
第109回日本陸上競技選手権大会が7月4日から3日間、東京・国立競技場で行われています。今大会は、9月に開催される東京2025世界陸上競技選手権大会の日本代表選手選考競技会を兼ねており、初日から白熱した戦いが繰り広げられました。
今大会、最初に世界選手権の代表内定を決めたのは、女子5000mの田中希実(New Balance)でした。田中はワールドアスレティックス(WA)が設定する参加標準記録(14分50秒00)をすでに突破しており、今大会は3位以内に入れば代表内定という状況でした。
レースは、4月の日本選手権10000mを制した廣中璃梨佳(JP日本郵政G)が積極的に引っ張る展開に。残り1600mで前に出た田中が一気に後続を引き離して、大会新記録となる14分59秒02で4連覇を達成しました。3000m付近まで先頭に立った廣中は、15分12秒61で2位でした。
23年ブダペスト世界選手権では、この種目で8位入賞を果たしている田中。今大会は1500mと2種目で代表内定を目指しており、1500mでも参加標準記録(4分01秒50)を突破しているため、大会3日目の1500m決勝で3位以内に入れば2種目での日本代表が内定します。

男子走高跳は、パリオリンピック5位で大会3連覇を狙う赤松諒一(SEIBU PRINCE)と、22年オレゴン世界選手権8位の真野友博(九電工)が覇権争いを繰り広げました。
2m29を1回目でクリアした真野に対し、この高さを2回失敗した赤松は3回目をパス。バーの高さは、東京世界選手権の参加標準記録となる2m33に上がりました。これをクリアすれば両者に代表内定の可能性がありましたが、1回の試技しかチャンスがなかった赤松はクリアできず。この時点で真野の3年ぶり3回目の優勝が決まりました。その後、真野も惜しい跳躍ながら2m33をクリアすることができず、今大会での代表内定者はいませんでした。
真野、赤松はワールドランキングのターゲットナンバー(36の出場枠)に入っており、そちらの要件を満たすことでの世界選手権出場を目指します。

女子三段跳は、日本記録(14m16)保持者の森本麻里子(オリコ)が7連覇に挑みましたが、髙島真織子(九電工)が日本歴代3位となる13m92(+0.2)で初優勝を飾りました。共に23年ブダペスト世界選手権では予選敗退。自国開催の東京世界選手権では決勝進出を目標に、ワールドランキングのターゲットナンバー(36の出場枠)圏内に入ることで代表内定を目指します。
森本は13m45(-0.4)で3位、船田茜理(ニコニコのり)が13m80(-0.4)で2位に入りました。

男子3000m障害物は、日本記録(8分09秒91)保持者でパリオリンピック8位の三浦龍司(SUBARU)がすでに世界選手権の代表に内定。今大会にはエントリーしておらず、東京、パリと2大会連続オリンピックに出場している青木涼真(Honda)が、ラストスパートで新家裕太郎(愛三工業)を振り切って、8分26秒62で連覇を達成しました。新家が8分28秒56で2位でした。
この種目の参加標準記録は8分15秒00で、青木の自己記録は8分20秒09、新家は8分20秒36。2人は参加標準記録の有効期間内(8月24日)に8分15秒00を突破できれば世界選手権の代表に内定します。

女子やり投は、日本記録(67m38)保持者でパリオリンピック金メダリストの北口榛花(JAL)がすでに世界選手権の出場資格を獲得。今大会は出場を見送っており、パリオリンピックで61m64を投げて10位に入った上田百寧(ゼンリン)が59m88で初優勝となりました。この種目の参加標準記録は64m00で、上田は参加標準記録の突破を目標にしていますが、日本選手権開催前の時点でワールドランキングのターゲットナンバー(36の出場枠)圏内に入っており、世界選手権の代表内定が近づきました。
6投目に57m97を投げた斉藤真理菜(スズキ)が武本紗栄(オリコ)を逆転して2位となりました。

女子円盤投は、日本記録(60m72)保持者の郡菜々佳(サトウ食品新潟アルビレックスRC)が56m42で2年連続3回目の優勝を飾りました。2年ぶりの奪還を目指した齋藤真希(太平電業)は54m13で2位でした。同種目は参加標準記録が64m50と日本記録を上回っていますが、郡は日本選手権開催前の時点でワールドランキングのターゲットナンバー(36の出場枠)圏内に位置しています。

男子円盤投は、3投目までに59m11でトップに立った幸長慎一(四国大AC)が、この記録で優勝を決めました。4月に日本記録(64m48)をマークした湯上剛輝(トヨタ自動車)は記録を伸ばせずに57m45で3位。前日本記録(62m59)保持者の堤雄司(ALSOK群馬)が57m69で2位となりました。

女子棒高跳は、日本記録(4m48)保持者で3連覇を狙った諸田実咲(アットホーム)が出場を取り止めており、小林美月(日本体育大)が自己記録を大幅に更新する4m31で初優勝となりました。
大会2日目は男子100mなどトラック7種目、フィールド6種目の決勝が行われます。
男子100mは9秒台の自己記録を持つ桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)らが5日の決勝へ進出。大会2日目は誰が東京世界選手権の日本代表に内定するか。熱いレースに注目しましょう!
文:新甫條利子
写真提供:フォート・キシモト
#ナンバーワンの頂上決戦