2022.02.24(木)選手

【記録と数字で楽しむJMCシリーズ】新たな対象レース「大阪びわ湖マラソン」。日本人大会最高記録の可能性



・文中敬称略。
・所属は当時のもの。

JMCシリーズ1・第1期・「大阪マラソン」が対象レースに加入

2月27日に「第10回大阪マラソン」が行われる。同大会は、これまで五輪や世界選手権の代表選考会となったことはなかったが、「JMC(ジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズ)」の「第1期」の対象レースとしての開催となった。

「シリーズⅠ・第1期」の男子は第4戦目で「グレード1」のレース、女子は第2戦目で「グレード2」のレースとなる。

当初は、「第0期」の最後のレースとして2021年11月29日行われる予定だったが、コロナの影響で「第1期」での実施に変更された。男子は21年2月に幕を閉じた「第77回びわ湖毎日マラソン統合大会」という位置づけで実施される。

2011年10月30日の第1回大会は、当時の橋下徹大阪府知事の提唱で「市民ランナーが気楽に参加できる大会を」と3万人規模(フルマラソンは定員28000人)で開催された。その後、定員32000人に拡大。19年に第9回大会が行われた。が、20年と上述の21年はコロナの影響で中止となり、2万人の定員で22年2月27日に第10回が2年ぶりに開かれる予定だったが、コロナのためエリートの部のみが実施されることになった。

誕生当初とはコースが少し変更され、19年(第9回)からは大阪府庁前をスタートし市内を巡り大阪城公園内をフィニッシュする高低差20mあまりのコースとなった。スタートから2km付近までで10mほど下る。その後、30km手前まで高低差2~3mの上り下りが数カ所あるがほぼフラット。勝負所となりそうな30km付近の1kmあまりで高低差20mの上り下りと、その後にも10mあまりを上り2~3mのアップダウンを小刻みに繰り返す箇所が3kmあまり続く。

以下に男女別にTV観戦のお供に記録やデータに関する各種の情報をお届けする。


男子

招待選手と主な一般参加選手は、以下の通りだ。

<招待選手>
No.競技者名年齢所属自己記録
1川内優輝34あいおいニッセイ同和損害保険2.07.27. 21びわ湖・10位
2村本一樹29住友電工2.07.36. 21びわ湖・11位
3一色恭志27GMOインターネットグループ2.07.39. 20東京・15位
4青木優31カネボウ2.07.40. 21びわ湖・12位
5設楽悠太30Honda2.06.11. 18東京・2位
6寺田夏生30JR東日本2.08.03. 20福岡・3位
7山下一貴24三菱重工2.08.10. 21びわ湖・18位
8土井大輔25黒崎播磨2.08.13. 21びわ湖・21位

<主な一般参加選手>
・マラソン2.10.00.以内、ハーフ概ね61.30.以内、10000m概ね28.30.00.以内。
No.競技者名年齢所属自己記録
101吉田祐也24GMOインターネットグループ2.07.05. 20福岡・1位
102大六野秀畝29旭化成2.07.12. 21びわ湖・6位
103下田裕太25GMOインターネットグループ2.07.27. 20東京・13位
104岡本直己37中国電力2.08.37. 20東京・20位
105山本憲二32マツダ2.08.42. 19びわ湖・7位
106林奎介25GMOインターネットグループ2.08.52. 21びわ湖・27位
107村山謙太29旭化成2.08.56. 19ベルリン・9位
108松村優樹29Honda2.09.01. 21びわ湖・29位
109谷原先嘉28大阪府警2.09.15. 21びわ湖・31位
111竹ノ内佳樹29NTT西日本2.09.31. 20福岡・6位
113今井正人37トヨタ自動車九州2.07.39. 15東京・7位
114福田穣31NN Running Team2.09.52. 18ゴールドコースト・3位
115山本浩之35コニカミノルタ2.09.12. 17東京・10位
126丸山文裕31旭化成2.09.39. 16びわ湖6位
182木滑良31三菱重工2.08.08. 18東京・7位
290延藤潤30マツダ1.00.56.(ハーフマラソン)
291野中優志26大阪ガス1.00.48.(ハーフマラソン)
292湯澤舜25SGホールディングス1.01.19.(ハーフマラソン)
297鎧坂哲哉31旭化成2.07.55. 21別大・2位
357中谷雄飛22早稲田大学4年27.54.06(10000m)
358菊地駿弥23中国電力28.02.17(10000m)
359小野知大22旭化成28.23.68(10000m)

なお、大六野秀畝と鎧坂哲哉、小野知大(共に旭化成)は、2月6日に行われた別大マラソンに出場しているため、出場を回避する可能性がある。

招待選手の全員は、ここ1~2年で2時間7分~2時間8分台前半で走っており、実力者が揃った。1年前のびわ湖マラソンで、自身初となる2時間7分台を出した川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)は、2月13日に行われた全日本実業団ハーフマラソンで、自身10年ぶりの自己新となる1時間02分13秒をマーク。自身のSNSでは、2月19日に「今のところ過去10年で最高の練習ができている」と書き込むなど好調を維持している模様。

元日本記録保持者の設楽悠太(Honda)は、途中棄権した昨年12月の福岡国際マラソンから約2か月半でのインターバルでの出場となる。先日の別大マラソンでペースメーカーを務め、今大会への調整は整っているようだ。

招待選手とともにレースの中心となりそうなのは、吉田祐也(GMOインターネットグループ)だろう。自己記録では、出場選手中設楽に次ぐ2番目。初マラソンの2020年別大マラソンで日本人トップの3位、同年12月の福岡国際マラソンで優勝と、安定感は抜群。各選手、吉田を意識しながらのレースになることは間違いなさそう。

37歳の今井正人(トヨタ自動車)、37歳の岡本直己(中国電力)、35歳の山本浩之(コニカミノルタ)ら2019年MGCに出場したベテラン勢の走りにも注目したい。大会当日、37歳10か月25日になる今井、37歳9か月1日になる岡本が2時間10分を切ることができれば、日本人史上最年長の2時間10分切りランナーとなる。これまでの日本人史上最年長2時間10分切りは、2021年のびわ湖マラソンでの中村高洋(37歳6か月4日・2時間09分40秒)。

ハーフマラソンで1時間00分台の自己記録を持つ延藤潤(マツダ)や野中優志(大阪ガス)、10000m27分台の中谷雄飛(早稲田大学4年)らは、初めてのマラソンに挑む。先日の別大マラソンでは、西山雄介(トヨタ自動車)が、初マラソン日本歴代2位の2時間07分47秒で優勝したのを始め、古賀淳紫(安川電機)、中西亮貴(トーエネック)が2時間8分台で走るなど、マラソン初挑戦組が活躍。今大会でも、初マラソン勢の好走に期待がかかる。特に、野中は、全日本実業団ハーフマラソンで自己新の1時間00分48秒で走ったばかりで勢いがある。

以下は、「初マラソン日本歴代10傑」だ。

【初マラソン日本歴代10傑】

・2022年2月15日現在
1)2.07.42. 作田将希(JR東日本)21びわ湖・14位
2)2.07.47. 西山雄介(トヨタ自動車)21別大・1位
3)2.07.54. 足羽純実(Honda)21びわ湖・15位
4)2.08.10. 山下一貴(三菱重工)21びわ湖・18位
5)2.08.12. 藤原正和(中 大)03びわ湖・3位
6)2.08.13. 土井大輔(黒崎播磨)21びわ湖・21位
7)2.08.30. 吉田祐也 (青学大)20別大・3位
7)2.08.30. 古賀淳紫(安川電機)21別大・4位
9)2.08.51. 中西亮貴(トーエネック)21別大・6位
10)2.08.53. 森下広一(旭化成)91別大・1位
10)2.08.53. 久保和馬(西 鉄)21びわ湖・28位

大会記録と日本人最高記録

大会記録は、2時間07分47秒 A・テフェラ(エチオピア)2019年(第9回)。
日本人大会最高記録は、2時間12分59秒 山岸宏貴(GMO)2016年(第6回・2位)。

過去9回の優勝者はすべて外国籍の選手で日本人の最高順位は、上述の山岸を含め2位が4回。

大会記録と日本人最高記録の5km毎は、

距離大会記録日本人大会最高記録
5km15.19./15.19.16.07./16.07.
10km30.31./15.12.31.36./15.29.
15km45.51./15.20.47.12./15.36.
20km1.01.06./15.15.1.02.54./15.42.
Half1.04.25.1.06.27.
25km1.16.21./15.15.1.19.06./16.12.
30km1.31.26./15.05.1.35.15./16.09.
35km1.46.09./14.43.1.50.41./15.26.
40km2.01.00./14.51.2.06.04./15.23.
Finish2.07.47./ 6.47.2.12.59./ 6.55.
前後半64.25.+63.22.66.27.+66.32.
前後半差△1.03.▽0.05.

大会記録はともかく、普通に走れれば日本人大会最高記録の複数人の更新が極めて濃厚。


大阪マラソンでの着順別最高記録

1)2.07.47.A・テフェラ(ETH)2019年
2)2.09.31.M・E・アラビー(MAR)2019年
3)2.09.44.M・ジアニ(MAR)2019年
4)2.09.53.H・エスマエル(ETH)2019年
5)2.11.43.D・マイヨ(KEN)2019年
6)2.12.09.K・ベケレ(ETH)2019年
7)2.12.44.B・ツェゲイ(ERI)2019年
8)2.14.06.G・ハイル(ETH)2019年
・以上、2時間15分00秒以内。

上位は、アフリカ勢の選手ばかり。「サブ10」がマークされたのは2019年のみ。
日本人で2時間15分00秒を切ったのは、日本人最高記録を持つ山岸を含め9人。
いわゆる「市民マラソン」としてのレースだったので、日本人の有力選手もこれまでほとんど出場していなかった。
川内優輝(埼玉県庁)が11年(第1回)に2時間14分31秒で4位に入っている。


日本人が「サブ10」で走った大会別・1分毎の内訳

2022年2月15日現在で2時間10分を切る「サブ10」で走った日本人選手は、78年2月5日の別大で2時間09分05秒6をマークした宗茂から数えてこれまで「155人」で「285回」。参考までに世界歴代での「サブ10」は、「1192人」と「3430回」で日本人のシェアは「13.0%」と「8.3%」である。

155人が自己ベストを出したレースを1分毎にコース別にみると以下の通りだ。
なお、「東京国際」には、81年から06年に行われていた「東京国際マラソン」と「東京・ニューヨーク友好マラソン」のデータを統合した。「東京」の表記は07年から行われている現在の「東京マラソン」だ。また、「発着点の標高差が42.195mを超える下り坂コース」と「発着点の直線距離が21.0975kmを超えて離れているコース(片道コース)」に該当するボストンマラソンの記録は除外した。

【2時間09分59秒以内の日本人選手149人が自己ベストを出した大会別内訳】
・2022年2月15日現在。
 4分台5分台6分台7分台8分台9分台サブ10合計割合
びわ湖141122226038.70%
東 京1361193019.40%
福 岡16992516.80%
別 大17101811.60%
東京国際2242.60%
防 府331.90%
広島W杯110.60%
海 外2345149.00%
         
合 計1110275660155 

また、149人が277回マークしている2時間09分59秒以内の1分毎の大会別内訳は、下記のようになる。

【日本人選手が2時間09分59秒以内を出した277回の大会別内訳】
・2022年2月15日現在。
 4分台5分台6分台7分台8分台9分台サブ10合計割合
びわ湖141129448931.20%
福 岡1817356121.40%
東 京14916205017.50%
別 大210172910.20%
東京国際177155.30%
防 府662.10%
広島W杯110.40%
愛 媛110.40%
海 外1258173311.60%
         
合 計12113888147285 

先に紹介した大阪マラソンでの日本人最高記録は、2時間12分59秒。
今回新たに「サブ10」が誕生すれば、国内大会では9大会目となる。


女子

招待選手は以下の通りだ。
No.競技者名年齢所属自己記録
501伊藤舞37大塚製薬2.24.42. 15名古屋・3位
502堀江美里34シスメックス2.25.44. 17大阪国際・2位
503鷲見梓沙25ユニバーサルエンターテインメント1.09.21.(ハーフマラソン)
504青山瑠衣32ユニバーサルエンターテインメント1.10.04.(ハーフマラソン)
505青木奈波27岩谷産業1.11.54.(ハーフマラソン)

2016年リオ五輪女子マラソン代表の伊藤舞(大塚製薬)と2016・2017年大阪国際女子マラソン2位の堀江美里(シスメックス)のベテラン勢が招待選手として出場。伊藤は2015年以降、堀江は2017年以降2時間30分を切れていないだけに、まずは2時間30分を切って、再起のきっかけとしたいところだ。2時間30分前後が優勝記録となれば、初マラソンのユニバーサルエンターテインメント勢・鷲見梓沙、青山瑠衣にも勝機は生まれてくる。MGC出場権を得られる「日本人1位で2時間28分00秒以内」をターゲットとしたレース展開に期待したい。


大会記録と日本人最高記録

大会記録は、2時間26分29秒 A・メクリア(エチオピア)2019年(第9回)
日本人大会最高記録は、2時間33分36秒 嶋原清子(SWAC)2011年(第1回・2位)

大会記録と日本人大会最高記録の5km毎は、

距離大会記録日本人大会最高記録
5km17.40./17.40.17.40./17.40.
10km34.38./17.18.35.33./17.53.
15km51.47./17.09.53.24./17.51.
20km1.08.44./16.57.1.11.26./18.02.
Half1.12.29.1.15.27.
25km1.25.43./16.59.1.29.58./18.32.
30km1.43.06./17.23.1.48.16./18.18.
35km2.00.43./17.37.2.06.42./18.26.
40km2.18.48./18.05.2.25.29./18.47.
Finish2.26.29./ 7.41.2.33.36./ 8.17.
前後半72.29.+74.00.75.27.+78.09.
前後半差▽1.31.▽2.42.

男子と同様にエチオピア選手が保持する大会記録はともかく、普通に走れれば日本人大会最高記録を複数人が更新する可能性はありそうだ。


大阪マラソンでの着順別最高記録

1)2.26.29.A・メクリア(ETH)2019年
2)2.28.37.M・ジェプコエチ(KEN)2019年
3)2.28.56.S・カンブシア(MAR)2019年
4)2.29.03.V・ニャルイアイ(KEN)2019年
5)2.31.58.M・ダマンツェビッチ(BLR)2019年
6)2.32.45.C・ムカンダンガ(RWA)2019年
7)2.32.59.J・キゲン(KEN)2019年
8)2.33.55.O・コトフスカ(UKR)2019年
9)2.35.16.木下裕美子(東京陸協)2019年
10)2.39.04.井野光子(リンクスタイル)2019年
・以上、2時間40分以内。

すべて19年(第9回)の記録が並ぶが、いくつかの順位は更新される可能性が高そうだ。


▼JMCシリーズ 第1期男子第3戦の「別府大分毎日マラソン」


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