2025.07.23(水)大会

【日本選手権リレー】4×100mリレー:男子優勝の筑波大学、女子優勝の福岡大学ともに大会新記録で優勝!



第109回日本陸上競技選手権大会・リレー競技が7月12~13日、日本選手権混成競技との併催で、岐阜・長良川メモリアルセンター長良川競技場で行われました。男女4×100mリレーは、初日の予選を通過した8チームが、2日目の決勝に挑むタイムテーブル。男子は、筑波大学が38秒72の大会新記録で、女子は福岡大が43秒91の学生新記録・大会新記録で優勝しました。

日本選手権リレーは、2024年までの至近3年間、「みんなでつなごうリレーフェスティバル(リレフェス)」との併催で、10月の第1週末に実施されてきましたが、今年は、東京世界選手権開催の兼ね合いもあり、日本選手権混成と同時開催する措置がとられ、例年よりも3カ月ほど早いタイミングでの実施となりました。この大会では、1週間前に行われたトラック&フィールド種目の日本選手権と同じく、暑熱対策をとって実施。両日ともに、WBGT(暑さ指数)が31℃を超える可能性がある予報が出たことから、11時30分~15時00分の時間帯を競技中断とするタイムテーブルに変更となりました。この影響で、男女4×100mリレーも競技時刻を早めて実施されることに。1日目の予選は、女子は10時10分から、男子は10分40分からのスタートとなり、13時台に予定されていた2日目の決勝は、女子は10時30分、男子は10時45分と、大幅にスタート時刻を繰り上げての実施となりました。


 

2つの社会人チーム以外は22チームが大学チームとエントリーとなった男子4×100mリレーを制したのは筑波大学。3組2着+2の進出条件で行われた予選の1組に登場した筑波大は、39秒14をマークして1着で通過。全体では、4位タイの記録で決勝に駒を進めました。
6レーンに入ってのレースとなった決勝も、予選と同様に、素晴らしいスタートで日本インカレ100mを制した木梨嘉紀、この春先に世界室内・世界リレーの日本代表に選出されたルーキーの西岡尚輝を1・2走に据え、久保井颯・先本貴一朗の4年生コンビが3・4走に入るオーダー。「先行逃げきり」の展開が、さらにブラッシュアップされ、トップでホームストレートに出てくる形となりました。最後は中央大の追い上げを許さずに、そのまま先着。法政大が2015年に樹立した38秒79を更新する38秒72の大会新記録で、2007年大会以来の優勝を果たしました(筑波大リレーメンバーのコメントは、別記ご参照ください)。
38秒89で2位となったのは中央大で、3位には39秒09で大東文化大がフィニッシュ。また、4・5位には環太平洋大と岡山商科大の岡山県勢2チームが続き、健闘を印象づけました。




女子4×100mリレーは、福岡大の強さが際だつ結果となりました。6月上旬に行われていた日本インカレの予選で、単独チームの日本最高記録(44秒37、東邦銀行、2012年)を上回る44秒31の学生新記録を樹立して、決勝も44秒44で快勝していた福岡大は、今大会も、柴藤凜、前田美結子、大林璃音、山形愛羽と同じオーダーで出場。午前10時10分からのスタートとなった予選1組で、いきなり44秒16の学生新記録・大会新記録を叩きだし、全体トップタイムで決勝に進出しました。
翌日の決勝では、その強さに拍車がかかります。予選と同じオーダーで臨んだ福岡大は、1走からリードを奪い、他チームを圧倒。アンカーの山形選手が残り30m付近で右ハムストリングスを痛めるアクシデントもありましたが、後続を寄せつけることなく単独では日本の女子チームで初の43秒台突入となる43秒91でフィニッシュ。予選でマークした学生記録を歴史に残る記録へと再更新して、2019年大会以来となる優勝に花を添えました(福岡大リレーメンバーのコメントは、別記ご参照ください)。43秒91は、これまでのナショナルチームのタイムがずらりと並ぶ歴代リストにおいても、日本歴代14位に収まる好記録です。福岡大のメンバーは、2走の前田選手が3年生で、ほかの3選手は2年生。今後も、さらなる記録の短縮が大いに期待できそうです。
3チームが競り合う形となった2位争いを制したのは甲南大で、44秒73をマーク。0.04差の44秒77で立命館大が3位で続き、青山学院大が44秒84・4位でフィニッシュする結果となりました。


【日本選手権4×100mリレー優勝チームコメント】



日本選手権男子4×100mリレー

優勝 筑波大学 38秒72 =大会新記録

1走:木梨嘉紀
全日本インカレからこのチームで取り組んできたが、このメンバーで走るのは、これが最後になる。最後に勝つことができてよかった。
今回、大会記録は更新することはできたのだが、自分たちが全日本インカレでつくった筑波大学歴代2位の記録(38秒68)を超えることができなかった悔しさはある。さらに、筑波大学記録の38秒58は、この競技場で開催された2019年の日本インカレでつくられた記録だったので、この記念すべき競技場で大学記録も更新して優勝したいという思いがあった。それができなかったことは少し悔しく感じている。
(決勝の走りは)前日の予選の走りを見て、バトンパスのところの西岡の出の足長を伸ばすなど、少し改善して挑んだが、そこがうまく行った。また自分自身、「あわよくば外側のレーンの選手を抜けたら」と思って走ったが、そこは達成することができず、西岡頼みになってしまった面がある。それでも急きょ変更したにもかかわらず、スムーズなバトンパスできてよかったと思う。

2走:西岡尚輝
心強い先輩方たちと最後に一番いい色のメダルを取ることができて、本当によかった。決勝は、木梨さんが言ってくださったように、バトンの歩数を調整して挑んだレースだったが、何よりも、とてもいいレース展開で、無事にバトンを繋いでいただいたので、自分としても本当に走りやすかった。逆に、昨日(予選)は木梨さんがうまく行きすぎて、自分が焦る部分もあったので、本当にいい流れでもってきてくださったことが、自分のいいレース、いい走りに繋がったのかなと思う。
これで先輩方は、それぞれ次の舞台に行くことになるが、でも、筑波大学には、先輩方にも同期たちも、いい選手がたくさんいる。その方々と一緒に、もう一度、強いメンバーをつくって、優勝を目指して頑張っていきたい。

3走:久保井 颯
私自身、初めての日本一ということで、チームメイトに恵まれた結果なので、本当にチームメイトに感謝したいと思っている。
2~3走のバトンパスは、予選と違って、決勝は向かい風となったので、急きょ足長を少なくして合わせた。そこがうまくハマって、本当にぴったりのバトンパスをすることができた。それがうまく行って優勝に繋がったのではないかと考えている。
日本一を取るまでは、「いつになったら取れるのかな」ということを、ずっとずっと待っていたのだが、いざとってみたら、なんか呆気なくて…。けれど、今、改めて日本一ってすごいな、と。きっとあとからもっと気持ちが増えてくるのだろうと思う。これからゆっくりと、日本一の嬉しさを噛みしめたい。

4走:先本貴一朗
僕自身も、初めて(全国大会で)優勝することができた。信頼できる3人がしっかりバトンを繋いでくれたので、僕も最後、思いきって走ろうと思い、それができたのでよかった。
3~4走のバトンパスについては、僕らは4年間ずっと繋ぎ続けてきたので、そこ(バトンパス)には自信があった。自分のコンディションはあまり良くなかったのだが、3人がしっかりとバトンを渡してくれると思っていたし、「絶対に1番で来る」と思っていたので、最後は、自分のハム(ストリングス)がちぎれても走り抜けてようと思っていて、その思いのまま最後まで走り抜くことができた。本当は、(フィニッシュの際に)バトンを上げて喜びたかったのだが、余裕がなさすぎて自分の走りで精一杯(笑)でできなくて、フィニッシュしたあと、木梨さんのところへ行き、1位の喜びを噛みしめた。




日本選手権女子4×100mリレー

優勝 福岡大学 43秒91 =学生新記録

1走:柴藤 凜
全カレ(日本インカレ)が終わって、脚を痛めているところがあり、バトン練習をなかなか積めない時期があった。また、(トラック&フィールド種目の)日本選手権があるなど、それぞれに個々のスケジュールもあったが、そのなかでもチーム一丸となって、全カレの課題であったバトンパスは、朝練習や練習後に集まって練習するなど取り組んだ。その成果もあって、今回のバトンパスの改善や記録の更新につながったのかなと思う。
私自身の走りは、予選からは、ラップタイムを上げることができたが、全カレと比べたら、まだまだスタートの飛びだしや、後半に向けての走りのところでは劣っていたなと思っている。自分のラップもベストが出せて、43秒台が出せたら100点満点といえるのだが、まだまだ力不足。もっとタイムを上げていくためには、自己ベスト以上のタイムを出していかなきゃなと思う。

2走:前田美結子
全カレのときは、走力という点で私が足を引っ張っていた面があった。しかし、先週の日本選手権のときにベストで走ることができていたので、そこから調子を上げた状態で走ることはできた。そういう意味で、今回の日本選手権リレーではしっかり調子を上げるという点で、ここにピークをきちんと持ってくることができたのかなと思う。
バトンパスについてもそうだが、全カレが終わってからやってきた、全体としての取り組みについて、その成果を出すことができて本当によかったなと思う。
43秒台に向けては、私たちだけでなく、応援してくださった方々も含めて、全員が一丸となったことが、このタイムにつながっていると思う。
今後、一番の目標にしているのは、日本記録(43秒33、2022年)の更新。単独チームで、ナショナルチームの記録も含めた日本記録更新を達成したい。

3走:大林璃音
全カレでは、バトンのところで悔しい思いをしてしまった。そこで、まずはこの日本選手権リレーに向けて、バトンの改善もしてきた。また、日本選手権リレーに向けての、気持ちの面でも、仲間と本音でぶつかり合う時間を持ち、いろいろな意見を交わし合って、ここに来た。チームワークとして、仲間を信じるという部分では福大が日本一。今回43秒台を出せたのも、今まで支えてくださった方々のおかげだなと思っている。
43秒台を目標にというところで、前回の(試合だった)全カレでは、予選から決勝のところでタイムを落としてしまい、そこが課題だと思っていた。それだけに(タイムを上げることができた)今回、全カレからレベルアップしたところを皆さまにお見せできたのかなと思う。
自分の走りとしては、ラップタイムはベスト。また、1~2走がすごくいい流れで、ほぼトップで(バトンを)持ってきてくれたから、逃げるという形になって、後ろにいた甲南(大学)さんとかを意識した部分はあったが、そのなかでも自分の走りをすることができたと感じている。

4走:山形愛羽
昨日の予選で44秒16が出たときは、絶対に43秒台を予選から出すことを目指していたので、悔しい気持ちのほうが大きかった。そこで決勝に向けては、44秒1台の流れから、しっかりと自分たちの改善できる部分とかを話し合って、レースに挑んだ。本当に、私たち4人だけでなくて、福大のチーム全員が支えてくださったから43秒台を出すことできたし、これからはもっと上の記録を目指していくけれど、ほかの大学も絶対にこの43秒台を目指してくることになると思う。この43秒91で満足することなく、もっと高いレベルで走って勝負できるように、これからまた練習していきたい。
(肉離れは)調子の良さに、脚がついてこなかった感じ。自分がもうちょっと走れていれば、43秒8とかも行けたのかなと思うと悔しさもある。また、強くなって戻ってきたいし、福大チーム全員も強くなって、ここに戻ってきたい。


文:児玉育美(日本陸連メディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト/アフロスポーツ


【大会情報】

大会名 :第109回日本陸上競技選手権大会・リレー競技
開催日程:2025年7月12日(土)13日(日)
開催会場:岐阜メモリアルセンター長良川競技場
主 催 :日本陸上競技連盟
協賛:アシックスジャパン株式会社、大塚製薬株式会社、日本航空株式会社、株式会社ニシ・スポーツ、積水化学工業株式会社
主 管 :岐阜陸上競技協会
ハッシュタグ:#日本選手権リレー #ナンバーワンの頂上決戦



▼【第109回日本選手権リレー】大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1954/
▼【第109回日本選手権混成】大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1953/


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