大会9日目の深夜に開催される男子マラソンのスタートまで2日となった10月3日、日本代表選手団は、カタール市内に設営されたアシックスハウスにおいて、代表3選手の記者会見を開催しました。選手たちは、ここまでの経過や本番に向けた戦略、抱負を話しました。
【選手コメント(要旨)】
<男子マラソン>
◎二岡 康平(中電工)
この大会に向けては、順調に行ったところもあるし、思い通りにいかないところもあった。これまでにあった今まで通りの試合の感覚では練習することができた。また、7月の終わりごろ、ドーハに1回試走に来たが、そのときに比べたら今はちょっと涼しいのではないかという思いがある。精神的にもあまり緊張せず落ち着いて、調整してくることができた。今大会は、やはり8位入賞を目標にしている。それからもう1つ、こういった大舞台は初めてなので、こうしたところで自分の力を100%発揮するということも目標として走っていきたい。暑さ対策としては、身体を冷やすことを一番に考えている。氷を取るということと、あとは発汗量が多くなるので、いつも以上に給水は全部ちゃんと飲みきろうと思っている。
ドーハに近い気温のなかでの練習というのはさすがにないが、広島で練習していると夏だと33℃とか34℃とかに上がる日もあり、そのなかで練習したことはある。ただ、そういう気温のなかで40km走とかの長い距離はやっていないので、少し未知数のところはある。そこは給水を含めて、しっかり対応していくようにしたい。
自分の強みとなるものは、正直なところない。それだけに、給水とかペースを乱さずに走るとか、ほかの選手に惑わされずに走るとか、人より長けているところがない分、いろいろ工夫をしながら走ろうと思っている。
MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ではなく世界陸上に出場を決めた理由というのは、やっぱり経験というのがあったが、どちらを走りたいかといえば、「競技者としては世界に挑戦したい」というのがあって、(世界選手権出場を)決めたというのがある。経験も必要だと思うが、やはり日本代表に選ばれた以上は、これを経験にするというよりは、結果を残さなければいけないという気持ちがある。どんな状況であろうと8位入賞を諦めずに走りたい。
◎川内 優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)
6月に下見をしたときに、こういう気候になるということはわかっていたので、昼夜逆転生活ということで、ドーハ入りしてから毎日夜の7~8時過ぎくらいに起きて、昼の11~12時くらいに寝る生活をしている。ちょうどホテルの部屋のカーテンが厚いので、すごくそういう生活に適している状況。順調にこの昼夜逆転生活のなかで、ポイント練習は坂口コーチ(泰、男子マラソン担当オリンピック強化コーチ)に面倒をみてもらったりしながら順調に消化できているかなと思っている。(2017年の)ロンドン世界陸上のときに3秒差で9位という結果となり、男女マラソンを通して入賞の連続記録を途絶えてしまっている部分がある。途絶えさせてしまったからには自分自身で取り戻すということで、目標として、8位入賞以上をしっかり狙っていきたい。
自分がほかの選手より勝っているのは経験。ほかに、今回フルマラソンが98回目という選手はいないと思う。その点において圧倒的にいろいろなレース展開を経験しているという点で有利だと思うし、それに加えて、正直、夏場に1000kmを踏んだわりにはスピードが増してこなかったので「ちょっとなあ」という部分があったのだが、逆に、今回スピード勝負ではなくなりそうなので、そうした意味では、これまでやっていなかった距離を踏むということをやってきたことによる走り込みの成果が、レースに生きるのでないかと思う。
MGCを辞退しての世界選手権出場は、もともとは(涼しくなるであろう)深夜対応ということで、こんなに暑くなるとは思っていなかったので、それで(出場を)決めた部分はある。また、私の場合は、日本代表という意味では、オリンピックも世界陸上も同じという考えもあって、ドーハを走ることに決めた。しかし、6月に下見をした時点で、もう(暑さへの)覚悟は決まったので、それ以来は、ドーハがどんな環境かということがわかったうえで3~4カ月間準備してきた。日本代表で走るからには、自分が掲げた8位内入賞という目標を達成させることが、自身の満足感にもつながると思うが、それだけでなくて日本のためになると思っている。そうした意味で、自分自身のためにも、日本のためにも、しっかりとその目標を達成したい。
◎山岸 宏貴(GMOアスリーツ)
2週間ほど前に疲労が出てしまったが、ここに来て、それも抜けてきて調子が上がってきている状況である。世界選手権では、ここ数大会入賞がないので、8位入賞を目標に頑張りたいと思う。暑さ対策については、自分は給水のほうでいろいろ工夫していこうと思っている。ボトルはいつも1本だが、2本にしたり、タオルとか氷とかもつけたりして、レース中に身体を冷やせるような工夫を今回していこうと思っている。
暑い中での練習ということでは、大事な練習を暑い時間にやるというのはなかなか難しいものがあったので行っていないが、各自のジョグであったり、ロングジョグであったりは、敢えて暑い時間を選んでやった日もあった。あと視察に来たときも、実際にこのドーハの地でポイント練習を行ったので、対策というよりは本番を見据えた練習も少しはできたのかなと思う。
自分の強みは後半大崩れしないところ。MGCを決めた福岡(国際マラソン)でも、中盤離れてしまったのだが、そこから大崩れせずにMGCを獲得することができた。今回もそういったレースをしたい。そして、今回は、後半落ちなければ、きっと順位は上がってくると思うので、そういうレースをしたい。
自分は今回、MGCを辞退して、この世界選手権出場を選んだ。その理由としては、自分自身の経験がまだ足りないなということと、世界陸上を走るこんなチャンスというのはなかなかないと思ったので、こちらを優先した。今回、特別な選考で選ばれたわけで、それがまぐれだと思われているのかもしれないが、当日は、そう思われないような走りをしていきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト
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