手(住友電工)は2組5着(10秒57、−0.7)にとどまり、デーデー選手は予選敗退、予選9~16番目のタイムで組まれるB決勝に進んだ多田選手も、決勝は欠場する形となりました。

そんななかで安定した強さを発揮したのが小池祐貴選手(住友電工)。予選3組を、全体トップタイムとなる10秒42(+0.3)で通過すると、晴れて日差しが戻ったものの3.3mという強い向かい風の中で行われた決勝でも、2着に0.05秒の差をつける10秒49でフィニッシュ。国内初戦を勝利で飾りました。
レース後、「さすがに風が強かったので、力まないように自分のリズムで走り終えた」と感想を話した小池選手は、記録について尋ねられると、「向かい風は3.3m?まあ許してあげようかなくらい。合格点は越えたかな、という感じ」と応えました。一方で、予選のあとに雨がやんで気温が上がってきたのと並行して、身体の調子も上がってきたこともあり、決勝は、「もし、奇跡的に無風とかだったら、標準(オレゴン2022世界選手権参加標準記録10秒05)を狙おうかなというくらい気分を上げてこられた。安全に行くというよりは、前向きな気持ち」でレースに臨めていたそう。「中盤、ちょっと乗りきらないところはまだあるが、落ち着いてスタートを出て、顔を上げてから思いきり走ることができていた。(アメリカでの)1・2戦目は、ゴールしたあと、エネルギーをもてあました状態があったので、その点では悪くなかったと思う」と、振り返りました。今年も、日本選手権には100m・200mの2種目に出場し、両種目での世界選手権出場権獲得を計画している小池選手は、次戦は、静岡国際の200mに出場します。「今までは、実験的な感じで、いろいろなことを試しながらやっていたが、ある程度、自分の型みたいなものが決まってきたので、安定したレースをしながら、好条件がくるのを待っていこうかなと思っている」と、落ち着いた表情で、自身が描いている今後の青写真を示してくれました。




男子110mハードルでは、日本記録保持者(13秒06)の泉谷駿介選手(住友電工)が、雨と向かい風と寒さのなか行われた予選3組を14秒10(−1.3、1着)で通過したものの、日本選手権室内で痛めていた足首の状況を考慮して決勝は欠場。レースは、向かい風2.4mとなった予選2組を全体でもトップタイムとなる13秒75で通過していた村竹ラシッド選手(順天堂大)が、決勝でも他選手を突き放して、13秒55(−1.5)で快勝。男子100mの小池選手同様、コンディションに左右されない「強さ」を印象づけました。2位は、オーストラリアのニック・ヒュー選手で13秒73。3・4位には、3月に世界室内60mハードル準決勝で8番目のタイムをマークしながら同記録2名での抽選により決勝進出を逃した野本周成選手(愛媛陸協)が13秒83で、東京オリンピック日本代表で元日本記録保持者の高山峻野選手(ゼンリン)が13秒92で、それぞれ続きました。

女子100mハードルも、東京オリンピックで準決勝進出を果たしている寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)が悪天候を考慮して、当日に欠場を判断。2.8mという強い向かい風のなか行われた決勝は、セレステ・ムッチ選手(オーストラリア)、福部真子選手(日本建設工業)、4月上旬に12秒86をマークして、寺田選手とともに保持していた日本記録(12秒87)を更新したばかりの青木益未選手(七十七銀行)の3人が競り合い、ムッチ選手と福部選手が13秒21の同タイムながら着差ありの1・2位でフィニッシュ。0.04秒後れて青木選手が続く結果となりました。

東京オリンピック女子4×100mリレーメンバーである青山華依選手(甲南大)兒玉芽生選手(ミズノ)齋藤愛美選手(大阪成蹊AC)鶴田玲美選手(南九州ファミリーマート)の4選手が出場した女子100mは、恵庭北高(北海道)3年の2019年に日本選手権100mを優勝、同年にU20日本歴代2位となる11秒46の自己記録もマークしている御家瀬緑選手(住友電工)が11秒79(-0.7)で優勝。住友電工に所属して3年目を迎えた御家瀬選手は、男子短距離の小池選手や十種競技の丸山優真選手らとともに、アメリカでトレーニングを行い、順調な仕上がりを見せていました。この2年は苦しいレースが続きましたが、復調の兆しを見せる好走でした。


男子5000mは三浦がV
女子は田中が日本人トップの3位に



男女5000mは、日が落ちて気温が一段と下がり、吐く息が白く見えるほどの冷気の中で行われました。男子は、東京オリンピック3000m障害物予選で日本記録(8分09秒92)をマークして決勝に進み、7位入賞を果たした三浦龍司選手(順天堂大)が、女子も東京オリンピック1500m予選(4分02秒33)、準決勝(3分59秒19)と日本記録を更新して決勝進出を果たし、セカンドベストで8入賞を達成した田中希実選手(豊田自動織機)が、それぞれ出場して注目を集めました。

東京オリンピックでこの種目の代表となった松枝博輝選手板東悠汰選手(ともに富士通)も出場した男子は、ペースメーカーが用意され、最初の1周を59秒で入ったあとは、65~66秒のイーブンでレースが進んでいく形に。ペースメーカーが外れた3000m以降は、コスマス・ムワンギ選手(中国電力)とダニエル・ディリツ選手(大分東明高)の2名がリードし、城西大を卒業したばかりの砂岡拓磨選手(コニカミノルタ)、三浦選手、松枝選手の日本勢3選手が続く展開となりました。残り1周を切ったところで、松枝選手が三浦選手をかわして日本人トップとなり、前を行く外国勢2選手を追いましたが、ホームストレートで先頭を行くムワンギ選手をかわすのとほぼ同時に、コーナーを抜けた辺りから強烈なキックで猛追に入った三浦選手が、その外から両選手を抜き去り逆転。13分32秒42で優勝しました。松枝選手は13分33秒18で2位、砂岡選手は13分33秒97で4位(日本人3位)の結果でした。

女子は、田中選手のほかに、東京オリンピック5000mに出場した萩谷楓選手(エディオン)、東京オリンピック10000m代表で杭州アジア大会マラソン代表に内定済みの安藤友香選手(ワコール)も出場。最初の1000mを3分07秒で入ったレースは、続く各1000mを3分04秒、3分04秒で刻みましたが、3000mを通過した直後に、ペースが上がって8人いた先頭集団がばらけて、カマウ・タビタジェリ選手(三井住友海上)、アグネス・ムカリ選手(京セラ)、カリウキ・ナオミムッソーニ選手(ユニバーサルエンターテインメント)の外国選手3人を、田中選手が追う展開へと変わりました。田中選手は3600mを過ぎたところで3選手に追いつき、残り3周に入る手前で先頭へ。トップを維持したまま最後の周回に入り、そのまま逃げきれるかとも思われましたが、最終コーナーを抜けるあたりでアグネス選手とカマウ選手がスパート。ホームストレートで逆転を喫し、15分23分87秒・3位でのフィニッシュとなりました。優勝したのはアグネス選手で15分22秒90でした。日本人で田中選手に続いたのは、中盤まで先頭集団をリードする走りを見せていた矢田みくに選手(デンソー)で15分31秒22をマークして全体では5位。また、6位は川口桃佳選手(豊田自動織機)が15分32秒44で、7・8位の安藤選手・萩谷選手らオリンピアンに先着しました。

このほか、女子3000m障害物は、日本学生記録・U20日本記録を持つ吉村玲美選手(大東文化大)が9分52秒16で圧勝。東京オリンピック日本代表の山中柚乃選手(愛媛銀行)は9分54秒42で、石澤ゆかり選手(日立、9分54秒06)に続き3位でフィニッシュしています。また、フィレモン・キプラガット選手(愛三工業)が優勝した男子3000m障害物では、東京オリンピック日本代表の山口浩勢選手(愛三工業)が8分34秒72で日本人トップの2位でレースを終えています。

 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ

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