東京オリンピック日本代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を9月15日に控え、出場選手の公式記者会見が9月13日、東京都内のホテルにおいて開催されました。
会見には、レースに出場する男子30名、女子10名、計40名が出席。出場者全員が登壇して会見に臨むというのは、日本のマラソンレースにおいては例のないケースです。このため、一般的な質疑応答形式は採らず、登壇して階段状に並べられた座席についた全選手が、司会者から投げかけられた3つの質問「今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?」「MGCコースの勝負所はどこですか?」「マラソンにおける自分自身の強みは?」に対する回答を、フリップボードに書き込んで一斉に示したあと、指名された選手がそれについてコメントするという方法が採られました(各選手がコメントした内容は、別記をご参照ください)。
続いてフォトセッションが行われ、公式記者会見は終了。その後、別室へ移動して囲み取材が行われました。こちらも人数が多いために、女子10名、男子15名、男子15名の3グループに分かれて時間制で交替していく形に。選手たちは、それぞれに指定されたブースに入り、メディア関係者からの質問に応じました。
なお、この会見に先立ち、男子のレースに出走予定だった一色恭志選手(GMOアスリーツ)、女子のレースに出走の予定だった関根花観選手(日本郵政グループ)と前田彩里選手(ダイハツ)の欠場が明らかになりました。それぞれの欠場理由について、一色選手は「故障明け後、レースに取り組んできたが、最終調整の現状を見て欠場」、関根選手は「右足第2中足骨疲労骨折のため」、前田選手は「右大腿二頭筋付着部の腱損傷のため」と発表しています。
MGCは9月15日、東京・渋谷区の明治神宮外苑のいちょう並木をスタート。このいちょう並木を発着点とする以外は、来年の東京オリンピックとほぼ同じとなる42.195kmのコースで行われます。競技開始は、男子は午前8時50分、女子は午前9時10分から。男女とも上位2位までが、東京オリンピックの代表に即時内定します。また、この大会は、日本選手権を兼ねて行われるため、男女優勝者は、マラソンの第103回日本選手権者の称号を得ることにもなります。
レースの模様は、男子がTBSテレビ系列全国ネットで、女子はNHK総合で、それぞれ生中継されるほか、ラジオは、男子はTBSラジオで、女子はNHKラジオで放送されることになっています。
大会に関する詳細は、MGC特設サイト( http://www.mgc42195.jp/ )を、ご利用ください。
【公式記者会見:各選手コメント】
※指名されて答えた設問の内容のみを、会見においてコメントした順に掲載。Qは質問項目、Aはフリップボードに記載した言葉を示す。「 」にはコメントの内容を記載した。
◎前田穂南(天満屋)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:勝
「私は“勝”という漢字を選んだ。今大会は、しっかり東京五輪の切符を勝ち取りたいという思いで走りたいと思う」
◎松田瑞生(ダイハツ)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:笑
「今回の合宿のテーマが、表情筋を緩める“笑顔”というのをテーマにしてきた。最後は笑顔で走り抜けたいと思っている」
◎安藤友香(ワコール)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:己
「私は“己”という字を書いた。MGCでは最終的には自分自身が一番のライバルになるので、自分に勝って、笑顔でゴールできるようにしたい」
◎岩出玲亜(アンダーアーマー)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:馬
「これは“うま”ではなくて、“馬鹿”の“馬”。今回の合宿では“いかに馬鹿になれるか”ということをテーマにしてやってきた。レース中でも、暑いとか速いとか、そう感じてしまうとそこで負け。いかに馬鹿になって、しっかり受け入れて走れるかだと思うので、そこを意識して走り抜きたい」
◎野上恵子(十八銀行)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:挑
「私は、挑戦の“挑”を選んだ。自分の力をどれだけ発揮できるか挑戦したいと思う」
◎鈴木亜由子(日本郵政グループ)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:淡
「ここまで淡々と準備をしてきたので、レースも淡々と進めて、しっかりと勝負所が攻められたらいいなと思う」
◎小原 怜(天満屋)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:道
「私は“道”という字を選んだ。ここまで来るのに、いろいろなことを乗り越えてやってきたので、やってきたことに自信を持ってスタートして、走り抜きたい」
◎福士加代子(ワコール)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:一
「最初に“一文字、ひと言”と言われて、まずこの漢字が浮かんだ。また、これは“いち”とも読むし、“はじめ”というふうに読む。“いい字だな”と思って、“一”と書いた」
◎上原美幸(第一生命グループ)
Q:今大会への意気込みを漢字1文字で表現するなら?
A:戦
「私は、“戦う”という字を書いた。挑戦するという意味と、勝ち負けを争うMGCの舞台で、東京オリンピックの切符の獲得のために戦うという(両方の)気持ちで頑張る」
◎一山麻緒(ワコール)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:挑
「私はこの字(挑)にした。女子のなかで一番若いので、若さあふれる走りをしたいと思う」
◎村澤明伸(日清食品グループ)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:スタートから
「一発選考ということで、(展開が)読めないレースになると思うので、最初から最後までどういうふうにレースが動いても対応できるようにしていけたらと思っている」
◎大迫 傑(Nike)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:ラスト5k
「正直なところ、(勝負所は)ちょっとわからないが、どのレースでもラスト5kmというところが勝負になってくると思うのと、最後5kmくらいから坂もあると聞いているので、そのへんが勝負所…レースが動くのではないかと予想を込めて書いた」
◎上門大祐(大塚製薬)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:坂
「ペースメーカーがいないレースになるので、どこで勝負になるか全くわからないが、序盤と終盤の坂は勝負所の1つにはなると思っているので、この“坂”という字で表した」
◎竹ノ内佳樹(NTT西日本)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:一キロ一キロ
「今回はペースメーカーがいないということで、誰がどこで出るかはわからない。一瞬一瞬、1km1kmを大切にして、最後まで走りきりたい」
◎園田 隼(黒崎播磨)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:上り坂
「今回、“上り坂”と書いた。理由は、最初と最後に上り坂があるので、そこ、またはその前後で動いてくる選手もいると思っている。そこがたぶん一番の勝負所になると思うので、“上り坂”と書いた」
◎設楽悠太(Honda)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:10キロ
「僕は前半の10kmとした。ハイペースで行ってもスローで行っても、どれだけ自分のリズムで走れるかが鍵になってくると思っている。それ以降は、自分のリズムで走れると思うので、前半の10kmを大切にしていきたいと思っている」
◎井上大仁(MHPS)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:坂
「自分は、“坂”という字にした。前半なり後半なり、坂のどこかで誰かが仕掛けるだろうなと思っている。そこでしっかり耐えられるか、勝負できるかというのが、勝ち負けの分かれるところかなと思う」
◎木滑 良(MHPS)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:ラスト5k
「勝負所としては、ラスト5kmとした。(ラスト)5kmから上り坂が始まるので、そこでうまく走れれば勝機はあるのかなと思う」
◎宮脇千博(トヨタ自動車)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:スタート~ゴールまで
「スタートからゴールまでとした。どこでレースが動くかわからない。しっかりと優勝または、代表権争いに絡めるように、最初から最後まで気を引き締めて走りたい」
◎山本憲二(マツダ)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:全て
「“全て”と書いた。男子は31人いるので、どこで誰が仕掛けるかというのは予想がつかないというところもある。42.195km集中して、勝負していきたい」
◎佐藤悠基(日清食品グループ)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:ラスト1m
「“ラスト1m”と書いた。ラスト1mまでしっかりと優勝争いに絡むという意味も込めているし、ラスト1mで一瞬でも前に出てゴールすれば勝ちだと思うので、“ラスト1m”とした」
◎中村匠吾(富士通)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:40k~
「“40kmから”ということで、最後の2.195kmをしっかり切り替えて、勝負にこだわって、明後日は頑張りたいと思う」
◎岡本直己(中国電力)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:ラスト5kからの登り
「みんながラスト5kmと言っているので、その勝負所でレースできるかが鍵だと思っている」
◎谷川智浩(コニカミノルタ)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:35km過ぎ
「勝負所としては、35kmからの水道橋からの上り(坂)かなと思っているが、私自身、スタートからゴールまで、1km1km油断せず、集中して走りたい」
◎大塚祥平(九電工)
Q:MGCコースの勝負所はどこですか?
A:35km
「“35km”とした。体力的にも、コース的にも35km以降がきつくなると思うので、しっかり走りたい」
◎中本健太郎(安川電機)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:経験
「男子出場選手のなかでは、(自分が)最も年齢が高い。ここまで培ってきた経験と、世界陸上、ロンドンオリンピックという国際大会の経験がほかの選手よりはあるので、当日ではそこをしっかり出したい」
◎藤本 拓(トヨタ自動車)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:楽しみをみい出す
「(自分の強みは)よくわからないが、それなりに楽しみを見出すことができればな、と。そう思っている」
◎服部勇馬(トヨタ自動車)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:安定感
「爆発力はあまりないが、安定した結果を残せるところは、(自分の)強みだと思っている」
◎福田 穣(西鉄)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:粘り
「ここまでのマラソンのレースでも、途中遅れてしまっても、しっかり粘って、(順位を)上げてこられたので、そういったところが自分自身の強みかなと思う」
◎橋本 崚(GMOアスリーツ)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:調整力
「“調整力”とした。けっこうマラソンでは失敗することが多かったが、今回、うまく調整できたかなと思っている」
◎岩田勇治(MHPS)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:引かない走り
「自分の強みは、引かない走りができることだと思う。15日のMGCでも、どんな情勢になっても、引かない走りをしっかりやって勝負できればなと思う」
◎堀尾謙介(トヨタ自動車)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:スタミナ
「自分は、まだ次が2回目のマラソン。正直なところ、マラソンに対しての自分自身の強みがまだわかっていない部分があるのだが、一番強いと思うのがスタミナの部分なので、“スタミナ”という字を書いた」
◎今井正人(トヨタ自動車九州)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:攻め
「マラソンだけに限らず、高校で陸上を始めて、自分自身がそのときから強みにしている“攻め”という言葉を書いた。勝負所もそうだが、そういうときの気持ち、一番盛り上がった気持ちというものが、(攻めということに)表れているんじゃないかなと思う」
◎藤川拓也(中国電力)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:継続
「“継続”という字を書いた。自分は今、3年以上ケガなく練習を継続できていて、今回みたいなタフなレースでは、それが生かせるんじゃないかと思っている」
◎神野大地(セルソース)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:努力
「僕自身の強みとして、“努力”という言葉を書いた。もともと才能のないところから努力を積み重ねて、今、ここに立っている。努力をして、練習を積み重ねてきたので、その成果を9月15日に全部出しきって、必ず2番以内に入って、オリンピックの代表権を勝ち取りたい」
◎山本浩之(コニカミノルタ)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:後半の底力
「自分の強みは、“後半の底力”と書いた。MGC(出場)を決めたレースでも、後半まくって(追い上げて)MGCを決めた。MGC本番もやはり後半が大事になってくる。その持ち前の後半の底力を発揮して、代表権を勝ち取りたい」
◎河合代二(トーエネック)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:無
「私は、“無”という漢字を書いた。普段の練習から自分はそんなに考えて走るタイプではないのだが、マラソンは余分な力を使ったらいけない競技だと思っているので、その点に関しは、(マラソンに)適しているのかなと思う」
◎髙久 龍(ヤクルト)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:集中力
「私は、“集中力”と書いた。レースでも、練習でも、長い距離に対しての集中力が、一番の自分の強みだ。今回の大会も、最後のゴールテープを切るまで集中を切らさずに走りたい」
◎荻野皓平(富士通)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:粘り
「私は、“粘り”と書いた。これといってすぐに思い浮かぶものがなかったのだが、(粘りは)私がマラソンを走るようになって大事にしていることの1つである。今回のMGCも最後まで粘って頑張りたい」
◎鈴木健吾(富士通)
Q:マラソンにおける自分自身の強みは?
A:走ることが好きなこと
「私は、“走ることが好きなこと”と書いた。MGCに向けて、たくさん走ってきたので、その成果を出せればと思っている」
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
▶マラソングランドチャンピオンシップ
兼 東京2020 オリンピック日本代表選考競技会兼 第103 回日本陸上競技選手権大会
公式サイト:http://www.mgc42195.jp/
▶8 時50 分 男子マラソンスタート
▶9 時10 分 女子マラソンスタート
男子:TBS テレビ系列全国ネット、TBS ラジオ
女子:NHK 総合、NHK ラジオ
コース:明治神宮外苑発着(日本陸上競技連盟公認コース)
明治神宮外苑いちょう並木~四ツ谷~水道橋~神保町~神田~日本橋~浅草雷門~銀座~新橋~芝公園~日本橋~神保町~二重橋前~明治神宮外苑いちょう並木