ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズのグレードS(GS)に指定される「第43回大阪国際女子マラソン」が1月28日、ヤンマースタジアム長居を発着点とする大阪国際女子マラソンコースで開催される。
今大会はパリ五輪のマラソン女子日本代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」の指定大会となっており、パリ五輪代表の残る1枠を狙う有力選手がエントリーした。
パリ五輪のマラソン女子代表は、昨年10月15日に開催されたMGCで鈴木優花(第一生命グループ)と一山麻緒(資生堂)の2名が内定。残る1枠は、今大会と3月の「名古屋ウィメンズマラソン2024」でMGCファイナルチャレンジ設定記録(2時間21分41秒)を突破した選手のなかで最上位の記録を持つ選手が代表内定となる。指定する2大会で該当する選手が出なかった場合は、MGCで3位に入った細田あい(エディオン)が内定する。
また、今大会はJMCシリーズⅢとⅣにまたがる第3期(23年4月~24年3月)のレースとなり、シリーズⅣ(23年4月~25年3月)でチャンピオン(第108回日本選手権者)になれば、25年9月開催予定の「東京2025世界選手権」のマラソン日本代表に内定するため、25年東京へ向けた代表権争いも始まっている。
パリ五輪、残る1枠を狙う有力ランナー
パリ五輪代表を狙う注目選手の一人は、22年の大阪国際女子マラソンで日本歴代5位となる2時間20分52秒をマークした松田瑞生(ダイハツ)だ。大阪国際女子は18年に初マラソン初優勝を飾り、20年、22年と3戦3勝。相性の良さを味方につけ、地元・大阪でパリ五輪代表の座をたぐり寄せたい。大阪薫英女学院高からダイハツに所属。東京五輪のマラソン女子代表の座を懸けて19年9月のMGCに出場したが、4位となり内定を得られず。翌年1月の大阪国際女子マラソンで残る1枠を狙いMGCファイナルチャレンジ設定記録を突破したが、もう1つのMGCファイナルチャレンジで松田の記録を上回る選手が出たため、東京五輪への出場は叶わなかった。
マラソンでは22年オレゴン世界選手権で9位、23年ブダペスト世界選手権は13位。ブダペスト世界選手権から約2か月後に行われた昨年10月のMGCは欠場しており、五輪代表権獲得へのリベンジ戦となる。
松田と同じく昨年のブダペスト世界選手権に出場した佐藤早也伽(積水化学)もMGCを欠場し、今大会にてパリ五輪代表を狙う。
自己ベストは22年9月のベルリンマラソンでマークした2時間22分13秒。20年3月の名古屋ウィメンズマラソンでは、当時の初マラソン女子日本歴代6位となる2時間23分27秒をマークした。駅伝では、昨年11月の全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)で3区を担い、パリ五輪代表に内定している一山麻緒を交わしてトップに立ち、チームの2年ぶり2度目の優勝に貢献した。
前回の大阪国際女子は7km付近で転倒し、19km手前まで走った後に棄権。今大会は自己ベスト超えとなる2時間21分41秒以内での優勝を目指す。
19年のMGCを制し、東京五輪に出場した前田穂南(天満屋)も2大会連続の五輪出場を目指す。大阪薫英女学院高では松田瑞生の1学年後輩にあたる。天満屋へ入社し、17年1月の大阪国際女子が初マラソン。23年名古屋ウィメンズマラソンで自己ベストの2時間22分32秒をマークした。
昨年10月のMGCは2時間27分02秒で7位と、パリへの切符を手にすることができなかったが、3大会ぶりの大阪で代表争いに再チャレンジする。
東京世界選手権も見据えるJMCシリーズ
JMCシリーズⅢ(22年4月~24年3月)およびⅣ(23年4月~25年3月)のランキング上位を狙うエントリー選手にも注目したい。MGC終了後のシリーズⅢランキングは、MGCで3位に入った細田あい(エディオン)が2520ポイントでトップに立つ。シリーズⅢチャンピオンには賞金660万円が授与される。
また、シリーズⅣでチャンピオン(第108回日本選手権者)になると、25年9月開催予定の東京世界選手権のマラソン女子日本代表が内定する。
招待選手では、MGCで5位に入った松下菜摘(天満屋)が2371ポイントでシリーズⅢランキング8位、昨年の大阪国際女子マラソンで自己ベストの2時間26分9秒をマークした大東優奈(天満屋)が2366ポイントで9位、昨年3月のとくしまマラソン2023で優勝した川内理江(大塚製薬)が2275ポイントで12位と上位に入る。
シリーズⅢの賞金は8位まで授与されることになっており、今大会で大東は1176ポイント以上、川内は1202ポイント以上を獲得すれば、現時点で8位の松下を上回ることができる。
ちなみにGS大会の女子順位ポイントは、日本人1位が105ポイント、同2位が80ポイントと8位まで加算されることになっており、これに記録ポイントを加えたものがパフォーマンスポイントとなる。
ほかに、昨年の大阪国際女子マラソンで2時間29分20秒をマークして9位に入った招待選手の竹山楓菜(センコー)もすでに2269ポイントを獲得しており、今大会で完走すれば13位にランクイン、1213ポイント以上を獲得できれば8位に入る。
準招待選手の青木奈波(岩谷産業)も2280ポイントを獲得しており、完走すれば12位にランクイン、1224ポイント以上で8位ランクインとなる。
ネクストヒロイン選手としてエントリーしている柳谷日菜(ワコール)、北川星瑠(大阪芸大)ら初マラソン組にも注目したい。柳谷は昨秋の鹿児島国体の5000mで6位入賞した実業団2年目のランナー。ハーフマラソンは1時間10分11秒が自己ベストで、昨年11月のアジアハーフマラソン選手権(ドバイ)では女子の日本代表として出場し、金メダルを獲得した。
一方、大阪芸大4年の北川は昨年3月の日本学生女子ハーフマラソンで学生歴代6位となる1時間10分50秒をマークして優勝。同8月のワールドユニバーシティゲームズ(中国)では女子ハーフマラソンで金メダルを獲得。大学卒業後はタレントとして松竹芸能に所属しながら、実業団選手としてはユニバーサルエンターテインメントで競技を続ける予定という異色の二刀流ランナーだ。
第43回大阪国際女子マラソンは、新谷仁美(積水化学)ら7人のペースメーカーを含む405人がエントリー。前回大会からコースが変更となり、20km過ぎのアップダウンから駆け引きが繰り広げられる後半に向けて、スピードアップが図れる国内屈指の高速コースとなっている。
MGCファイナルチャレンジ設定記録の2時間21分41秒に留まらず、国内女子で3人しか達成していない2時間20分切り、そして日本記録(2時間19分12秒)に迫るような好記録は生まれるか。
第43回大阪国際女子マラソンは、28日12時15分、大阪市のヤンマースタジアム長居をスタートする。
写真:フォート・キシモト
【大会概要】
大 会 名 :第43回大阪国際女子マラソン大会開催日程:2024年1月28日(日)12時15分スタート
コ ー ス :ヤンマースタジアム長居 スタート/フィニッシュ
ハッシュタグ:#大阪国際女子マラソン #MGCファイナルチャレンジ #JMCシリーズ
■公式HP
https://www.osaka-marathon.jp/
■大会要項
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1799-1.pdf
■エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1799-4.pdf
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