- カタール・ドーハを舞台に行われるアジア選手権の開幕まで、あと2日となった4月19日。大会に向けて、現地で調整中の日本選手団のうち、昨年のアジア大会金メダリストの山本聖途選手(トヨタ自動車、男子棒高跳)・小池祐貴選手(住友電工、男子200m)、今年2月に室内の走高跳で2m35の日本記録を樹立して世界室内ツアーで日本人初の総合優勝を果たした戸邉直人選手(JAL、男子走高跳)の3名と、山崎一彦ヘッドコーチ(T&F担当)が、ドーハ市内のホテルで囲み取材に応じました。選手たちは現在の状態や大会に向けての意気込みを、山崎ヘッドコーチはチームジャパンとしての抱負を、それぞれに話しました。
【各選手コメント】
◎男子棒高跳:山本聖途(トヨタ自動車)
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ドーハには、(4月)18日の早朝に到着した。その日の夕方に練習を行ったが、到着した日の割に身体が軽かったので、状態はいいと思う。
(今年は初戦となった1月の室内大会で5m71をクリアしたが)この試合はもともと記録を狙っていたわけではなかった。実は去年の11月から両膝に痛みが出て、痛み止めを飲んだりしながら練習をしていたために、動きの確認ができれば…という感じで出場していて、「狙いに行ったというよりは跳べちゃった」というような結果だった。一方で、「これで(5m)71が跳べるんだ」という跳躍でクリアすることができたので自信になった。
現在は、痛みの不安もなくなっている。アジア選手権は、しっかりと東京オリンピックにつなげられるように、また、今年の世界陸上につなげられるようにしたい。身体の状態がすごくいい報告に向かってきているので、目標としては、最低限優勝をして、条件等が合えば5m80以上を狙いたい。
この大会のあとは、すぐに帰国して織田記念に出て、また、ダイヤモンドリーグに出るために再びドーハへ戻る予定で、その後に、ゴールデングランプリに出場する。海外(で転戦している)選手は、中1日で試合とかもこなしている。小林史明コーチとも話をして、海外の選手のようにタフな体力が必要ということで、こういう日程を組んでみた。まずは、このアジア選手権が、最初の大会。いい波に乗れるよう頑張りたい。
◎男子200m:小池祐貴(住友電工)
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この大会は、世界選手権に向けて、という点では、まず、トラックの硬さを見ること、また、世界選手権は200m(での出場)を狙っているので、コーナーの角度とかを確認したい。さらにトラックが完成したばかりということなので、どういう風の入り方をするのかとか、そうした環境も含めて見ておきたい。
この冬は、昔から重心移動から苦手だったので、なんのトレーニングをするときでも、重心をどういうふうに動かしていこうかという感覚的な面をとても考えて取り組んできた。また、スピードは出さなかったが、スタート練習を今までより多く取り入れた。ある程度、スピードに乗っていくために、自分の身体の状態と技術との摺り合わせようとしたという感じ。そのあたりが、スパイクを履き始めた3月ごろなって、その角度が決まりだしたなという状態にある。
アジア選手権は、コンディションにもよると思うが自己ベスト近くを出せればと思っている。200mはまだ今年は1本しか走っていないので、まだちょっと感触的もあいまいなのだが、目安として決勝でPB(自己記録)が僕より上の選手たちとしっかり戦うには、(20秒)30以下では確実に走っていかなければならないと考えている。そのあたりを目安に、予選・準決勝で整えてみて、身体の状況がよければ、決勝では(前半から)突っ込んで記録を狙ってみたい気持ちもあるが、今回は、どちらかというと順位。優勝することが大事だと思うので、どちらかというと後半に力を残して勝負に行こうかなと思っている。
(昨年のアジア大会をケガで欠場した謝震業選手がエントリーしているが、)自分よりPBが高い選手と走れるというのはいい経験になるので、そこは非常に楽しみにしている。
◎男子走高跳:戸邉直人(JAL)

ドーハはとても暑いが、ハイジャンプの試合は夕方。日差しがなければだいぶ過ごしやすいので、いいコンディションで試合できるかなと思う。身体の状態は非常によい。昨日(18日)、跳躍練習を行ったのだが、練習での自己ベストとなる2m30をクリアした。今まで練習でのベストは2m28だったので、非常にいい状態といえる。
(世界室内ツアー後に行った)シンガポールでの合宿は、冬の室内シーズンを終えて、少し休んで、そこからの再スタートを暖かいところでいいトレーニングから始めようという位置づけで行った。帰国してからの3月、そして、4月に入ってからも、よい状態でトレーニングを積むことができてきたので、昨日の跳躍練習でいい記録が出せたのも、ある程度結果につながっているのではないかと考えている。僕は感覚的に室内よりも屋外の試合のほうが好き。室内よりもいい記録が出るのではないかと思っていて、楽しみにしている。
(屋内シーズンに続いて)6歩助走やシングルアームは屋外シーズンも引き続き行う。また、室内でよい成績が出せたなかでも、2m36以上をさらに跳んでいくためには踏み切りを遠くする必要があるなどの新たな課題も見つかり、室内シーズン後はそこに取り組んできた。ある程度、形になってきているので、うまくいけば、室内シーズンよりもワンランク上がったパフォーマンスが出せるのではないかと思う。
希望としては、自己ベストは出したいなと思っていて、それができるくらいの状態には仕上がっている。ただ、調子がいいときというのは、身体の状態の良さに依存してしまうことが多く、技術を見失いがち。そこに十分気をつけて本番は頑張りたい。
【ヘッドコーチコメント】
◎山崎一彦ヘッドコーチ(T&F担当)

ドーハに入って3日目。気候については、やはり午前中が非常に暑い。また、(9月末に開幕する)世界選手権の時期とは、少し気候が違うように感じている。私はちょうど1年前となる昨年の9月末にサイトビジットでこの地を訪れたのだが、そのときに比べると今回のほうが涼しいように思う。今回は、午前のセッションは暑そうだが、午後のセッションは過ごしやすいのではないか。この大会のために特別な暑さ対策は行っていないが、湿度が低いので、脱水については注意が必要であると思っている。このアジア選手権では、(日本選手団として)メダルを何個獲得するというような具体的なものはない。しかし、選手たちの大会の位置づけ自体が、今までのアジア選手権とは大きく変わろうとしているように感じている。また、従来と比べると、この大会に向けた各国の本気度というのも、かなり変化しているように思う。そもそも、これまでアジア選手権が4月に行われること自体がなかったわけだが、会期がこの時期となり、そして、かなりいい選手がエントリーしている。結果については、ふたを開けてみないとわからない状況だと思う。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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