2019.05.05(日)大会

【静岡国際】衛藤選手、自己タイの2m30をクリアし、世界選手権標準記録を突破!

第35回静岡国際陸上が5月3日、カタール・ドーハ世界選手権の日本代表選考会を兼ねて、静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで開催されました。
日本グランプリシリーズでグランプリプレミア「静岡大会」と位置づけられているこの大会では、グランプリ種目として男子6種目(200m、400m、800m、400mH、走高跳、ハンマー投)、女子6種目(200m、400m、800m、400mH、三段跳、ハンマー投)の全12種目が実施されたほか、特別種目として男子パラ100m、男子4×100mRのほか、サブイベントとして県内小・中学生の招待リレーなどが行われました。男子走高跳でアジア選手権銀メダリストの衛藤昂選手(味の素AGF)が2m30の自己タイ記録をクリアしてドーハ世界選手権標準記録を突破。女子400mでは高校3年生の髙島咲季選手(相洋高)が53秒31のU18日本新記録で優勝を果たしています。



■衛藤選手、自己タイの2m30をクリアし、世界選手権標準記録を突破!

男子走高跳には、アジア選手権で銀メダルを獲得した衛藤昂選手(味の素AGF)が出場しました。2m15から試技を開始して、2m15、2m20、2m24を1回でクリアしていた衛藤選手は、2m27を2回目に成功すると、ドーハ世界選手権標準記録で自己タイ記録でもある2m30を2回目にクリア。ここで優勝を決めると、2月に戸邉直人選手(2m35、当時つくばツインピークス、現JAL)が更新するまで日本記録でもあった屋外の日本最高記録(醍醐直幸、2006年)に並ぶ2m33にバーを上げました。
この高さは、5月1日から有効期限内となった東京オリンピック参加標準記録でもあり、成功すれば、10000を除くトラック&フィールド種目での突破第1号(※10000mの有効期限は1月1日からスタート。すでにアジア選手権で新谷仁美選手=NNTCが突破を果たしている)となるところでしたが、踏み切り直前付近が向かい風となるコンディションも影響して達成はならず。しかし、アジア選手権後にコメントしていた「5月以降は、(2m)33を目指してやっていきたい」という言葉通りのチャレンジに、好調さを維持できている様子がうかがえました。

競技後、「本当はアジア選手権で(2m)30、33をクリアしてくるつもりだったのだが、それができなかったので、この静岡で絶対に跳ばなければと、集中を切らさずにやってきた」と明かした衛藤選手。2回目でクリアした2m30も1回目の失敗は特に気にならなかったようで、「ガツンと行けば跳べるというイメージで行った」と言います。2年ぶり3回目となる自己タイ記録のクリアでしたが、「(2m)33を跳びに来たというのがあったし、(2m)30を跳んでも満足しないというのはプランに入っていた」と大きく喜ぶことなく次の高さへ。結果的に2m33のクリアはかなわなかったものの、「(2m)33を跳ぶのに十分な重心高は上げられた」と十分な手応えがあった様子。「もったいなかった」と振り返り、「次は絶対に」と意気込みました。

男子走高跳では、今春、福岡大を卒業して社会人となった真野友博選手(九電工)が、昨年マークしていた自己記録(2m26)を更新する2m27を跳んで2位に食い込みました。「練習でも手応えはあったので、自己ベストは狙えるかなと思っていた。最低でも世界選手権標準(記録)の2m30を狙える高さまで行けることを目指していたので、その最低限はクリアできた」と振り返った真野選手。ここまでの仕上がりぶりから、「2m30(の成功)は時間の問題かなと思っている」とのこと。今回は「1本目が惜しい跳躍で、そこから高さを意識して力んでしまった」と実現はなりませんでしたが、「感触的にはよかった。早いうちに跳びたい」と世界選手権出場を視野に入れた目標を掲げるとともに、「去年の北九州カーニバルで一応勝っているが、みんなが本調子でないなかだったので、今年はみんなが調子のいいシーズン中に狙いたい。特に、日本選手権は(現在、拠点の)福岡で開催されるので、そこで勝つことができたら…」と、タイトル獲得に向けても意欲を示しました。

■女子400mで髙島選手がU18日本新の快走!

女子400mは、14時20分から3組タイムレース決勝で行われました。12時30分から行われた女子800mと掛け持ちした選手、16時00分からスタートした女子200mと掛け持ちする選手も多数見られましたが、3組目に出場した高校3年生の髙島咲季選手(相洋高)が、海外招待選手ほか、世界リレー代表をはじめとする日本のシニア選手を抑えて53秒31で先着し、優勝を果たしました。53秒31は、U20日本歴代6位、高校歴代5位となる記録ですが、2002年2月生まれの髙島選手は2019年もU18有資格者であるため、この記録はU18日本新記録。従来の記録(53秒40、青山聖佳、2013年)を、シーズンイン早々に上回る好記録の誕生です。

8レーンでのレースとなった今回は、髙島選手自身も「前半は9レーンの人に離されないようにしようと思っていた」と振り返ったように、序盤をハイペースで入った9レーンの武石この実選手(東邦銀行)に懸命に食らいつき、250mを過ぎたところで追いつくと、2番手で最終コーナーを抜けていきました。そして、「後半を得意にしているので、あとは自分の力を出せばいけるかなと思っていた」という言葉の通り、トップを走っていた青山聖佳選手(大阪成蹊AC)を終盤でかわしてのフィニッシュとなりました。
髙島選手は、2017年に高1最高記録となる54秒51をマークして注目を集め、昨年には、2年生ながらインターハイと国体少年Aを制している選手。昨年は、53秒78(高2歴代4位)まで記録を縮めてきました。「この大会では、52(秒台)を目標にしていた」という髙島選手は、ミックスゾーンで優勝の感想を求められると、「すごく満足というわけではないけれど、とりあえず自己ベストが出せたので、これからの大会で少しは自信になるかと思う」とコメント。今季の目標として、400mでの高校記録(52秒52、2013年)更新を挙げ、52秒台は「絶対に達成したい目標」と位置づけているとのこと。「インターハイ路線はタイムより順位が大事になってくるので、タイムは日本選手権で狙いたい」と話し、「今日はレベルの高いなかでのレースだったので、日本選手権に向けて、いい経験になった」と声を弾ませました(髙島選手の新記録樹立コメントは、別記ご参照ください)。

このほか、高校生で好走したのは女子200mに出場した景山咲穂選手(市立船橋高)。ウォームアップレース(男女200mのみタイムレース決勝の前に、希望者により実施)と決勝の2本に臨み、ウォームアップレースを24秒38(-0.3)で走ると、3組目に出場したタイムレース決勝では24秒06(-0.3)まで記録を伸ばし、4組1着となったライリー・デー選手(オーストラリア、23秒73、-1.2)に続く2位となり、シニアの選手を抑え日本人トップとなりました。
目標としていた23秒台は出なかったものの、「ウォームアップレースの後半のイメージがすごく悪かったので、決勝前のアップで修正した。まあまあ改善できたので、完璧ではないがよかったかなと思う」と、景山選手はまずまずといった表情。100mは11秒72、200mでは23秒93の自己記録を持ち、昨年はインターハイで100m2位、200m3位。200mではU18日本選手権優勝の実績を残している選手。今季の目標を問われて、「インターハイで100m・200m2冠」と答えた景山選手は、タイムについては「どちらも最終的には高校記録(100m11秒43、200m23秒45)まで行けたら…」と高い水準の記録を掲げました。

【新記録樹立者コメント】
髙島咲季(相洋高・神奈川)
女子400m 1位 53秒31 =U18日本新記録

今日は、52(秒台)を目標にしていた。前から狙っていた(神奈川)県記録(53秒44:青木りん、相洋高、2016年)更新を達成することはできたが、52(秒台)が出せなかったので、すごく満足というわけではないが、とりあえず自己ベストも出せたので、これからの大会で、少しは自信になるかなと思う。
(レースは)9レーンの方がいらっしゃったので、その人に離されないようにいくことと、抜くことができたら、自分は後半を得意にしているので、あとは自分の力を出せばいけるかなと考えていた。レベルの高いなかでのレースだったので、日本選手権に向けていい経験になった。
(課題にしていた前半の走りについては)まだレース(の映像)を見ていないのでよくわからないが、感覚としては、去年だったら、ついていけなかったなというところをついていくことができた。冬期を越えて、前半から入れる力がついてきたかなと思う。
今季は、まずは52(秒台)を出すこと。それから高校記録を出すことを目標にしている。チーム内には高校記録を出しているアーロン(クレイ・アーロン竜波、男子800m高校記録:1分47秒51、2018年)がいる。アーロンのレベルは高いけれど、それに並ぶことができるように目指したい。インターハイ路線では、タイムより順位が大事になるので、タイムは日本選手権で狙いたい。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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