2024.05.18(土)イベント

【セイコーGGP × #LETSTHINK_】海外トップアスリートによる小学校訪問!



初夏を思わせるような爽やかな陽気となった5月17日の午前、東京・国立競技場で5月19日に開催される「セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京」に出場する海外出場選手が、東京都内の小学校を訪問。児童たちと交流する機会を持ちました。大会前々日というタイミングにもかかわらず、海外トップアスリートとの異文化交流体験に参加してくれたのは、男子100mのティアン・ウェルプトン(ニュージーランド)、男子走幅跳のマーキス・デンディー(アメリカ)、女子100mハードルのミシェル・ハリソン(カナダ)の3選手。子どもたちは、各選手の母国であるニュージーランドやアメリカ、カナダの話を聞いたり、質問をしたり、校庭で一緒に身体を動かしたりと楽しく交流するなかで、「世界で活躍する選手」のすごさを肌で感じました。


中長期計画「JAAF REFORM」の中で、「陸上」の力を活用しながら、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて貢献していく方針を明示している日本陸連では、陸上を通してSDGsなどの社会的な課題をみんなで考え、取り組んでいく「#LETSTHINK_(レッツシンク)」プロジェクトをスタートさせるなど、アスレティックファミリー(競技会参加者、審判、指導者)が、「陸上」にかかわっていくなかで、身近で実現できるところからアクションを起こしていけるような環境づくりや意識づけに取り組んでいます。

今回の、海外トップアスリートによる小学校訪問は、SDGsの実現に不可欠な要素である多文化共生の一環として行われました。国際的な水準で活躍する海外アスリートとの異文化交流体験を通じて、子どもたちに世界に目を向けてもらうとともに、陸上、さらにはスポーツへの興味や関心を深めるきっかけになることを目指しています。

男子100mのウェルプトン選手は、この種目で、現在ニュージーランド選手権を2連覇中で、24歳になったばかりの若手スプリンターです。昨年のセイコーゴールデングランプリで10秒14の自己ベストをマーク。昨年のブダペスト世界選手権にも出場しました。走幅跳のデンディー選手の自己記録は8m42。2013年モスクワ、2015年北京、2017年ロンドン、2022年オレゴン、2023年ブダペストと5大会に出場している世界選手権では、2022年オレゴン大会での6位が最高成績ですが、世界室内選手権では、2016年ポートランド大会で金メダルを獲得、2018年・2022年にも銅メダルを獲得しているベテランです。また、デンディー選手と同じ1992年生まれのハリソン選手は、100mハードルで2021年からカナダ選手権3連覇中のハードラー。世界選手権では2022年オレゴン大会・2023年ブダペスト大会と2大会連続で準決勝に進んでいます。
この3選手が、セイコーゴールデングランプリが行われる国立競技場に近い新宿区立四谷第六小学校を訪問。児童と交流しました。



交流プログラムは、全校児童が参加して行う前半と、5・6年生の児童が参加して行う後半の2部構成で行われました。体育館で行われた前半の交流では全校児童約360名が参加。日本陸連指導者養成委員会の岸政智ディレクターが進行役を務め、3選手が自己紹介を行ったあと、日本の印象や出身国との違い、各選手の国の小学生と日本の小学生の違いなどを聞いていきました。
続いて行われたのは、質問コーナーです。デンディー選手、ハリソン選手、ウェルプトン選手がともに、「とても礼儀正しい。ちゃんと座って話を聞いてくれている」と褒めた児童たちのなかから、代表として6年生の8人がステージに上がって質問しました。

質問は、初っぱなから「どうやったら足が速くなりますか?」「カーブを走るのが苦手な人は、どうやったら上手になれる?」といった陸上競技の専門的な内容からスタート。最初の質問についてはデンディー選手が、「非常に難しい質問。“これをやったら速くなる”という秘訣はなく、皆さんの年齢だと、細かいことに注意を払って、速く走れるようになるドリルを、1つずつ速い動きでやれるように練習していくのがいいと思う。その距離を延ばしていくと、最終的にドリルで学んだスキルが走りにつながって、最終的に速く走れるようになると思う」と回答。2つめの質問には、ハリソン選手が「カーブを上手に走れるようになるためには練習しかないと思う。あまり焦らずに、スムーズに力を抜いて、リズムに乗って走ることを心掛けたら、カーブもペースを落とすことなく走れると思う」と答えました。



また、「陸上以外で得意なスポーツは?」の質問に、「卓球」と回答したのはウェルプトン選手。「国際大会の選手村に行くと必ず卓球台があるので、よくやっている」と答えたほか、「小さいころにはラグビーもやっていた」と答えました。ハリソン選手は「ほかのスポーツはほとんどやらないけれど、サーフィンは好き」と回答。「私は、いろいろなスポーツをやってきた」と答えたデンディー選手は、「今でも時間があれば、バスケットボール、アメリカンフットボール、サッカー、バレーボールなどをやるし、卓球もやる。走ったり跳んだりというのは自分の(専門)種目に役立つので、いろいろなスポーツをやっている」と話しました。



このほか、「小さいころの夢は?」「何がきっかけで陸上選手を目指そうと思ったか?」「今まで一番辛かったことは?」「毎日やっているトレーニングは?」、そして最後には英語で「なぜ、アスリートは、そんなに毎日ハードに練習することができるのか?」という質問も。3選手が、これらの1つ1つに、丁寧に答えている様子が印象的でした。



僅かな休憩時間を挟んで、プログラムは後半へ。5・6年生の児童106名が校庭に出て、“身体を動かしての交流”を行いました。最初に、岸ディレクターのリードで、ウォーミングアップを兼ねて、全身を使ってのじゃんけんや、片足立ちでの手押し相撲、2人組での背面立ち上がりなどを行ったのちに、「速く走るためのポイントレッスン」として、3選手から、スプリントドリルと呼ばれる動きつくりが紹介されました。ハリソン選手は2ステップで前進していく膝の引き上げ動作を、デンディー選手は全身を固めて両足で跳んで前進していく連続ジャンプ動作を、ウェルプトン選手は連続もも上げで前進していくドリルを、それぞれに見本を示したうえで、上手に行うためのポイントをアドバイス。それを聞いて、児童たちは「足が速くなるためのドリル」に取り組んでいきました。



最後に行われたのが、1周50mほどのトラックを設定してのリレーです。5年生、6年生の順番で、10人1組の5チーム編成され、2019年に横浜で開催された世界リレーの際に用いられた「世界リレー仕様バトン」を手に、「On your mark, Set,Go!」の合図で競走しました。児童たちは、1人が1周を走って、次の走者にバトンパス。デンディー選手、ハリソン選手、ウェルプトン選手は、即席トラックのそばから拍手しながら児童たちを応援しましたが、いきなりレースに交じって児童たちと走る場面も。小さなトラックを回るのに苦労しながらも、楽しそうに児童たちと競い合いました。



盛りだくさんのプログラムに時間が超過気味になりながらも、選手たちは最後まで笑顔で児童たちと交流。ハイタッチをしたり、サインをしたり、声かけに応じたりと、なごやかな時間を過ごしました。すべてのスケジュールを終えて、帰路についた3選手を見送ったあと、校長の岩澤肇先生は、「本物のアスリートの力を間近で見られたのは子どもたちにとって素晴しい経験。本当に、良い機会を与えていただいた。天候にも恵まれて、子どもたちが本当に生き生きと、楽しそうに過ごしていたのが印象的だった」とコメント。「世界で戦う人たちのすごさが、子どもたちにもしっかり伝わったのではないかと思う。明後日行われるセイコーゴールデングランプリには、実際に見に行く子もたくさんいると思うし、また、今年の夏にはオリンピックも開催される。“会ったことがある”と応援できる選手を見つけられたことで、いっそう興味を持って見ることができる。とてもありがたい時間となった」と、交流してくれた3選手に感謝していました。



文:児玉育美(JAAFメディアチーム)




■#LETSTHINK_特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/sdgs/
日本陸上競技連盟では、「陸上」と社会とのかかわり方や課題解決について、新たな活動を積極的に行いながら、アスレティックファミリーの皆さんと共に、身近に出来るところから行動できる環境や意識づけをしていきたいと考えています。

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【ワールドアスレティックスコンチネンタルツアー】

ワールドアスレティックス(WA、世界陸連)が主催するダイヤモンドリーグ(2023年は14大会指定)以外の世界最高となるOne-Day 競技会のシリーズです。コンチネンタルツアーは世界各地で開催され、ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーの4つのレベルに分けられ、これらのレベルは、競技会の質と提供される賞金によって決まります。
本大会が位置付けられている WA コンチネンタルツアーゴールドは、2024年は世界で12大会のみ指定され、WA のワールドランキングのカテゴリー(格付け)で日本選手権(B カテゴリー)より上位の「A カテゴリー」に位置付けられており、パリ2024オリンピック競技大会 出場資格獲得を目指す海外、国内のトップアスリートにとって、ワールドランキングを向上させるために、重要な競技会です。

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