2020年東京オリンピック出場権獲得を最大目標として立ち上げられた女子リレー新プロジェクトにおいて、1月13日のセレクションで選抜された第1期日本代表候補選手の強化合宿が、1月25日から味の素ナショナルトレーニングセンターでスタートしました。
2日目となる1月26日午前は、4×100mRチームは味の素ナショナルトレーニングセンター陸上トレーニング場で練習を、4×400mRチームは国立スポーツ科学センター内の屋内施設を用いて有酸素性能力測定を、それぞれに行うスケジュール。4×100mRのトレーニングの模様は、メディアに向けて公開されました。
4×100mRチームの練習には、体調不良により合宿不参加となった福田真衣選手(日本体育大)を除く、青野朱李(山形中央高)、壹岐いちこ(立命館大)、市川華菜(ミズノ)、鈴木くるみ(旭川龍谷高)、三宅奈緒香(住友電工)、山田美来(日本体育大)、山中日菜美(立命館大)の7選手が参加しました。
午前9時30分から練習を開始。選手たちは、2組に分かれてバトンジョグを行ったあと、各自でドリル等のウォーミングアップを実施し、別メニューでの練習となった鈴木選手を除く6名は、まず、2走・4走(直走路)を想定しての120mと、1走・3走(曲走路)を想定しての120mのタイムトライアルを、それぞれ1本ずつ行いました。
その後、アップシューズに履き替え、流しよりはスピードレベルを上げた形でのバトンパス練習を実施。まず、1~2走へのパスを想定して、青野選手→山田選手、山中選手→市川選手、壱岐選手→三宅選手の組み合わせで走ったあと、今度は3~4走へのパスを想定して、山中選手→山田選手、青野選手→市川選手、壱岐選手→三宅選手の組み合わせで走り、続いて2~3走を想定して市川選手→青野選手、山田選→山中選手、三宅選手→壱岐選手の組み合わせでパスを行いました。
練習後には、4×100mR強化スタッフの信岡沙希重コーチのほか、市川選手と青野選手の2名が囲み取材に応じ、実際に合宿に入っての感想を、それぞれにコメントしました(各氏のコメントは、下記に記載しています)。
また、この日の午後には、公的な理由により1月13日のセレクションに参加できなかった希望者のために、2回目のセレクションが行われました。セレクションに臨んだのは、4×100mRで応募した世古和(CRANE)、景山咲穗(市立船橋高)、名倉千晃(NTN)の3選手。この結果は、1月30日に当事者へ通知されるとともに日本陸連のホームページにおいても発表されます。
【コメント(要旨)】
◎信岡沙希重(4×100mR強化スタッフ/強化委員会強化育成部委員)
本当に「いよいよスタートした」といった感じ。ずっと「どんなふうになるのかな」と思っていたのだが、(1月13日に実施した)セレクションも予想以上にいい成果が出たと思うし、選手たちも(合宿初日の)昨日から緊張感を持って臨んでいて、ミーティングや練習の1つ1つに対して集中して取り組んでいる。まだ2日目ではあるが、いい感じで進んでいるのではないかと感じている。今回の合宿は、初回ということで、まずはリレーのコンセプトを共有することを目標としている。今日の練習でも少しだけ部分的なこと(バトンパス練習)をやってみたが、明日はスピードレベルを上げて、実際のバトンパス練習に入っていく。その過程で、コンセプトとして掲げたことと実際とではどの程度違うのか。その部分を、まずはみんなで理解することから目指していく。
今回は、今までのように4人とか6人とかではなく、現段階で8人ということで選考している。「強いチームに求められる要素」を考えたとき、ケガ人がいないとか、いろいろなパターンのオーダー編成ができるとか、そういったところが必要になる。今回のプロジェクトを進めていくことによって、最終的に代表となる4人だけでなくチーム全員がレベルアップされ、その結果、女子短距離の全体的なレベルアップへとつながっていくことを期待したい。
◎市川華菜(ミズノ)
今回の合宿のメンバーは、試合では知っていたけれど、こうやって集まるのは初めての顔ぶればかり。若い子たちが多いけれど、年齢差を気にせずに自分の意見を言い合えるような環境づくりをしていきたいと思っている。実際に、合宿に入って、今日もタイムトライアルなどを行ったが、こうやって1カ月に1回集まって、レベルの高いなかで、みんなと練習に取り組むことができるのは、すごくいいことだと思う。今日、初めて、リレー練習をしたが、意識の共有はまだこれからやっていかなければならない状態。今日はバトンパスの渡すところだけを意識して、ただきれいに渡すというよりは、とにかくバトンを受ける側がどれだけ加速していけるかにポイントを置き、その速いスピードのなかでバトンを渡すところに意識を置いた。まずは、そういうところから1つずつ取り組んでいき、徐々に距離を伸ばして良いバトンの受け渡しができるようにしていきたい。
◎青野朱李(山形中央高)
トップで活躍されている方々と一緒に練習して、いろいろな話ができて、そこから学ぶことがすごく多い。年上の方々ばかりなので最初は緊張していたが、先輩方といろいろな話をするなかで、だんだんほぐれてきているように思う。トップ選手である市川さんをはじめ、さまざまな選手と練習したりコミュニケーションをとったりできることは、それだけで、とてもやる気が起きる。今日の練習では、私にはバトンパスで腕が高く上がってしまうクセがあるので、それを自然な腕振りのなかでできるように意識して行った。ここで学んでこと、自分でやらなければならないと気づいたことは、地元に戻っても継続して取り組んでいきたい。
昨年、フィンランドで行われたU20世界選手権で、世界の選手と一緒にレースをすることができ、それ以来、「世界と戦いたい」という気持ちがよりいっそう強くなった。このなかから(リレーメンバーとしてレースを)走れるのは4人。巡ってきたこのチャンスを生かして、その4人に選ばれるよう、自分がすべきことをちゃんとやって頑張っていきたい。
文・写真:児玉育美/JAAFメディアチーム
▶強化方針および今後の合宿、試合スケジュールはこちら→【女子リレー】新プロジェクト説明会 その3