時差調整の難しさを実感
先輩たちとの共同生活からも多くを学んだ
――今回のオリンピック出場で、レース以外の面で学んだことはありますか?
松永:12時間の時差が大きかったですね。自分の場合は、事前のアメリカ合宿の段階で、もう全然対応できなかったんです。午後の練習なんかは散歩するので精一杯っていうくらいの状態を経ての試合だったので、時差調整というのは1つの課題だなと思いました。
――時差による体調不良は、レースまでには戻ったのですか?
松永:ぎりぎりという感じですね。
――それでは、体調自体は絶好調というわけではなかった?
松永:はい、そこまでは行かなかったです。8割くらいの状態でした。
――競歩の場合は、世界各地で行われている大会も多くて、今後は、そういう大会にもどんどん出ていくことになると思います。そこに向けての課題になりそうですね。
松永:そうですね。時差調整だけでなく、海外で生活すること自体も、これからの課題なのかなと思いました。
――ほかに何か感じたことはありましたか? 競歩は、選手村には入らなかったので、ほかの競技の人と一緒になることはなかった?
松永:はい。でも、(競歩の)先輩方と同じ部屋で過ごしたので、そこでいろいろと学べたことは大きかったです。
――具体的には?
松永:生活面の全般で、いろいろと感じることがありました。また、先輩方は自分の動き方というのをしっかりと確立できているな・・・と思いましたね。例えば、ストレッチするにしても、僕なんかは、今村さん(文男、競歩部長)に教えてもらったことをやるという感じなのですが、先輩たちは、自分でやるべきことをきちんと知っていて、それがすごく丁寧にできているんです。
――真似したい、取り入れたいと思いましたか?
松永:すぐ(真似)できるようになるのは難しいですね、まだ(笑)。
競歩は試合を重ねることで面白くなる
まずはトライしてみてほしい
――松永選手の入賞、そして50kmでの荒井広宙選手(自衛隊体育学校)の銅メダル獲得という今回の結果で、今後、競歩に対する関心も一段と高まっていくと思います。競歩をやってみようかなと思っている人に向けて、メッセージをいただけますか?
松永:うーん、何がいいかな。(…少し思案して…)とにかく、最初は何度か試合に出てみてもらいですね。もしかしたら、最初は“あまり出たくない”という人もいるのではないかと思うでのですが、まずは試合に出て、トライしてほしいです。自分も、試合を何回も重ねていくうちにタイムが伸びていって、そこから競歩が面白くなっていったというのが大きかったので。
――松永選手自身の今後の目標をお聞かせください。
松永:今回の7位に満足することなく、来年以降も、(世界大会での)入賞またはメダルというのを意識して、勝負できるように頑張りたいと思います。
――秋シーズンの試合は?
松永:国体のみ出場の予定です。
――岩手国体で行われる成年男子10000m競歩ですね。この種目の決勝は、大会3日目の10月9日に行われます。ぜひ多くの方に、競技場に足を運んでもらって、実際に見ていただきたいですね。
(2016年8月24日収録)
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◎写真/競技写真:フォート・キシモト、インタビュー写真:高橋将志
◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)