2022.05.28(土)

【日本選手権混成 展望】歴代チャンピオンの中村・右代に、奥田・田上・片山が挑む!~十種競技編~



第106回日本選手権混成競技は6月4~5日、本年7月にアメリカで開催されるオレゴン世界選手権の日本代表選手選考会を兼ねて開催する。
戦いの舞台は、秋田県営陸上競技場(秋田)。日本選手権混成は、昨年までの10年間、長野市営陸上競技場で開催されていたが、今年から戦いの舞台は東北へ。秋田県営陸上競技場で行われる。オレゴン世界選手権の参加標準記録は、男子十種競技が8350点、女子七種競技は6420点と、どちらも日本記録(十種競技:8308点、七種競技:5975点)を上回るもの。現状で突破者は不在のため、即時内定を得るためには、日本選手権でこれらの記録をマークする必要がある。
十種競技・七種競技ともに、「キング・オブ・アスリート」「クイーン・オブ・アスリート」の座を巡って、大激戦が予想されている。注目選手をご紹介しよう。

※情報や記録・競技会等の結果は、5月27日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト、アフロスポーツ



【男子十種競技】

大混戦・大激戦の予感

若手の初勝利なるか、ベテランが地力を見せるか!?

男子十種競技は、木南記念(4月30日~5月1日)を日本歴代5位に浮上する7807点で快勝していた丸山優真(住友電工)の仕上がりが良く、日本選手権での初優勝、さらには日本人3人目となる8000点台突入の可能性が高いとみられていたが、木南記念の砲丸投で親指を痛めた影響で、残念ながら欠場を発表した。



丸山の欠場によって、日本タイトルを巡る勝負の行方は、非常に混沌としたものになってきた。日本選手権では、2010年以降、右代啓祐(現国士舘クラブ)と中村明彦(現スズキ)がトップ争いを展開。両者の長い切磋琢磨のなかで、右代は日本記録を8308点(2014年)まで更新、中村も日本歴代2位となる8180点(2016年)をマークするなど世界との距離を縮め、日本の水準を高めてきた。2人は今季、木南記念で中村が7363点で4位、右代は7299点で5位とやや苦しい滑りだし。スプリント種目と跳躍種目で精彩を欠いた印象だが、その一方で、全種目できっちりと最低ラインの記録は残した。ともにベテランならではの調整力で、昨年のシーズンベスト(中村7833点、右代7816点)くらいまでには確実に仕上げてくるだろう。中村が勝てば3年連続5回目のタイトル獲得に、右代が3年ぶりの王座奪還となれば9回目の勝利を手にすることになる。



この「2トップ」が7800点台に乗せてくれば、優勝争いは2人に絞られるパターンが長く続いていたが、ただ、今年は丸山が不在であっても、安泰とはいえない状況になっている。昨年、7768点まで記録を伸ばしてきた奥田啓祐(第一学院高教)と、同じく7764点をマークしている田上駿(陸上物語)は、7900点台に届く力を十分に備えた選手たち。100mで10秒56、400mでは47秒59のスピードを誇る奥田は前半の強さに定評があり、前回大会では初日の“好ダッシュ”を生かして前述の自己記録をマークするとともに日本選手権最高位の2位に収まった。昨年を上回っていくようなパフォーマンスを見せることができれば、初のタイトル獲得も夢ではない。田上は、京都・洛南高時代からポテンシャルの高さを評価されていた選手。今季は、日本学生個人選手権(優勝)、木南記念(3位)と、すでに2戦を消化している。日本選手権では2020年の3位が最高順位。いったん代表に内定していたワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で再延期となった無念を、日本チャンピオンになることで晴らしたい。



木南記念で7590点のセカンドベストをマークして、丸山に続き2位となっている片山和也(烏城塗装工業)にも注目だ。自己記録は7603点(2020年)だが、木南記念では、全般に地力が高まっている印象を残した。奥田・田上・片山ともに課題といえるのは、2日間を通しての安定感。棒高跳の記録なしなど、特に2日目のミスで順位を落とすケースが見られるだけに、確実に得点していく中村・右代のような高い集中力を最後まで維持できれば、今までの殻を破る可能性は十分にある。ベテランと若手が複数で、1種目ごとに逆転しあうスリリングな展開を見せ、8000点に近づくような勝負となることを期待したい。



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大会情報やライブ配信情報など、随時更新予定!
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▼スタートリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1651-5.pdf

▼【日本選手権混成】私のアピールポイントはココ!~Men Decathlon 十種競技編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16243/ 

▼オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 日本代表選手内定について
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202205/23_115911.pdf
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