アフロスポーツ
【男子10000m】
塩尻和也(富士通)
優勝
27分09秒80 =日本新記録
今日は、8000mまでは先頭集団につき、8000m以降の勝負どころとなる場面で、しっかり前に出られるようにすることを意識して臨んだ。その結果、思っていた通りに走ることができ、タイムとしても日本記録をマークすることができた。タイム、順位ともにとてもいい結果だったと思う。
この大会に向けては、11月3日に行われた東日本実業団駅伝後の約1カ月は、完全に一人というわけではなかったものの、チームの練習からは少し離れて、この大会に向けて準備してきた。(通常)今の時期は、ニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝、2024年1月1日)に向けて持久的なトレーニングが増えてくるのだが、そこに少しスピードを意識したような練習を加えて行ってきた。練習の内容としても、いいタイムで取り組めたので順調に練習ができ、この日本選手権に臨むことができた。
今回は、来年のパリ(オリンピック)に向けて大きな位置づけとなるレースだったし、(参加標準記録には届かなかったが)しっかり(ワールドランキングの)ポイントが稼げるタイムが出たので、そこは良かったと思う。種目は違うが(3000m障害物での2大会連続出場を狙った)東京オリンピックのときは悔しい結果となって出場自体が叶わなかった。今年は5000mで(ブダペスト)世界陸上には出場できたが、そこでも内容としては悔しさの残るレースとなったので、来年のパリ(オリンピック)はしっかり出場し、そのうえで、レースの内容としても良い結果で終えられるように取り組んでいきたい。
3000m障害物に対しては、けっこう未練はある。(2019年に)大きなケガをしたあと、開催が1年延期された東京五輪に向けて取り組んだ以降は、ここ直近2年くらいは走っていないけれど、自分としては消化不良に終わっているという気持ちがある。走りたいという気持ちはもちろんあるが、それ以上に僕自身として、学生のころから3000m障害物、5000m、10000mのどの種目でもしっかりと勝っていきたいという思いを持って取り組んできている。今回の結果は、もし、また3000m障害物を走るとなったときに、無駄にはならないと思っている。ただ、今は最も近い目標であるパリ(オリンピック)に向けて、結果が出せた10000mでしっかり取り組んでいこうという気持ちでいる。
今回、日本選手権ということで、日本の選手がほとんどだったわけだが、世界大会となれば競い合うのは海外の選手。実際にそういった場面で勝っていけるようにするには、国内で勝つのはもちろん大事だが、そのうえでしっかり海外のレースでも勝っていけるようにする必要がある。来年、パリ(オリンピック)に出場できれば、それこそ今年の(ブダペスト世界選手権での)悔しい経験を、少しでも生かしていきたい。
この大会までの自己ベストは27分45秒18(2021年)だったので大幅な更新ではあるが、国内でも国外でも(10000mの)記録の水準は上がってきているし、周りの雰囲気からも、「日本記録は更新できない記録ではない」と感じていた。今回の27分09秒80というのは、自分自身では「大きく更新できたな」と思っているが、海外に目を向ければ、参加標準記録はクリアしていかなければいけないと考えている。自己ベストという意味で、僕自身としては嬉しいタイムではあるが、ここからより上げていって、参加標準記録をまずは突破しなければ、国際レースでの勝負は難しい。明日からは今以上のタイムを目指してやっていきたい。
フォート・キシモト
太田智樹(トヨタ自動車)
2位
27分12秒53 =日本新記録
今日は速いペースで行くということはわかっていたので、とにかく前でレースを進めようという気持ちで臨んでいた。積極的に行って、途中までは余裕があったが、ラスト2000(m)あたりから余裕がなくなってしまって、その時点で(場内)スクリーンを見たときに後ろ(にいた塩尻和也選手)はけっこう余裕がありそうだったので、「今、行かれたらきついな」と思っていたのだが、そこで行かれてしまった。結果としては、自己ベスト更新で、日本記録も更新できたのだが、また、GGN(ゴールデンゲームズinのべおか、5月)のときと同じように負けてしまったので、その点は反省しなければいけないなと思っている。
(ホームストレートで相澤晃選手との競り合いになったが)27分を切る(=参加標準記録を突破する)か、(ワールドランキングでの高い)ポイントというところで、少しでも前の順位でゴールしたいという思いがあった。(先行していた)相澤がけっこう自分の様子を窺っていて、ラストはちょっと油断しているかなと感じたので、うまくそこを突いて、抜くことができたのはよかったと思う。
パリオリンピックに向けては、年明けに1本、海外でレースし、また5月にはまた日本選手権(第108回大会)がある。今以上のタイムを出さないと、オリンピックに出ても戦えないと思っているので、もっと速いペースで余裕を持てるようにすることと、ラストまでのスタミナ、あとは最後のスパートのところを、すべてレベルアップできればいいなと思う。
フォート・キシモト
相澤 晃(旭化成)
3位
27分13秒04 =日本新記録
(故障の影響で)1年半ぶりの10000mで、すごくドキドキして、(昨夜は)寝られなかったが、いろいろな方に支えられて、ここまでやってきたので、その方々の気持ちに応えようと思っていて、「最低でも日本記録(=自己記録)は(更新したい)」というところを狙って走った。
10000mは走るのが難しい競技。序盤からきつかったが、どうしても優勝したいという気持ちがあったので、そのきつさをしっかり粘ろうという気持ちだった。今回、3位という形で、残念な結果ではあったが、(ケガからの)復活、そして新しい自分への第一歩は踏み出せたかなと思う。
今のこの状況で、このタイム。パリオリンピックの参加標準記録は、狙っていける記録だと思うし、もちろん標準記録もそうだが、ワールドランキングという観点でも、今回最低限のところでは走ることができたので、次の5月の日本選手権(第108回大会、2024年5月3日開催)で、もう一度…次こそは優勝を目指して、いいタイムを出して、いい走りができればいいかなと思う。
2023/12/10 JAAFメディアチーム
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#Challenge25Laps
■第107回日本陸上競技選手権大会・10000m
開催日:2023年12月10日(日)
会場:東京・国立競技場
▼第107回日本陸上競技選手権大会・10000m特設サイトはこちら
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/10000m/