2019.05.18(土)大会

【MGCファイナルチャレンジ】設定記録発表会見レポート



日本陸連強化委員会は5月17日、東京都内で記者会見を行い、男女マラソンの東京オリンピック代表男女各2枠を決定する「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)後に行われる代表選考会(MGCファイナルチャレンジ)において、「最後の1枠」を獲得する条件となる「MGCファイナルチャレンジ設定記録」を発表しました。
会見には、河野匡日本陸連強化委員会長距離・マラソンディレクターが登壇。男女のMGCファイナルチャレンジ設定記録を発表したのちに、この記録を決定するに至った経緯を説明しました。
ここでは会見の冒頭で、河野ディレクターが説明した内容(要旨)を、ご報告します。

MGCファイナルチャレンジ設定記録について

河野 匡(日本陸連強化委員会 長距離・マラソンディレクター)

「MGCファイナルチャレンジ設定記録」として、次の記録を設定したことを発表する。
・男子:2時間05分49秒
・女子:2時間22分22秒
以下、この記録を設定するに至った経緯を、ご説明する。
2020年東京オリンピック男女マラソン代表選手の選考ステップについては、すでに公表済みであるが、確認を兼ねて、まず述べさせていただく。

◎2020年東京オリンピック男女マラソン代表選手の選考ステップ①
2020年東京オリンピック男女マラソンにおける代表選手の選考ステップ①においては、MGC派遣設定記録、いわゆるMGCシリーズにおいて優位性を持つ記録として、男子は2時間05分30秒、女子は2時間21分00秒という記録を設定していた。これらは、東京オリンピックでメダルを狙うために目指すべき、いわば「努力目標」として設定していた記録である。

2017-2018シリーズ、2018-2019シリーズの2期にわたり、国内のレースをMGCシリーズとして実施。なおかつ海外も含めた世界記録の公認されるレースを「ワイルドカード」のレースとして設定し、これらのなかから進出を果たしたファイナリストによって、2019年9月15日にMGCを行うこと、そこで男女各2名の日本代表を選出するという流れについては、周知している通りである(東京2020オリンピックマラソン日本代表選手選考方針http://www.mgc42195.jp/pdf/selection-process.pdf )。

◎2020年東京オリンピック男女マラソン代表選手の選考ステップ②
2019年9月15日に行われるMGCにおいて、男女各2名を決定したあとのステップとしては、国内指定選考競技会において「MGCファイナルチャレンジ設定記録」に到達した男女各1名を決定する。ただし、これについては、事前に告知している通り、MGCシリーズに出場して完走していること、またはMGCの有資格者であることが条件となる。

MGCファイナルチャレンジとなる対象競技会は、以下の通りとなる。
<男子>
・福岡国際マラソン(2019年12月1日)
・東京マラソン(2020年3月1日)
・びわ湖毎日マラソン(2020年3月8日)
<女子>
・さいたま国際マラソン(2019年12月8日)
・大阪国際女子マラソン(2020年1月26日)
・名古屋ウィメンズマラソン(2020年3月8日)
男女ともに各3大会が指定されている。これらの大会において、男子は2時間05分49秒、女子は2時間22分22秒の設定記録を上回った最も速いタイムをマークした選手男女1名を代表に内定する。また、もし、突破する者が出なかった場合は、MGCで3位となった競技者を選考するという流れになる。

◎「男子2時間05分49秒、女子2時間22分22秒」に至った経緯
強化委員会では、もともと東京オリンピックで戦える選手の条件として、国際基準のパフォーマンスをベースとして、安定性、メンタルタフネス、フィジカルタフネスを含めた高い「調整能力」の要素を持つ者から2枠を、そして残りの1枠は、調整能力の不安を超越する、世界トップレベルのマラソンスピードという観点で「スピード」の要素を持つ者から1枠を選びたいという考えがあった。そして、この1枠を、どういう記録を設定して選び出すかということを、さまざまな角度から協議して決まったのが、男子2時間05分49秒、女子2時間22分22秒という記録である。

MGC出場有資格者(男子34名、女子15名)を見ると、各選手のシリーズ内最高記録のトップは、男子は大迫傑選手(ナイキ)の2時間05分50秒(2018年シカゴマラソン)、女子は松田瑞生選手(ダイハツ)の2時間22分23秒(2018年ベルリンマラソン)となる。我々、強化委員会で一番論議の的となったのは、「スピード」の概念。どの記録をもってスピードを有すると判断するかということであった。

さまざまな意見が出るなかで、最終的に、選手がチャレンジする意欲、チャレンジする権利を最大限に担保するにはどの記録を設定するのが最も望ましいかということで、「シリーズ内の最高記録よりも1秒速いタイム」という設定が、どの選手にも公平かつ、チャレンジできる記録といえるのではないかという結論に至った。そこで、男子は大迫選手がマークしたシリーズ内トップタイムの2時間05分50秒のり1秒速い2時間05分49秒に、女子は松田選手がマークしたシリーズ内トップタイムの2時間22分23秒より1秒速い2時間22分22秒に、それぞれ設定した。

議論の過程においては、「男子は日本記録だが、女子は日本記録よりも3分近く遅いではないか」という懸念もあった。しかし、この記録を、男女マラソン世界リストの過去4年間の平均タイムと摺り合わせると、男子の7位の平均が2時間05分51秒、8位の平均が2時間06分35秒となる。同様に女子を見ると、7位の平均が2時間21分56秒、8位の平均が2時間22分12秒、9位の平均が2時間22分33秒であった。いみじくも2018年の8位の記録は松田選手の2時間22分23秒であり、こうした平均タイムの観点から見ても、「シリーズ内で出た最高タイムを1秒上回る」というのは決して簡単ではないし、オリンピックで戦うために必要な記録といえるのではないかということで、今回の設定となった。

上を望めばきりはないが、今の日本選手にとって、これが一番目標にできるタイムであり、かつ、今後のファイナルチャレンジ各大会において、選手のポテンシャルを最大限に発揮できるのではないと考えている。

文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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