第106回日本陸上競技選手権の第3日は6月11日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催され、7種目の決勝が行われました。男子3000m障害物は2連覇を飾った三浦龍司(順天堂大)と2位の青木涼真(Honda)がそろって参加標準記録を突破。同400mハードルでも参加標準記録を破っていた黒川和樹(法政大)が昨年に続いて優勝し、それぞれ7月15日~24日にアメリカ・オレゴンで開催される世界陸上競技選手権の日本代表に内定しました。雨がぱらつくあいにくの空模様となりましたが、その中でも好記録や好勝負が相次ぎ、“日本一決定戦”のエネルギーを感じさせました(敬称略)。
大会3日目の最終種目に設定されたのは男子3000m障害物。年々ヒートアップしているこの種目が今年も大いに会場を沸かせました。昨年の東京五輪で7位に入賞した三浦龍司(順天堂大)が序盤から先頭に立ち、レースを先導。2000mを5分31秒で通過すると、軽やかにペースを上げて後続を引き離します。昨年は途中で転倒しながらも当時の日本記録を打ち立てた三浦が、今年はその時のタイムをさらに上回る8分14秒47の大会新記録で悠々と2連覇を果たしました。
そして、三浦が作り出したペースが他の選手の好記録もアシストします。2位の青木涼真(Honda)が8分20秒09と、世界選手権の参加標準記録を突破する自己新。三浦とともに代表に内定しました。さらに、青木を含めて16人中7人が自己記録を塗り替える大盛況。8分23秒29で3位だった山口浩勢(愛三工業)もワールドランキングではターゲットナンバー(参加人数枠)に入っており、代表入りの可能性があります。
男子400mハードルは黒川和樹(法政大)の力走が光りました。前日の予選では東京五輪代表の安部孝駿(ヤマダ電機ホールディングス)が欠場、山内大夢(東邦銀行)が予選敗退する中で、ただ一人の49秒台で決勝進出を決めると、決勝も積極的なレースを見せて48秒89。2位に0秒83もの大差をつけて2年連続の王者となりました。日本選手権の前に標準記録は突破済みでしたが、小雨の中でも世界選手権の参加標準記録を0.01秒上回り、力のあるところを見せました。
標準記録は突破できなかったものの、62m25で女子やり投を2年連続で制した北口榛花(JAL)も東京五輪に続く世界大会出場が有力です。今季は標準記録にあと5cmと迫る63m95を投げており、今大会2位の上田百寧(ゼンリン)とともにワールドランキングでターゲットナンバー圏内にいます。
記録的には女子3000m障害物がハイレベルとなりました。山中柚乃(愛媛銀行)、西出優月(ダイハツ)、西山未奈美(三井住友海上)、吉村玲美(大東文化大)の4人が9分30秒台で次々にフィニッシュし、いずれも大会新。日本歴代の2~5位を占めました。東京五輪代表の山中が9分38秒19で2年連続の頂点に立ち、ワールドランキングも上昇。選考期限である6月26日までに標準記録を突破するかワールドランキングで圏内に入れば出場のチャンスがあります。6月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ20周年記念大会(北海道・深川)にオレゴン行きを狙う選手が集まりそうです。
女子100mハードルは福部真子(日本建設工業)が13秒10(+0.8)で初優勝。男子棒高跳は江島雅紀(富士通)が雨の中でも今季自己タイとなる5m60で3年ぶり2度目の制覇となりました。女子三段跳は森本麻里子(内田建設AC)が13m58(±0)で4連覇を達成しています。いずれも現時点でのターゲットナンバーでは世界選手権の出場は厳しい状況ですが、有効期限内に記録を伸ばせば可能性が広がります。
そのほか、男子110mハードル予選では村竹ラシッド(順天堂大)が自己記録を0.01秒縮める13秒27(+0.5)を叩き出し、新たな世界選手権参加標準記録突破者となりました。男子800mでは高校3年生の後田築(創成館高・長崎)が高校歴代2位となる1分47秒69で3組3着に入り、決勝進出を決めています。どちらも決勝は最終日に行われます。
同時開催のU20日本選手権も7種目の決勝が行われ、男子400mハードルは紺野稜真(九里学園高・山形)が高校歴代7位タイとなる50秒17で快勝。女子100mハードルは中京大中京高(愛知)の林美希と髙木茜里が1、2位を独占するなど高校生の活躍が目立ちました。
最終日は日本選手権が12種目、U20日本選手権は13種目の決勝を実施します。競技日程や出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。
文:月刊陸上競技編集部
写真:フォート・キシモト
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