2025.07.07(月)大会

【第109回日本選手権】総括会見レポート



7月4日に開幕した第109回日本選手権は、7月6日、無事に3日間の日程を終えました。日本陸連強化委員会は、すべての日程を終えたあとに記者会見を開き、山崎一彦強化委員長が登壇。大会を総括しました。会見の要旨は下記の通りです。


■山崎一彦強化委員長




今大会、観客の方が例年以上に多く来場してくださり、温かい声援や拍手などで選手を後押ししてくださった。会場全体の雰囲気が、今まで以上のまとまりを感じる場面が多く、選手にも大きな励みになったのではないかと思う。そのおかげもあり、見応えの勝負が数多く繰り広げられた。

特にハイレベルな内容となったのは男子110mハードル。こちらは、世界選手権参加標準記録(13秒27)を突破している選手が3人出場したなかで、代表には2人しか決まらないという状況(注:男子110mハードルは、すでに村竹ラシッド=JALが代表に内定済みであるため、日本選手権では残る2枠を懸けての戦いとなった)で行われ、三つ巴の戦いとなった。その結果、泉谷駿介(住友電工)と野本周成(愛媛競技力本部)が、それぞれ参加標準記録を決勝でも切って上位を占め、代表に即時内定することとなった。勝負・記録ともに素晴らしい内容であったと思う。

また、男子やり投では、ディーン元気(ミズノ)が後半の試技に入って、好記録(83m97)をマークしてトップに立ったあとに、﨑山雄太(愛媛競技力本部)がワールドスタンダード(世界選手権参加標準記録85m50)を上回る87m16で逆転する展開となった。この記録は、今季世界リストで4位となる素晴らしい記録。我々も男子MVPに推薦したが、世界選手権での入賞も見えてくる素晴らしい記録であった 。

また、世界選手権参加標準記録には届かなかったものの、非常に良い勝負が見られた種目としては、女子100mハードル、女子走幅跳、男子100mなどを挙げることができる。女子100mハードルでは、1・2位が同タイムでフィニッシュし、着差による判定で勝負が決している。また、女子走幅跳では、1cm単位での逆転に次ぐ逆転が繰り広げる展開で決着がついた。男子100mでは、桐生祥秀(日本生命)が5年ぶりの優勝を果たして感動を集めたほか、上位争いが大接戦でのフィニッシュするレースとなった。

このほか、男子棒高跳の江島雅紀(富士通、ダイヤモンドアスリート修了生)は、2 022年大会優勝後に大きなケガをして、そこから復活しての勝利となった。女子100m・200mで2冠を果たした井戸アビゲイル風果(東邦銀行)は、高校生のころから活躍を期待されてきた能力を開花させるパフォーマンスを披露。また、男子400mハードルに出場した豊田将樹(富士通、2019年ドーハ世界選手権代表)は、ドーピングにかかわる諸問題を克服して競技シーンに復帰。決勝進出を果たして入賞(6位)を果たしている。

今大会では、前述の泉谷、野本、﨑山のほか、男子では200mを制した鵜澤飛羽(JAL)に加えて、400mハードルで昨年、参加標準記録を突破していた井之上駿太(富士通)が3位となって、東京世界選手権の代表に内定。また、女子では、1500mと5000mの2種目で、参加標準記録を突破済みの田中希実(New Balance)が、どちらも今季日本最高となる好記録で圧勝して、2種目での内定を得た。この結果、今大会では6選手が新たに内定者として加わることとなった。
田中の活躍については、私たちも﨑山ともに今大会のMVPとして推薦した。特に中距離・長距離という種目的な特性もあって、レース展開等、彼女が現在主な舞台としている海外とは全く異なる状況下でのレースとなったが、そのなかでも傑出した力を発揮する走りを見せてくれた。予定している試合は今後も多いと思うので、ここからさらに調子を上げてもらい、世界選手権本番でも2種目で結果を残してくれることを期待している。

国際水準の記録という点では、ここまでに挙げた男子200mの鵜澤、男子110mハードルの泉谷、野本、男子やり投の﨑山のほか、男子110mハードルで阿部竜希(順天堂大)の5名が、今大会において世界選手権参加標準記録をマーク。阿部は3位となったことで落選となったが、ほかの4名が代表に内定した。これらの記録は、いわゆる「世界レベル」といえるもので、内定を決めた4名については、世界選手権における入賞も期待できる記録であるということができる。

また、参加標準記録にあと少しのところまで迫ったのは、男子400mハードル(参加標準記録48秒50)を制した小川大輝(東洋大、48秒61)。また、参加標準記録には届かなかったものの男子走高跳(参加標準記録2m33)を制した真野友博(九電工)の2m29も非常にハイレベルなものと言うことができる。2022年世界選手権オレゴン大会で入賞を果たしている選手だが、その後、2023年世界選手権ブダペスト大会、2024年パリオリンピックと連続入賞した赤松諒一(SEIBU PRINCE)を破っての優勝と2m29を1回で成功させるパフォーマンスは評価できるものだと思う。
また、安定感を印象づけたのは、男子走幅跳を制した山浦渓斗(勝浦ゴルフ倶楽部)。優勝記録は8m14と、参加標準記録(8m27)には届かなかったが、初代表のアジア選手権での銅メダルに続いて、日本選手権で自己記録を1cm更新する結果を残している。

さらに、男子やり投で2位となったディーンが、最終投てきで13年ぶりに自己記録を更新する84m66をマーク。同種目の参加標準記録(85m50)に近づく結果を残した。また、女子800mで日本新記録(U20日本記録、U18日本記録)を樹立した久保凛(東大阪大敬愛高)の1分59秒52も、参加標準記録(1分59秒00)に肉薄するもの。さらに、優勝は叶わなかったが、女子100mハードルでは福部真子(日本建設工業)が準決勝において12秒75をマーク。この種目の参加標準記録(12秒73)に0.02秒まで迫った。

世界選手権のエントリー締切りまでには、2カ月近くあるため、代表選手の最終決定はまだまだ先となるが、現段階で想定する世界選手権に出場できそうなメンバーは、開催国枠も含めて、およそ65~70名くらい。まあまあ大きな規模の選手団で臨むことが可能になると見込んでいる。内定した選手たちには、世界選手権本番の戦いを見据えながら準備を進めてもらうことになる。また、内定に至っていない選手たちには、まずは出場権獲得に向けて、参加標準記録への挑戦、そして、ワールドランキングでの出場権獲得を視野に入れて、さまざまな大会で記録を目指していってもらうことになる。我々、強化としてもできる限りサポートしていきたい。

※本内容は、7月6日に実施した記者会見において、登壇者が発言した内容をまとめました。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施している。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


#ナンバーワンの頂上決戦

第109回日本選手権

開催日:2025年7月4日(金)~6日(日)
会場:東京・国立競技場

https://www.jaaf.or.jp/jch/109/

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