第107回日本選手権・35km競歩が4月16日、石川県輪島市において全日本競歩輪島大会との併催で行われます。8月に開催されるブダペスト世界選手権、そして9月に予定されている杭州アジア大会の日本代表選手選考会として行われるこのレース。男子は最大で2名の、女子は1名の競技者が、ブダペスト世界選手権の代表に即時内定します。
種目が50kmから35kmに変更されて以降も、数多くの「メダルポテンシャルアスリート」(メダル獲得の潜在力を有する競技者)が存在する日本のチャンピオンシップは、世界中の競歩関係者が注目を寄せる1戦。エントリーリストには、昨年の世界リストで上位を占めた選手や、日本代表として世界大会で活躍した実績を持つ選手たちの名前が並んでいて、2月に行われた日本選手権20km競歩と同様に、この大会でも「世界一熾烈な頂上決戦」が期待できそうです。
そんな日本選手権35km競歩の見どころを、日本選手権20km競歩に引き続き大会アンバサダーを務める藤澤勇さん(ALSOK)に紹介していただきました。
男子は最大2名が即時内定
連覇に挑む川野、好調の野田が中心か
―――2月に神戸で行われた20kmの大熱戦から、あっという間に2カ月が経とうとしています。今度は、石川県輪島市を舞台に、男女35km競歩の日本選手権が行われます。この大会は、ブダペスト世界選手権の日本代表選考レースであるとともに、当初は、男子のみ杭州アジア大会の選考レースも兼ねていたのですが、急きょ、女子も、その対象に加わりました。藤澤:本当に急でしたね。アジア大会の35km競歩は、もともとは男子のみ実施される予定だったのですが、男女混合で行われる種目に変更されたんです。これに伴い、女子についてもアジア大会の代表選考レースとすることが決まりました。
―――女子にとっては、日本代表として戦えるチャンスが広がる形となったわけですね。それでは、男子、女子と、それぞれに見どころを伺っていきましょう。まずは男子から。ブダペスト世界選手権に向けて、日本陸連が独自に競歩に設けている派遣設定記録は2時間27分30秒、そして世界陸連(WA)が設定している大会の参加標準記録は2時間29分40秒です。現段階で、すでに参加標準記録を突破している選手は実に5名もいて、4名は派遣設定記録もクリア。昨年のオレゴン世界選手権男子20kmで優勝し、ワイルドカードで同種目の出場権を獲得済みの山西利和選手(愛知製鋼)も派遣設定記録突破者(2時間26分18秒)の1人ですが、今大会はエントリーしていません。
藤澤:はい。エントリーしている選手で、派遣設定記録を突破しているのは、川野将虎選手(旭化成)、野田明宏選手(自衛隊体育学校)、松永大介選手(富士通)の3名、参加標準記録を突破しているのが丸尾知司選手(愛知製鋼)ということになります。
―――上位争いは、この4選手が中心になってきそうですね。どういう結果になれば、即時内定が出るのでしょうか?
藤澤:日本陸連の選考基準により、オレゴン世界選手権で日本人最上位となる銀メダルを獲得している川野選手は、今年1月1日から4月30日までのWRk対象競技会(ワールドランキングコンペティション:WAへの事前の申請により、WAワールドランキングおよび国際大会の参加標準記録の対象として許可された競技会)で参加標準記録をクリアすれば、その段階で代表に内定するため、日本選手権では2時間29分40秒以内でフィニッシュすれば順位に関係なく決まります。派遣設定記録を突破している野田選手と松永選手は、川野選手を除く最上位になれば、記録に関係なく即時内定となります。参加標準記録を突破済みの丸尾選手も含めて、そのほかの選手は、日本選手権で即時内定を得るためには、派遣設定記録を突破して、川野選手を除く最上位でフィニッシュすることが必要です。
―――では、日本選手権は、最大で2選手が代表切符を獲得する可能性があるわけですね。2人出る場合は、「川野選手と、あと1人」という形になりますが。
藤澤:その通りです。川野選手は、純粋に参加標準記録を切るだけになります。でも、昨年も同じ状況でレースに臨んで、リードする松永選手をしっかりと追い、優勝を果たしていますから、今回も勝ちに来ると思いますね。
―――世界選手権銀メダリストとしては、日本選手権を連覇して、ブダペストに繋げていきたいところでしょう。
藤澤:それを追いかけるのが野田選手です。野田選手は、神戸の日本選手権(20km)では、20kmでの内定を決めた池田向希選手(旭化成)と高橋英輝選手(富士通)に続いて1時間19分52秒をマークして3位でフィニッシュしました。悪天候で非常に厳しいコンディションとなったなか、終盤でしっかりとペースを上げていく内容で調子の良さを印象づけ、35kmが一段と楽しみになっています。これに続くのが松永選手。神戸は、レース途中で体調を崩して不発に終わりましたが、そこからこの大会に向けて、どれだけ調子を上げてくるか…。
―――丸尾選手も、派遣設定記録を突破できていないといっても、昨年の高畠競歩でわずか3秒届かなかっただけですから…。
藤澤:そうですね。輪島で即時内定を得るためには、派遣設定記録を突破したうえで川野選手を除く最上位となることが必要ですが、突破できる実力は十分に持っていますよ。
―――ほかにも、日本代表経験を持つ選手がたくさんいますね。
藤澤:まず挙げられるのは、50km競歩で東京オリンピックにも出場した勝木隼人選手(自衛隊体育学校)ですね。参加標準記録はまだ突破できていませんが、後半がとても強いタイプ。前半は上位から大きく離れた位置にいるのに、いつの間にか順位を上げてきて、確実に入賞圏内でレースを終えている選手です。本人も、「後半の伸びに期待してください」と言っていましたので(笑)、ファンの皆さんには、今回もぜひ、そこに注目していただきたいです。
―――高橋和生選手(ADワークスグループ)、伊藤佑樹選手(田子重)、諏方元郁選手(愛知製鋼)も世界競歩チーム選手権などでナショナルチームのユニフォームを着た経験を持っています。このほかに、気になる選手はいますか?
藤澤:萬壽春輝選手(順天堂大学)が気になりますね。
―――確かに。今回が初の35kmです。まだ20kmがメインの印象があったのでエントリーリストを見て驚きました。20kmでは3月の能美競歩で1時間20分15秒と、1時間19分台に迫っています。
藤澤:私も、「おっ!」と思って(笑)、それで本人に「なんで出るの?」って聞いたんです。そうしたら、シニアでの日本代表を目標にしていて、チャンスがある限り挑戦したいという思いがあるそうで…。
―――そのチャレンジャー精神、いいですね! 考えてみれば、すでに世界で戦っている経験豊富な選手たちと一緒に歩ける貴重な機会でもあるわけですし…。萬壽選手の魅力は、どういうところにあるのでしょう?
藤澤:本人は「スピードがない」と言っていますが、1時間19分台が見えるタイムで歩いているわけですから、スピードは十分にあります。また、コーチ陣からは長い距離が得意と聞いています。能美からの連戦となるけれど若いから心配はないでしょう。うまく勢いに乗って歩くことができれば、面白いのではないかと思いますよ。
スピードより勝負重視の展開となるか!?
終盤まで集団で競り合う可能性も
―――レース展開や記録は、どういう感じになると思われますか? 日本記録は、川野選手が夏のオレゴン世界選手権でマークした2時間23分15秒。藤澤:35kmという種目も、世界各地で多くのレースが実施されてきたなかで、「このくらいのペース」という共通理解ができてきました。昨年のこの大会では、松永選手が、ガツンと最初の5kmを20分02秒という途轍もないハイペース(笑)で入りましたが、この1年で、どの陣営も、1km4分10~12秒くらいで押していけば派遣設定記録は切れることがわかってきたはず。そういう意味でも、今年の輪島は全体に落ち着いた戦いができるのかなと思います。また、そもそも、すでに派遣設定記録を突破している選手は、そこまでハイペースで行く必要はないと考えるのではないかとみてます。もしかすると、今回は、これまでの35kmと一変した、勝負重視の戦いになるかもしれません。
―――なるほど、ここで確実に代表切符を手にすることを優先するなら、最上位を狙うための作戦をとることが考えられるわけですね。
藤澤:はい。川野選手は、持ち記録からしたら参加標準記録のクリアは、そんなに大変なことではありませんから、心身ともに余裕を持って臨めるはず。フィニッシュタイムを見据えつつ、そのうえで連覇を果たせるような位置でレースを進めていくことが考えられます。
―――序盤から、かっ飛ばしていくイメージと言うと、松永選手が浮かびます。
藤澤:松永選手も、派遣設定記録を突破済みですから、そこまでのリスクをとる必要はないんですよね。それは、ほかの選手にも言えることです。だから、最初は牽制し合って、様子を見ていくような展開になるかもしれません。ただ、最初の入りが遅くなるようだと、派遣設定記録を切らなければならない丸尾選手には不利。きっと、丸尾選手は、そのあたりも頭に入れて準備していると思いますよ。
―――藤澤さんが、輪島で、特に注目していることはありますか?
藤澤:野田選手がどんなレースを見せるか、ですね。先ほども述べたように、神戸でしっかりまとめるレースをしましたし、9位となったオレゴン世界選手権でも2時間25分29秒の好記録を残しています。野田選手といえば、2018年の高畠競歩でいきなり50kmの日本記録を樹立して一気に注目株となりましたが、当時は振れ幅が大きいという課題もありました。しかし、ここ最近の記録の安定感、レース中の落ち着きやレースプランの組み立て方などを見ると、自分の戦い方や武器といったものを見つけて、自信を持って臨めるようになっています。本来のポテンシャルが非常に高いことで知られていましたし、フォームの完成度、戦い方のスキルが、ともに上がってきたことで、多角形のレーダーチャートで言うなら、大きな正多角形ができつつある印象です。これまではよく「ダークホース」という立ち位置で紹介してきましたが、今回は「本命」といえる存在です。「どういうレースをしてくるんだろう」と、とても気になります。
―――終盤まで集団で競り合うような展開となった場合、最後の最後に強いのは誰なのでしょう?
藤澤:スピード勝負というところだと、松永選手は強いでしょうね。あとは川野選手。オレゴンでも見せたように、2段階、3段階と絞り出して、食らいついてくる選手なので、最後の最後までもつれたら強いと思いますよ。ただ、その辺りも見越して、野田選手が勝ちパターンを練りに練っているんじゃないかという気もします。野田選手が50kmで見せていた勢いで行く展開ではなく、勝負どころをきっちりと見定めて仕掛けていく歩きを見せた場合に、どんな駆け引きが見られるのかと思うとワクワクしますね。もちろん川野選手は優勝しなくても内定をとれるし、ほかの選手たちも川野選手に勝たなくても内定は得られるわけですが、ここは守りに入るのではなく「日本チャンピオン」の座を目指して積極的な戦いを見せてほしい。そういうレースをしていくことが、必ず世界で勝負する際にも生きてくるはずですから。
―――では、今大会では、「ハイレベルな駆け引き」にも、ぜひ期待しましょう!
35kmの女王・園田が大本命
注目は、初参戦となる岡田の歩き
―――続いて女子について、伺っていきましょう。女子のブダペスト世界選手権派遣設定記録は2時間46分00秒で、参加標準記録は2時間51分30秒。この記録をクリアしているのは、オレゴン世界選手権で日本記録を更新する2時間45秒09秒をマークして9位となった園田世玲奈選手(NTN)のみ。輪島では、園田選手は最上位でフィニッシュすれば、タイムを問わず即時に内定し、そのほかの選手は、派遣設定記録を突破して最上位となった場合のみ即時内定します。園田選手は、20kmの日本選手権には、最終的に出場しませんでしたが、3月の能美競歩では、単独歩で1時間32分11秒(2位)と、1秒ながら自己記録を更新。結果的には、去年と同じ流れで輪島に臨むことになりました。2連覇を達成して、代表切符もつかみたいところでしょう。藤澤:やはり園田選手の力は、頭一つ抜けていると思います。ただ、今回は、20kmの日本記録保持者(1時間27分41秒、2019年)である岡田久美子選手(富士通)が35kmに初挑戦することになりました。園田選手が一人勝ちするような状況が見込まれていたけれど、岡田選手の参戦によって展開はかなり変わるはず。レースは、ぐんと面白くなってくると思いますよ。
―――富士通の森岡紘一朗コーチは、「参加標準記録の突破は十分に狙っていけるのでは…」と話していました。20kmでは参加標準記録の突破がならなかったため、WAワールドランキングの状況を待つことになりますが、派遣設定記録を突破してこの大会で優勝すれば、もちろん代表入りが決まりますし、参加標準記録をクリアしておけば、即時内定は得られなくても、35kmで出場する可能性のほうが高まります。それを見越した練習もできているようですね。
藤澤:急に参戦を決めたというわけではなく、長い距離に耐えられるような身体つくりは、前の段階からしてきているそうです。岡田選手本人も、「この挑戦に対してワクワクしている」と話してくれました。心機一転というところもあるはず。ここで新たな「岡田久美子」を見せてほしいですね。
―――勝負となった場合には、どうでしょう?
藤澤:やはり園田選手に分はあります。50kmの経験(4時間29分45秒)もありますし、35kmも場数を踏んでいて、長い距離の戦い方は、よく知っているはずですから。そこを岡田選手がどれだけ埋めて臨んでくることができるか、ですね。
―――この2選手に続いてくるとしたら、誰を挙げることができるでしょうか?
藤澤:少し記録に開きはありますが、持ちタイムからすると河添香織選手(自衛隊体育学校)でしょうか。東京オリンピックには20km競歩で出場しています。35kmは昨年の輪島が初めてでしたが、2時間54分25秒で園田さんに続いて2位でフィニッシュしました。
―――個人的には、ベテランの渕瀬真寿美選手(建装工業)にも注目しています。20kmの前日本記録保持者(2時間28分03秒=2009年)で、50kmでも4時間19分56秒の日本記録を持っています。20kmでは2009年ベルリン世界選手権で日本女子競歩の初入賞(6位)を達成。つい先日には、2012年ロンドン五輪での成績(当時11位)がドーピング違反により繰り上がり、8位入賞が確定したことも発表されました。35kmは、前回のこの大会でマークした2時間59分18秒(4位)がパーソナルベストですが、万全で臨むことができれば、もっと記録は出そうな気も…。
藤澤:渕瀬選手は、私よりも1つ年上なのですが、年齢を重ねるなかでモチベーションを保って取り組んでいる姿は、本当にすごいなと思います。このところケガに苦しむことが多かったようですが、今大会に向けては、故障した部位をしっかりケアしながら取り組んできたとのこと。「最後まで諦めずに頑張ります」というコメントをもらっています。
―――あと、驚いたのがオープンでエントリーしている中国の劉虹選手です。1時間24分27秒(2021年)の自己記録を持つ 20kmでは、2015年北京世界選手権と2016年リオ五輪で金メダルを獲得。50km競歩は3時間59分15秒(2019年)の世界記録を持っているアジアの女王と呼べる存在です。1987年生まれで、5月には36歳となろうとするなか、3月25日のWA競歩ツアーで、初挑戦の35kmで2時間40分06秒のアジア記録をマークしていたので、すごいなと思っていたのですが、「え、中3週間でまた歩くの!?」と…(笑)。
藤澤:確かに!(笑)。でも、ぜひとも来てほしいですね。アジア記録を出したレースでは、オレゴン世界選手権で2冠を達成したキンベルリ・ガルシア・レオン選手(ペルー)が2時間37分44秒の世界新記録をマークしました。それが悔しくて世界記録に挑むのか、別の目標があるのか…。いずれにしても、レベルの高い歩きを、実際に見ることのできるチャンス。どんなレースをしてくるか、とても楽しみです。このほか、オープン参加では、能美競歩(20km)を1時間33分17秒(オープン参加)で歩いているアラーナ・ピッチャー選手(オーストラリア)もエントリーしています。19歳で、35kmは今回が初めてとなるようですが、予定通り出場してくれたら、日本人3番手争いの層といい勝負をしてくれるのではないかと期待しています。
―――出場者数が多くないので、それぞれが単独でレースを進めていくことになる可能性がある点を考えると、オープンの選手も含めて、競り合える相手が増えるのは日本選手にとってありがたいですね。
藤澤:そうですね。派遣設定記録を突破済みの園田選手は、順位に集中して歩くことができますが、岡田選手については、一人でペースをつくるよりは、集団で歩くような展開となったほうが、タイムは狙いやすいと思います。
―――ちなみに、女子が派遣設定記録を突破するためには、必要なペースはどのくらい?
藤澤:(1km)4分44秒前後が目安になってきます。
―――では、上位争いを見るうえでは、そのペースをキープできているかどうかを、チェックポイントにできそうですね。
併催のU20男女10kmで新記録誕生のアナウンスなるか
―――さて、この大会は、併催で全日本競歩輪島大会として、男女10km、U20男女10kmのほか高校や中学のレースも行われます。日本選手権前日の4月15日に予定されている男女10kmとU20男女10kmのエントリーリストを見ると、こちらでも好記録が期待できそうな顔ぶれが並んでいます。藤澤:はい。男子10kmには、オレゴン世界選手権20kmで8位に入賞した住所大翔選手(順天堂大学大学院)や、先日の能美競歩20kmで初めて1時間20分を切る1時間19分25秒をマークした村山裕太郎選手(富士通)がエントリーしています。2人とも、ここで一度スピードを意識したレースに臨むイメージでしょうか。次の20kmにつながっていくようなレースになるといいですね。また、女子10kmは、学生の梅野倖子選手(順天堂大学)と内藤未唯選手 (神奈川大学)がエントリー。この2選手は、今年に入って急成長を見せている柳井綾音選手(立命館大学)に少し置いていかれている状況ではありますが、力はあるので、ぜひ弾みとなるレースをしてほしいです。
―――実は、U20世代による新記録のアナウンスが期待できるんじゃないかとも思っていて…。
藤澤:その通りです。男子には、昨年のU20世界選手権に出場した下池将多郎選手 (順天堂大学)や、日本選手権20km競歩と併催されたU20選抜競歩の男子10kmを制した浜田理温選手(九州共立大学)、昨年のインターハイチャンピオンの長田隼人選手(明治大学)などが出場してきます。この種目のU20日本記録は、野田選手が明治大学時代の2015年にマークした39分29秒。一般とU20は同時スタートなので、シニアの住所選手や村山選手らと競うなかで良い流れをつくることができれば、更新は十分に期待できると思います。
―――女子については、U20日本記録だけでなく、高校最高記録も誕生するかもしれません。
藤澤:悪天候となったU20選抜競歩の女子10km競歩で、マッチレースを繰り広げた大山藍選手(鹿児島女子高校)と石田さつき選手(武庫川女子大学)がエントリー。また、昨年のインターハイを制した吉留美桜選手(中京大学)の名前もあります。この種目のU20日本記録と高校最高記録は、ともに板倉美紀選手がマークしたもので、U20日本記録は44分53秒(1994年)、高校最高記録は45分16秒(1992年)と、どちらも長く更新されていません。昨年のU20世界選手権5000m競歩で銀メダルを獲得している大山選手は、前回もU20の10kmに勝っています(45分19秒)。このとき3秒まで迫った高校最高記録の更新とともに、高校生初の44分台突入が見られるかもしれません。
◇
―――種目が50kmだったころからそうなのですが、日本選手権35km競歩は、日程的な兼ね合いから、その年度の一番初めに行われる日本選手権。フィニッシュ時間を考えると、男子35kmが第107回日本選手権獲得者第1号、女子は第2号ということになりますね。
藤澤:はい。男女ともに幸先のよいスタートとなる好レースを期待したいですね。日本選手権が行われる4月16日のみとなりますが、当日は、ライブ配信も予定されています。現地観戦も含めて、ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたいです。
―――絶好のコンディションのなか、周回のたびにワクワクするような展開を期待したいです。本日は、ありがとうございました。
構成・文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
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