2024.06.19(水)選手

【記録と数字で楽しむ第108回日本選手権・混成】女子七種競技:至近9年間は、ヘンプヒル4回、山﨑5回の優勝。大玉・熱田も虎視眈々



ここでは、6月22日~23日に岐阜市(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)で行われる「第108回日本選手権・混成」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。なお、「日本選手権・混成」とともに20歳未満の日本一を決める「U20日本選手権・混成」も同時開催される。また、8月に行われる「パリオリンピック」と「U20世界選手権(ペルー・リマ)」の代表選手選考競技会でもある。

走跳投のオールラウンドのトータルポイントで競う十種競技のチャンピオンは「キング・オブ・アスリート」、七種競技は「クイーン・オブ・アスリート」として称えられる。
今回の日本選手権では果たして誰がその称号を手に入れるのか?

残念ながらテレビの生中継はないが、日本陸連HPで2日間とも競技開始から終了までライブでのネット中継がされる。
・1日目https://youtube.com/live/9UzOBO3zmB8?feature=share
・2日目https://youtube.com/live/J4JAFlhU6W8?feature=share

なお、以前に紹介したデータや同じ文章の箇所もあるが、可能な限り最新の情報に修正した。

・文中敬称略
・記事中の記録および情報は24年6月12日判明分のもの
・パリ五輪に向けた「WAランキング」は6月11日発表のもの


【女子七種競技】

・日本記録:5975点 山﨑有紀(スズキ)2021.5.22~5.23 九州共立大(福岡)
・大会記録:6594点 L・ナスターゼ(ルーマニア)1992.6.12~6.13 国立
・日本人大会最高記録:5962点 中田有紀(さかえクリニックTC)2004.6.05~6.06 布勢(鳥取)
・パリ五輪参加標準記録:6480点/ターゲットナンバー=24


至近9年間は、ヘンプヒル4回、山﨑5回の優勝。大玉・熱田も虎視眈々

今回の日本選手権申込資格記録は「5000点」。有効期限(2023年1月1日~24年6月2日)における上位10人の記録は以下の通り。
・所属は、現在のもの。< >内は、自己ベストと日本歴代の順位を示す。
1)5810山﨑有紀(スズキ)2023.06.11<5975/2021.05.24=日本歴代1位>
2)5720大玉華鈴(日体大SMG)2023.06.11<同左=歴代5位>
3)5688ヘンプヒル恵(アトレ)2024.04.28<5907/2017.06.10=歴代3位>
4)5639熱田心(岡山陸協)2023.06.11<同左=歴代7位>
5)5545田中友梨(至学館ク)2023.04.22<同左=歴代11位>
6)5435萩原このか(デンカキッズAC)2024.04.14<5471/2019.05.26=歴代14位>
7)5413梶木菜々香(ノジマT&FC)2023.08.12<5462/2022.09.11=歴代15位>
8)5367水谷佳歩(中京大/院2)2024.04.14<同左=歴代25位>
9)5273伊藤明子(セレスポ)2024.04.14<5424/2018.08.03=歴代20位>
10)5252大熊楓(千葉陸協)2023.04.22<同左=歴代47位>

2015年以降の優勝者は、
15年5622ヘンプヒル恵
16年5882ヘンプヒル恵
17年5907ヘンプヒル恵
18年5836山﨑有紀
19年5696w山﨑有紀
20年5799山﨑有紀
21年5909山﨑有紀
22年5872ヘンプヒル恵
23年5810山﨑有紀

中大時代の15年から3連勝したあとヘンプヒルは大きなケガに見舞われた。

5907点の自己新で3連覇を果たした17年日本選手権の約2カ月後、左ひざ前十字靱帯を断裂。18年春には復帰したが、4連覇を目指した日本選手権では、中田に70点差で敗れた。19年前半は肘の故障で投げることができず日本選手権は欠場。

20年の冬には足首の捻挫。故障から復帰した20年9月の日本選手権では当時の日本記録(5962点/中田有紀/04年)を更新するかもしれないペースだったが、6種目めのやり投で右ひざの前十字靱帯断裂。21年の日本選手権も欠場し、10月に5578点を出した試合が21年唯一の七種競技となった。
その後、21年11月から22年3月にかけて東京五輪に出場した2人(6位と9位)を指導するコーチに師事するため2度の渡米。22年シーズン第1戦となった5月の木南記念では、山崎と直接対決。5732点と5599点で19年10月20日以来の白星をあげた。そして、22年日本選手権混成では、18年から4連勝していた山﨑にストップをかけ5年ぶりにタイトルを獲得したのだった。

しかし、22年シーズン後半から脛の痛みが続き23年2月のアジア室内選手権の出場を辞退。

22年6月の日本選手権混成が終わってから単独種目を含めて競技会には出場せず回復につとめた。

23年は3月にアメリカ・カリフォルニアで始動。しかし4月の七種の途中でまたもや痛みが出た。

復帰戦は、23年10月21・22日の国士大での七種競技で「試運転」。走高跳は記録なし、200m36秒台、800m3分20秒台を含めて最後までやりきって3381点。その1週間後には中京大競技会に出場し、5356点。長いトンネルをようやく抜け出た。

一冬越えて24年の春はカリフォルニアでの競技会から。4月27・28日にイタリア・ブレシアでの世界陸連混成ツアー・ゴールドのマルチスターズに参戦。自己9番目の5688点で13位。5600点オーバーは、22年6月の日本選手権を5872点で5年ぶりに制して以来、1年10カ月と23日ぶりのことだった。

一方、山﨑の23年は、2月のアジア室内・五種競技で4078点の日本新をマークして3位。屋外の初戦は5月6・7日の木南記念で5683点で優勝。2位・田中に259点、3位・熱田に279点の差をつけての圧勝だった。その勢いのまま日本選手権でも2位の大玉に90点の差をつけ2年ぶり5回目のタイトルを獲得した。24年の七種競技のシーズン最初の結果は、5月18・19日の中京大競技会での5618点だった。

山﨑のシーズン初戦とその年の最高記録、初戦からの得点の伸びは、以下の通り。
学年初戦の月日記録シーズン最高伸び
高22012.09.164196初戦が最高±0
高32013.06.0343304551(08.01)221
大12014.05.184627初戦が最高±0
大22015.05.1750625173(09.13)111
大32016.05.225751初戦が最高±0
大42017.04.2354055585(05.14)180
社12018.02.1356465873(08.29)227
社62019.04.2357535804(10.20)51
社32020.07.1955345799(09.27)265
社42021.05.0356925975(05.23)283
社52022.03.2154685807(08.07)339
社62023.05.0756835810(06.11)127
社72024.05.195618?? 

高校2年生の秋に初めて七種競技に取り組んでから13年目。大学3年生までの5年間は、初戦の記録がシーズンベストという年が3回あったが、17年以降は、7年中4年は初戦の記録を200点以上伸ばしている。17年以降の7年間の平均は「210.3点」のプラスだ。これを24年初戦の5618点に加えると5828点。22年と同じプラス339点ならば、5957点となり自身の日本記録5975点にあと18点に迫る計算だ。

9年間、タイトルを分け合ってきた山﨑とヘンプヒルに割って入り、初の頂点を目指すのは社会人3年めで前回2位の大玉華鈴(日体大SMG横浜)と同3位の熱田心(岡山陸協)である。
大玉は、日体大2年生の時(19年)から日本インカレ3連覇。日本選手権も20・21年と2年連続2位、22年はヘンプヒルと山﨑についでの3位。23年も2位と4年連続表彰台に登っている。大学2年の19年に初めて5500点台に乗せ、5528点→5541点→5633点。22年は5589点とわずかに後退したが、23年は5720点で再度の上昇気流に。23年初戦の木南記念では初日の4種目で「3505点」の1日目日本最高をマークした。ただ、2日目の走幅跳で3回ファウルの「記録なし」となってしまったことが悔やまれる。
24年は5月25・26日の日体大競技会の5410点がシーズンベスト。

熱田は、岡山・倉敷中央高校3年生の19年全国インターハイ3位(5154点)。
20・21年は4736点・4993点で低迷していたが、22年に大ブレイク。5月に5366点、6月の日本選手権では5517点で4位。走幅跳でも前年までのベスト5m80を一気に49cmも更新する6m29を跳んだ。
23年も躍進し、5639点で山﨑・大玉に続いて日本選手権3位入賞。走幅跳でも6位に入賞し、シーズン中には6m26を筆頭に、4試合で6m20台をマークした。
24年は、4月13・14日の東京選手権での5427点がベストだが、5435点の萩原に800mで逆転されての2位だった。


申込資格記録トップ6の種目別記録

トップ6が申込資格記録をマークした時の種目別記録と得点は以下の通り。
カッコ内は累計得点と「=*」は6人の中での累計得点の順位を示す。

【申込資格記録トップ6の種目別内訳】
種目山﨑有紀大玉華鈴ヘンプヒル恵熱田心田中友梨萩原このか
100mH13.94/987(987=2)13.89/994(994=1)14.01/977(977=4)13.98/981(981=3)14.23/946(946=5)14.64/890(890=6)
走高跳1.63/771(1758=4)1.78/953(1947=1)1.68/830(1807=2)1.66/806(1787=3)1.60/736(1682=6)1.70/855(1745=5)
砲丸投13.59/767(2525=2)12.33/683(2630=1)12.31/682(2489=3)11.49/627(2414=4)11.85/651(2333=6)11.33/617(2362=5)
200m25.34/856(3381=2)25.91/805(3435=1)25.53/839(3320=3)25.02/885(3299=4)25.75/819(3152=6)25.86/809(3171=5)
走幅跳5.82/795(4176=3)5.75w/774(4209=2)5.87/810(4138=4)6.20w/912(4211=1)5.48/694(3846=6)5.61/732(3903=5)
やり投43.40/733(4909=2)44.27/749(4958=1)40.83/683(4821=4)40.72/681(4892=3)51.99/899(4745=5)41.43/695(4598=6)
800m2.14.41/901(5810=1)2.24.60/762(5720=2)2.16.84/867(5688=3)2.25.78/747(5639=4)2.21.77/800(5545=5)2.19.01/837(5435=6)

この「仮想対決」では、100mHでトップに立った大玉が1日目をリード、54点差で山﨑が続く。2日目は熱田が走幅跳の6m20で4位から一気にトップに。が、次のやり投で大玉が逆転し山﨑が2位。最後の800mが強い山﨑が大玉を難なく逆転し90点差でフィニッシュ。ヘンプヒルも熱田を逆転し大玉との差をつめるが32点及ばず。
田中と萩原は、2種目めから5種目めの走幅跳まで19~63点の範囲の差で萩原がリードするが田中がやり投で51m99を投げて一気に突き放す格好だった。

24年のベストは、
1)5688ヘンプヒル恵
2)5618山﨑有紀
3)5437萩原このか
4)5427熱田心
5)5410大玉華鈴
6)5367水谷佳歩
7)5273伊藤明子
8)5250梶木菜々香

の順で、2試合に出場した田中は、5073点がベストにとどまっている。

シーズンベストからして、ヘンプヒルと山﨑の優位は動きそうにない。
大玉と熱田が5400点台にとどまっているようならば、今シーズン好調で5年前の自己ベストに迫るセカンドベストをマークして元気な萩原が3位に上がってくるかもしれない。


種目別自己ベストの合計得点では山﨑とヘンプヒルが19点差!! 大玉も6000点超え

以下は6人の七種競技中だけではなく単独種目の試合を含めた各種目の公認ベストとその合計得点、さらには七種のベストとの達成率も示した。それぞれの「潜在能力」を知るための指標となるだろう。

【申込資格記録トップ6の種目別公認ベストと七種ベストとの達成率】
種目山﨑有紀ヘンプヒル恵大玉華鈴熱田心田中友梨萩原このか
100mH13.58/1039(1039=2)13.37/1069(1069=1)13.66/1027(1027=3)13.83/1003(1003=4)14.23/946(946=5)14.60/895(895=6)
走高跳1.71/867(1906=3)1.73/891(1960=2)1.78/953(1980=1)1.66/806(1809=4)1.61/747(1693=6)1.72/879(1774=5)
砲丸投13.59/767(2673=2)12.38/686(2646=3)12.90/721(2701=1)11.49/627(2436=4)12.05/664(2357=6)11.11/602(2376=5)
200m24.51/932(3605=1)24.87/899(3545=3)25.30/859(3560=2)24.89/897(3333=4)25.46/845(3202=5)25.68/825(3201=6)
走幅跳6.13/890(4495=1)6.28/937(4482=2)5.85/804(4364=3)6.29/940(4273=4)5.71/762(3964=6)5.90/819(4020=5)
やり投48.62/833(5328=1)47.88/819(5301=2)51.51/889(5253=3)47.87/819(5092=4)51.99/899(4863=5)47.03/803(4823=6)
800m2.13.95/908(6236=1)2.13.54/913(6214=2)2.20.64/815(6068=3)2.25.78/747(5839=4)2.18.13/849(5712=5)2.16.46/872(5695=6)
       
七種PB(%)5975(95.8%)5907(95.1%)5720(94.3%)5639(96.6%)5545(97.1%)5471(96.1%)

7種目の自己ベストの合計得点が、山﨑とヘンプヒルが22点差。
ここでの「仮想対決」では、5種目めの走幅跳までは大玉を含めて1日目は1種目毎に3人の順位が入れ替わる抜きつ抜かれつの大接戦となる。

22年の日本選手権混成前までの自己ベストの合計ではヘンプヒル6203点、山﨑6161点、大玉5989点だったが、山﨑と大玉がいくつかの種目でベストを更新して23年の日本選手権前には、山﨑6204点、ヘンプヒル6203点、大玉6064点となった。そしてこの1年間でそれぞれいくつかの種目でベストが出て、上記のように。
七種競技の実際の自己ベストとの達成率では山崎95.8%、ヘンプヒル95.1%、大玉94.3%、熱田96.6、田中97.1%、萩原96.1%。
大玉が田中と同じ97.1%の達成率を実現できれば5892点となる。

6人の各種目の公認ベストで、最も点数が高い各種目をトータルすると「6473点」。それでもパリ五輪参加標準記録の「6480点」には僅かに届かない。


七種競技中の種目別日本最高記録

トータル得点4500点以上の七種競技中の各種目の日本最高は以下の通り。

【七種競技中の種目別と前半・後半の日本最高】
・トータル4500点以上の記録に限る
・追風参考は4.0m以内の記録
    その時の七種の総合得点
100mH13.43(+1.7)1060ヘンプヒル恵2016.06.11/5882
100mH/追参13.35(+2.3)1072ヘンプヒル恵2017.06.10/5907
走高跳1.81991屋ケ田直美1984.10.05/5383w
砲丸投14.76845平戸安紀子2002.04.20/5559
200m24.35(+0.9)947笠原瑞世2003.06.06/5404
200m/追参24.20(+2.4)962山﨑有紀2021.06.12/5909
走幅跳6.30(+0.5)943磯貝美奈子1988.04.24/5537
6.30(+1.7)943中田有紀2010.06.13/5670
走幅跳/追参6.41(+2.9)985中田有紀2004.06.05/5962
やり投57.451005森友佳2018.11.04/4754
800m2.09.80968宇都宮絵莉2018.04.22/5821
前半3505 大玉華鈴2023.05.06/4972
後半2534 中田有紀2004.06.05/5962

100mHで猪岡真帆(中京大)が13秒40(+1.4)を21年6月12日の日本選手権でマークしているが、記録なしや途中棄権もあってトータル3490点で、4500点以上の条件を満たさないため、上の表には収録していない。
上記の種目別日本最高の公認(追風2.0m以内)の得点の合計は「6759点」。ジャッキー・ジョイナー・カーシー(アメリカ)の世界記録7291点とは500点以上の差で世界歴代25位相当。世界のトップレベルの選手はやはり「スゴイ」のだ。

カーシーの世界記録の時および彼女の7種目の公認自己ベスト(七種競技中でない単独種目の記録も含む)と単独種目の日本記録の「仮想対決」は以下の通りだ。

種目カーシー=七種世界記録カーシー=種目別ベスト単独種目日本記録
100mH12.69(+0.5)/1172(1172)12.61(+0.2)/1184(1184)12.73(+1.1)/1165(1165)福部真子
走高跳1.86/1054(2226)1.93/1145(2329)1.96/1184(2349)今井美希
砲丸投15.80/915(3141)16.84/985(3314)18.22/1078(3427)森千夏
200m22.56(+1.6)/1123(4264)22.30(0.0)/1150(4464)22.88(+1.8)/1091(4518)福島千里
走幅跳7.27(+0.7)/1264(5528)7.49(+1.3)/1341(5805)6.97(+1.6)/1162(5680)秦澄美鈴
やり投45.66/776(6304)50.12/862(6667)67.38/1199(6879)北口榛花
800m2.08.51/987(7291)2.08.51/987(7654)2.00.45/1109(7988)杉森美保

以上の通り、7種目トータルでは日本記録が上回るが、カーシーの種目別自己ベストとの比較では5種目めの走幅跳までは抜きつ抜かれつを繰り返す。この時点でカーシーが5805点で125点のリード。6種目めのやり投で北口の67m38が効いて逆転し最後の800mでも杉森が突き放し最終的には7人の日本記録保持者に軍配が上がる。
ただし、日本歴代2位の記録の合計では7771点でその差が116点。同3位では7677点でカーシーの自己ベストの合計を23点上回るに過ぎなくなる。

ここまでは、単独種目の日本歴代記録との比較だが、22年と23年の日本1位記録と比較すると、日本1位の合計は、22年が「7442点」、23年が「7619点」。七種競技の世界記録との差は22年が151点、23年が328点。カーシーの種目別ベストの合計との比較では、22年も23年もカーシーには及ばない。
ちなみに、カーシーの各種目の自己ベスト合計(7654点)に対する七種の記録(7291点)の達成率は95.3%だ。


パリ五輪への道

パリ五輪参加標準記録は、日本記録5975点を505点も上回る「6480点」。有効期限は22年12月31日~24年6月30日。ターゲットナンバー(人数枠)は24人。

6月11日時点の1国3人以内でカウントした有効期間内の「WAランキング」で参加標準記録をクリアしているのは世界で9人。日本人最高順位の山﨑が50位(上位2試合平均で1094pt。23年日本選手権混成1098pt+23年アジア選手権1090pt)、大玉が66位で平均1055pt。現時点でのボーダーラインの24位が1168ptだ。東京五輪、オレゴン、ブダペストの状況からすると、1170ptから1180pt台あたりになりそうだ。日本人でランキングトップの山﨑が、現時点での24位である1168ptに到達するためには、今回の日本選手権で優勝(1位の順位ポイント「60pt」)したとして、記録ポイントで「1186pt」が必要だ。これに相当する七種の記録は、「6562点」。参加標準記録の6480点を破らなければパリ行きは難しい。


悲願の「6000点」の大台突破を!!

上述の通りで、日本人選手がパリ五輪に出場できる可能性はなさそうだ。
20年以上前からそうであるように、今回の日本選手権でも「6000点突破」が大きな目標となる。
2003年に中田有紀さん(さかえクリニック)が5910点、翌04年に5962点。ヘンプヒルも17年に5907点、そして21年には山﨑が5975点で中田さんの記録を17年ぶりに更新した。山﨑は21年に計3回5900点台マークし、「次こそ6000点」という試合が続いた。この20年あまり日本のヘプタスリートが挑んでははね返されてきたのが「6000点の壁」である。今年の岐阜で、是非とも打ち崩してもらいたい。

山﨑の日本記録は6000点まであと25点。各種目の記録に当てはめると、100mHで0秒2程度、走高跳で2cm程度、砲丸投で35cm強、200mで0秒25ちょっと、走幅跳で10cm弱、やり投で1m20~30cmあまり、最終種目の800mなら2秒弱。山﨑が日本記録をマークした時の記録に上記のいずれか1種目で上乗せできれば「6000点」に届く計算だ。
また、ヘンプヒルは、U18記録(5454点)、高校記録(5519点)、U20記録(5678点)、学生記録(5907点)とすべてのカテゴリーの記録を保持している。残るは日本記録のみである。

さきに紹介したとおり、山﨑・ヘンプヒル・大玉の3人は、各種目の自己ベストの合計が6000点をオーバーしている。
この3人が七種の自己ベストをマークした時の種目別記録と累計得点は、以下の通りだ。

【山﨑・ヘンプヒル・大玉が七種の自己ベストをマークした時の種目別内訳】
種目山﨑有紀ヘンプヒル大玉華鈴
100mH14.00/978(978=3)13.35w/1072(1072=1)13.89/994(994=2)
走高跳1.65/795(1773=3)1.71/867(1939=2)1.78/953(1947=1)
砲丸投12.39/687(2460=3)11.13/604(2543=2)12.33/683(2630=1)
200m24.63/921(3381=3)24.87/899(3442=1)25.91/805(3435=2)
走幅跳6.01/853(4234=2)6.06w/868(4310=1)5.75w/774(4209=3)
やり投48.62/833(5067=2)45.02/764(5074=1)44.27/749(4958=3)
800m2.13.95/908(5975=1)2.19.32/833(5907=2)2.24.60/762(5720=3)



日本選手権での順位別最高記録

最後に、これまでの日本選手権での各順位の歴代最高記録を紹介しておく。
1)65941992年L・ナスターゼ(ルーマニア)
日本人1)59622004年中田有紀(さかえクリニック)
2)57662018年ヘンプヒル恵(中大)
3)56392023年熱田心(岡山陸協)
4)55192022年熱田心(岡山陸協)
5)54442016年山崎有紀(九州共立大)
6)54112018年伊藤明子(筑波大)
7)5250w2016年高橋このか(東学大)
8)5217w2018年南野智美(早大)
9)51662018年酒見三咲(九州共立大)
10)51002018年シュレスタまや(筑波大)
11)50962018年山手美久莉(国士舘ク)
12)50832018年大玉華鈴(日体大)
13)49592019年三輪ダリヤ(中大)
14)49532019年山下紗稀子(立命大)
15)4866w2016年大日方紗愛(中京大)
16)48422018年松岡絵里(環太平洋大)
17)48412018年掛井真子(城西大)
18)48192018年山田夏葵(中大)
19)48042018年橋本春菜(筑波大)
20)46232018年津吹アイリ(東学大)
・以上、20位まで

全体的に2018年と16年のレベルが高かったが、22年も5500点以上を4人がマーク。それまでは3人が最多で、16年・18年・19年の3回だった。
5000点以上の人数は、18年の12人が最多。11人の19年と22年、9人の14・16・20年が続く。
日本人初の6000点台のほか、2位以下の順位別最高記録もたくさん生まれることを期待したい。

野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


>>エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1830-4.pdf
>>競技日程
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1830-3.pdf 


【混成競技のルール】



混成競技は走・投・跳から構成される複数の種目を1人の選手が行う競技。各種目の合計得点で順位を競います。
男子は2日間で十種目(1日目:100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m、2日目:110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m)、女子は七種目(1日目:100mハードル、走高跳、砲丸投、200m、2日目:走幅跳、やり投、800m)を行い、陸上競技のなかでも最も過酷な競技と言われ、その勝者は「キングオブアスリート」「クイーンオブアスリート」と呼ばれます。


【応援メッセージ募集中!】



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このたび、大会へ出場する選手に向けた「応援メッセージ」を大募集!
本大会は「パリ2024オリンピック競技大会」日本代表選手選考競技会を兼ねており、日本一が決定すると同時に世界への挑戦が始まる大会でもあります。
いただいたメッセージは本連盟公式ウェブサイトやSNS、ライブ配信にて紹介し選手へお届けします。
皆様からのメッセージは日本一、そして世界の舞台を目指して戦う選手たちにとって大きな力になるはずです!
抽選で豪華プレゼントも!!たくさんのご応募をお待ちしております。

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