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2025.09.13(土)

【記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上】女子マラソン:安藤・小林・佐藤が3大会ぶりの入賞&6大会ぶりのメダルに挑む



9月13日(土)から21日(日)の9日間、国立競技場を舞台に20回目の世界選手権「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)」が開催される。
日本での開催は、1991年(第3回)の東京(国立)、2007年(第11回)の大阪(長居)に続き3回目。国単位での開催回数では、最多である(2位は、フィンランドとドイツの2回)。

日本からは、全49種目のうちの38種目に80名(男子49名・女子31名)の代表選手がエントリーし、世界のライバル達と競い合う。

現地のスタンドあるいはテレビで観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全38種目と世界新記録や好勝負が期待される種目に関して、「記録と数字で楽しむ2025東京世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中ではオリンピックについても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

記録は原則として、世界選手権参加標準記録の有効期限であった25年8月24日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の観戦ガイドや今後ネットにアップされるであろう各種メディアの展望記事などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のX(https://x.com/jaaf_official)を中心に、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

▼「記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上」記事一覧
こちらから>>



女子マラソン

・決勝 9月14日(日)08:00→07:30に変更


安藤・小林・佐藤が3大会ぶりの入賞&6大会ぶりのメダルに挑む

日本代表は下記の3人。
安藤友香(しまむら/エントリー記録&自己ベスト2時間21分18秒=24年名古屋)2回目(17年ロンドン17位)
小林香菜(大塚製薬/エントリー記録&自己ベスト2時間21分19秒=25年大阪女)初出場
佐藤早也伽(積水化学/エントリー記録&自己ベスト2時間20分59秒=25年名古屋)2回目(23年ブダペスト20位)

エントリー記録では、佐藤13位、安藤14位、小林15位に並んでいる。

大会2日目(9月14日)の朝7時30分にスタートする。国立競技場が発着点でコースは、24年パリ五輪の代表選考会となった「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」とかなり重なる部分が多い。

国立競技場のトラックを約2周して場外へ。外苑西通りを北上し富久町西で右折し靖国通りと外堀通りを右手にJRの線路を見ながら水道橋へ向かう。東京ドームを左に通り過ぎたところで右折し古本屋街で有名な神保町(約8km地点)へ。ここから1周約13kmの周回コースに入る。
神保町→須田町→秋葉原→須田町→日本橋→銀座4丁目で折り返し再び同じ経路で神保町へ戻る。そのあとは、南下して皇居の内濠沿いに東京駅中央口(丸の内側)の前を折り返し再び神保町へ。これが1周約13kmでそのコースを2周したあと往路と同じ経路で国立競技場に戻るという42.195kmだ。

序盤の3km付近から6km付近が約25mの下りでその後は高低差数mの細かなアップダウンはあるがほぼ平坦なコース。序盤とは反対に終盤の37km付近から40km付近まで続く約25mの上り坂がメダル争いや入賞争いの勝負を決する大きなポイントとなりそうだ。


◆世界選手権&五輪での入賞者と日本人最高記録◆

<世界選手権・入賞者>
1991年2位2.29.57.山下佐知子(京セラ)
4位2.31.08.有森裕子(リクルート)
1993年1位2.30.03.浅利純子(ダイハツ)
3位2.31.01.安部友恵(旭化成)
1997年1位2.29.48.鈴木博美(積水化学)
4位2.32.18.飛瀬貴子(京セラ)
1999年2位2.27.02.市橋有里(住友VISA)
8位2.29.11.小幡佳代子(営団地下鉄)
2001年2位2.26.06.土佐礼子(三井海上)
4位2.26.33.渋井陽子(三井海上)
2003年2位2.24.14.野口みずき(グローバリー)
3位2.25.09.千葉真子(豊田自動織機)
4位2.25.25.坂本直子(天満屋)
2005年6位2.24.20.原裕美子(京セラ)
8位2.25.46.弘山晴美(資生堂)
2007年3位2.30.55.土佐礼子(三井住友海上)
6位2.31.40.嶋原清子(セカンドウィンドAC)
2009年2位2.25.25.尾崎好美(第一生命)
7位2.26.57.加納由理(セカンドウィンドAC)
2011年5位2.29.35.赤羽有紀子(ホクレン)
2013年3位2.27.45.福士加代子(ワコール)
4位2.31.28.木﨑良子(ダイハツ)
2015年7位2.29.48.伊藤舞(大塚製薬)
2019年7位2.39.09.谷本観月(天満屋)

最高記録は、
2.23.49. 松田瑞生(ダイハツ)2022年 9位

83年、87年、95年、17年、22年、23年の6大会は入賞を逃したが、残りの13大会は少なくともひとりは入賞し、金2、銀5、銅4の計11個のメダルを含め、のべ24名が入賞している。
97年から15年まで10大会連続入賞を継続したが、残念ながら17年ロンドンで連続入賞記録がストップした(17年は16位が最高順位)。


<五輪・入賞者>
1992年2位2.32.49.有森裕子(リクルート)
4位2.36.26.山下佐知子(京セラ)
1996年3位2.28.39.有森裕子(リクルート)
2000年1位2.23.14.高橋尚子(積水化学)=五輪新
7位2.27.03.山口衛里(天満屋)
2004年1位2.26.20.野口みずき(グローバリー)
5位2.28.44.土佐礼子(三井住友海上)
7位2.31.43.坂本直子(天満屋)
2021年8位2.30.13.一山麻緒(ワコール)
2024年6位2.24.02.鈴木優花(第一生命G)

最高記録は、
2.23.14. 高橋 尚子(積水化学)2000年 1位 =五輪新

92年バルセロナから4大会連続のメダル獲得で00年シドニーと04年アテネを連覇。アテネでは3名全員入賞も達成した。しかし、その後の08年北京、12年ロンドン、16年リオは入賞に届かず各大会での最高順位は、13位、16位、14位にとどまった。地元開催の21年東京五輪(札幌市で実施)では一山(8位)が4大会ぶりの入賞を果たし24年パリでも鈴木が6位に入った。


◆「世界選手権」&「五輪」の国別歴代得点◆

「世界選手権」「五輪」の各大会での1位に8点、2位7点~8位1点の点数を与えて国別の得点を集計すると次のようになる。

【世界選手権での国別歴代得点(2023年大会まで)】
順)点国名12345678入賞数 
1)120KEN5513135124ケニア
2)118JPN2545123224日本
3)74ETH3113321216エチオピア
4)42POR221128ポルトガル
5)37ROU113117ルーマニア
6)37CHN1122118中国
7)28USA1111329アメリカ
8)23ITA11125イタリア
9)22GER113117ドイツ
10)21URS111115ソ連
11)17BRN1113バーレーン
12)16POL1113ポーランド
13)14PRK1124北朝鮮
14)13NOR112ノルウェー
15)13RUS1124ロシア
16)11ISR112イスラエル
17)10FRA112フランス
18)8GBR11イギリス
19)8BLR22ベラルーシ
20)7BRN21バーレーン
21)7ESP112スペイン
22)6NAM11ナミビア
22)6MAR11モロッコ
24)6ERI112エリトリア
25)6FIN123フィンランド
26)4CAN11カナダ
27)2IRL11アイルランド
27)2MEX11メキシコ
27)2RSA11南アフリカ
27)2SWE11スウェーデン
31)1SCG11セルビア・モンテネグロ
31)1SUI11スイス
2023年大会終了時点の得点の上位国について、累計得点と順位の推移をまとめると以下の通り。
JPNKENETHPORROUCHN他の上位国 
1983年未入賞未入賞未入賞4)5未入賞未入賞1)8NOR
1987年未入賞未入賞未入賞2)13未入賞未入賞1)20URS
1991年4)12未入賞未入賞2)15未入賞未入賞1)21URS
1993年1)26未入賞未入賞2)22未入賞未入賞3)21URS
1995年2)26未入賞未入賞1)3010)7未入賞3)21URS
1997年1)39未入賞未入賞2)378)13未入賞3)21URS
1999年1)47未入賞11)92)394)19未入賞3)21URS
2001年1)5917)311)112)393)27未入賞4)22GER
2003年1)7713)117)142)393)27未入賞4)22GER
2005年1)856)227)192)393)3317)44)22GER
2007年1)904)337)192)393)379)165)22GER
2009年1)994)336)252)423)375)337)22GER
2011年1)1032)546)303)424)375)377)22GER
2013年1)1142)686)303)424)375)377)23ITA
2015年1)1162)784)423)425)376)377)23ITA
2017年1)1162)923)474)425)376)377)23ITA
2019年1)1182)1053)474)425)376)377)23ITA
2022年1)1182)1153)554)425)376)377)28USA
2023年2)1181)1203)744)425)376)377)28USA
日本は、91年の地元東京で2位・4位で初入賞。95年は入賞を逃したが、その後は2015年まで10大会連続入賞を継続し、22年までトータルの入賞人数も累計の得点でもトップの座を守り続けてきた。しかし23年に入賞人数でケニアに並ばれ、累計得点もトップを奪われた。
初期の頃はソ連、ノルウェー、ポルトガルなどが得点を重ね、95年からはルーマニアも台頭。91年東京大会からは日本が一気に勢いを増して、97年以降22年まではトップを守ってきた。しかし、2001年に初入賞したケニアが日本を猛追。22年オレゴンで2・6位で10点、23年ブダペストで6・7位で5点を上乗せしてついに逆転した。
3位のエチオピアも22年に8点(1位)、23年には19点(1・2・5位)の大量得点で至近2大会で27点を加算した。
上位7国で点数を伸ばしているのは、アフリカの2国のみで他の国は、ほとんど変わっていない。

2023年世界選手権終了時点の上位6カ国の5大会ごとと2017・19・22・23年の4大会の得点は、以下の通り。
大会回数(西暦年)JPNKENETHPORROUCHN
1~5回(1983~1995)26003070
6~10回(1997~2005)5922199264
11~15回(2007~2015)3156233433
16~19回(17・19・22・23)24232000
       
合計得点11812074423737
このところのケニアとエチオピアは、90年代から00年代前半の日本を上回るような勢いだ。

【五輪での国別得点(2024年大会まで)】
順)点国名12345678入賞数 
1)75KEN2423112ケニア
2)51ETH2113119エチオピア
3)46JPN2111112110日本
4)25USA12115アメリカ
5)21ROU111115ルーマニア
6)21POR11125ポルトガル
7)21RUS111126ロシア
8)19CHN1124中国
9)19GER111115ドイツ
10)14URS/EUN1113ソ連/EUN
11)12NOR112ノルウェー
12)10BRN1112バーレーン
13)10NZL112ニュージーランド
14)9AUS112オーストラリア
15)8NED11オランダ
16)8BLR22ベラルーシ
17)6GBR22イギリス
18)6ITA1113イタリア
19)4ESP11スペイン
20)4PRK112北朝鮮
21)3SCG/SRB13セルビア・モンテネグロ/セルビア
22)2LUX11ルクセンブルク
23)1CAN11カナダ
〃)1UGA11ウガンダ
21年東京大会終了時点では、日本が43点で2位、エチオピアが40点で3位だったが、24年のパリで3点(6位)の日本に対しエチオピアが11点(2位・5位)を上乗せして順位が入れ替わった。
04年アテネ大会終了時点と24年パリ大会終了時点では、こうなる。

2004年アテネ大会時点2024年パリ大会時点
1)42 日本3)46
2)18 ポルトガル6)21
3)18 ケニア1)75
4)16 エチオピア2)51
5)16 ドイツ9)16
6)14 アメリカ4)25
7)14 ソ連/EUN10)14
8)12 ノルウェー11)12
9)12 ロシア7)21
10)10 ルーマニア5)19
04年現在では左の順位が「トップ10」だったが、08年からの3大会でケニアが46点を加算し以後は独走。エチオピアも24年に日本を逆転した。


◆各年の世界100傑内の国別人数◆

男子ではその年の世界100傑のうち8~9割をケニアとエチオピアを中心とする東アフリカ勢が占めることが多いが、女子も「記録」では東アフリカ勢が優勢だ。
2000年以降の5年毎と16年からのその年の世界100傑に占める国別人数は以下の通りだ。
100位ETHKENJPNUSABRNその他
20002.32.30.152355(20国)
20052.31.51.11151952(23国)
20102.29.53.37141233(16国)
20152.28.20.39251024(20国)
20162.28.49.40291014(9国)
20172.28.12.3637107(5国)
20182.26.58.492310(8国)
20192.25.38.46319(8国)
20202.28.23.471521(17国)
20212.26.20.423313(13国)
20222.24.16.42261214(11国。ERIが「3名」。AUSが「2名」)
20232.24.09.402619(14国。AUS・GBRが「3名」。ITAが「2名」)
20242.23.45.433210(9国。ESPが「2名」。他8国が「1名」)
20252.25.09.452417(12国。AUSが「3名」。GBR・FRA・MARが「2名」)
・2025年は、8月31日判明分の記録

2008年までは日本がトップだったが、2010年代以降はエチオピアとケニアが勢力をどんどん拡大してきた。この2国でのシェアはこのところ7割前後。それ以外の国では、男子と同様に女子も日本勢が頑張っているが10名未満だ。


◆世界選手権&五輪の気温と湿度、1・3・8位の記録とトップの前後半タイム、完走率◆

夏場に行われる世界選手権と五輪の1983年以降の気温と湿度、1・3・8位の記録とトップの前後半タイム、完走率をまとめた。
・気象状況は、リザルトに記載されているもの。
・リザルトに記載がないものは、世界陸連発行の資料(Statistics Handbook)に掲載のデータ。
・それにもないものは、両陸上専門月刊誌に掲載された記事のデータ。

日本のレースでは、リザルト用紙に「スタート時」「5㎞地点」「10㎞地点」などの「天候」「気温」「湿度」「風向」「風速」が細かく記載されていることが多いが、海外では「天候」の記載もあまりなく、「スタート時と終了時」あるいは「スタート時」の「気温と湿度」のみであったりがほとんどだ。また「終了時」もトップ選手のフィニッシュ時点の場合であったり最終走者のフィニッシュ時点の場合であったりする。

「1位・3位・8位」の記録については、数年後に「ドーピングで失格」などで繰り上がった場合の修正がきちんできていない場合があるかもしれないことをお断りしておく。

「完走率(完走者/出場者)」は、のちに「ドーピング違反」などで「失格」となった選手であってもフィニッシュラインを越えたことが確かな者については「完走」として扱った。

【1983年以降の世界選手権&五輪の気温と湿度、1・3・8位の記録とトップの前後半タイム、完走率】
・「◎」は、各項目の最高記録を示す。
・「前半」は、その時点でトップの選手の通過タイムで優勝者のものとは限らない。
・1995年(「*」印)は、スタート直後の周回ミスのため400m距離不足(41.795㎞)の記録。

スタート時→終了時優勝記録(前半+後半/前後半差)3位記録8位記録完走率(完走者/出場者)
1983?℃・?%→?℃・?%2.28.09.(??.??.+??.??./????)2.31.13.2.34.14.86.4%(51/59)
1984五輪24℃・?%→27℃・?%2.24.52.(??.??.+??.??./????)2.26.57.2.29.09.88.0%(44/50)
198727℃・63%→23℃・74%2.25.17.(71.54.+73.23./▼1.29.)2.32.53.2.35.16.80.5%(33/41)
1988五輪16℃・50%→?℃・?%2.25.40.(72.20.+73.20./▼1.00.)2.26.21.2.30.14.91.4%◎(64/68)
199124℃・60%→27℃・49%2.29.53.(74.49.+75.04./▼0.15.)2.30.10.2.33.00.61.5%(24/39)
1992五輪30℃・70%→?℃・?%2.32.41.(??.??.+??.??./????)2.33.59.2.38.46.78.7%(37/47)
199323℃・68%→25℃・53%2.30.03.(74.39.+75.24./▼0.45.)2.31.01.2.36.33.71.9%(23/32)
199524℃・39%→?℃・?%*2.25.39.(*72.42+72.57./△???)*2.30.11.*2.32.17.74.4%(32/43)
1996五輪21℃・61%→?℃・?%2.26.05.(72.31.+73.34./▼1.03.)2.28.39.2.31.16.74.7%(65/87)
199730℃・48%→?℃・?%2.29.48.(75.42.+74.06./△1.36.)2.31.55.2.36.16.72.0%(54/75)
199924℃・63%→32℃・?%2.26.59.(74.30.+72.29./△2.01.)2.27.41.2.29.11.82.4%(42/51)
2000五輪23℃・85%→?℃・?%2.23.14.(71.45.+71.29./△0.16.)2.24.45.2.27.07.84.9%(45/53)
200125℃・44%→?℃・?%2.26.01.(72.17.+73.44./▼1.27.)2.26.18.2.28.54.89.7%(52/58)
200318℃・42%→?℃・?%2.23.55.(72.46.+71.09./△1.37.)2.25.09.2.26.49.91.2%(62/68)
2004五輪35℃・38%→?℃・?%2.26.20.(74.02.+72.18./△1.44.)2.27.20.2.31.56.80.5%(66/82)
200516℃・94%→18℃・83%2.20.57.(69.49.+71.08./▼1.19.)2.23.19.2.25.46.89.5%(51/57)
200727℃・74%→32℃・55%2.30.37.(76.35.+74.02./△2.33.)2.30.55.2.32.22.86.4%(57/66)
2008五輪23℃・73%→24℃・69%2.26.44.(75.11.+71.33./△2.38.)2.27.07.2.27.51.85.2%(69/81)
200919℃・64%→23℃・41%2.25.15.(73.40.+71.35./△2.05.)2.25.32.2.27.39.87.5%(60/71)
201126℃・72%→28℃・62%2.28.43.(76.46.+71.57./△4.49.)2.29.14.2.30.25.86.8%(46/53)
2012五輪14℃・?%→17℃・?%2.23.07.(73.13.+69.54./△3.19.)2.23.29.2.25.27.89.0%(105/118)
201327℃・66%→28℃・48%2.25.44.(72.58.+72.46./△0.12.)2.27.45.2.35.49.65.7%(46/70)
201521℃・88%→?℃・?%2.27.35.(75.17.+72.18./△2.59.)2.27.39.2.30.54.80.0%(52/65)
2016五輪19℃・?%→?℃・?%2.24.04.(72.56.+71.08./△1.48.)2.24.30.2.27.36.85.3%(133/156)
201719℃・56%→?℃・?%2.27.11.(74.53.+72.18./△2.45.)2.27.18.2.28.49.85.7%(78/91)
201932℃・74%→32℃・74%2.32.43.(76.40.+76.03./△0.37.)2.34.15.2.41.24.57.1%(40/70)
2021五輪25℃・84%→29℃・67%2.27.20.(75.14.+72.06./△3.08.)2.27.46.2.30.13.83.0%(73/88)
202210℃・90%→16℃・75%2.18.11.◎(69.01.+69.10./▼0.09.)2.20.18.◎2.23.34.◎80.0%(32/40)
202323℃・77%→29℃・57%2.24.23.(74.29.+69.54./△4.35.)2.25.17.2.27.23.84.4%(65/77)
2024五輪19℃・66%→26℃・47%2.22.55.(73.22.+69.33./△3.49.)2.23.10.2.26.01.87.9%(80/91)
        
最高記録 2.18.11.(22) 2.20.18.(22)2.23.34.(22)91.4%(88)=最高完走率 
最低記録 2.32.43.(19) 2.34.15.(19)2.41.24.(19)57.1%(19)=最低完走率 
        
世選最高記録 2.18.11.(22) 2.20.18.(22)2.23.34.(22)  
五輪最高記録 2.22.55.(24) 2.23.10.(24)2.26.01.(24)  
22年オレゴンは、スタート時の午前6時15分が10℃・90%、最終ランナーフィニッシュ時の9時19分が16℃・75%と、世界大会史上最も涼しい条件のもとで行われ、優勝記録もメダルも入賞ラインも最も速いものとなった。

五輪を含めた30大会中完走率80.0%以上は22大会(73.3%)。気温が判明している29大会のうちスタート時か終了時で25℃以上は15大会で完走率80.0%以上は10大会(66.7%)。男子と比べると、完走率が高いようだ。

2010年代以降の五輪を含む11大会では、13年と19年の完走率が65.7%と57.1%と非常に低かった。11年以降ではこの2大会と22年オレゴンを除けば、金メダルと銅メダルの差は4秒~31秒。トップと入賞ラインは13・19・22年以外は概ね2分~3分あまりの差だ。

前後半の記録が判明している27大会で、前半よりも後半の方が速い「ネガティブ・スプリット」は、19大会(70.4%)で3分の2強。07年からの24年の14大会は22年以外は前半よりも後半の方が速かった。低温で、マラソンには絶好の条件となった22年オレゴンは序盤からハイペースで展開し、前半が後半よりも9秒速かった。
前後半差が最も大きかったのは、2011年の4分49秒差。この時は、最初の5㎞が18分39秒と世界選手権史上最も遅かったが、35㎞から40㎞は16分10秒で走った。

23年ブダペストも前後半差4分35秒。優勝したA・ベリソ(エチオピア)がトップに立った33kmからの1km毎は、3分12秒・12秒・12秒・13秒・11秒でこの間の5kmを16分00秒でカバーした。
24年パリ五輪は、高低差が大きく「五輪史上最もタフなコース」と言われていたが、29.2~32.5kmは3%~13.4%の下り坂。そのため7名の先頭集団は、30~35kmを15分44秒でにアップした。


◆9月14日の東京の過去3年間の気象状況◆

レースがスタートするのは、9月14日の午前8時00分。
過去3年間の1時間ごとの気象状況を調べてみたのが下記だ。

【過去3年間の9月14日の東京の気象状況】
時刻2024年2023年2022年
8時00分晴・29.6℃・71%晴・29.3℃・78%晴・27.4℃・81%
9時00分晴・31.4℃・65%晴・29.1℃・78%晴・29.7℃・77%
10時00分晴・32.9℃・62%晴・29.8℃・69%晴・29.0℃・70%
10時30分晴・32.6℃・62%晴・30.5℃・68%晴・31.0℃・61%
2022年以降の至近3世界大会と比較してかなり蒸し暑くなりそうで、札幌で行われた21年東京五輪と近いものになりそう。レース当日に太陽が顔を出しているか曇っているかどうかでペースも大きく変わってきそうだ。


◆気温による記録の低下率◆

夏場に行われペースメーカーもいない世界選手権や五輪は「記録ではなく勝負」のレース。
これまでにも何度か紹介したことがある1960年代から70年代にかけての少々古いものだが、故・高橋進氏の研究によって、「気温がマラソンの記録に及ぼす影響」のデータが示されている(「マラソン(講談社。1981年)」)。

下表がそれだ。
24年パリ五輪の選手選考の際に日本陸連が示した「代表内定条件」は、「23年10月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で、1・2位が内定」。「3人目」は24年3月までの指定レースで「2時間21分41秒以内」で走った中で最も記録が良かった選手というものだった。そんなことで、下記の「推定される記録」は、筆者(野口)が、「2時間21分41秒」を基準に、高橋氏の示した阻害率から計算した記録の範囲である。

【気温によってマラソンの記録が阻害される率】
気温暑さに強い選手暑さに弱い選手推定される記録2.21.41.基準
14℃0.0%0.2%2.21.41.~2.21.59.
15℃0.0%0.5%2.21.41.~2.22.24.
16℃0.0%1.0%2.21.41.~2.23.07.
17℃0.0%2.0%2.21.41.~2.24.32.
18℃0.0%3.0%2.21.41.~2.25.57.
19℃0.3%3.5%2.22.07.~2.26.39.
20℃0.5%4.0%2.22.24.~2.27.22.
21℃1.0%4.5%2.23.07.~2.28.04.
22℃1.0%5.0%2.23.07.~2.28.47.
23℃1.5%6.0%2.23.49.~2.30.12.
24℃2.0%6.5%2.24.32.~2.30.54.
25℃2.5%7.0%2.25.14.~2.31.37.
26℃3.0%7.5%2.25.57.~2.32.19.
27℃3.5%8.0%2.26.39.~2.33.02.
28℃4.0%9.0%2.27.22.~2.34.27.
29℃5.0%10.0%2.28.47.~2.35.52.
30℃6.0%11.0%2.30.12.~2.37.17.
31℃7.0%12.0%2.31.37.~2.38.42.
32℃8.0%13.0%2.33.02.~2.40.07.
33℃9.0%14.0%2.34.27.~2.41.32.
34℃10.0%15.0%2.35.52.~2.42.57.
35℃11.0%16.0%2.37.17.~2.44.22.
以上の通りで、レース前の数日間や1週間くらい前からの気温や湿度の変化にもよるが、暑さに弱い選手は、15℃を超えるあたりから絶好のコンディション(10℃くらい)と比べ記録への影響が出始め、20℃を超えると暑さに強い選手でも影響が出てくるようだ。

が、先に紹介した過去3年間の気象データの通り、今回の東京では30℃前後で湿度も60%以上の条件下でのレースになるかもしれず「暑さに強い選手」でも5~7%前後、「暑さに弱い選手」では10%以上の影響を受けることになるかもしれない。

世界選手権の大会記録は10~16℃の中で行われた22年オレゴン大会の2時間18分11秒であるが、その更新は困難であろう。
女子のみのレースでの世界記録2時間15分50秒(25年)を基準にすると5~7%の低下は、2時間22分38秒~2時間25分21秒となる。5kmあたりのイーブンにならすと16分54秒~17分13秒になる。当日の天候によるが序盤は「様子見」でもっと遅いペースになる可能性もあるかもしれない。


◆小林の「超高速ピッチ」に注目◆

最後に、話は少々変わるが、早稲田大学の「ホノルルマラソン完走会」というサークル出身という異色の経歴から世界選手権代表となった小林香菜(大塚製薬)の「超高速ピッチ走法」に注目だ。

代表内定の決め手となった25年1月26日の大阪国際女子マラソン(2位・2時間21分19秒=日本人トップ)の時の1分間の平均ピッチは「220.2歩」。24年11月24日の全日本実業団女子駅伝の3区10.6kmを34分45秒(区間11位)で走った時の4km手前のピッチは「224.0歩」だった。

日本人の女子マラソン選手で「1分間220歩」というピッチは、筆者はこれまでに見たことがない。
手許に残る高速ピッチは、古いところでは高橋尚子さんが女性初の2時間20分突破(2時間19分46秒)を2001年のベルリンで果たした時の「平均209歩」。あるいは、92年バルセロナと96年アトランタで五輪2大会連続メダルを獲得した現日本陸連会長・有森裕子さんの「平均205.6歩」。
現役選手は、マラソンでは22年と23年世界選手権代表の松田瑞生(ダイハツ)の「210.6歩(18年大阪女子=2時間22分44秒の時)」。
21年東京緒五輪マラソン代表の鈴木亜由子(JP日本郵政G)が23年名古屋ウィメンズで2時間21分52秒で走った時の「平均207.4歩(203.5~209.9歩)」などがある。

以上の通りで、高橋さん、有森さん、松田、鈴木も「高速ピッチ」とされるが小林が群を抜いている。世界を見渡してもこれだけの高速ピッチを刻む選手は記憶にない。

ちなみに、2時間19分12秒の日本記録を2005年から24年まで保持していた野口みずきさんが「平均196.9歩(07年東京女子・2時間21分37秒の時)」。
前田穂南(天満屋)が現日本記録の2時間18分59秒を24年大阪女子でマークした時が「平均191.5歩(186.2~196.8歩)」で、いずれも身長に近い大きなストライドで走っている。

男子では、91年東京世界選手権で金メダルを獲得した時(2時間14分57秒)の谷口浩美さんの「223.7歩(204~232歩)」というのが、筆者の手許で確認できる最速ピッチだ。

ストップウォッチと電卓を片手に注目する選手が数十歩に要したタイムを計測し、1分間あたりのピッチを計算してその変化をみながらのテレビ観戦というのも「楽しみ方」のひとつだ。といっても、そんなことをやっているとレースに集中できないであろうけれども……。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト、アフロスポーツ


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