2023.06.07(水)大会

【第107回日本選手権】総括会見レポート



第107回日本選手権は6月4日に、4日間の日程を終え、無事に閉幕しました。この大会は、ブダペスト世界選手権、バンコクアジア選手権、杭州アジア大会の代表選考会を兼ねて開催されましたが、日本陸連強化委員会は、大会の全日程が終了したあと総括会見を行い、山崎一彦強化委員長がトラック&フィールド種目全般に関して、高岡寿成シニアディレクターが担当する中・長距離種目に関して、ブダペスト世界選手権を見据えた観点で、それぞれに総括しました。
会見の要旨は下記の通りです。


■山崎一彦強化委員長


今大会は、大変な天候になり、一部、会場に到着できない選手もいたということで、かなりのトラブルがあった。しかし、終わってみると日本記録が2つ(女子三段跳14m16、森本麻里子選手、内田建設AC/男子110mハードル13秒04、泉谷駿介、住友電工)、またブダペスト世界選手権代表内定者としては、男子3000m障害物の三浦龍司(順天堂大)、男子110mハードルの泉谷と高山峻野(ゼンリン)の3名が今大会で内定。すでに内定している女子やり投の北口榛花(JAL)を含めると、トラック&フィールド種目の代表内定者は4名となった。世界選手権で戦えそうな人たちというところでは、順当に駒を進めている。

一方で、日本選手権ということで、記録を出している選手たちがそのまま順位を確保する以外の結果が出て、異なる選手が台頭してきた種目もある。そういう意味では、日本選手権の楽しさと恐ろしさというのがあったのではないかと思う。

今年度、我々強化委員会全体の目標としては、「揺るぎない選手を育成、また強化していく」ということを掲げ、ブダペスト(世界選手権)、パリ(オリンピック)と、揺るぎない実力の選手を派遣して、その選手たちが、入賞またはメダルを取っていくことを念頭に置いている。今回、内定をしっかり決めた選手たちは、今回のブダペストでは活躍してくれるのではないかと期待している。

なかでも、今日行われた男子110mハードルの泉谷は、世界レベル、メダルレベルに到達したような記録を出すことができた。それは、ゴールデングランプリ(13秒07)に続いての好記録でもあり、確実に力をつけていると思っている。彼も含めて、このほか「揺るぎない選手」というところでいくと、ダイヤモンドリーグ等に参戦する選手たちがいつもより多いと思っているので、その選手たちがこれから調整と海外の経験をしながら、ブダペストに臨んでほしいなと思っている。

このほかで強いて挙げるのであれば、男子200mの鵜澤飛羽(筑波大)も、若手としてはこれから大いに期待できるのかなという印象を受けた。また、昨年、オレゴン世界選手権で決勝進出した男子やり投のディーン元気(ミズノ)も、天候の悪いなかでも結果を出しているということで、どんなときでも80m台近く行っている。このほか、男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)は、実力の選手だが、今回は2位という結果になったが、今後、ダイヤモンドリーグ等できちんと参加標準記録(8m25)を出せる準備ができる選手。大きな大会でさらに順位を上げていくということができると思っている。それに加えて、今回2位となった女子やり投の北口榛花(JAL)も含めて、まだエンジンがかかっていないところもあった。今後、すぐにダイヤモンドリーグ等に出場するので、そのあたりでエンジンがかかってくると、ちょうどブダペストのあたりでいい結果が出るのではないかと思う。

まだ6月上旬ということで、選手たちにとっては、ブダペストを目指すということでいけば、まだまだ試運転という気持ちであったほうがよいのかなと思っているので、この段階で評価することはできない。期待値を込めて、選手たちを応援したい。


■高岡寿成強化委員会シニアディレクター(中長距離・マラソン担当)


今大会の中長距離種目について総括する。中長距離種目については、やはり日本一を決める大会らしく、力のある選手が勝つ結果となった。特に、男子中距離では日本記録を持っている川元奨(800m日本記録保持者、スズキ)と河村一輝(1500m日本記録保持者、トーエネック)の2選手が、800mと1500mの各種目を制し、どちらも大会記録を更新した。勝負といったところもあるが、記録についても順調に伸びてきているのかなと思っている。また、男子5000mに関しても、入賞者が13分28秒を切るペースとなる、過去にないレースとなった。

さらに、男子3000m障害物においては、天候の悪いなか、三浦選手が実力通り走ってくれた。東京オリンピック、オレゴン世界選手権代表で、2番目を走っていた青木涼真(Honda)については、ハードルに接触するアクシデントもありながらも、最後まで力走できていた。

女子についても、800mの池崎愛里(ダイソー)が初優勝。1500m・5000mは田中希実(New Balance)が実力通りに力を発揮した。期待していた女子5000mで廣中璃梨佳(JP日本郵政G)が万全でなかったことは少し残念だが、WAワールドランキング(のターゲットナンバー内)に入る選手が期待通りにレースできたのかなと思う。また、女子3000m障害物においても、世界選手権代表経験のある吉村玲美(Cramer Japan TC)が、ここにうまく合わせてくることができた。あとはWAワールドランキングのポイントを積み上げて、世界大会に出場できればいい。全体的に記録の面でもレベルが高かったといえるレースだったと思うし、力のある選手が実力通りに勝ち上がった印象を受けた。

※本内容は、6月4日に実施した記者会見において、登壇者が発言した内容をまとめた。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施している。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト

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