国際陸上競技連盟(IAAF)ワールドチャレンジ第3戦として5月19日に開催される「セイコーゴールデングランプリ陸上2019大阪」の前日記者会見が、5月18日午後、大会会場のヤンマースタジアム長居において行われました。
トラック種目、フィールド種目、パラリンピック種目の3部に分けて行われた会見には、国内外の招待選手全13名が出席。現在の自身の状況や大会に向けての抱負を語りました。
各選手の主なコメントは、以下の通りです。
【第1部:トラック種目】
・ジャスティン・ガトリン(アメリカ) *エントリー:男子100m、男子4×100mR
まず、明日は、「魅せる」いいレースができればいいと思っている。まだシーズン序盤で、これから長いシーズンが待っている。いいスタートを切るためにも、明日はタイム、そして勝ちにこだわってレースしたい。
この大会には毎年のように来ているが、日本に来ると必ず強い選手と走ることになることは承知の上で来ている。彼らが自分の国でいい走りを、家族や国のために見せようという気持ちがあるので、私は常にそういった挑戦を受けようという思いでレースに臨んでいる。
今年は、ドーハ世界選手権はご存じの通り例年より遅いが、健康状態を維持して、力強い走りを維持したい。またスピードにも磨きをかけて、きちんとスタートラインに立って、世界選手権を支配したいと思っている。
・マイケル・ノーマン(アメリカ) *エントリー:男子200m
明日は自分のレースをしっかりやりたいと思う。いいメンバーが集まっているので、勝ちにこだわれば、タイムは自然とついてくるというふうに思っている。これからのシーズンに向けていいレースができれば…と思っている。今回、(母の故郷である)日本に来て、大会に参加することができたのは非常に素晴らしい機会だと思っている。もちろん世界で戦うなかで私はアメリカ代表ではあるのだが、同時に(母親が日本人ということで)「日本の文化的な遺産といったもの」を個人として代表できるということを、非常に嬉しく思っている。
今年は(会期が)遅めの世界選手権となるが、そこに向けては、コーチと十分に調整していきたいと思っている。調整するというのはスローダウンするという意味ではなく、より賢く、より戦術的にピークを合わせていくということ。時間があるぶん、よりクオリティの高いトレーニングができるということでもあるので、楽しみにしている。
・山縣亮太(セイコー) *エントリー:男子100m、男子4×100mR
国内外から強力な選手が出場している。僕もレースを楽しんで頑張りたい。明日は、タイムや順位を出したいが、一番は、自分の走りをして、どういう結果が出るかということをすごく楽しみにしている。世界との距離ということでは、自分の走りをした結果、世界との距離がどれだけあるのかを感じることができると思う。その結果を楽しみにしたい。
(自分の走りをするためには)日頃から、自分はどういうレースをしたいのかというのをイメージしている。今回、これだけいいメンバーが揃うなかでのレースとなるが、大きな試合小さな試合を問わず、いつもと同じようにレースするということを意識したい。
リレーについては、先週(の世界リレー)は失格になってしまった。もちろん反省材料はあったけれど、一方で、自信にできるポイントもあった。今回は、自信を持ちながら、しっかり結果を求めて頑張りたい。
・桐生祥秀(日本生命) *エントリー:男子100m、男子4×100mR
明日は、しっかりと自分のレースをして、いい順位、いいタイムでゴールしたいなと思う。タイムと順位は、両方を意識して走りたい。(自分と世界との距離をどう感じるかの問いに対して)明日、こんなに素晴らしい選手と走ることができるので、そこで改めて、自分とどのくらい(開きが)あるのかがわかると思う。レースで自分の走りをするためには、試合前に自分のいいイメージができているか、試合に立ったときに自分にどれだけ自信があるかで結果が違ってくると思っている。自分に自信を持ってスタートラインに立ちたい。
(明日はリレーにも出場するが、自分の務める)4走は、しっかりと出て、3走の人を信じてバトンをもらって、あとはゴールするだけ。先週のようなミスを犯さないようにゴールしたいと思う。
・多田修平(住友電工) *エントリー:男子100m、男子4×100mR
シーズン序盤はあまり納得のいくレースができていないが、徐々に調子も上がってきているので、いいレースができたらなと思う。明日は、タイムよりは勝負。これほどすごい豪華なメンバーが揃っているので、勝つと自然にタイムもがついてくると思う。やっぱり勝負にこだわっていきたいなと思っている。世界との距離については、僕としてはまだまだ。もっと試合を重ねていって、世界に近づいていけたらなと思っている。(自分の走りをするために意識している点は、との問いに)このくらいレベルの高い大会になると、なかなか自分の走りに集中できないこともあるのだが、まずは、練習の段階から自分の武器であるスタートから中盤というものを、力まずに走ることを意識するようにしている。
(明日はリレーも走るが)先週の世界リレーは失格に終わったが、3走までいい流れで来て、トップで(バトンが)渡っていたので、すごく自信になった。僕は今回も1走を務めさせていただくが、いい流れで山縣さんにつなげられるように、いい走りをしたいと思う。
・ケンブリッジ飛鳥(Nike) *エントリー:男子100m、男子4×100mR
今シーズンは、あまり思ったような走りができていないので、ここからまた新たなスタートという気持ちで、次につながるレースができればいいかなと思っている。この大会は、タイムにも勝ちにもこだわっていきたいとは思っている。(自分と)世界のトップ選手との距離はまだ開きがあると思うので、ここからしっかり力をつけて、上に近づけるようにしていきたい。
自分の走りをするために鍵となってくることは、ウォームアップのときでもレースのときでも、周りを気にしないこと。自分の動きだったりやりたいことに集中したりして取り組んでいくことが必要なのではないかと考えている。
ハキームくん(サニブラウン・アブデル・ハキーム、フロリダ大)が9秒台で走ったことはすごく刺激を受けている。自分も、あとに続けるようにしていきたい。
【第2部:フィールド種目】
・戸邉直人(JAL) *エントリー:男子走高跳
このゴールデングランプリは例年、シーズン序盤の時期にあって、今シーズンを占う非常に重要な試合になる。昨シーズンは日本記録を更新(2m35)できたので、また、今シーズンでも更新できるように、その実現に向けた、いいきっかけづくりとなるような試合にしたい。この大会に向けては、私は、(前の試合となった)アジア選手権があまりよくなかった(2m26、3位)ので、そこからしっかり調子を上げられるように練習してきた。アジア選手権がインドアシーズンから近かったこともあったので、そこからもう一度、体力的にも技術的にもつくり直して今日を迎えている。
(昨年から記録が伸びた要因としては)昨年から踏み切りのときの腕振りを、両腕振り込みから片腕に変えたことで、すごく踏み切り準備がスムーズになって、それが記録につながっているのかなと思う。ただ、まだ良かったり良くなかったりと幅があるので、より高いところで安定できるように、これから磨きをかけていけたらなと思っている。
・橋岡優輝(日本大学) *エントリー:男子走幅跳
明日は、あと3cmに迫った日本記録(8m25、森長正樹、1992年)を更新して、しっかり優勝できればいいかなと思っている。アジア選手権では(8m22で優勝したが)、自分の満足のいく跳躍ではなかったので、この大会に向けては、自分の満足がいくパフォーマンスができるように、助走と踏み切りの部分に少し修正点を加えてきた。あとは(全試技)6本、しっかり日本記録を跳ぶんだという気持ちで体力つくり等をしてきた。
(今季、記録が伸びてきている)要因としては、昨シーズンのこの試合からシザースに変わってしまったというところが、昨年記録が出なかった一番の理由かなと思っている。しかし、そういうところがまとまり、助走から跳躍全体がまとまってきたことが要因になっていると思う。また、助走のスピードが上がってきているということが一番の要因だと思う。
・新井涼平(スズキ浜松AC) *エントリー:男子やり投
この試合は、国内唯一の国際試合。また、ワールドチャレンジでもあり、注目度もとても高い大会だと思っている。その試合で、しっかりと世界選手権参加標準記録(83m00)、オリンピック参加標準記録(85m00)を投げられるように全力を尽くしていきたい。自分は前の試合はアジア選手権(81m93、3位)だったが、そのときは腕に頼った投げになってしまっていたので、しっかりと脚をつかって投げるということを修正ポイントとしてきた。この試合でも、そこをポイントとして臨めたらと思っている。
私の場合は、(会見に出席しているほかの選手に比べると)調子がいいとはいえないと思うのだが、去年から比べると、ケガがなくなって、どこにも痛いところがない状態でシーズンに臨めている。そのなかで冬期練習も積めて、しっかりと技術トレーニングもできているなかで今シーズンに挑めているので、練習でできていることが試合でできれば、距離も出ると思っている。特に何も変化はないが、そこが実現できればなと思っている。
・北口榛花(日本大学) *エントリー:女子やり投
ゴールデングランプリは毎年、相性のいい試合だと思っていて、自分でも好きな試合。日本記録を更新(64m36)してからまだ日が経っていないが、それに近いような記録を投げて優勝できたらいいなと思う。(5月6日の)木南記念で大きい記録(=日本記録)を投げることができたが、想像以上の疲労がそのあとに来たので、この大会に向けては、疲労を抜くことにまずは徹して、また、(木南記念のときと)同じコンディションとつくり出せるように努力してきた。
この冬は、下半身強化と言っていたが、今回は、下半身を動くように準備してきた。それによって、助走が走れるようになったことが、今シーズン、記録がよくなった要因だと思っている。
【第3部:パラリンピック種目】
・ジャリッド・ウォーレス(アメリカ)*エントリー:パラリンピック種目男子100mT64
最初に、さまざまなスポンサーの方々に私を呼んでいただいたことを感謝したい。今回、5回目の大会出場ということになるが、素晴らしいレース、素晴らしい大会、そして素晴らしいスタートにできるようにやっていきたいと思っている。明日のレースの目標は優勝を狙っている。まだシーズン序盤で、今年は世界選手権が11月にあるので、シーズン自体がすごく長くなる。つい最近スピード練習も始めて調子もいい。明日は素晴らしいレースにしたいと思う。
レースに関しては、まだシーズンが始まったばかりで、5カ月間オフシーズンの状態から入っているので、今の自分の位置を確認するというのが1つの目的である。あとはしっかりと自分の走りをすることをしたい。スタートの部分を変えたので確認したいし、スピードトレーニングを始めたばかりであるのと、同時に持久力も鍛えてきたので、そうしたところをしっかりと確認したい。
・井谷俊介(SMBC 日興証券) *エントリー:パラリンピック種目男子100mT64
明日は、自己記録を更新したい。また、普段、国内だと日本人選手のみとの戦いになるが、今回、ジャリッド・ウォーレス選手(アメリカ)や、フェリックス・ストレングス選手(ドイツ)といった速い選手が来日している。こうした海外の選手と走れるということにすごくわくわくしている。その相乗効果を狙い、速い選手についていって、自分のベストを更新したい。また、来年の東京パラリンピックでメダルを取るために、海外の選手に勝つために自分に今、何が足りないかを見つけられたらいいなと思う。そういう走りにつなげていきたい。今回のレースでは、シーズンオフから取り組んでいるスタートや、そこからの加速力のところを、明日のレースのテーマとして取り組もうと考えている。また、自分の取り組んできたことを物差しとして海外選手と比べることができると思う。そういうところから来シーズンの東京パラリンピックに向けてしっかり準備をしていければと思っている。
・佐藤圭太(トヨタ自動車) *エントリー:パラリンピック種目男子100mT64
今年もセイコーゴールデングランプリにおいて、パラの特別レースを開催していただき、そして、このように選手を招待していただいたことを感謝申し上げたい。僕自身は、ケガの影響で少し準備不足のところはあるのだが、そのなかでも明日は、自分の課題としているところをレースで発揮できればと思っている。また、シーズンは続くので、そのなかで次に続くレースができたらと思っている。
(この大会で確認したいのは)現状でどのくらい走れるかということ。練習と試合とで(動きに)差がまだあるということを、ここまで2試合出て感じているなので、今回は、それをどれだけなくしてこられているかということを確認し、そのなかでどれだけ出せるかということを確認できたらと思っている。
ワールドチャレンジ種目は、10時15分に競技開始となる女子走幅跳からスタート。トラック種目は、11時25分から女子4×400mR、女子4×100mRなどオープン種目が4レース行われたのちに、12時25分の男子3000mSCから、ワールドチャレンジ種目の決勝が続くタイムテーブルとなっています。最終種目は、15時15分から行われる男子4×100mR。オープン種目としての実施ですが、ドーハ世界選手権出場を狙って、日本チームもベストメンバーでエントリーしています。
最新のエントリーリストやタイムテーブルなど、大会に関する詳細については、こちら(https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1351/ )からアクセスの上、ご確認ください。また、大会の模様は、TBS系列で生中継(13:30~15:24)されるほか、動画配信サービス ParaviLIVEでも配信(12:15~15:24)される予定です。
★同日夜には、日本選手権10000mも開催!
また、今年は、セイコーゴールデングランプリ終了後に、日本選手権男女10000mも実施されることになっています。ドーハ世界選手権代表選考会を兼ねて行われるこのレース、女子は19時30分に、男子は20時15分にスタート。会場の長居スタジアムには、GGP終了後の16時30分から無料で入場、観戦していただくことが可能です(もちろん、GGP観戦のお客様は、そのままご観戦いただけます)。レースの模様は、19日19時ごろからYouTubeにおいて、ライブ配信を予定しています(https://www.youtube.com/watch?v=o6WRZp9pRYY )。ご利用ください。文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
■チケット
http://goldengrandprix-japan.com/ja-jp/ENTRY-LIST■エントリー
http://goldengrandprix-japan.com/ja-jp/ENTRY-LIST■オンエア情報
5月19日(日)・地上波TBS系列:午後1時30分~3時24分(生中継)
https://www.tbs.co.jp/goldengp/
・動画配信サービスParavi LIVE配信:ひる12時15分~午後3時24分
https://news.paravi.jp/
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