2月10日(金)~12日(日)、「アスタナ2023アジア室内陸上競技選手権大会」がカザフスタンのアスタナで行われます。
本大会はワールドアスレティックス(WA)ワールドランキング規則において、大会カテゴリーA(アジア競技大会やゴールデングランプリ陸上と同等)に該当します。WAワールドランキングによる「ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会」出場権を獲得するために重要な競技会に位置づけられています。
日本ではあまり馴染みのない国ですが、カザフスタンの概要や歴史、文化などについて簡単に紹介いたします!
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【カザフスタン概要】
・基本情報(首都・面積・人口・言語・通貨)・日本との時差
・気候
・文化や食文化
・観光地など
◆アジアと欧州にまたがる国土
正式名称は「カザフスタン共和国」で、首都は「アスタナ」。中央アジアにあり、中国の西隣りの国。北はロシア、南はキルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンと国境を接しており、西はカスピ海がある。国の西端にはアジアとヨーロッパを分けるウラル山脈、ウラル川があり、カザフスタンはアジアとヨーロッパにまたがった国となっている。◆国旗は太陽と鷲
国旗は青地に中央に金色のデザイン。青は空、金色は太陽(32本の光)と鷲。左端は鷲の翼と雄羊をモチーフにした伝統的な文様が配置されている。通貨は「テンゲ」(国際通貨コード:KZT)で1テンゲは0.3円ほど。民族はカザフ系が70%、ロシア系が18%、カザフ語が国語でロシア語は公用語となっている。宗教はイスラム教が7割、ロシア正教が3割弱。
◆日本から時間的に遠い
日本から飛行機の直行便はなく、中東やイスタンブール経由、もしくは仁川(韓国)/タシュケント(ウズベキスタン)経由などを利用する。日本からの距離は約5500kmだが、いずれのルートでも所要時間は20時間を越える。ウズベキスタンには2つのタイムゾーンがあり、主要部の東側と日本の時差は-3時間。日本が正午の時、午前9時となる。【カザフスタンの気候・地理・歴史】
◆2月のアスタナは極寒期
「アスタナ」はカザフスタンの北部、北緯51度で稚内(北緯45度)よりはるか北に位置する。毎日のように強い北西風が吹いており、冬のこの時期は厳寒で、最高気温は氷点下10度ほど。最低気温が氷点下30度になる日もある。一方、強い風と低い湿度のため、夏で最高気温が40度近くになっても体感気温は高く感じないそうだ。◆世界9位で最大の内陸国
面積は272万4900平方キロメートルで日本の7倍。世界の国で9番目の広さを誇り、外洋に面していない世界最大の内陸国。人口は1920万人で、こちらは日本の1/7ほど。今回の「アジア室内陸上」が行われるのは、首都の「アスタナ」。1997年に「アルマティ」から遷都され首都となり、人口は130万人を超えている。日本のJICA(国際協力機構)による支援が行われており、都市計画の基本設計は故・黒川紀章氏が担当している。◆首都の名前は頻繁に変更
「アスタナ」は頻繁に名前が変わっており、19世紀前半には「アクモリンスク」、ソ連時代に「ツェリノグラード」、1997年に「アクモラ」になると、1年後にカザフ語で「首都」を意味する「アスタナ」に。2019年にヌルスルタン・ナザルバエフ元大統領のファーストネームにちなんだ「ヌルスルタン」となったが、2022年に再度「アスタナ」に変更された。◆大規模な油田開発
主要な産業は石油・天然ガス、鉱業、農業。石油はカスピ海沿岸や沖合に油田があり、「テンギス油田」「カシャガン油田」は近年開発された中では世界でも有数の規模を誇る。また、ウランや銅も採掘され、地下資源に恵まれている。開拓された北部は豊かな穀倉地帯が広がり、世界有数の小麦生産国となっている。◆国土の多くはステップ地帯と砂漠
カザフスタンはユーラシア大陸の中心にある。国土の大部分は「カザフステップ」と呼ばれる降水量が少なく乾燥し、丈の短い草原が広がるエリアと、「サルイイシコトラウ砂漠」「キジルクム砂漠」などの砂漠が占めている。◆多くの民族が行き交った国
シルクロードのオアシス都市として栄え、古くから遊牧民族が暮らし、多くの国家が成立しては砂漠の砂と消えていった。13世紀前半にはチンギス・カンのモンゴル帝国に制服され、19世紀前半にはロシア帝国が総督府を設置した。以降、カザフスタン全域がロシア帝国の支配下に入った。その後、1925年にはソビエト連邦の構成国となり、ソビエト連邦が崩壊する前、1991年に「カザフスタン共和国」として独立した。【カザフスタンのスポーツ・文化】
◆盛んなスポーツ
レスリングやボクシング、アイスホッケー、自転車ロードレースで世界的な選手を数多く輩出している。近年はボクシングのゲンナジー・ゴロフキンがWBA・WBC・IBF・IBO世界ミドル級王者となった。自転車は「アスタナカザクスタン」というチームがあり、ツール・ド・フランスなどに参戦している。また、2021年の東京五輪、2022年の北京五輪の開会式で、入場行進の旗手が話題となったのは記憶に新しい。◆陸上競技の有名選手
世界的に有名な選手は、2004年アテネオリンピック、2003・2007年の世界陸上選手権で銅メダルを獲得した十種競技のドミトリー・カルポフ。オリガ・リパコワは女子三段跳で2012年ロンドンオリンピックで金メダル、2011年世界陸上選手権で銀メダルを獲得した。
◆人気スポーツはサッカー
最も人気のあるスポーツはサッカー。2002年にアジアサッカー連盟(AFC)を脱退し、欧州サッカー連盟(UEFA)に加入したが、ワールドカップや欧州選手権(EURO)の出場はまだない。国内リーグ「カザフスタン・プレミアリーグ」の優勝チームはUEFAチャンピオンズリーグの予選に出場できる。国内の強豪チームはFCアスタナ。また、最近はラグビーも力をつけてきており、悲願のラグビーワールドカップ出場を目指している。◆中央アジアのハリウッド
アスタナの前に首都だった「アルマティ」は、ソ連時代にニュース映画を作り、現在は「中央アジアのハリウッド」と呼ばれる映画の街となった。2020年には森山未來さんの主演で、日本・カザフスタン合作「オルジャスの白い馬」が公開されている。【カザフスタンの料理と観光】
◆羊肉と馬肉がメイン
遊牧民の伝統から、発酵乳や干し肉や塩漬けなど、食料の長期保存に長けている。また、伝統的に羊肉や馬肉、乳製品が用いられる。国民食の「ベシュバルマク」は、ゆでた麺に馬肉か羊肉を煮込んだスープをかける。その他、「ガジー」(馬肉ソーセージ)、「ラグマン」(手打ち麺に羊肉とトマトのスープをかけたもの)、「プロフ」(炊き込みご飯)、「シャシリク」(シシカバブ/羊肉の串焼き)、「キュイルダク」(羊肉のシチュー)などがある。◆「チャイ」が欠かせない
ポピュラーな飲み物は「チャイ」(ミルクティー)。簡単な食事は「ナン」と「チャイ」ですませる事が多い。「クミス」(発酵させた馬のミルク)、「シュバット」(発酵させたラクダのミルク)も飲まれる。アルコールはロシアから入ってきた「ウォッカ」がポピュラー。◆キャビアは乱獲で激減
「トリュフ」「フォアグラ」と並んで、世界3大珍味の「キャビア」はチョウザメの卵。カスピ海産の最高級品「オオチョウザメ」の卵「ベルーガ」は乱獲により激減。日本では50gで4万円ほどする。◆アスタナは建築がみどころ
首都のシンボルは「バイテレク」。「高いポプラの木」の意味で105mのタワー。首都移転の1997年にちなみ、97m地点に展望台がある。その他、「国立博物館」、ピラミッド型の「平和と調和の宮殿」、「ハズィレット・スルタン・モスク」などの建造物がみどころ。文:小野寺俊明(スポーツ企画工房)
写真:フォート・キシモト
■【アスタナ2023アジア室内陸上】大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1722/
■【アスタナ2023アジア室内陸上】展望:2023チームJAPAN始動!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17452/
■【アジア室内陸上】日本代表選手が決定!
廣中璃梨佳らオレゴン世界陸上日本代表選手が複数エントリー
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17376/
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