第105回日本陸上競技選手権の第3日は6月26日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開かれ、8種目の決勝などが行われました。男子3000m障害物で三浦龍司(順天堂大)が8分15秒99の日本新記録・U20日本新記録を樹立し、山口浩勢(愛三工業)、青木涼真(Honda)とあわせて3人が、東京2020オリンピック競技大会の代表に内定しました。男子400mハードルでも黒川和樹(法政大)と安部孝駿(ヤマダホールディングス)の2人が代表内定となりました。この日に内定した5人は、そろって初のオリンピック出場となります(敬称略)。
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アクシデントが覚醒のスイッチになったかのように、三浦が目覚ましい走りを披露しました。男子3000m障害物決勝で1000m過ぎからレースを先導しましたが、残り約600m付近の水濠から出るところで転倒して後退。それでも、すぐに立ち上がると一気に動きの鋭さを増してトップに再浮上し、図抜けたスピードでラスト1周を駆け抜けて初優勝しました。日本記録の更新は今年2回目。5月9日の東京オリンピックテストイベント「Ready Steady Tokyo」で出した8分17秒46からさらに1秒47も伸ばしました。
山口と青木も、逃げる三浦を、そしてオリンピック参加標準記録(8分22秒00)を懸命に追いました。2位の山口は8分19秒96、3位の青木も8分20秒70。史上初めて複数の日本選手が8分20秒を切るハイレベルの戦いの結果、3人がそろってオリンピック参加標準記録を突破して今大会3位という条件を満たし、代表に内定しました。
オリンピック参加標準記録(48秒90)の突破者4人が居並んだ男子400mハードル決勝は、黒川が序盤から積極的に攻め、安部が果敢に追う展開となり、黒川が逃げ切って48秒69で初制覇しました。安部も自身2年ぶりの48秒台となる48秒87で2位に入り、この2人がオリンピック出場へのハードルも跳び越えました。
3位には参加標準記録を突破していないロンドン2012オリンピック代表の岸本鷹幸(富士通)が49秒29で食い込みました。さらに標準記録突破者の山内大夢(早稲田大)が49秒48で4位、豊田将樹(富士通)が49秒89で5位に続きました。内定者以外のオリンピック代表は代表選考要項にのっとって選考され、7月2日以降に発表されます。
女子3000m障害物決勝は、レース中盤から先頭に立った山中柚乃(愛媛銀行)が9分41秒84の大会新記録で初優勝。2位の吉村玲美(大東文化大)も9分45秒52の自己ベスト記録を出しました。
山中と吉村はこれで世界ランキングのポイントがアップ。世界各国でこの週に行われた大会の結果を反映して7月1日頃に発表される世界ランキングでオリンピック出場権の行方が決まりますが、2人が出場権獲得圏内に入るかどうかが注目されます。
女子100mハードル決勝では、今年に入って12秒台を連発している寺田明日香(ジャパンクリエイト)が、2010年の第94回大会で3連覇を果たして以来11年ぶり、4回目の頂点に立ちました。記録は13秒09(0.0)で、日本記録(12秒87)やオリンピック参加標準記録(12秒84)への到達はなりませんでした。今大会前の世界ランキングではオリンピック出場圏内に位置していましたが、さらにポイントを上げたことで、出場権を確保できていることが期待されます。
男子110mハードルは予選が実施され、村竹ラシッド(順天堂大)が大会新記録となる13秒28(+0.5)の快走を見せて2組1着となり、オリンピック参加標準記録(13秒32)の突破も果たしました。すでに参加標準記録を突破していた選手では、泉谷駿介(順天堂大)が13秒33(+0.3)で3組1着、4月29日に日本記録(13秒16)をマークした金井大旺(ミズノ)が13秒54(-0.1)で1組2着、高山峻野(ゼンリン)が13秒63で3組3着に入り、そろって6月27日の決勝に進出しました。
参加標準記録の突破者が4人になったことで、最大3人の出場枠を懸けた争いは一層、緊張感を増しそうです。標準記録突破者は決勝で3位以内に入れば代表に内定します。
男子200mも予選が行われました。オリンピック参加標準記録(20秒24)突破者では、前日の100mで4位だった小池祐貴(住友電工)が全体のトップに並ぶ20秒72(+0.7)で2組2着に入り6月27日の決勝に進みましたが、サニブラウン・アブデルハキーム(TumbleweedTC)は左太ももの違和感のため欠場しました。
世界ランキングでオリンピック出場権圏内にいる山下潤(ANA)は1組で小池と同タイムの1着、飯塚翔太(ミズノ)も20秒86(+0.8)の2組1着で決勝進出。100mで2位に入り注目を集めたデーデー・ブルーノ(東海大)も20秒76(-0.7)の自己新記録で3組1着となり通過しました。
女子ハンマー投決勝は渡邊茜(丸和運輸機関)が大会記録まであと8cmと迫る66m24で3年連続4回目の日本選手権を制しました。男子棒高跳では竹川倖生(丸元産業)が日本歴代5位に並ぶ5m70で初優勝。オリンピック参加標準記録の5m80はクリアできませんでした。女子三段跳は森本麻里子(内田建設AC)が13m37(+1.4)の自己新記録で3連覇を果たしました。
同時開催のU20日本選手権は、男子3000m障害物決勝でレベルの高い争いが展開され、服部壮馬(順天堂大)が大会新記録の8分39秒19で制覇しました。黒田朝日(岡山・玉野光南高)は日本人の高校生では史上2人目の8分40秒突破となる8分39秒79で2位に入りました。3位の中島阿廉(黒崎播磨)も8分42秒74で、ここまでが従来の大会記録を上回りました。女子3000m障害物は谷本七星(名城大)が10分13秒49の大会新記録で快勝。男子棒高跳は柄澤智哉(日本体育大)が大会記録にあと1cmと迫る5m40の自己ベスト記録で優勝しました。
最終日の6月27日の競技はすべて決勝。日本選手権は12種目が行われ、複数のオリンピック参加標準記録突破者がいる男子走幅跳、女子5000mなどでも代表内定者の誕生が期待されます。U20日本選手権も13種目の決勝が実施されます。
写真提供:フォート・キシモト
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