2024.08.06(火)選手

【記録と数字で楽しむパリオリンピック】男子走高跳:赤松・真野の世界選手権入賞コンビが五輪で88年ぶりの入賞に挑む



8月1日(木)から11日(日)の11日間、フランスの首都パリを舞台に「第33回オリンピック」が開催される。

日本からは、24種目に55名(男子35名・女20名)の代表選手が出場し、世界のライバル達と競い合う。

現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全24種目に関して、「記録と数字で楽しむ2024パリオリンピック」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ・・・」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では世界選手権についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

記録は原則として7月21日判明分。ただし、エントリー記録などは五輪参加標準記録の有効期限であった24年6月30日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。

200mから1500mにおいて、予選で落選した選手による「敗者復活戦」が導入され、これによって予選で敗退した何人かが復活して準決勝に進出できることになった。
ただ、各種目での敗者復活戦の組数や何人が準決勝に出場できるのかなどの条件がこの原稿執筆時点では明確にされていない。よって、トラック競技の予選・準決勝の競技開始時刻のところに示した通過条件(○組○着+○)は、「敗者復活戦」がなかったこれまでの世界大会でのものを参考に記載したため、パリではこれとは異なる条件になるはずだ。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてほとんどふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の8月号の「パリ五輪観戦ガイド」や今後ネットにアップされるであろう各種メディアの「展望記事」などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のSNS(=旧Twitter or Facebook)で、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

現地と日本の時差は、7時間で日本が進んでいる。競技場内で行われる決勝種目は、日本時間の深夜から早朝にかけての競技である。
猛暑の中での睡眠不足にどうぞご注意を!


男子走高跳

(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)
・予選 8月7日 17:05(7日 10:05)
・決勝 8月11日 02:10(10日 19:10)


赤松・真野の世界選手権入賞コンビが五輪で88年ぶりの入賞に挑む

参加標準記録の2m33は越えられなかったが、22年オレゴンと23年ブダペストでともに8位入賞を果たした2人がワールドランキング11位と18位で五輪初出場の権利を得た。
ランキング11位は、23年ブダペストで8位に入賞し今年の日本選手権を制した赤松諒一(アワーズ/エントリー記録&自己ベスト2m30=23年)。ランキング18位は、22年のオレゴンでこの種目での日本人初入賞(8位)を果たした真野友博(九電工/エントリー記録2m29=23年・自己ベスト2m31=20年)だ。

参加標準記録2m33以上をクリアした選手は、世界で9名。残る23名は、ワールドランキングによる出場だ。
決勝で2m30前後をクリアできれば22年オレゴン、23年ブダペストに続いての入賞の可能性がかなり高そうだ。


◆五輪&世界選手権での日本人最高成績と最高記録◆

<五輪>
最高成績 5位 1.97 矢田喜美雄(早大)1936年
最高記録 2.28 戸邉直人(JAL)2021年 予選B組2位

<世界選手権>
最高成績 8位 2.27 真野友博(九電工)2022年
 〃   8位 2.25 赤松諒一(アワーズ)2023年

最高記録 2.28 真野友博(九電工)2022年 予選A組5位
 〃   2.28 赤松諒一(アワーズ)2023年 予選A組1位

五輪での歴代の入賞者は、
1928年6位1.88木村一夫(早大)
1932年6位1.94木村一夫(早大)
1936年5位1.97矢田喜美雄(早大)
6位1.94朝隈善郎(明大)
6位1.94田中弘(早大)
以上の4名で5回。
なお、1980年までは「6位まで入賞」だったが、現在と同じ「8位以内」には、上記以外に、
1928年 7位 1.88 織田幹雄(早大)
1932年 7位 1.90 小野操(慶大)
がいる。

戦後の五輪最高成績は、1956年12位(1.96)石川行男(大昭和)で、2021年13位(2.24)の戸邉がこれに続く。


◆1983年以降の五輪&世界選手権の1・3・8位と決勝に進めなかった最高記録◆

1位3位8位予選落最高
19832.322.292.262.18
1984五輪2.352.312.272.21
19872.382.382.292.24
1988五輪2.382.362.312.22
19912.382.362.282.24
1992五輪2.342.342.282.23
19932.402.372.312.25
19952.372.352.252.27
1996五輪2.392.352.292.26
19972.372.352.292.23
19992.372.322.292.26
2000五輪2.352.322.292.24
20012.362.332.252.25
20032.352.322.292.27
2004五輪2.362.342.292.25
20052.322.292.292.24
20072.352.352.262.26
2008五輪2.362.332.292.25
20092.322.322.232.27
20112.352.322.292.28
2012五輪2.332.292.252.26
20132.412.382.292.26
20152.342.332.252.29
2016五輪2.382.332.292.26
20172.352.292.252.29
2019 2.372.352.272.26 
2021五輪2.372.372.302.25
20222.372.332.272.25
20232.362.332.252.25
     
最高記録2.412.382.312.29
五輪最高2.392.372.312.26
世選最高2.412.382.312.29

近年では、13年モスクワ世界選手権と21年東京五輪こそ表彰台のレベルは2m38と2m37で高かったが、近年は1980年代と比較しても1・3・8位とも記録の水準はほとんど変わっていない。

11年以降、予選通過標準記録は2m31か2m30の設定だが、実際には2m29か2m28、19年から22年の3大会では2m26か2m25をそれまでノーミスで1回目に跳べば決勝に進出できた。ただし、23年は2m28を跳んだ13名が決勝に進み、2m25までノーミスでも落選した。
そして、予選でクリアした高さを決勝で跳ぶことができれば、あるいは予選よりも低い記録でも入賞というケースもかなり多い。

24年の2m33以上は、室内を含めても6名。2m31以上も7名。2m30以上でようやく14名だ。
シーズン途中とはいえ、層の厚さは90年頃(90年は2m32以上が26名)よりも遥かに薄い。

2m30か31に設定されるであろう予選通過標準記録をクリアできなくともそれよりも一つ低い高さまでをノーミスで跳べば決勝進出はほぼ間違いないだろう。

決勝で2m30をクリアできれば入賞の確率はほぼ100%に近い。
五輪では、88年ソウル大会(8位2m31)以来のハイレベルな争いとなったのが21年の東京で、8・9・10位が2m30。30までをノーミスだった選手が8位、30を2回目に跳んだ選手が9位、3回目にクリアした選手が10位だった。
世界選手権で入賞ラインが2m30以上だったのは、31年前の93年シュツットガルト大会の2m31が唯一だ。

赤松、真野が入賞でれば五輪では実に1936年以来88年ぶりのこととなる。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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