2022.03.13(日)大会

【第105回日本選手権・室内競技】1日目ハイライト&新記録コメント

第105回日本陸上競技選手権大会・室内競技が、2022日本室内陸上競技大阪大会と併催する形で、3月11日、大阪市の大阪城ホールで開幕しました。
この大会では、シニア種目が「日本選手権・室内競技(以下、日本選手権室内)」で、U20、U18、U16の3カテゴリが日本室内陸上大阪大会で実施されており、トラック&シーズン開幕を告げる大会として定着しています。昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により無観客で行われましたが、今年は、指定席制ながら有観客での観戦も実現しました。



女子三段跳で23年ぶりに室内日本新!森本が13m31をマーク!

1日目は、日本選手権の部で4種目(男子60mH、女子60mH、女子棒高跳、女子三段跳)の決勝が実施されました。2022年最初の「日本記録樹立者」となったのは、女子三段跳の森本麻里子選手(内田建設AC)。今回は、前半3回・後半2回の全5回の試技で実施されましたが、森本選手は、1回目で、1999年以降更新されていない室内日本記録(13m27、花岡麻帆)に1cmと迫る13m26の跳躍を見せると、2回目の13m18を挟んで、3回目の試技で13m31の室内日本新記録を樹立。4回目を13m05、最後の5回目は13m20と、さらに記録を伸ばすことはできませんでしたが、大会2連覇を達成するとともに、初めて日本記録保持者となりました。今季は、屋外の日本記録(14m04、花岡麻帆、1999年)更新も狙えるほどの充実したトレーニングが積めてきたとのこと。屋外初戦は4月29日の織田記念を予定しています(森本選手のコメントは、下記をご参照ください)。




男子60mハードルは野本がV 世界室内に向けて弾みつける

大会前から、“目玉種目”として高い関心を集めていた男子60mハードルは、昨年、この大会を7秒50の室内日本新記録で制し、屋外の110mハードルでも13秒06の日本記録を樹立するとともに、東京オリンピックに出場した泉谷駿介選手(順天堂大)、同じく東京オリンピック日本代表で110mハードル元日本記録保持者の高山峻野選手(ゼンリン)、昨年、110mハードルで13秒28のU20日本記録をマークした村竹ラシッド選手(順天堂大)、400mハードルで東京オリンピックに出場した黒川和樹選手(法政大)ら、錚々たる顔ぶれが揃いました。予選で、泉谷選手がパフォーマンス室内日本歴代2位となる7秒54のセカンドベスト、また、村竹選手が室内日本歴代4位の7秒60をマークしたことで、決勝での新記録樹立も期待されていました。
しかし、決勝では、波乱含みの展開に。第1ハードルをトップで入った泉谷選手が、3台目をクリアした際に、腰が抜けたような状態となってスローダウン。最下位でフィニッシュする結果となったのです。泉谷選手によると、「スタートの7歩がいい感じで出られたことで踏み切り位置がハードルに近くなり、第1ハードルの抜き脚を思いきりぶつけてしまった」のが直接の原因だったそうで、その影響で、各ハードルの踏み切り位置が近くなり、立て直しきれなかった第3ハードルで大きくバランスを崩すことになってしまいました。レース後には、「大学最後のレースだったので特別な思いがあったけれど、こんな結果になってしまった。自分らしいといえば自分らしい」と苦笑いしていましたが、「やっぱり最後はしっかり決めたかったな、という気持ちがある」という本音も。4月からは住友電工に所属して競技を続けますが、今季は「オレゴン世界選手権で決勝に進出すること」と「どんな状況でも13秒1~2台で安定して走れること」を目標に掲げているそうです。
その男子60mハードルをトップでフィニッシュしたのは、昨年、110mハードルで13秒38まで記録を伸ばしていた野本周成選手(愛媛陸協)でした。予選でこれまでの記録を0.02秒塗り替える7秒67の自己新をマーク。決勝では、スタートにやや不満を残しながらも、タイムを7秒58まで更新。日本選手では4人目の7秒5台突入(室内日本歴代4位)と、「上り調子」を印象づける好走で、初の日本タイトルも獲得しました。「このタイミングで、短いスパンでの連戦をしたかった」という野本選手は、このあと、3月18~20日にベオグラード(セルビア)で開催される世界室内にエントリー。大会直後の3月14日には現地に向けて出発する日程だけに、幸先のよい滑りだしとなりました。2位には村竹選手が7秒63で、3位には高山選手が7秒67で続いています。
なお、この種目には、男子400mハードルで東京オリンピックに出場した黒川和樹選手(法政大)が出場して、予選・決勝ともに7秒84をマーク。決勝はB決勝に臨み、1着でフィニッシュしました。また、昨年の福井インターハイ男子110mハードルで13秒69の高校新記録と樹立した西徹朗選手(名古屋高)がU20の部でなく、日本選手権の部に挑戦。決勝では、7秒91でB決勝5着の結果でしたが、予選では、一般規格におけるこの種目のU20室内日本最高(8秒87、1987年)、高校日本最高(8秒89、2013年)を上回る7秒85( 4着)をマークしています。




女子60mハードルは青木が3連覇 女子棒高跳の諸田は、室内日本新に挑戦

女子60mハードルは、屋外の100mハードルで12秒87の日本記録を持つ寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)は欠場しましたが、同じく12秒87の日本記録保持者で、前回大会を8秒05の室内日本新で優勝している青木益未選手(七十七銀行)が、今年も圧倒的な強さを見せました。青木選手は、予選を8秒14でトップ通過すると、決勝では、昨年のこの大会でマークした8秒05(決勝)、8秒06(予選)に続く、8秒07の自己3番目のタイムでフィニッシュ。3年連続室内日本新はならなかったものの、高いレベルでの安定感を示すと同時に、大会3連覇を果たしました。また、女子棒高跳は、諸田実咲選手(栃木スポ協)が、大会新記録となる4m21をただ一人成功させて優勝を決めると、バーを4m34に挙げて、室内日本新記録に挑戦。1・2回目を失敗したところで競技を終了し、新記録への挑戦は、「今後のお楽しみ」としました。
U20、U18、U16の3カテゴリに分けて併催されている日本室内大阪大会は、全17種目の決勝が行われました。日本選手権女子と一緒に行われたU20女子棒高跳では、村田蒼空選手(前橋女高)が優勝を決めたのちに、U20日本記録に並ぶ4m10(南野弥生、2004年)に挑戦しましたが、残念ながらクリアはならず、優勝記録は4m00となりました。このほか、U20女子60mハードルでは、山本裕未選手(市立船橋高)と前田光希選手(立命館守山高)がともに8秒47でフィニッシュ。着差なしということで、2名が同記録優勝という結果が出ています。



大会2日目の3月12日は、午前9時40分に競技がスタート。日本選手権の部で男女8種目の決勝が行われるほか、U20の部で男女6種目の決勝が、オープン種目として小学生男女60mが実施されます。大会2日目の模様も、メインとフィールドの2チャンネル態勢で、午前9時30分(予定)からライブ配信を予定しています。屋外シーズンを間近に控えた選手たちのパフォーマンスを、ぜひオンラインでお楽しみください! 
競技日程、出場選手、スタートリストやライブ配信スケジュールなど、大会に関連する情報は、日本陸連公式サイト( https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1609/ )および日本陸連公式SNSをご参照ください。


【新記録樹立者コメント】



◎女子三段跳

森本麻里子(内田建設AC)
13m31 =室内日本新記録
去年のこの大会を13m19で優勝した時点で、(室内日本記録に)あと8cmに迫っていることは確認できていた。ベースが上がれば跳べると確信していたので、今回は、記録を出すことに気を取られすぎずに、自分が持っている力を出そうと思って臨んだ。
1回目で(室内日本記録に1cmまで迫る13m)26を跳んだときは、助走のスピードに任せすぎていて、技術をきちんと意識できていたわけではなかったので、「スピードがあったから跳べた」という感じだった。2回目を跳んだときは、「思ったほど記録が出なかったな」と思ったのと、ステップに入るときに上体が被さらなければ跳べると感じたので、3回目は、その局面でしっかりと身体を起こすことをイメージして臨んだ。
(室内日本新)記録は3回目で出たわけだが、1回目のほうが助走スピードはあったし、「記録が出た」とか、「跳べた」という感触が全くなかったというのが正直なところ。そういう意味では、スピードと技術の兼ね合いが、まだまだ詰めが甘いのかなと思う。この大会で課題が明確になったので、そこをしっかりと見直して、屋外初戦となる織田記念までに修正していきたい。
今季は、9月に開催される杭州アジア大会に出場することが目標。三段跳は、残念ながら世界にはかなり遠い状態だが、アジアの大会に出ることで、次の扉をノックできるんじゃないかなと思っている。三段跳のアジア大会の代表は、織田記念で決まることになっているので、まずは、そこで文句なしで選考してもらえるような結果を残したい。また、この冬は、周りの方々に支えていただき、ケガもすることなく、充実したトレーニングを積んでくることができた。スピードと技術が噛み合い、気象条件等に恵まれれば、日本記録(14m04)は跳べると思っている。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)、フォート・キシモト


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