2019.10.06(日)大会

【ドーハ世界選手権】Day9/結果・選手コメント



 

Day9:10月5日(金)

【決勝結果&コメント】







◎田中 希実(豊田織機TC)
女子5000m決勝 14位 15分00秒01

はっきりとしたレース展開は考えていなかったが、「ラスト1周を大事にする」ということは1つ頭に置いてスタートした。予選は無我夢中だったが、今回は落ち着いて、後ろから様子をうかがいながら、ほかの選手の力を使いながら、レースを進めていくことができたと思う。

(2レース連続での自己新記録)しっかり準備はできていたので、自己ベストは出せそうだと思っていた。予選でベストが出せれば…、しかも(15分)10秒をちょっと切ることができれば…と思っていたので、そこは嬉しい誤算だった。

決勝は、「楽しもう」という気持ちで走ろうと思っていた。落ち着いて、周りを見ながら、味わい尽くせたなと思う。レース中は、(観客席からの歓声が)地鳴りのようにとどろいていた。それは先頭のラストに対しての歓声だとは思うのだが、自分もその恩恵を受けたというか(笑)、(気持ちを)盛り上げていくことができた。

(2000m付近でHellen Obiri選手がリードを広げていったときは)最初は入賞争いになるかなと思ったが、すごくハイレベルで、最初は10人くらいが集団でついていってしまったので、そこにつくにはちょっと力不足があると自分でも思ってしまった。

3000mの通過を見たときに9分を切っていた(8分59秒77)ので、(残りの2000mを)6分ジャストで上がれば、(14分台で)行けるんじゃないかというのはあったが、やはりラスト1周の課題にしていたところが、絞り出せなかったので、そこが欠点だったと思う。こんないいレースに巡り合えるのはものすごく限られてくることを考えると、(ここで14分台が出せなかったことは)ちょっと残念。

世界もレベルがますます…上のレベルもだが、下のレベルも上がってきていて、また、決勝に残るというところからのスタートになる。そこをおごらずにやっていかなければいけないなと思った。

(来年は東京オリンピックがあるが)国内の選手も今回のレースを見ていて、またレベルが上がってくると思うので、切磋琢磨していって、(来年に向けて)盛り上げていけたらと思う。


 

 

◎日本(多田修平、白石黄良々、桐生祥秀、サニブラウン アブデルハキーム)
男子4×100mR 決勝 3位 37秒43 =銅メダル、アジア新、日本新

・1走:多田 修平(住友電工)

正直、(レースを)走れるかわからない状態だったので、今日、走ることを告げられたわけだが、小池(祐貴)さんの代わりと、あとケンブリッジ(飛鳥)さんがまだ代表として走れていないぶん、この1走として走ることができた。最低限の色の銅メダルを取ることができたので、本当によかった。決勝だったので、すごいガチガチで、(自分自身の走りを)あまり覚えてもいないのだが、でもいい位置では渡っていたのかな、という感じか。

(1走に起用されることは)今日の(午後)2時にミーティングがあって、そこで言われた。しっかり気合いを入れ直して決勝に挑んだ。(出番があるかどうかは)本当に全然わからない状態でここまで来ていたが、走る準備というのはしていて、しっかり準備していてこの結果だったので、いい方向に終われたのでよかったなと思う。

1走から本当にレベルが高くて、ジェミリ選手(イギリス)、蘇炳添選手(中国)、そしてコールマン(アメリカ)と、すごい選手が並んだなか、正直(彼らのレーンは)外側だったので、(実際に走っているときは)わからなかったが、でも、そういうのに力むことなく自分の走りができたので、そこはよかったと思う。また、白石選手とのバトンパスは、山梨(北麓)の合宿でも何回かやっていたので何の不安もなくできた。ここ最近のなかでは一番スムーズに行った。

(フィニッシュのところは)着順もしっかり見えた。アメリカが37秒1台だったので、「(日本も)いい記録が出たのかな」と思った。(自分たちは)日本記録を狙っていたが、大幅に更新できたのですごいびっくりしている。

日本は後半に速い選手がいるので、前半からいい流れをつくらないといけない。(そういう意味で)僕がキーマンだなと自分自身に言い聞かせていた。僕がいいスタートを切って、1番で(バトンを)渡して、いい流れをつくるということを考えながら走っていた。映像を見てみたいとよくわからないが、その役目は果たせたのかなと思う。

 

 

・2走:白石 黄良々(セレスポ)

今回、(個人種目の)200mがあまりいい結果ではなくて、それでもこうやってリレーを走らせてもらえたからには、自分のできる今最大限の力を発揮して走ることを心がけた。映像を見ないとわからないが、自分の感覚としてはいい走りができたのでよかったと思う。

(日本の2走を務めるということをどう思う? の問いに)それを考えすぎるといろいろ背負って走らないといけなくなると思ったので、ただいつものリレーの2走を走る感じで行こうと考えた。気楽に行けたので、自分のメンタルをそうコントロールできたことがよかったと思う。

バトン(パス)もスムーズに行くことができた。僕の加速した状態でバトンをもらえたし、桐生さんにも、桐生さんがすごく加速した状態でバトンを渡すことができたので、昨日よりも4走に渡る時点で、いい位置でバトンをつなげたのかなと思う。

昨日(の予選は)は、“安全バトン”といった感じがあった様子見で出ていたのが、今回は、「金(メダル)は攻めないと取れない」と思っていたので、思いきって出ることを心がけた。

(初めての日本代表でメダリストとなったわけだが)本当にこのような場で走らせてもらえたおかげで、こういった貴重な経験ができている。今回使ってもらったことに感謝している。また、これからも来年の東京オリンピック、そして次の年の世界陸上と続いていく。日本の短距離界は激戦区だが、そこから漏れないように、しっかりこの2走という位置を守れるように、これからも頑張っていきたい。


 


・3走:桐生 祥秀(日本生命)

予選は、心的にもちょっと余裕があって、それでは(決勝では)勝てないと思っていたので、レース前に(白石)黄良々と、「本気で出るから追いついてきて」という話をしていた。

バトンを渡したときにアメリカが前にいたので、目標の色(金)にはまだ届かなかったなというのが一番の感想である。

(37秒43の記録は)日本新とアジア新なので、タイム的にはよかったかなと思う。(それでも金メダルに届かなかったわけだが)ここからはバトンというよりは、個々の走力を上げていかないと。アメリカであったり、イギリスであったり、ほかの南アフリカであったり…。ほかの国がバトンを練習してきたら対抗できないと思うから、個々(の走力)を上げて、それにプラス、バトンで勝負していきたい。

日本はバトン(パス)がうまいから行けるだけだが、個々の走力を考えるとまだまだ。それこそ全員が(100m)9秒台、(200m)19秒台で走れば、走力プラスバトンで、(金メダルを獲得した)アメリカが見えない位置ではない。そこを来年の目標にしていきたい。

(桐生選手の気迫を見たという記者のコメントに)今年のラストランでもあるし、ハキーム(サニブラウン選手)も、予選はまだリレーを(これまで)やっていないぶん、まだ信頼がなかったのか思いきり出ていない部分があったので、「そこはやめてくれ」と頼んだ。「思いきり出ても絶対に渡すから」と。それを信用してハキームも(決勝は)思いきり出てくれたのかなと思う。

正直、(レースが)終わったときは、「また銅か」と思った。銀や金を狙っていたので。それでも最低限メダルであったり、日本記録を出そうという話はしていた。次はもうひとつ目標を高めて、2020(年)の試合を走りたい。

(東京にオリンピックに向けて、今、どのくらいのポジションにいると思うか? の問いに)今回の結果が3番だからポジションも3番。あとは1番を取るしかない。力の差も3番ではないか? 結局、結果がすべての部分もあるので、優勝して金メダルを取りたいという気持ちが増した。

 

 

・4走:サニブラウン アブデルハキーム(フロリダ大学)

(バトンパスについては)あまり自分ではわからなかったが、でも、いい形で(バトンを)もらえたかなと思う。(決勝では)足長は変えていない。本当に桐生(祥秀)さんを信じて思いきり出た。
(フィニッシュした瞬間は)普通にもうちょっと行けたかなという感覚があったかもしれない。でも、この長い期間、ここまで調子を保つのもけっこう難しくて、昨日(の予選)も身体がガチガチだったので、(ウォーミング)アップを少し多めにやっていて、今日もアップを多めにして、しっかり身体が動かせるようにした。また、コーチからもいろいろ指示をもらったので、その通り走れるようにした。こういうところでもしっかり走れなければいけないと思うので、(個人種目の)100mと同じような走りができればと考えていた。

バトンをもらったときは、アメリカが出ていたのが見えたが、イギリスとたぶんトントンくらいで(バトンを)もらったのではないかと思う。(走っているときは)わからなかった。ちょっと「横にいるな」くらいの感じ。あまり見えなかった。

もうちょっといい色が欲しかったが、まあでも、アジア記録で日本記録なので、来年に向けていい流れがつくれたのかなと思う。

(初めて走った日本代表のリレーは)100mと違った楽しさがあった。(これまで)いつも見ている側だったので、「走っているほうはこんな気持ちなのかな」と、(フィニッシュ後は)笑うことができた。

バトン自体は、日本が一番うまいと思っているが、走力の部分でもう1~2段階上げていかないと、金(メダル)は全然見えてこない。バトン練習もそうだが、個々でもっと速くならないといけないなと感じた試合だった。(今回は、個人種目の出場は100mだけだったが)今後、2種目(100m・200m)やるとなると、身体もそうだし、スケジュールももっとハードになる。帰ったら1カ月オフをもらえるので、そこでしっかり身体を休めて、残りの秋も、冬もしっかり練習したい。インドア(シーズンも)始まるし、そこに合わせて、東京(オリンピック)まで、もう2段階くらい仕上げていければなと思う。

この大会を通じて、速さやタイムもそうだが、しっかりと(予選・準決勝・決勝の)3本、自分の力を発揮できるような強さをもっと身に着けていかなければいけないと思った。レベルは年々上がっている。そのなかで自分もそれ以上のレベルアップをしないと(個人種目の)メダルも見えてこないし、4継(4×100mR)にもいい形でつなげられない。まずは「自分個人がもっといい走りをできるようにならないとな」と、100mが終わったときもそうだし、4継が終わってからも、そう感じた。

 

 

◎山岸 宏貴(GMOアスリーツ)
男子マラソン決勝            25位 2時間16分43秒

前半はうまい位置で走ることができたなと思ったのだが、ペースが上がったところから全く対応できなかった。本来だったら、30km以降で順位を上げていって、トータルの順位でいい位置でゴールしようというプランだったが、なかなか思うようにいかなくて、ゴールするのが精いっぱいになってしまった。

自分たちは、10月1日からドーハに入ったのだが、正直、今日は滞在している期間のなかで一番だったのではないかと思うくらい涼しくて、給水もたくさんあったので、体感としてしては、そこまで暑さは感じなかった。ただ、個人的にはもうちょっと暑かったほうが、レースが乱れるので、チャンスがあるのかなと思っていた。

(ペースメーカーのいないレースは? の問いに)ペースメーカーのいないレースには、以前にも海外で出たことはある。一応、そういう経験があるなかで臨んだわけだが、あんなに大人数でペースメーカーのいない、生きたレースを走るのは初めて。そういった経験不足から、本当にペースアップするところで対応できなかったというのがあった。給水のたびに集団のペースが上がったり、給水時のごたごたに巻き込まれてしまったりしたこともあって、そこで脚を使ってしまったところもあったかもしれない。

世界陸上という舞台もそうだが、こういうレースそのものも、経験する機会は日本ではなかなかない。そういった経験ができたことはよかったと思うし、今回、日本の選手団の一員としてきたなかで、生活のなかでも初めてのこと…記者会見で話したり、ミックスゾーンで話したり…が多かったので、そういう環境のなかで結果を出す難しさやプレッシャーを肌で感じることができた。経験しているのと経験していないのとでは、これから先に大きく異なってくる。この経験を今後に生かせたらなと思う。

 

 


◎川内 優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)
男子マラソン決勝            29位 2時間17分59秒

想定通りに走った。ただ、湿度が低かったので、前が落ちてこなかった。女子マラソンと競歩を見ていて、湿度が高ければ、こういう設定タイム…2時間15~20分くらいが入賞ラインになると思ったのだが、湿度が低くて前が落ちてこなかった。自分は設定通り走ったのだが、結局は作戦ミスだと思う。

たぶん(自分の)タイムは落ちていないと思う。ずっと3分20(秒)くらいで刻んだと思うのだが、だいたい3分18~20(秒)を刻んでいくというのが当初の予定だったので、もう完全に作戦ミスとしか言いようがない。

暑さ対策についても、水をかけたり氷をもったりしながらしっかりできていたし、ゴールしてからぶっ倒れたわけでもない。普段だったらぶっ倒れるなり手がけいれんするなりしたと思うが、そうならなかったので、対策自体はうまく行ったといえるのだが、やった対策がスローペースになるという前提のものだったので、大阪の世界陸上(2007年)のときのようなペースになったであれば、今日のタイムでぎりぎり8位に入れていたと思うのだが、そういうレースにはならなかった。ある意味、女子マラソンとか50km競歩とか20km競歩のような展開にならなかったのが、すべて自分の運の尽きだなと思っている。

作戦は変えられる状況になかった。もとから夏場、スピードが上がっていないという状況だったし、ただし、距離は踏んでいたので押していくペースはできると思っていた。だから、前半速い入りとなった時点で、ついていくのがきつい状況だった。当初の予定通りにウォーミングアップを少なめにして、前半5kmをウォーミングアップくらいのつもりで行ったが、途中から3分10秒くらいのペースに上がったときについていけるようなアップはできていなかった。3分18~20秒で走る想定しかできていなかった自分のミスだと思う。

今日は湿度が低かったので、暑さに強くて湿度に弱い選手は、今日、そのまま走りきれてしまって、暑さに弱い選手だけが落ちたと思う。ただ、楽なコンディションかというと、そうではなかったと思うので、正直、暑さに苦手な私が言うのもなんだが、本当に50km競歩なみに、もっと厳しい湿度のなかでやってくれれば、今日のペースでももっと行けたのにな、と。悔しいというか、なんと言えばいいのか複雑な気持ち。対策はしっかりしたけれど、それに見合う地力がなかったとしか言いようがない。

 

 


◎二岡 康平(中電工)
男子マラソン決勝            37位 2時間19分23秒

いつものレースとは違って、国の代表として走っているので、結果にこだわって走りたいという思いがあった。しかし、このような結果になってしまって情けないというか、応援してくださった方々に申し訳ない感じである。

女子のレースを見ていて、「かなりスローになるだろうな」と思っていた。ただ、アップしているときから「身体がなかなか動いてこないな」というのがあって、そのままずるずる…という感じだった。

(暑さについては)想定よりも涼しかった。でも、どんなコンディションにしろ、今回は実力不足だったなと思う。

自分のペースで行っていて、「少し上げれば追いつけるな」というのはあったので行ったのだが、でも、どちらにしても、前半から脚が動いてこないというか、沈むような感覚があったので、「ああ、まずいな」というのはあった。その感触は、正直なところ、試合の前からうまく行かない感じはあった。

まずは日本代表ということで、経験というよりは結果を残したかったが、まあ、でも、こういった経験ができたことは大きいと思うし、なんとしてでもまたこの舞台でリベンジしたいという気持ちになった。2021年の次の世界陸上に向けて、絶対に8位入賞するんだという思いで取り組みたい。


 

 

【予選結果&コメント】


◎寺田 明日香(パソナグループ)
女子100mH 予選1組 5着 13秒20(+0.3)

珍しく1台目から途中まではいいところで行けて、「このまま行けるな」というか、「このまま行ってくれ」と自分にお願いしたのがよくなかった。どんどん(インターバルランニングが)詰まっていっているのがわかっていたし、前に出ている人が何人で、自分が何番目というのももちろんわかって走っていた。そういう部分では冷静だったのだが、テンポを上げていくなかで、リズムアップを上手にできなかったという感じがある。珍しくリード脚をぶつけたら、抜き脚もぶつけてしまい、「ああ、ぶつけた」と思ったのが、たぶん7台目か8台目くらいだったと思う。

(10年ぶりの世界選手権)昨日から緊張はした。「緊張しているな」ということも感じていて、でも、自分のなかで受け入れることは前よりもできるようになっていて、「あ、緊張しているね。うん、緊張しろ、緊張しろ」と、ずっと思っていた。そして、(レース前は)けっこう待っていたので、「風がないんだな」「今日の月は半分だな」ということを考え、そのあとは、今日やるべきこととしていくつか考えていたことを口に出して言いながら(スタジアムに)入った。

やはり着順で通過したいという気持ちがあったし、絶対に行けた(はずだ)。そこは前(10年前の世界選手権)は「みんな速いから、絶対にビリなんだろうな」くらいの感じで思っていたところだが、今回はできるだけいい順位で走りたいと思っていた。そういう面で、(前回とは)見える景色はちょっと違っていたかなと思う。

(このレースを走ってみて)どこで置いていかれるかというのがなんとなくわかった。また、12秒5~6で走る人たちから「1台ずつ置いていかれる感じ」というのがわかったので、これからどこをやっていかなければいけないかということが見えたように思う。そこはコーチとも話し合いたい。

 

 

◎木村 文子(エディオン)
女子100mH 予選2組 5着 13秒19(+0.2)

やってきたことの半分くらいしか出せなかったという気持ちなので、もう1本走りたい。前半からしっかりと外国勢のリズムに乗っかっていくということは準備してきたのに、ちょっと1テンポ、遅い形で入ってしまったなというのが最初の段階であった。それで後半も少し置いていかれてしまった。

(レースに臨むにあたっては)「自分が一番戦いたい場所に戻ってきたな」という感覚で入ることができたので、レースはすごく楽しみだった。

(準決勝に進出した前回のロンドン大会と比べると)あのときはもう立っているだけで精いっぱいだった自分が、顔見知りもたくさんいるし、レースの組み方なども落ち着いて臨めたように思う。

(やってきたことの)半分しか出せなかったのに、タイムを見て「あ、これくらい出ちゃうんだ」というのは思ったが、自分のやってきたことの出ないのは悔しくて、それを出したかったなという思いでいる。

(ここまでの練習は)速いリズムで入っていって、そのリズムを最後までバランスを崩さないということを、男子の選手に引っ張ってやってもらっていた。落ち着いていた部分もあるのかなとは思うが、もうちょっと自分のレースをしたかった。

 

 

◎新井涼平(スズキ浜松AC)
男子やり投 予選B組 8位 81m71

1投目は、「低く、鋭く」というやりを投げられたのだが、2投目で助走が崩れてしまい、3投目は、助走はある程度できたが腕が崩れてしまった。短期間で準備したぶん、すぐに崩れてしまい、1本しかやりたいことができなかった。

インビテーションについては、一切(対象に)入らないと思っていたので、この大会に向けては招待していただいてから2週間ちょっとのなかでの準備となった。日本を出るまでは、冬季トレーニングをしていたので、投げだけ、しっかりとスピードを上げて、「低く、鋭く」というところだけを意識してやってきた。こっち(ドーハ)に入ってから、しっかりとスピード練習をして挑んだ。

(この冬やっていかなければと思っているのは)自分の持ち味である助走の速さと、目の前に鋭く投げるやり。首を痛めてから一切できていなかったのかなというのがあって、それを逆に言うと、この世界陸上でインビテーションがかかったことで気づくことができた。それをやったほうが(やりが)飛ぶし、自分の身体にもしっくりくる。距離も出るという確信に変わりやすいので、そこを追求していく冬季になるのかなと思う。

今年は、首をケガしてから、スピードから何もかもが落ちた状態からのスタートだったこともあり、腕に頼った投げのほうが距離が出ていて、その方向へ変えていったほうがいいのかなということを監督とも話してやっていた。しかし、結果として、そのスピードを上げて、きついなかでちょっとでも投げられたほうが、今日の1本目のように飛ぶので、それをやっていかなければいけないなと思う。

 

 

◎日本(ウォルシュジュリアン、飯塚翔太、佐藤拳太郎、若林康太)
男子4×400mR 予選1組 5着 3分02秒05

・1走:ウォルシュ ジュリアン(富士通)

(バトンが)どの位置(順位)で渡ったのかよくわからないが、めちゃくちゃいいというわけじゃないと思っている。でも、今、持っている力を出したのかなと思う。

めちゃくちゃ頑張らないと、いい流れはつくれないと思ったので、そこは積極的で頑張った。最低限は着順で行こうと思ったのだが、まあ、そこには及ばなかった。また、来年、頑張りたいと思う。

(3分02秒05というタイムは)あんまり今までと差がない。みんな日本記録を狙っていたので、そこに及ばなかったのは、個々の力が足りていないのだと思う。また、冬に一から練習し直したい。

(今年は、ナショナルチームとして強化をしてきたわけだが)例年よりはちょっとずつ上がってきている。この冬で、一人一人がしっかり、一段と、二段と力をつけていくことができれば、来年はまたいいところまで行けると思う。そこはもう振り絞って頑張りたい。

 



・2走:飯塚 翔太(ミズノ)

決勝を目指してやっていたが、でも、みんな出しきれたと思うので、次に持ち越し。世界リレーでこの(大会の)切符を取ってくれたメンバーも補欠にいて、今回の舞台は僕が走らせてもらうことになった。それだけに決勝までつなげたかったという気持ちがいっぱいだった。でも、(全力は)出しきれたと思う。

(自分の走りは)僕的にはいい流れで、前半、そこそこ行けたつもりだったのだが、周りがけっこう速かった。1周あっという間に終わったという感じ。(途中で1回抜かれたがものの、最後で抜き返したが)250mくらいで抜いてきたので、「競り合ったらもたないな」と思い、そのまま相手を前に出して、最後に抜こうと思っていたのだが、休む暇もなくゴールまで行ったという感じだった。周りも、ずーっと飛ばしているような感じで、こういうのは初めてだった。アジアレベルの大会であれば、200~300m地点のあたりはちょっと余裕あるのだが、あそこのスピードが落ちないことを、けっこう感じた。

(自分に与えられていた役割としては)先頭争いで、レースをコントロールできるくらいの位置で…ということだった。しかし、アメリカがちょっと前に出てしまったので、けっこう混戦のなかで渡すことになった。本当は、もっと前で渡したかった。

今回、オリンピック(出場権獲得)に向けての総力戦ということで、(マイルを)やらせてもらったわけだが、次がどうなるかは正直わからない。でも、貢献したい気持ちはいっぱいある。まずは個人種目の200mで、あとは100mにも挑戦しつつ、もちろん4×100mRも声がかかれば頑張りたい。

 

・3走:佐藤 拳太郎(富士通)

1走のジュリ(ウォルシュ選手)と2走の飯塚さんがいい位置で(バトンを)持ってきてくださったので、3走の僕が順位を落とすわけにはいかないと思って、前半積極的に走ったのだが、後半が持たなくて、最後でガタッと並走か、抜かれてしまう状態となった。若林くんに、いい流れでバトンを持っていけなかったことをすごく申し訳なく思っている。

3走は、スピードが落ちる傾向があると教えられていたので、自分がその3走のレースをつくるという気持ちで前半先頭に立ったのだが、そこで力を使ってしまって、最後が持たなかったので、そこがまだまだ今後の取り組みで必要なところかなと思っている。

(バックストレートで前に出たが)あのくらいのところで行かないと、流れがつくれなかったなと思っているので、逆に、あそこで行かなかったらずるずると…(順位を落としていたはず)。後ろについていたら、最後も行けなかったと思うので、前半に行くのはよかったなと思ったが、後半持たなかったことが今の自分の実力不足だと思った。

3着+2という進出条件はわかっていたので、6着と見た瞬間、「決勝はないんだな」という気持ちと、僕がもっと前のほうで渡せていれば、今回の結果も違ったのではないかとすごく思っている。

調子はすごいよかったのだが、自分の走りが最後までできたかと問われると、最後、失速してしまったので、そこがまだまだだなと思っている。

 

 

・4走:若林 康太(駿河台大学)

正直、まだ自分がどんな走りができていたか、ちょっと冷静に振り返ることができていない。決勝(進出)が狙えるポジションで(バトンを)もらって、悪くない流れ…というよりはむしろいい流れでもらって、絶対にポジションは死守しないといけないと思って走ったのだが、もしかしたら、ちょっと必死さが勝って冷静さに欠けていて、最後までちゃんと走る組み立てができていなかったのかもしれないと思う。

先週にミックス(男女混合4×400mR)を走ったときは、すごくいい流れで調整できていて、身体のコンディションもすごくよかった。その1週間後の今日の試合に向けて1週間過ごしてきたわけだが、今までの経験だと中1週間空くと比較的調子を落としてしまいがちだったのだが、そこまで落とさずに来られたかなと思っていて、(走る前は)実際のマイル(4×400mR)のレースは流れもあって一概には言えないけれど、しっかり走れるんじゃないかなと思っていた。

ジュリアンさん(ウォルシュ選手)くらいの走力でやっと世界と戦えるくらいで、日本は現実問題、個の力で負けている部分があるので、そこをどうリカバリーするかがマイルの鍵になる。バトンのところでロスなく受け取るとか、ピーキングで上回るとか、そういうところでも勝っていかなければならないと思うし、もちろん気持ちで負けていたら勝てるレースも勝てない。僕はいい位置で(バトンを)もらって差されて負けたので、どこで上回らなければいけなくて、どこで負けたのかというところを冷静に考えて、次に絶対に勝つために前を向いてこれから取り組んでいきたい。

 

 文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト


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