
日本陸連は3月26日、「ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズ」の「シリーズⅣアワード」を東京都内で開催しました。アワードは2部構成で行われ、第1部として、JMCシリーズⅣの表彰式を、第2部では東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)のマラソン日本代表選手記者会見が、それぞれ行われました。
ここでは、第1部のJMCシリーズⅣ表彰式の模様をご紹介しましょう。
JMCシリーズは、日本陸連が選手強化と日本のマラソン活性化、そして公認マラソン大会の体系化を目指して、2021年に創設されました。1つの年度を「期」、2期分を「シリーズ」として、2年間のシリーズ総合成績をポイントで競い、今回は3月9日の名古屋ウィメンズマラソンで、第3期(2023年4月~2024年3月)および第4期(2024年4月~2025年3月)からなる「シリーズⅣ」を終えています。
日本陸連では昨年12月、このJMCシリーズについて、従来の理念を継承しつつ、よりマラソンの競技力強化と活性化に繋がる仕組みを導入したこと、2025年から「MGCシリーズ」の名称で展開させていくことを発表しました( https://www.jaaf.or.jp/news/article/21239/ )。そして、初年度となる「MGCシリーズ2025-26」が、すでに3月10日からスタートしています。
JMCシリーズの名称としては最後の開催となったこの日の「シリーズⅣアワード」では、選手関係者やシリーズ加盟大会の関係者、メディアのほか、招待により出席したファンが見守るなか、ポイントランキング男女上位8選手および特別賞受賞選手が表彰されたのち、スペシャルゲストによるトークショーやファンとの交流が行われました。
主催者を代表して、挨拶に立った日本陸連の尾縣貢会長は、まず、JMCシリーズ加盟大会関係者に向けて、改めて大会開催への感謝を伝えたうえで、受賞者した各選手と、その所属先関係者や家族、ファンを祝福。そして、昨年のパリオリンピックで6位入賞を果たした赤﨑暁選手(九電工)、鈴木優花選手(第一生命グループ)の名前を挙げ、「この2人は、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)でオリンピックの出場権を得て、世界に飛び立った選手」と述べたうえで、「JMCシリーズⅣは、ご存じの通り9月に東京で開かれる世界陸上の選考レースとなった。ここから代表となった選手が、きっと世界に羽ばたいてくれると信じている」と期待を寄せました。さらに、「このJMCシリーズを継承したMGCシリーズが3月にスタートした」とMGCシリーズ2025-26について触れ、「ロサンゼルスオリンピックを考えたときに中核をなす、そういった大切なシリーズ」と紹介。「ぜひ、この制度にも期待していただきたい」と呼びかけました。
JMCシリーズⅣ男女入賞者の表彰は、女子から行われました。出席した選手たちは、8位から順に紹介されて登壇。プレゼンターとして招かれた1991年東京世界選手権女子マラソン銀メダリストの山下佐知子さんから目録や日本選手権メダル、トロフィーなどが授与されたのちに、受賞の挨拶を行いました。男子も同様に、8位から1位の順に登場すると、プレゼンターとして招かれた1991年東京世界選手権男子マラソン金メダリストの谷口浩美さんが各選手に目録等を授与。シリーズⅢに続いてシリーズチャンピオンに輝いた小山直城選手(Honda)に2年連続となるチャンピオントロフィーが贈られ、全選手が挨拶を行いました(男女上位選手のコメントは、別記をご参照ください)。
【JMCシリーズⅣ 上位8選手】
<男子> *欠席
1位 小山直城(Honda) 2766ポイント2位 細谷恭平(黒崎播磨) 2761ポイント
3位 西山雄介(トヨタ自動車) * 2746ポイント
4位 吉田祐也(GMOインターネットGrp) 2732ポイント
5位 赤﨑 暁(九電工) 2681ポイント
6位 平林清澄(國學院大学) 2650ポイント
7位 其田健也(JR東日本) 2641ポイント
8位 市山 翼(サンベルクス) 2618ポイント
<女子> *欠席
1位 安藤友香(しまむら) 2591ポイント2位 鈴木優花(第一生命グループ) 2566ポイント
3位 佐藤早也伽(積水化学) * 2553ポイント
4位 加世田梨花(ダイハツ) * 2533ポイント
5位 松田瑞生(ダイハツ) * 2532ポイント
6位 細田あい(エディオン) 2517ポイント
7位 小林香菜(大塚製薬) 2483ポイント
8位 松下菜摘(天満屋) * 2454ポイント
【JMCシリーズ「シリーズⅣ」男女上位選手コメント】
<男子>
1位 小山直城(Honda)
シリーズⅢに続き、シリーズⅣも優勝できたことを大変嬉しく思っています。こうして優勝できたのは支えてくださった方々のおかげだと思っています。ありがとうございます。今後も、さらなる成長ができるように努力し、さまざまなレースに挑戦していきたいと思っています。引き続き、ご声援のほど、よろしくお願いします。ありがとうございました。
2位 細谷恭平(黒崎播磨)

本日は、このような賞をいただき、ありがとうございます。JMCシリーズの表彰も、僕は4回連続になるのですが、そのうち2位が3回と、なかなかチャンピオンになることができません。来年、次のシリーズはチャンピオンも意識しつつ、また、皆さんが、ワクワクするような、思わず応援したくなるような走りをできるように、自分の目標に向かって頑張っていきたいと思います。引き続き、ご声援のほど、よろしくお願いします。
<女子>
1位 安藤友香(しまむら)
昨年に引き続き、このような賞をいただくことができ、本当に嬉しく思いますと。こうして賞を取ることができたのも、日頃から本当に支えてくださっている方がいらっしゃるおかげで、こうして自分は走れていますし、賞を取ることができたので、これからも、その感謝の気持ちを忘れずに、1日1日を大切に、自分の目標に向かって頑張りたいと思います。今後とも、応援よろしくお願いします。
2位 鈴木優花(第一生命グループ)

本日は、光栄な賞をいただき、本当にありがとうございます。プレゼンターが(コーチの)山下(佐知子)さんということはサプライズで、とてもびっくりしています。初めて、JMCシリーズで入賞することができ、最終的な目標としているロサンゼルスオリンピックや日本記録などに向けて、さらに気を引き締めて頑張りたいという気持ちが湧いてきています。パリオリンピックで6位になったからといってもまだまだ満足はしていません。(次のオリンピックまで)3年間という期間もあるなかですので、慢心せず精いっぱい進んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。
続いて行われたのは特別賞の表彰です。第4期では、3選手が初マラソン日本最高記録を更新。この活躍を称えるべく特別賞が設けられ、若林宏樹(青山学院大学、2時間06分07秒:第73回別府大分毎日マラソン日本人1位)、近藤亮太(三菱重工、2時間05分39秒:大阪マラソン2025日本人1位)、黒田朝日(青山学院大学、2時間06分05秒:大阪マラソン2025日本人3位)の3選手が受賞しました。この日は出席した近藤選手に、高岡寿成強化委員会シニアディレクターからトロフィーが授与。近藤選手は、家族やチームメイトの支えに感謝の意を示しつつ、「今後は、シリーズチャンピオンになれるように、引き続き精進していきたい」と頼もしい言葉で挨拶を締めくくりました。
また、このJMCシリーズアワードでは、トップアスリートから市民ランナーまでJMCシリーズに出場した多くのランナーを対象に、さまざまな切り口から活躍した選手を紹介する特別発表を実施しています。今回は、「シリーズⅣ最多出場数」「第4期G1大会制覇者」「第4期最速タイム」「第4期初マラソン最速タイム」第4期学生マラソン最速タイム」の5部門について、素晴らしい成績を残した選手が紹介され、その活躍を称えました( https://www.jaaf.or.jp/news/article/21503/ )。

第1部の最後には、「東京2025世界陸上」開催年ならではの特別企画が用意されました。34年前に東京で開催された1991年世界選手権男子マラソンで金メダルを獲得した谷口浩美さんと、女子マラソンで銀メダルを獲得した山下佐知子の、「金・銀メダリスト」を招いての豪華トークショーです。
2人は、JMCアワード同様にトークショーも進行役を務めた石井大裕アナウンサー(TBS)の紹介で登壇すると、まず、谷口さんが持参した金メダルを客席に向かって掲げると、おもむろにそのメダルを石井アナの首へ掛けるひと幕からスタートしました。こうして、石井アナは、金メダルを掛けた状態で、メダリスト2人に話を聞いていくことに。2人は、1991年東京大会を振り返って、レースのことやメダルを獲得したときの心境や裏話などを披露したほか、自国開催の大会ならではの思い出や暑さ対策などに言及。さらに、今年9月に開催される2025年大会の展望や、日本代表としてマラソンに出場する選手たちへの期待を語るとともに、「レースまで6カ月の今、選手たちはどう過ごすといい?」「日本で開催される世界大会を迎えるときの留意点」などについての貴重なアドバイス。最後は、「練習は苦しいけれど、選手が(プレッシャー等に苦しむことなく)本番を楽しんでもらえることをすごく願う」(山下さん)、「一番は今までやってきた練習パターンを崩さないこと。今まで通りで、いかにその“今まで通り”の中にゆとりができるかという追いかけ方をしたほうがいい」(谷口さん)と若い代表選手たちへのエールで、トークショーを締めくくりました(このトークショーの模様は、YouTubeチャンネルのアーカイブ映像で、視聴いただくことができます。https://www.youtube.com/watch?v=jRMVGQdpylo )。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
【アーカイブ:JMCシリーズⅣアワード表彰式/東京2025世界陸上 マラソン日本代表会見】
■【JMCシリーズⅣアワード】最速タイム、完全制覇など特別発表!
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/news/article/21503/
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