新年、明けましておめでとうございます。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を終え、スポーツ界は新たなステージを迎えました。オリンピック・パラリンピックのレガシーを大切にし、アスレティックファミリーの皆さまとともに、未来に向かって新たな陸上競技の魅力や価値を見出しながら発展的なステージを創出していくことを目指していきます。
昨夏のオリンピックでは、コロナ感染のクラスターを発生することなく、全競技を安全に終えることができました。東京の国立競技場、札幌市に分かれて開催された陸上競技も競技運営に当たっていただいたNTO(National Technical Officials)及び地元陸協の皆様、ボランティアの皆様をはじめとする多くの方々のご尽力で成功裡に開催することができました。あらためてご尽力をいただきました全ての方に心から感謝申し上げます。
大変な状況下で開催された大会を盛り上げてくれたのはチームジャパンの活躍でした。終わりの見えない感染、それに伴い国民に蔓延する閉塞感により、オリンピックは「不要不急」のものと見なされました。選手はトレーニングをすることさえも臆する時期があり、また出場権を獲得した喜びさえも素直に表現できませんでした。多くの制約・制限、加えて地元というプレッシャーにも闘いながらも、持てる力の限りを尽くし、心に響く競技を見せてくれました。観客が不在の無い無機質とも思える空間で、真摯に競技に向かう選手の姿は、多くの方に陸上競技の真価をあらためて伝えてくれました。選手66名、役員46名で編成された陸上競技チームの2個のメダルを含む9の入賞という素晴らしい結果は、コロナにも打ち勝った証だと思います。
このチームジャパンの活躍、そして素晴らしい競技運営は、日本の陸上競技界にとっての至宝です。私たちは、この宝を真のレガシーに変えていくことに注力しなければなりません。心躍るような選手の活躍は、人々の憧れの醸成に繋がり、「する・みる・ささえる」スポーツへの参画を促したことでしょう。そして、多くの人が参画する陸上競技の様々な活動で、多くの社会的な課題を解決することができれば、陸上競技の価値をより高いものにすることができます。こうして、オリンピック・パラリンピックのレガシーを身近に感じることができるようになれば、スポーツ基本法の冒頭にあるように、スポーツを「世界共通の人類の文化」に昇華させることができると考えます。
これらを夢物語に終わらせることなく、無限である陸上の力を引き出すために、2017年に作成したJAAFビジョンを達成するための具体的なアクションプランを今春には公表する予定です。このアクションプランを実行することにより、目的に応じて、「競技陸上」や「ウエルネス陸上」に取り組み、それにより仲間との絆を紡いだり、生きがいを創出したり、心身の健康を高め、それぞれのライフステージを充実したものにすることを目指しています。
一方で、浮き彫りになったスポーツ界に共通する課題の解決にも力を尽くしていきます。長く続くコロナ禍で本連盟の経営基盤は揺らぎ、多くの活動を中止したり、委員会の一部の機能を停止させている状況にあります。経費削減に努めるとともに、事業の見直しや収益構造の見直しと、それらの再構築を図らなければなりません。加えて、コンプライアンスの遵守とガバナンスの強化には、引き続き重要な課題として取り組んでまいります。
日本陸上競技界の根幹を支えていただいています加盟団体及び協力団体、協賛をいただいています企業の皆様、温かい声援を送っていただいています陸上ファンには心から御礼申し上げますとともに、一層のご理解ご支援をお願いいたしましてご挨拶とさせていただきます。
公益財団法人日本陸上競技連盟
会長 尾縣 貢
会長 尾縣 貢