2021.08.09(月)大会

【東京オリンピック】早朝スタートの女子マラソン、粘りのレースで一山が8位入賞!~9日目モーニングセッションハイライト~



大会も残り2日となった8月7日、9日目の競技は、北海道札幌市で行われた女子マラソン決勝から始まりました。連日猛暑が続いている札幌の気象状況や先日までの競歩3種目実施時のコンディションなどから暑さ回避の対策として、競技開始時間を1時間繰り上げて午前6時とすることが急遽決定し、出場選手たちも、スタートまで12時間を切った段階で通知を受けて対応することに。スタート時点の気象状況は、気温25℃、湿度84%でしたが、それでも気温の上昇は避けられず、レース終了時点では気温29℃、湿度67%。暑さの指数を示すWBGT(湿球黒球温度;暑さ指数)は29℃に達する過酷なコンディションとなりました。



最初の1kmを3分39秒で入ったレースは、5kmの通過が18分02秒(WA公式サイトの発表データによる。以下、同じ)、10kmが36分16秒(この間の5kmは18分14秒)という遅いペースとなったため、序盤は大きな集団がひとかたまりになって進んでいきます。しかし、その後の各5kmが17分31秒、17分40秒とペースが上がったことで、10km通過時点で47人いた先頭グループは14人に、さらに17分24秒に上がった20~25kmで12人に、17分13秒のスプリットを刻んで迎えた30kmでは9人へと絞られていきました。このペースアップをつくっていたのは、ペレス・ジェプチルチル選手(ケニア)。中間点付近でトップに立つと、日差しの強まりとともに気温も上昇して、気象コンディションが厳しくなっていくにもかかわらず、ペースをさらに引き上げ、2時間02分58秒での通過となった35kmまでの5kmを実に16分54秒で駆け抜けていきました。世界記録保持者のブリジット・コスゲイ選手(ケニア)のほか、モリー・セイデル選手(アメリカ)、ロナチェムタイ・サルピーター選手(イスラエル)、ユニスチェビチー・チュンバ選手(バーレーン)がついたものの、チュンバ選手が36km手前で脱落し、38km過ぎてセイデル選手と、その後棄権したサルピーター選手が後れ、優勝争いはケニア勢の2人に絞られました。しかし、ジェプチルチル選手とコスゲイ選手との余裕度の差は歴然で、40km過ぎでコスゲイ選手を置きざりにすると、残り2km少々でコスゲイ選手に16秒の差をつけて2時間27分20秒でフィニッシュ。3分08秒というネガティブスプリット(前半よりも後半のペースが速いこと)での快勝でした。




前田穂南選手(天満屋)、鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)、一山麻緒選手(ワコール)の3選手が出場した日本勢では、一山選手が8位となり、2004年アテネオリンピックを制した野口みずき選手以来17年ぶりとなる入賞を果たしました。一山選手は序盤から30km付近まで先頭争いのグループに食らいつき、30kmは7番手で通過しましたが、レースが動いた33kmで後れると、30~35kmで18分36秒と大きくペースダウンしたものの最後まで粘って2時間30分13秒でフィニッシュしました。日本人2番手で続いたのは鈴木選手。序盤は先頭集団の後方についてレースを進めていましたが、15km過ぎでいったん後れながら再び追いつき、また順位を落として30km地点では26位で通過していましたが、そこからの粘りで19位(2時間33分14秒)まで巻き返しました。自分のペースで走るためにスタート直後は先頭に立つ場面もあった前田選手は、20kmを手前のあたりで集団から後れると、その後は、徐々に順位を落とす苦しい展開に。しかし、出場した88名中15名もの選手が途中棄権するなか最後まで走りきり、33位・2時間35秒28秒でレースを終えました。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト


▶【東京オリンピック】女子マラソン・一山麻緒、17年ぶりの8位入賞!~9日目モーニングセッション選手コメント~
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